皆さんは「毒親(どくおや)」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?文字通り、毒を持った親、もう少し詳しく言うと、子供に毒を与える親、という感じでしょうか。

一般的に、子供に異常に干渉する親のこと、逆に全く子供を育てようとしない育児放棄、また暴力や食事を与えないなどの児童虐待を行い、子供にマイナスな影響を与える親のことを言います。

両親ともに毒親である場合もありますし、配偶者がいないときにだけ虐待を行う毒ママ、毒パパも存在します。

少し前まではこのような言葉は存在しませんでしたが、あまりに子供にとって良くない行動をとる親が増えたことで毒親という言葉が浸透してきたように思います。

今回は、「毒親」について詳しく書いていきます。

毒親が増えている?日本の毒親たち

先ほども書いたように、少し前までは「毒親」という言葉は存在していなかったように思います。

というより、毒親的な存在は昔からいたのかもしれませんが、表面化するほど多くなかったのかもしれません。

しかし今は「身近に毒親がいる」と感じる人も多いのではないでしょうか。

近所の毒親、子供の同級生の毒親など、自分の周りだけでなく、子供に関する不幸なニュースにも、毒親が関係していることが増えてきました。

どうして毒親が増えてきたのでしょうか。

原因は、今の世の中の環境や、毒親自身が育ってきた環境によるものがあるようです。

1. 不安定な世の中によるストレスのはけ口


まずは、世の中が不安定なことが原因になることが挙げられます。

せっかく子供を授かったのに、思うように収入が得られず満足な生活ができないストレスから、子供にきつく当たってしまうというパターンです。

こんなはずではなかったのに、というやり場のない怒りが子供に向いてしまうのは、親自身も決して望んではいなかったでしょうが、気が付いたら毒親になっていたということもあるでしょう。

収入だけではなく、人間関係もありますね。

表面上は仲良く見えるママ友同士でも、見えないところでいさかいがあったり揉め事があったり、ストレスが溜まる場面はたくさんあります。

子供同士がうまくいくように、望まない人間関係を築くのは大きなストレスです。

そのストレスを子供にぶつけてしまう親も、毒親になっていきます。

世の中の不安定さが、毒親を多く生み出しているのかもしれませんね。

2. 親自身が大人になり切っていない

もう一つ、親になったはずの大人が、大人になり切れていないという場合があります。

世間の荒波に揉まれることなく育ってきてしまった人は、自分が親になっても「育てる力」を持っていません。

何歳になっても親に身の回りのことをすべてしてきてもらった大人や、嫌なことからは逃げて、やりたいことばかりしてきた大人などは、親になった自覚が持てません。

ですので子供を育てることが難しく、毒親になってしまうのですね。

若くして子供を産んだ人も、毒親になる場合があります。

周りの友人はまだまだ青春を謳歌しているのに、自分は子供につきっきり、自由に遊ぶことも、おしゃれをすることも、飲み歩くこともできず、ましてパートナーが育児に協力的ではない、なども重なると、つい「なんで自分だけこんな目に」と考え、子供を放置してしまいます。

その結果、毒親になってしまうのですね。

もちろん若くても子供を大事に育てている親は数知れずいますが、どうしても「子供が子供を産むからこんなことになるのよ」と言われてしまう案件が出てくるのは、親自身が未熟だからと言わざるを得ないでしょう。

このように、親自身が大人になり切れていない場合も、毒親になるケースが多いです。

毒親はどんな子供たちを作り出す?


では、このような環境で生まれてしまった「毒親」が子供を育てると、その子供はどうなっていくのでしょうか。

毒親はまともな育児ができていませんから、少なからず子供に影響が出ます。

毒親に育てられた子供たちがどんな人間になってしまうのか、いろんなパターンがありますのでいくつか見ていきましょう。

1. アダルトチルドレン

「アダルトチルドレン」という言葉を聞いたことはありますか?これは英語圏では直訳して「成人した子供」ととらえられることもありますが、今回説明するアダルトチルドレンは「幼少期の体験から、成人しても環境に適応できず生きづらさを感じる人」のようなニュアンスの言葉です。

幼少期の体験とは「機能不全家族」と呼ばれる家庭で育ったことを指します。

上記にあるように、育児放棄や虐待、過干渉などの親に育てられた、ほかには、アルコール中毒など、正常な育児ができない親に育てられた子供に当てはまります。

こういった機能不全家族のもとで育った子供は、成人してから、自分がうまく環境になじめない、人間関係をスムーズに築くことができない、考えが偏ってしまい社会に適応できない、どんな場面でも緊張してしまいパニックになる、など、多くの不便な生き方をしなければいけなくなります。

子供のころの環境が大人になって社会に適応できないという障害になるなど、子供のころはわかりませんが、毒親に育てられるとこういった大人になる可能性が高くなります。

ちなみに筆者もたびたびアダルトチルドレンの診断を出されますが、原因は、幼少期の学校での体験が原因の多くを占めるものの、親からの過度な期待や大人からの決めつけなども起因しているようです。

自分の親が毒親だと感じたことはありませんでしたが、少なからず親の過干渉や過保護、過度な期待などはあったように思います。

診断通り、社会適応がうまくできず、人間関係の構築も苦手です。

このように、大人になってからうまく生きられない人が増えているのは、毒親に育てられた人間が増えているのかもしれません。

2. 精神的に不安定

毒親に育てられると、精神的に不安定な人間になることもあります。

自分に自信が持てなかったり、何が正しいかわからなかったり、自分は誰にも認められていないと感じるなど、多くの場面で不安定に感じます。

幼少期に、親から満足な愛情を与えられていないと、こういった大人になってしまう可能性があるのですね。

過度な干渉をされた人は、人間関係をうまく築けません。

反対に育児放棄されて育った人間も、人の愛情を知らないので人に愛をもって接することができません。

常に人の評価を気にして生きてきた人は、何歳になっても周りの目を気にしすぎる傾向があります。

このように、普通に生活していくうえで、普通に育った人ならば普通と思えることが困難に感じることが多くなるでしょう。

3. 自己中心的

親が過保護で、何をしても親から怒られたり止められたりしなかった人は、大人になっても自己中心的な大人になることが多いです。

なんでも自分の思ったようにしなければ気が済まないので、それが通らないと不満を感じ、周りとうまく協調できないことが多くなります。

子供のうちはそれでよくても、成人しても常に自分が中心でないと嫌だという振る舞いをしていては、社会を渡り歩くことはできません。

あまりにも過保護という毒親に育てられると、このような自己中心な人間に育つ可能性があります。

4. いじめっ子

暴力をふるう毒親に育てられた人は、自分が暴力を受けたうっぷんを、人に暴力をふるう、人をいじめるなどの行動で発散しようとします。

自分がひどい目に合ったので、人にも同じような行動をとることに痛みを感じないのですね。

また、暴力や虐げられることが普通と感じてしまい、他人にそういった行動をとることを悪いと認識できません。

また、人をいじめることで親から注目してもらおうとすることもあります。

これは親の愛情不足が原因ですね。

親の気を引こうといじめっ子になるのは、親が完全な毒親だからでしょう。

様々な毒親が、多くのいじめっ子を作りだしていると言えるのではないでしょうか。

5. 不登校や引きこもり

アダルトチルドレンの項目で、大人になっても生きづらい人の特徴を挙げましたが、これが幼少期に出ることもあります。

学校でうまく友人と付き合えない、生活に適応できない、他人と接するのが怖い、など、成人する前にこのような症状が現れると、学校に行けなくなり、不登校になります。

学校にいけないだけでなく、自分の部屋からも出てこられない「引きこもり」になる人もいます。

学校の友人だけでなく家族ともうまく意思疎通が取れない、会話ができないという状況に陥るには、毒親が関係しているのかもしれません。

育児放棄や虐待、過干渉などは、こういった子供を育ててしまう可能性があります。

6. 自信が無い

親から過度に期待されたり、親に進路を決められてその通りに生きることを強いられた人は、自分に自信が持てなくなることが多いです。

常に誰かの評価がないと落ち着かず、自分はこれで正しいのか不安になります。

また、期待に添えていないのではないかと常にびくびくすることになります。

決められた進路をきっちりと歩んできた人は、この先も決められた道しか進んではいけないのだろうかと悩みますし、もしこの先進む道を示されなかったら、どう進んだらいいのかわからない大人になります。

そういうことが重なって、自分に自信がない、自分では何も決められない、自分の存在意義がわからない、など、自信が持てない人間になりがちです。

また、親から「お前はダメだ」「お前など生むんじゃなかった」などのような否定の言葉を浴び続けた人間も、自分に自信が持てません。

親という、どんなことがあっても自分の味方でいてくれるはずの大人から否定され続けると、自分はダメなんだと子供のころから思い込むことになります。

自分の子供を否定し続ける毒親の元で育つと、自分に自信が持てない大人になるでしょう。

7. 愛情というものを知らない

育児放棄であったり、親が自分のことを優先していたなど、子供のころに与えられるはずだった愛情を与えられずに育った人は、生まれながらに愛情というものが何か知らずに生きることになります。

つらい時に抱きしめてもらった経験もなく、構ってほしい時にも見向きもされず、話を聞いてほしい時にもほおっておかれるなど、親は常に自分を愛してくれているんだという実感がないまま育ってしまうと、人間の間に当たり前に存在する愛情の意味が分からない人間になります。

愛情を知らなければ、当たり前ですが人に愛情を与えることもできませんし、感情も表に出すことが少なくなるなどの問題が出てきます。

人に愛情を注げないと、人を愛することも難しくなりますし、逆に、人の痛みもわからないので、何をしても無感動な人間になるでしょう。

このまま成長してしまっては、当然人間関係をうまく築くことはできませんし、命の価値がわからない人間になる恐れだってあるのです。

毒親の特徴

毒親に育てられた子供がどういった大人になるかを紹介しましたが、毒親自体の特徴も挙げておきましょう。

目に見えた暴力や育児放棄だけでなく、親が良かれと思ってやっていることも毒親に当てはまることがあるので、毒親の自覚がない人も当てはまる項目がないか見てみてください。

自分の親が毒親かどうかも、この項目でわかりますよ。

1. 子供に過干渉

まずは、過剰に子供に干渉する過干渉も毒親に当てはまります。

過干渉は、親側からしたら「子供のためにやっている」ということが多いので、親自身も悪いことをしている実感はありません。

しかし、過干渉されている子供は、息苦しさを感じてしまいます。

何をするにも親が決め、親が納得できないことはさせてもらえない、自分の意見を言ってもすべて反対される。

このような過干渉は、のちに「自分に自信が持てない」「自分一人では何も決められない」と言った大人を育てます。

純粋に「子供に痛い思いをさせたくないから代わりにやってあげる」「失敗して落ち込んだらかわいそうだからアドバイスをしてあげる」のような善意からきているので、こういったタイプの毒親は「あなたは毒親だ」と指摘するのが難しいです。

しかし、そんな気持ちの裏でこのタイプの毒親には「自分が叶えられなかったことを子供に代わりに達成してほしい」「優れた子になってほしいけれど自分を越えてほしくない」のような心理も隠れていますので、異常なまでの干渉になってしまうのですね。

子供は親の言う通りの道を歩み、親が決めた格好をし、親が選んだ人間とのみ関わり、やがてそんな自分が「一人では何もできない」「自分に自信がない」と言った大人になってしまったことに気づくのです。

子供のためと言いながら、自分の満足を押し付けていないか、過保護になりがちな人は考え直してみたほうがいいですね。

2. 子供を完全に支配下に置く

過干渉に似ていますが、自分の支配下に子供を置くのも毒親です。

食べるものはこれにしなさい。

ここには行ってはいけません。

あの子と付き合ってはいけないよ。

この服を着なさい。

この学校に進学しなさい。

親の言うことは絶対。

などなど・・・。

自分の理想の子供に育てたい気持ちはわかりますが、自分の理想をすべて押し付けるのは子供からしたら苦痛でしかありません。

自分で選ぶ権利をもらえなかった子供は、自分に価値があるのかわからなくなるなどの支障が出ます。

また、何歳になっても自分で自分のことを決めることができない大人になってしまいます。

そして、自分は何に対しても意見をしてはいけないのだと、自己主張をすることができなくなります。

親の支配下に置かれた子供は、こういった大人になる危険性があります。

3. 暴力を振るう

毒を持った親として一番目に見えてわかりやすいのが、暴力ですね。

気に入らないと殴る。

失敗したら殴る。

口答えしたら殴る。

暴力は、弱い人間を抑え込むのに手っ取り早い方法ですが、暴力を振るわれる方はたまったものではありません。

子供に対する暴力が引き起こす悲しい事件がよくニュースになりますが、これは親の想像力のなさも関係しています。