皆さんは【テレコ】というワードの意味を知っていますか?
どこかで聞いたことはあるけど、イマイチ要領を得ない…なんて人も多いのではないでしょうか。
会話の中で突然【テレコ】というワードが飛び出して「テレコってなんのこと?」と困った経験がある人も少なくないはず!
今回はそんな【テレコ】について意味や使い方をまとめましたので、是非ご覧ください。
テレコで困ってしまったあなたへ
「これ“テレコ”になってるね」と言われたら、あなたはその人が何を言わんとしているか分かりますか?
【テレコ】そのものの意味を知らないと、突然「この荷物“テレコ”だからね」なんて言われても、全く何を示しているか分からず困ってしまいますよね。
そんな困った…を今から解決しましょう!
テレコとは?
テレコ…と聞いて、あなたはどんなものを連想しますか?
何かの略語にしては、言葉の使い方が形容詞のような雰囲気ですよね。
この言葉は単に文章を略したものではありませんので、推測してみても、なかなか正解に行きつかないと思います。
実際【テレコ】の意味を調べてみると下記のような内容がヒットします。
互い違い
2つの異なるものが、かわりがわり入れ替わる様子を指す“互い違い”という意味。
両方から異なるものが交互に混ざり合うような場合にも使われる言葉です。
例:「AとBを互い違いに並べる」「互い違いに糸を編む」…etc.
→【テレコ】に置き換えると…「AとBがテレコになっている」
食い違い
物事がうまく嚙み合わずに一致しない様子を指す“食い違い”という意味。
複数の物事や意見が不一致の際などに使われる。
例:「証言には食い違いがあり検証が必要」「意見が食い違って衝突する」…etc.
→【テレコ】に置き換えると…「意見がテレコだから衝突する」
入れ違い
何かが出た後に、他のものが変わって入る様子を指す“入れ違い”という意味。
または、正しい順序とは異なり間違った順序で入ってしまうこと。
例:「丁度あの人と入れ違いになってしまったようだ」…etc.
→【テレコ】に置き換えると…「丁度あの人とテレコになってしまったようだ」
あべこべ
順序・位置・関係などが反対になってひっくり返っている様子を指す“あべこべ”という意味。
正しい状況や通常の様子とは逆さの状態になっていること。
例:「手順があべこべになっている」「その意見はあべこべだ」…etc.
→【テレコ】に置き換えると…「手順がテレコになっている」
テープレコーダーのことではない
テレコと聞くとテープレコーダーの略称かと勘違いする人も多いんですが、テレコとテープレコーダーに関連性は全くありません。
しかし中には、テープレコーダーの略称として使っている人も居ますので誤って解釈しないようにしましょう。
テレコの語源は?
テレコのおおよその意味合いが掴めたところで、【テレコ】というのは、そもそもどんな語源から生まれた言葉なのかという根本の部分を紐解いてみましょう。
歌舞伎から
テレコは、元来、歌舞伎で使われていた専門的な用語です。
テレコは歌舞伎で“太鼓の一声”とも言います。
歌舞伎において2つの異なる筋の脚本をひとつにまとめて、関連を持たせながら1幕ごとに交互に進行させるという手法を【テレコ】と呼んでいました。
この手法が元になって、2つの異なるものが交互になる状態のことをテレコというようになったんです。
テレコという言葉を日常的に使っている人も言葉の由来を知っている人はなかなかいないでしょう。
「人の手(て)を入れ(れ)て交(こ)互にする」
テレコな、 「人の手(て)を入れ(れ)て交(こ)互にする」という文章の一部を抜き出した略称という説もあります。
「コ」は接尾語
手を加えるという意味の“手入れ”に接続詞の“こ”を付けて【テレコ】というようになった というのも有力な説です。
いつの時代も略語というのは作られるものなんですね。
カタカナ表記にする
歌舞伎で使われる際は、平仮名で【てれこ】と表現することが多いですが、主にこの言葉は【テレコ】とカタカナ表記されることが主流です。
テープレコーダーの略称もカタカナなので、混同しやすいため注意が必要です。
日本のどの地方でよく使われる?
テレコというのは関西弁の一種でもあるので、主に大阪など関西方面で使われていました。
それが流通や文化の交流を経て、全国に普及したことで広く知れ渡るようになったのです。
とはいえ関西以外ではあまり浸透していないので、他県の方は聞きなじみがない方も多いと思います。
どういう人達がよく使っている?
【テレコ】という言葉は、どんなシーンで 誰が使っている言葉なのでしょうか。
聞いたことはあるけど、自分では使ったことが無いという方も多いと思います。
実際にテレコという言葉を使う人たちを見てみましょう。
歌舞伎役者たち
やはり言葉の発祥となっている歌舞伎界では今でもよく使われているようです。
今でもテレコを使いながら進行する独特の脚本は用いられています。
歌舞伎役者さんたちの間では日常的に交わされる言葉のようです。
マスコミ業界
歌舞伎関係とつながりの深いマスコミ業界においても、テレコという言葉を使う人は多いようです。
業界での歴が長いベテランなんかはよく使います。
マスコミ業界では、台本の台詞や進行手順が入れ替わっていたり互い違いになっているような場合などに「台本がテレコになっている」なんていう風に用いられたりします。
業界用語である、アテレコとも似ている言葉ではありますが、実際こちらとは関係はありません。
アパレル業界
これもやはり歌舞伎やマスコミ関係と繋がりがあり、同じ現場で仕事をすることの多い業界ですね。
アパレル業界では、ディスプレイなどで服や靴などが入れ替わってしまっていたり、入荷した商品があべこべになっているよなシーンで「洋服がテレコになっているよ」などと言い表すことがあります。
マスコミ業界と密接で進行の深い有名ブランドだったりすると尚更のようです。
運送業界
荷物の入出荷などをおこなう運送業界では、荷物の順序や出荷の順番などが入れ違いになってしまったシーンなどで「荷物がテレコになっている」と言い表すことがあります。
間違って配送してしまわないようテレコになっていないかキチンと確認する必要がありますね。
出版業界
出版業界では原稿のページの前後が間違っていたり、誤っているようなシーンにおいて「ページがテレコになっている」というように言います。
テレコになったまま入稿なんてしてしまったらそれはもう大変ですから…きちんとチェックしておきたいですね。
関西在住の人は日常会話の中で使う
関西方面では日常会話の中にも、テレコという言葉をよく使います。
その他の地域ではあまり日常的に使われることはないようです。
関西の方は、どこでも通用すると思って使うと違う地域の人には通じなかったりすることもあると思いますので要注意!
同じ日本国内でも、使う言葉には大きな壁があるんですね。
テレコという言葉はそもそも一部の業界内だけで使われていた言葉なので、浸透具合はあまり良いとは言えません。
北海道や沖縄では今でもほぼ伝わらない
関西から離れた北海道や沖縄では、今でもテレコと言葉はほぼ伝わりません。
筆者は北関東に住んでいますが、正直聞いたことがあるようなないような…という曖昧な認識でした。
それこそ、テープレコーダーの略だと思っている人が五万といることでしょう。
「イレコ」と近い?
【テレコ】と似ている【イレコ】という言葉を聞いたことはありませんか?【イレコ】というのは、箱状の入れ物に箱状のものを入れている“いれこ細工”から生まれた言葉です。
「イレコになる」というのは、探しているものが別の箱に入っている状態を指すので、テレコの「あべこべになる」というような意味と似ています。
しかしイレコという言葉を、テレコと同様に「互外違い」というような意味合いで使うことはほぼありません。
微妙なニュアンスの違いですが使い方によっては意味が食い違ってしまうので要注意です。
テレコを使った例文
いざ【テレコ】の基本を知れたところで、実際に使う場面を想定して例文を見てみましょう。
ぜひ使ってみてください!
1. 「テレコになっちゃったね」
例えば、なにか規則的な作業をしている時など、誤った操作をしてしまったシーンではその状況を差して「テレコになっちゃったね」「これだとテレコだね」なんていう風に表します。
意味合いとしては「互い違いになっちゃったね」というような感じです。
仕事などで使う際は【テレコ】が何を指すのかに対して、お互いに同じ認識を持っているかというのをきちんと示し合わせておかないと、違った意味合いで捉えられる可能性があるので注意しましょう。
2. 「テレコな話やなー」
関西の方で「テレコな話や」と言った際には、「食い違った話」「あべこべな話」というような意味合いを持ちます。
正直、他の地方の人からしたら、全く何を言っているか分からないですよね…。
「あべこべな話」と言われれば、辻褄が合わない支離死滅な話なのだな、と想像がつきます。
しかしテレコな話と言われてもイマイチ、ピンときません。
ついでに言うと、茨城の方では互い違いになる【テレコ】というような意味合い【いっちくだっちく】という方言があります。
「そこ、互い違いになっているよ」という時に「そこ、いっちくだっちくだっぺ」というように使うのですが、これもなかなか難解ですよね。
3. 「君たちの会話はテレコだ」
「君たちの会話はテレコだ」という時のテレコは、先ほど紹介した「テレコな話」という時と似たような意味合いで「あべこべだ」ということを指摘する意図を含んでいます。
互いの意見の方向性が違って食い違っている状況はテレコになっている、と言えるのです。
4. 「左右の箱の中身はテレコだよ」
この場合のテレコは「左右の箱の中身は入れ違いだよ」という意味で使われています。
入れ違いになっているから、正しくしましょう、というような場面ですね。
5. 「箱をテレコに積んでいる」
2つの種類の箱など、異なる種類の何かを互い違いに積んだり、並べていくような場面ではテレコという現象が起きやすいです。
「箱をテレコに積む」ということは「箱を互い違いに積む」ということになります。
6. 「テレコで着いた」
「テレコで着いた」というのは「入れ違いに着いた」ということなので、待ち合わせなどでタイミングが合わなかった場面などで使います。
どの例文にせよ【テレコ】を知らず、意味が通じない人にとっては、特殊な略語か暗号かなにかかと思われてしまうかもしれないので使いどころは選びましょう。