現在の社会体制の中で問題となっていることの一つとして「人材育成」というものがよく取り上げられます。

有力な人材を確保することさえ簡単なことではないので、採用した一人ひとりの人材を育成することが有力な労働力の確保につながるわけなのですが、一人ひとりが忙しくもうすでに手一杯だったり、先輩たちが新入社員を育てるという意識が無さすぎるために、その企業で本当に活躍できるまでに育ててもらうことができない、ということがあります。

あるいは、先輩の立場からすると新入社員があまりにもストレス耐性が無かったり、向上意欲がないためになかなか育たないという悩みを持つ場合も多いようです。

つまり、企業において新入社員が育ててもらえない、あるいは育てられないといった問題はかなり深刻になってきているようなのです。

「人生育成」に力を入れている、とほとんどの企業は主張するかもしれませんが、実際の中身としてはなかなか実施されていない、というのも現状です。

しかし、人材育成がなされていない企業というのは、いずれ破綻してしまう可能性があります。

企業は人で動いているものですので、この先を担い、企業を支える確実に活躍できる人材を確保していなくては、そのうち会社は内部から破綻していくことになってしまいます。

それで、企業に大切なこの人材育成について、今回はいろいろと調べていきたいと思います。

特に、人材育成にはどういった分野が含まれているのか、さらに新入社員の教育を任された場合、どのようにその大事な仕事に取り組むことができるのかご紹介していきたいと思います。

企業の成長に大切な人材育成

どの企業も、人材育成の大切さを強調していることでしょう。

でも、実際にどのくらいの企業が”中身のある”教育を実施しているでしょうか?

ある調査によりますと、企業の教育担当者に「中堅社員に求める役割とは何か?」という質問をした際に、なんと70%を上回る人たちが「後輩の育成」と答えました。

それは、「自業務の改善」とか、「職場の活性化」などを抜いて、第一位の回答となっています。

つまり、企業は先輩社員が後輩社員を育てることをとても期待しているわけです。

少し前の日本では終身雇用、さらには年功序列といった社会構造があったのですが、今ではそれが崩れてきてもいます。

素ために、有力な人材を確保することさえ企業にとってはなかなか難しいくもなっています。

それで、採用した人材をいかに育てて、企業の付加価値を高め、さらに基礎の部分をもっと強化するために人材を教育し育てるということが大切になってきています。

しかし、先ほどの調査でわかったことは、「後輩育成」を求めているとはいえ、実際にそれを遂行していると答えることができたのは、わずか3%未満だったんです。

そして、やや遂行しているという人も合わせたとしても、30%ほどでした。

あまり遂行していない、と回答したのが50%以上、つまり半分以上ということで、人材育成というのは一番期待されていることなのに、実施されていない分野である、ということになります。

人材育成をおろそかにしている企業はないとは思いますけど、実際には目の前の業務に追われているために、育てることが後回しになっていたり、さらにはすぐに結果を出したり、業績を伸ばすことに目が向いているために、なかなか本気で後輩の育成に取り組んでいない、ということもあるのかもしれません。

しかし、10年後の企業に付加価値を与える人材を確保するためには、今人材育成に本気で取り組まなくてはいけないのです。

企業のこれからのため、企業が難しい経済状況の中でも成長し続けるために、絶対に後回しにしてはいけない分野なのです。

人材育成の3つの種類

企業が成長するためには、企業を支えている人材が成長していかなくてはいけません。

人が育たなければ、企業が発展していくことができないのです。

人材育成において、その目的は人材を効率的また効果的に活用できるようになるため、ということができます。

そうなれば、利益は上がりますし、競争力を上げることもできます。

グローバル化が進んでいますし、企業もどんどんとIT化しています。

その中で企業の競争優位性を持つために、スキルもどんどんとアップさせていかなくてはいけません。

今のこのグローバル化された社会の中で、10年前に人材教育として英語スキルを身につけさせていた会社と、そうでない会社では、今の業績に大きな差が出ていることでしょう。

つまり、企業にとっては人材育成というのは、経営戦略でもあるわけです。

では、人材育成には具体的に言ってどんな実施方法があるのでしょうか?
人材育成には、3つの柱があるといわれています。

その3つを正しく理解し、必要に合わせて使い分け、そして連携させることによって付加的な価値を生み出せる人材を育成することができるでしょう。

OJT

新入社員の育成、さらには新しい部署などに配属されたときに行われるのがOJTです。

多くの企業では、新人社員研修を行った後に、OJTを導入して指導しています。

OJTとは、「on-the-job training」の略です。

職場での実務を通して行う教育

これは、職場での実務によって従業員を訓練し教える教育方法です。

つまり、その職場で実際に仕事をしながら訓練を受ける、という形になります。

職場内で日常業務を行っていく際に、上司が部下に計画的に仕事を教えていきます。

この教育方法では、先輩や上司などが、後輩に仕事を与えます。

そして、必要なフォローなどを入れながら新人社員が、仕事に必要な技術や知識、そしてマナーなどを身に着けられるようにします。

仕事を与える場合、これは単に業務を手伝わせるということではなく、意図的または計画的に仕事を覚えさせ、さらに必要な技能などを習得させていくためのものです。

実際に仕事をこなすために必要なスキルや知識を、先輩や上司から指導を受けつつ身に着けていくのです。

それで、継続的な指導が必要になります。

指導する立場の人には、指導されている人の仕事内容への確実なチェックやフォローや指摘をすることが必要になります。

そして、指導される側には報告義務があります。

もし、報告しないで勝手に仕事を進め、さらに間違っているところなどがあっても、指導する側が勝手に直してそれを提出して終わり、ということであれば、この教育方法は意味をなしていません。

なので、教育するほうもされる方も、今与えられて行っている仕事(与えた仕事)における目的、意義をちゃんと意識している必要があります。

現場でしかわからないような仕事の進め方、さらに知識や技能などを習得することができます。

業務現場で実際に仕事をすることによって、直接に仕事に貢献することもできますし、その場その場に適した判断をするための教育となります。

この方法では、現場特有の状況の変化や必要がそのときどきで違うことなどに合わせて、臨機応変に柔軟性をもって教育できる、というメリットがあります。

さらに、OJTというのは後輩の訓練だけではなく、指導する側の立場の人の成長にも繋がりります。

後輩を育成する、後輩に教えるということは簡単なことではありません。

人に教える、ということは自分自身を成長させる機会になります。

教えるほうも、初心に返って基礎的なことを見直したり、コミュニケーション能力を向上させることができます。

ただ単に業務内容を教える、というのではなく、指導するほうもされる方も、課題と目的を明確にして計画的に実施することによって、効果的な人材育成を行うことができます。

しかし、このOJTには指導する側に時間がなくてはなかなか実施できません。

特に、繁忙期になると後回しになってしまうことがよくあるようです。

さらに、担当者だけでなく、周りの人たちも一緒に新人さんをフォローするようにするなら継続的な指導ができるのですが、担当者にまかせっきりになってしまっていたり、担当者がバラバラで訓練結果に差が出てしまう、ということもあるようです。

Off-JT

社内教育と言えばOJTでしたが、職場の外で受ける教育もあります。

それが、Off-JTです。

みなさんも聞いたことがあるでしょうか?

これは、「off-the-job training」の略です。

OJTのほかに、OJTを補完する形で実施されていたりします。

職場外での教育

Off-JTは、職場で通常行っている業務を離れて行う訓練のことを指しています。

集合研修、社外研修、講習会などがその中に含まれています。

通信教育もそうですね。

学校や職業訓練学校などで行われる教育訓練もそうです。

Off-JTによって、OJT、つまり職場内で実務を行いながら習得できるスキルや知識などでは、習得できない分野も学ぶことができます。

Off-JTによって、業界で活躍するために必要な知識を学んだり、ビジネスの基礎、原理原則などを学ぶことができます。

様々な機械などを操作する必要のある職種になると、初めから何もわからない人を現場で育成するのは難しいことですが、基礎知識をインプットされた人に、実際にその知識を応用して仕事をしてもらい指導する(OJT)ことによって、効率的に教育を施していくことができます。

それで、Off-JTは、日常の業務では学べないことについての教育を受けたり、体系的に知識を学んで、仕事を行うための土台作りをすることができます。

通常の業務を行いながらでは、なかなか体系的に学ぶことができなかったり、指導に偏りが出てしまったりすることもありますので、このOff-JTは現場の状況に左右されることなく、平等に教育訓練を受けてもらえる機会にもなります。

しかしながら、Off-JTで学んだことがすぐに実践で活用できるか、というとそうでもありません。

なので、Off-JTとOJTの両方をうまく連携させて、Off-JTで学んだことをOJTで現場で活用する、という方法によって現場でより効率的・効果的に仕事をする能力をつける、ということが必要になるでしょう。

自己啓発

OJT、社内での実際の業務を通じて指導を実施すること、そして職場の外でセミナーや研修などを受けて基礎的なスキルや考え方、技術などを身に着けるOff-JT。

この二つに加えて、もう一つ自己啓発(SD)という分野もあります。

これは、本人が自分から進んで学ぶという姿勢を支援することです。

SDS(Self Development System)という、自己啓発援助制度を導入している企業も多く、社員が自分から学び、自主的に研修に参加することを支援するために、学習スペースをつくたっり資格取得やセミナーへの参加のための奨励制度があります。

受講料の金銭的な支援などが主です。

自分自身に対する教育

自己啓発というのは、誰かに強制されて行うことではなく、その人が自ら自分自身に教育を施すことです。

自発的な意志で、通常の業務とは別の時間にスキルや知識の向上を目指して行うことになります。

日本では人材教育というと、主にOJTが挙げられます。

しかし、OJTもOff-JTも企業が企業が主導しています。

その点で、自己啓発はちょっと違います。

もちろん、企業が求める人材育成のために自己啓発を行うことができますが、それは個人的にキャリアを伸ばしたい、能力をもっと開発したい、という向上心のある人が活用できる方法でもあります。

より自立した人材を育てることができるでしょう。

企業としては、自己啓発支援として通信教育の紹介と援助を行ったり、社外セミナーやいろいろな講座を紹介し、援助することもあります。

ビジネススクールでの学習支援などもあります。

そのように、企業側が決めている教育訓練だけでなく、社員ひとり一人が自分で自らを高め、向上させる機会を増やすことにより、能力開発を促すことができます。

しかし、忙しいとなかなか続かないというデメリットもあったりしますので、自己啓発のためには、まず到達目標を明確に設定します。

そして、そこに到達するために自分が今持っているスキル、そしてゴールまでに必要なことなどを具体的に見極めます。

そのような自己分析ができたら、自己啓発の目標も立てやすいでしょう。

目標を達成するために、継続できるような現実的な行動計画を具体的に立ててみましょう。

計画的に進まないことももちろんありますので、その都度フォローアップしていきましょう。

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