眠りは私たち人間にとって必要不可欠なものです。
誰もが忙しく生活する現代において、多くの人が多かれ少なかれストレスを感じているものです。
そうしたストレスは、脳や身体を酷使することで疲れを感じ、その疲れから生じてきます。
しかし眠ることによって、脳や体を休めることができ、一日の疲れを取って次の日からまた活力を取り戻すことができます。
眠りは私たちの健康維持に非常に大切な役割を果たしているのです。
しかし私たちの睡眠時間は年々減ってきていると言われています。
特に私たち日本人は、欧米など他の国々に比べて睡眠時間がとても少ないのです。
厚生労働省によると、5人に1人は何らかの睡眠障害を抱えているという報告もあります。
睡眠時間を良く取らないとうつ病などの精神疾患に影響してしまうことにもなりますし、さまざまな生活習慣病を患ってしまう危険もあります。
ですからどんなに忙しい毎日でも睡眠を削ろうとしてはいけません、むしろ睡眠のための時間をきちんと取り分けておく必要があるのです。
ではいっぱい寝ればそれで大丈夫でしょうか。
時間だけが大切なのではありません、睡眠の質も非常に大切です。
いっぱい寝ても朝起きた時には体がだるくて仕方がない、疲れが全然取れていないという方も多いのではないでしょうか。
それは主に睡眠の質が影響しているのです。
眠いのに寝れない状態を改善しよう
でも体や脳は寝たいと感じているのに、いざ布団に入ってもなかなか寝付けない、眠れないと悩んでおられる方もいらっしゃるかもしれません。
寝たいのに眠れない、という状態はとてもつらいですよね。
どうにかしてこの状態から抜け出したいと思っておられることでしょう。
ここでは眠りに付けないいくつかの原因と、改善するために役立つ対策について考えていきたいと思います。
眠いのに寝れない4つのパターン
眠いけれど眠れない、といういわゆる”不眠症”もいくつかのタイプに分かれます。
特に女性に多いと言われる不眠症ですが、子供時代や若い時にはほとんど見られないのに、年齢が増して年を取るにつれ、不眠の症状に悩まされる人は増えていくようです。
これから不眠の症状として4つのパターンを取り上げます。
自分はどの症状に当てはまるか、チェックしてみてください。
「眠れない」ことで日中の活動への影響、たとえば眠気や集中力の低下、体がだるい、気分が沈んでいるといったような症状が見られているようなら、それは不眠症の疑いがあると見ていいでしょう。
なかなか眠りに入れない
まず不眠の症状として挙げられるのは、布団に入ってもなかなか眠れない、というパターンです。
もちろん誰でも時には眠りにつくのが遅い時はあるので、こうした症状が必ずしも不眠であるとは言い切れません。
しかしこの“なかなか眠れない”ことが慢性的に起きている人は要注意です。
特に眠れないことにより、日中ボーっとして集中力に欠けたり、活動に影響を与えているならば、それは不眠症であると言えるでしょう。
布団に入ってから30分から1時間、もしくはそれ以上眠れないことが日常化しており、それが数か月続いているようなら睡眠障害かもしれません。
しかもこの“なかなか眠りに入れない”人に多いのは、「今日も眠れないのではないか」「早く寝ないと」という焦りや不安が、余計に眠れない状態を悪化させてしまうことです。
寝ても途中で目が覚める
眠りにせっかくついたのに、夜中に何度も目が覚めてしまうことで悩まされている方もいらっしゃいます。
一度目が覚めてしまうと、再び眠りにつくまでまた時間がかかってしまうので、やはりぐっすり眠れていない状態で、日中の活動に影響を及ぼしてしまいます。
実はこの「中途覚醒」と呼ばれる不眠症状に悩む方がいちばん多いとされていて、成人の15パーセントから27パーセントの方に見られます。
早過ぎる時間に目が覚める
自分が予定していた起床時間より2時間以上も早く目が覚めてしまうことを、「早期覚醒」と言います。
特に高齢になってくると出てくる症状かもしれません。
もちろん、睡眠はどれだけ眠れば十分かは人によって異なるので、少しの時間寝てそれでスッキリして日中活動的に過ごせる方もいらっしゃいます。
しかし、本当はもっと寝ていたいのに、いったん目が覚めてしまうと再び眠れない状態が何か月も続いており、それによって日中眠くて活動に支障をきたしているようであれば改善が必要かもしれません。
寝た気がせず眠気が続く
睡眠時間は十分に取れているはずなのに、朝起きた時にだるかったり、もっと寝ていたいとスッキリ起きられない人もいます。
日中もなんだかだるい感じが続いてスッキリ活動できません。
こうした「熟眠障害」と呼ばれる症状に悩んでいる方は、寝ている間に深い睡眠状態を得られずに脳がしっかり休められていないところに原因があります。
つまり、睡眠の質に問題があるので、どんなにたくさん寝たとしても疲れは残ったまま、ということです。
深い睡眠、いわゆる「ノンレム睡眠」と呼ばれる状態が睡眠の質にはとても重要なのですが、そのカギは、眠り始めた最初の3時間が大事であると言われています。
最初の3時間で深い眠りに入れるか、これによって質の良い睡眠を得られるようになるというわけです。
眠いのに寝れないときの原因
不眠症の4つの症状は、どれか一つだけ現れる方もいると思いますし、一度に何個かの症状が出て悩んでおられる方もいらっしゃると思います。
こうした睡眠障害は、体や心に影響してくるので、早めの改善が必要になってきます。
そのためには、まず眠れない原因となっているものがもし考えられるなら、それを取り除いたり、改善しなければなりません。
眠れない原因として考えられる理由をいくつか考えてみたいと思います。
ストレス
忙しい社会の中で、ほとんどの人はストレスを感じながら生活しています。
膨大な仕事の量を抱えていたり、人間関係に悩み、それがストレスになっているかもしれません。
ストレス状態がずっと続くと不眠になりやすくなります。
それはストレス状態に置かれると、ストレスホルモンとも呼ばれている「コルチコトロピン」が分泌されるようになるからです。
これにより睡眠が抑制されてしまい、眠れない状態へと陥ってしまうのです。
さらにストレスは深い睡眠を妨げてしまう事にもなり、その結果眠れないだけでなく眠りの質も低下させ、どんなに寝ても寝ても眠気が無くならない、という状態が続くようになります。
眠れない原因の大半は、ストレスによるとも言われ、自分でも気づかないうちに何らかの不安や緊張状態、考え事によって眠れなくなってしまいます。
眠れないということは脳も体も休まらないので、ストレスも緩和されませんし、そうした状態があまりに続いてしまうと、うつ状態へと発展してしまいかねなくなるので注意が大切です。
生活リズムの乱れ
私たち人間の体は、朝目覚めて、昼の間活動し、夜は眠るというリズムになるように作られています。
それで、朝起きて太陽の光を浴びるのはとても大切です。
それにより体内時計のリズムが正常に働くようになるからです。
さらに、日中しっかり体を動かして活動することで、「セロトニン」や「メラトニン」と呼ばれる睡眠に欠かせない神経物質が作り出される事にもなるので、生活リズムをしっかり整えることはとても大切です。
しかし現代においては、生活リズムを整えることが難しい人も多くなってきています。
たとえば、仕事内容が夜昼逆の人もいるでしょう。
夜の間仕事をし、日中眠らないといけないので太陽の光を浴びない生活リズムになってしまうのです。
他にも夜更かしをしたりして、毎日同じ時間に布団に入り朝起きるというリズムを崩したり、日中にたくさん昼寝しすぎて夜眠くない、といったように生活リズムが乱れると、それが寝たい時に眠れないことにつながっていくようになるのです。
運動不足
運動することは睡眠にとても大切であると言われています。
身体をきちんと日中動かさないと、体が疲れを感じていないので夜なかなか眠れなかったり、夜中に何度も目が覚めて眠りが浅くなってしまうかもしれません。
現代人は約7割の人は運動が不足していると言われています。
便利な社会になり、歩く機会もどんどん減ってきています。
通勤も車や電車で移動しますし、会社でもデパートでも、どこでもエスカレーターやエレベーターがあるのでほとんど身体を動かす機会がないのです。
こうした身体を動かす機会が減ってきているのとは対照的に、ストレスを抱える事情はますます増えているので、脳だけが疲れ切っている人が増えています。
身体は疲れを感じていないけれど、脳は疲へいしている…このバランスの悪い状態がさらに眠れない原因となっていると言われているのです。
忙しい毎日の中で運動する時間を取り入れるのはなかなか難しいとは思いますが、ひと駅前で降りて少し歩くようにしたり、エレベーターやエスカレーターではなく階段を使う意識を持ってみることで、少しでも身体を動かす機会を増やすようにしてみましょう。
食事の取り方
食事をした後は眠くなる、という方は多いのではないでしょうか。
それは胃の消化や吸収を促す副交感神経が働くためであると言われています。
では夜眠れないことで悩んでいる方は、夕食を摂ってすぐに寝るようにすれば良い、という事なんでしょうか。
食事をして胃の中に入った食べ物は、2時間から3時間かけて消化されていきます。
もし食べてすぐに寝てしまうと、胃腸は消化のために活発に動いていますから、睡眠の始めに必要な深い眠りが妨げられる事になってしまいます。
つまり、たとえ眠りにつく事ができたとしても、質の良い睡眠は得られないどころか、逆に悪化してしまう事にもなりかねません。
夕食の時間は、自分が寝ようと思っている3時間前には済ませておくなら安眠効果を得られる、と言えるでしょう。
寝る前の行動
よりスムーズに安眠状態に入れるかは、寝る前にどんな行動を取るか、時間をどのように過ごすか、が非常に重要なカギとなります。
脳や身体をいかに休めてリラックスさせるかが大切なのです。
たとえば寝る前に必ずすることとして、お風呂に入るかもしれません。
入浴は寝つきを良くするのにとても大切にしたい時間ですが、入浴の仕方も重要です。
熱いお風呂に入ると疲れが取れる気がする、という方もいらっしゃるかもしれませんが、高い温度は逆に交感神経を刺激してしまいます。
40℃前後のぬるめの温度設定にし、20分ほどの時間をかけてゆっくり浸かる事が大切です。
また、お風呂に入って2時間以上経ってから就寝するように心がける事も大切です。
睡眠障害
寝たいのに眠れない原因として、睡眠に関わる病気を患っているという場合があります。
「睡眠障害」と呼ばれるそうした病気にもさまざまな種類があり、症状もそれぞれ異なります。
ここでは「睡眠障害」に分類されている主な症状をそれぞれ取り上げていきたいと思います。
「不眠症」「過眠症」「睡眠時無呼吸症候群」「精神疾患による不眠」そしてその他考えられる病気です。
不眠症
日本人では5人に1人は不眠症の症状に悩まされていると言われています。
不眠症は先ほど取り上げた4つのタイプに分類され、一つだけが症状として表れる場合もありますし、一度に複数の症状を抱える場合もあります。
不眠症になってしまう原因はさまざまです。
加齢に伴って症状は顕著に表れるようになりますし、気温や騒音、光など環境に要因する場合もあります。
さらには悩みや緊張からくる精神的ストレスが関係してくることもあれば、個人の生活習慣が関係することもあります。
過眠症
過眠症は、不眠とは違って夜たくさん寝ているにも関わらず、日中も眠気やだるさが取れずに集中力に欠けたり、ミスが増えたりなど、生活に影響を与えてしまう状態を言います。
寝ているのになんで?とあまりこの辛さを理解してもらえない病気でもあります。
過眠症はほとんどの場合、10代から20代の人に多く発症すると言われています。
日中大事な場面で耐えられないほどの眠気が襲ってきて居眠りをしてしまったり、脱力感を感じてしまうという症状に表れます。
いっぱい寝れるのだからいいのでは?と思われるかもしれませんが、寝すぎて生活リズムが崩れると心身に影響を及ぼし、生活習慣病やうつ病などを引き起こす危険もあるので注意が必要です。
睡眠時無呼吸症候群
夜寝ている間に無意識のうちに何度も呼吸が止まってしまう病気です。
主に中年男性に多い病気とされています。
1時間のうちに5回以上呼吸が止まっていたり、正常に呼吸が行なわれていない場合は睡眠時無呼吸症候群の疑いがあります。
呼吸が何度も止まるという事はそれだけ体内の酸素が減るという事になり、その状態を補おうとして心臓などの身体や脳に負担がかかるようになってしまいます。
脳や身体がきちんと休まっていませんから、やはり日中の活動に影響し、異常なほどの眠気やだるさ、集中力の低下を引き起こしてしまうのです。
特に肥満傾向のある人はなりやすいので気を付けましょう。
精神疾患からくる不眠
睡眠は心の休息にとても大切な役割を担っています。
不眠で心が休まらない状態が続くと、うつ病や神経症、統合失調症といった精神疾患になりかねません。
その逆も言えて、うつ病などの精神疾患を患っている人は不眠症を引き起こしやすい、と言われています。
なぜならうつ病になると、睡眠に欠かせない二つの物質、「セロトニン」と「メラトニン」が減少してしまうからです。
脳に伝達される神経物質が減少したり、乱れると、快適な睡眠を得ることができなくなってしまいます。
さらに神経質になりすぎて、「今日もまた寝られないんじゃないか」「早く寝ないと明日に影響する」という焦りや不安な気持ちが、さらに不眠症状を悪化させてしまう事になってしまうのです。
その他の病気
上記以外でも睡眠障害と関わりのある病気がいくつかあります。
たとえば「ムズムズ脚症候群」と呼ばれる症状で、寝ようとすると脚が何とも言えないムズムズした不快な感覚に襲われて、なかなか眠りにつけなかったり、夜中に何度も目が覚めてしまう病気です。
脚を動かすことで症状は収まるのですが、じっとしているとまた気持ちの悪い感覚に悩まされて寝付けないので、また脚を動かしてしまう悪循環で眠れません。
他に挙げられる病気として、「周期性四肢運動障害」と呼ばれるものがあります。
自分の意思とは関係なく手足がビクッと動いて、それが何回も繰り返されることで何度も目が覚めてしまい、質の良い眠りにつく事ができなくなってしまうのです。
他にも「夢遊病」と呼ばれる、無意識のうちに歩き回ったりする行動や、「レム睡眠行動障害」といって、大声で寝言を言ったり、身体を揺さぶって動かすといった症状の病気もあります。
いずれにしても睡眠に大きく影響するほど悩まされているようでしたら、適切な治療を受けるのが良いでしょう。
眠いのに寝れないときの6個の対策
いくつか眠れない原因について取り上げてきましたが、今度は寝れない時の対策方法も考えていきたいと思います。
自分に当てはまるところ、今すぐに改善できそうな分野がないか考えてみて、少しでも快適な眠りにつけるように実践して取り組んでみましょう。
1.ストレスを解消する
仕事や人間関係でどんどんストレスがたまっていくと、疲れを感じているのに眠れない状態が続くようになってしまいます。
本当はぐっすり眠ることで、脳や身体を休ませて次の日にストレスを持ち込まないようにしたいわけですが、眠れないとストレスは無くなっていきません。
それで、就寝までにストレスを上手に解消する術を身に着けておくことは大切といえます。
自分の好きなこと、趣味を楽しむ時間を作るのも良いでしょう。
リラックスできる音楽を聴いたり、読書を楽しんだりするのも良いかもしれません。
さらに運動をして身体を疲れさせることで、ストレスを解消できるという方もいます。
ストレスをため込まないように、感動するテレビや映画を観ていっぱい泣くことも、よい解消方法でしょう。
自宅のお風呂でもいいですし、近くの温泉に行って身体を温めて緊張をほぐすこともできます。
また、やるべき事、不安なことがたくさんあり過ぎてストレスになっているなら、紙に書き出してみたり、信頼できる家族や友人に話すことで自分の内にため込まないのも良い方法と言えるでしょう。
2.寝る前のNGをやらない
寝る前にどんな行動を取るか、どのように時間を過ごすかが安眠のカギであるとお話ししましたね。
交感神経の働きを鎮め、副交感神経をより働かせて、脳や身体をとにかくリラックスさせることが重要なカギになってきます。
そのために寝る前にしてはいけないNG行動がいくつかあります。
少しでも見直せる習慣がないか、ぜひチェックなさってみてください。
スマホやPCの画面
今はスマホやタブレット、パソコンで全ての情報が得られる時代ですから、暇さえあればスマホなどを触っている方はきっと多い事と思います。
仕事でもパソコンやタブレットを使用せざるを得ない方もいらっしゃることでしょう。
あるインターネット調査によると、寝る直前までスマホやタブレットを使用している人はなんと3割以上にも及ぶそうで、それによって不眠症状が出ていると答えた人はなんと7割近くにもなったそうです。
スマホやタブレット、パソコンからは「ブルーライト」と呼ばれる光が発生しており、この光が私たちの体内リズムに悪影響を与えています。
このブルーライトは目を酷使してしまいますし、脳がすっかり冴えてしまう要因にもなります。
さらに、スマホやパソコンなどを見ている時の姿勢についても考えてみると、首を傾けて使用することが多いですよね。
現代病とも言われる、いわゆる「スマホ首」と呼ばれる姿勢は、体型のゆがみや血流障害といった影響を及ぼします。
こうした症状がさらに不眠症状を悪化させているのです。
就寝の1時間以上前にはスマホやパソコン等を使用するのは控えるようにしましょう。
また、最近ではブルーライトカットメガネや、スマホにつけるフィルムも販売されています。
そうしたアイテムを積極的に活用するようにしていきましょう。
カフェイン
コーヒーや紅茶などに含まれるカフェインには、眠りを妨げてしまう成分が含まれています。
カフェインを摂取すると、活動している時に必要な中枢神経が活発化して、体や脳が目覚めてしまうのです。
そうなると、体は疲れていて休みたいのに、無理やり脳が指令を受けて目覚めさせようという状態になります。
また、カフェインには利尿作用もありますよね。
寝る前に飲んでしまったら夜中に何度もトイレで目が覚めて、結果眠りが浅くなってしまうかもしれません。
カフェインを摂取してもきちんと眠れるから大丈夫!という人でも、質の良い眠りという点では良い効果を得られずに、次の日の活動に影響する場合もあるので、寝る前のカフェインの摂取はやめましょう。
最近ではカフェインレスコーヒーや、ノンカフェのお茶もたくさん出ていますから、どうしてもリラックス効果を得たい方はカフェインレスがおすすめですよ◎
食事をする
夕食は少なくとも就寝の3時間前には終わらせておくのが睡眠効果には良い、と先ほど取り上げました。
さらに考えていきたいのは、どんな食事が睡眠効果に役立つか、という点です。
睡眠に関係する「メラトニン」という物質の分泌は、どんな食事を摂取するかによっても変化してきます。
メラトニンは、肉や魚、大豆といったタンパク質に多く含まれる「トリプトファン」や、鉄分やビタミンB6が多く含まれる緑野菜などを積極的に取り入れることで分泌が促されていきます。
逆に消化されにくい食べ物ばかり摂ると、寝ている間にも胃腸が活発に動いてしまい、眠りの効果を妨げかねませんし、刺激の強い辛い食べ物も、交感神経を興奮させてしまうので、寝る前に食べるのはやめましょう。
アルコール
寝る前に晩酌を楽しんでから就寝される習慣がある方も多いかもしれません。
お酒を飲むと眠りにつきやすいと感じられる方もいらっしゃるでしょう。
しかしアルコールが肝臓の中で分解されると、「アセトアルデヒド」と呼ばれる物質が発生するようになり、この物質が交感神経を活発化させてしまうようになります。
つまり、たとえ眠れたとしても睡眠の質に問題が生じてしまう、ということです。
またアルコールには利尿作用もありますから、夜中に何度もトイレで目が覚めて、それが寝つきを悪くしてしまう原因にもなりかねません。
もちろん一日の終わりに、リラックスのための晩酌の時間を楽しみにしている方もいらっしゃることでしょう。
少しのアルコールは心地よい眠りに誘う効果があることも確かです。
でも眠れないからアルコールに頼る、という意識でいると、だんだん深酒にハマっていってアルコールに依存したり、さらに睡眠障害を悪化させてしまう事にもなるので、寝る前にお酒を飲む場合でも量には気を付けるようにしたいものですね。
激しい運動
先ほど、適度に毎日運動して、身体を動かすことを意識することが安眠に大切であることをお伝えしましたが、注意しておきたいのは、寝る直前に激しい運動をして身体を疲れさせれば眠れるわけではない、ということです。
逆に寝る直前の激しい運動は、脳を興奮させて目覚めさせてしまう事になってしまいます。
かえって眠れない状態を作り出してしまいますから、食事と同じで、寝る3時間前には運動は終わらせておくように心がけましょう。
考え事
布団に入ると、色々と考え事をしちゃうという方も結構多いと思います。
「今日なんであんなこと言っちゃったんだろう、しちゃったんだろう」とか、これから先に待ち受けている心配事や不安な事についてあれこれと思い悩んでしまうのです。
あれこれと考えてしまうという状態は、脳が動いているのでまったく休まりませんし、寝ている時の考え事ってたいてい、ポジティブな考えには至らないことが多いですよね。
逆に精神的にストレスを抱え込んじゃうだけなのでマイナス思考に陥りやすいです。
どうしても考え事が無くならない、やめられなくて眠れない場合には一度起きて、何か気分が変わることをして、リラックス状態を作ってからまた寝るようにした方が良いでしょう。
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3.心地の良い寝具を使う
どんな布団やマットレスや枕を使用しているかは、安眠効果と密接な関係があります。
日中多くの人が身体に負担をかける動きをし、知らずのうちに体型や姿勢にゆがみが生じてしまっています。
そうした姿勢や体型のゆがみによる体の疲れを寝ている間に改善するわけですが、寝具が柔らかすぎたり逆に硬すぎたり、枕が低すぎるもしくは高すぎて、自分の身体に合ったものを使っていないと、背中や腰のゆがみはさらにひどくなって、慢性的な肩こりや腰痛を引き起こすようになってしまいます。
肩こりや腰痛で夜眠れなくなってしまうと悪循環に陥ってしまいかねません。
自分の体型に合った寝具を選ぶようにしましょう。
最近では「不眠の予防や改善に役立つ寝具」も次々に販売されています。
睡眠の環境を整える、という意味でも寝具を見直してみるのはいかがでしょうか。
4.耳栓やアイマスクをする
ちょっとした物音や光が気になって眠れない、という方は、アイマスクや耳栓をするのが良い方法かもしれません。
アイマスクはちょっとした光もしっかり遮断してくれます。
部屋の電気を真っ暗にして寝ていても、カーテンからちょっと漏れて入ってくる月の光や街灯、充電器や電話のわずかな光が睡眠に影響することもあるので、明かりが気になる方にはぜひおすすめしたいと思います。
寝ている間の静かな環境の時は、余計に周りの物音が気になってしまう事がありますよね。
隣の家や上下に住む人の生活音、時計の秒針音や車や電車が通る音など、夜であっても音は完全には無くなりません。
耳栓をすることでそうした気になる音を遮断できるので、音で眠れない方に効果があるかもしれません。
それぞれ、自分の安眠に効果があるか、試してみると良いでしょう。
5.リラックスできる音楽を聴く
最近、睡眠導入に役立つ癒しの音楽がたいへん人気です。
特に、アルファー波を引き出してくれるヒーリングミュージックはリラックス効果があり、快適な睡眠状態になれると言われています。
脳内をリラックスさせてくれるアルファー波は、眠気を促してくれるので自然と眠りにつくことができます。
寝る前に聴く音楽としておすすめしたいのは、テンポがゆったりとした雰囲気のものであったり、クラシック音楽のように曲調が一定になっているもの、さらには「エフ分の一ゆらぎ」と呼ばれるリズムが含まれた自然音、たとえば海の波音や川のせせらぎ、小鳥のさえずりや緑の木々がそよぐ音が含まれているものです。
心地よい眠りへと導いてくれるに違いありません。
6.アロマを活用する
天然のエッセンシャルオイルに含まれる香りの中には、交感神経と副交感神経の二つのバランスを整えてくれる効果を発揮するオイルがたくさんあります。
香りをかぐことで、そうした自律神経に良い作用を及ぼし、脳や身体をリラックスした状態へと促してくれるのです。
睡眠効果を期待できるアロマオイルの種類には、ラベンダー、ゼラニウム、イランイラン、ネロリ、ベルガモットなどが代表的なものとして挙げられます。
オイルをコットンなどにちょっと垂らして、枕元に置いて寝てみるなど、香りでも睡眠環境を整える工夫をしてみましょう。