ワーキングプアについて知らない方はいないでしょう。
現代の日本では社会問題となっていることの一つだからです。
ワーキングプアと呼ばれてしまう人の場合には、どのような特徴を持っているのでしょうか。
また、ここから抜け出すことはできるのでしょうか。
ワーキングプアの特殊なタイプである高学歴ワーキングプアも含めて、ワーキングプアの問題について詳しくご紹介します。
️ワーキングプアとは
日本で社会問題になっているワーキングプアですが、これはそもそもどのようなものなのでしょうか。
ワーキングプアという人がいることは聞いたことがあっても、実際にどのような人々であるのかということに関しては、あまり分かっていないということも多いのではないでしょうか。
ここでは、今現在問題になることが多いワーキングプアの問題について見てみることにしましょう。
貧困線以下で労働する人々
ワーキングプアの定義は貧困線以下で労働している人々のことです。
世界には、貧困線という、ある種の基準のようなものがあり、これ以下になってしまうと働いても働いても貧乏な状態から抜け出すことができないということになるのです。
ワーキングプアの人の場合には、自分の生活を維持するのが精いっぱいの状態だと考えてください。
世界的な基準で言うと、1日に自分の楽しみのために使うことができるお金が1ドル以下というのが貧困線のようですね。
正社員と同じように働いても貧困から抜け出せない
ワーキングプアの場合には、働かずに貧困になってしまっているのとは話が違います。
正社員と同じように働いていても、貧困から抜け出せない状態になっている人のことが多いのです。
非正規雇用をされている人々もいますし、中には正規雇用でありながら貧困にあえいでいるという人もいるのではないでしょうか。
働く貧困層と訳される
ワーキングプアの人々は、働く貧困層と訳されることもあります。
働かずに怠けていて苦しんでいるわけではなく、働いているのに貧困が苦しいということは、未来が見えない絶望状態になってしまうということでもありますね。
生活と仕事でいっぱいの状態になってしまい、なかなかその状態から逃れることができないのです。
働く貧困層の場合には、自分ではもうどうしようもない状態になってしまっているということもあります。
ワープアと呼ばれることもある
ワーキングプアの人々はワープアと略されて呼ばれることもあります。
単純に呼びやすいからと思う方もいるかもしれません。
確かにそれはそうなのですが、それよりもさらに怖いのは、略されるほどに現代の生活の中には根差してしまっているということなのではないでしょうか。
ワープアと略されるほどにこの現代の生活の中では当たり前の存在になっているということなのです。
これは怖いですね。
それほどまでに受け入れられているほど、そういった存在が社会の中に当たり前にいるというのは怖いですよね。
いつ自分がそのような状態になってもおかしくないということです。
だいたい年収200万円以下
ワーキングプアの人々は大体は年収200万円以下ということが多いようです。
月収で言うと17万円ほどということになります。
これは手取りではないので、ここからさらに光熱費や税金などが引かれていくということです。
また、年金の支払いなどもありますから、年収200万では自分の生活を維持するのが精いっぱいで、将来のことなど考える余裕がないということがよく分かるのではないでしょうか。
️ワーキングプアと言われる人の11の特徴
ワーキングプアと言われる人の11個の特徴を見てみることにしましょう。
定義が分かっても、実際にどのような人がワーキングプアになっているのかが分からなければ、何となく実感として掴むことができないかもできません。
ワーキングプアになっている人々にはどのような特徴があるものなのでしょうか。
部屋が汚い
ワーキングプアの状態になってしまうと、少しでも多く稼ぐために、できる限り仕事をしている時間を長くするということが珍しくありません。
そのために、自分の部屋を整える余裕や時間もなく、部屋が汚くなってしまうのです。
部屋はその人の心理的な状態を表しているとも言えますが、まさにワーキングプアの状態になっている人は、修羅場状態になっている毎日の心情が部屋に表れてしまっているのではないでしょうか。
喫煙者
ワーキングプアで苦しんでいる人が、意外と喫煙者というのもあるようですね。
喫煙の習慣が抜けずに、その分の支出が苦しくなってしまっていることもあるでしょう。
ワーキングプアの状態で、なかなか趣味を楽しむこともできないので、楽しくもないのに喫煙に頼ってしまっているということもあるかもしれません。
楽しくもない人生なので、少しは自分の人生を楽しむためだと言い訳をして喫煙をしているということは大いにあるでしょう。
支出が多い
支出が単純に多いためにワーキングプアになっているという人もいますね。
どれだけ稼いでも自分の死守に見合うような経済力がつかないので、それでいつまでも貯金ができないというケースです。
支出が多いというのにはいくつかの理由が考えられますが、主に金銭感覚がだらしないということが多いのではないでしょうか。
もしくは、何かの原因で支出が大きくなってしまっていることも考えられますね。
保険や税金などでの支出が多いことも原因かもしれません。
もしくは、学生時代の奨励金の借金返済などが原因のこともあります。
親や友人の借金を肩代わりしなければいけないことも原因になっているかもしれません。
だらしないだけなら支出を減らせばよいのですが、簡単に減らすことができない支出に悩んでいる人もいるでしょう。
頼れる人がいない
ワーキングプアになって締まっている人々の多くは、頼れる人がいない状態にあると言われています。
少しの間頼ることができれば、そこから抜け出すことができる可能性もありますよね。
ですが、それができないために、とにかく自分の生活を作るために職を選ばずに就いたらワーキングプアになってしまったということがあるでしょう。
頼りにすることができる人がいないので、相談することもできずに、そのまま底なし沼のような生活になってしまうのです。
もちろん、支援団体などに頼ることもできますが、そもそも頼れる人がいない場合には情報不足になってしまっている可能性が高いので、なかなかそういったものに頼ることもできないでしょう。
病んでいる
精神的に病んでしまっている人は、最終的にワーキングプアになっている可能性があります。
学生時代から病んでしまっていれば、取り敢えず条件の緩いところに就職をしようとしてワーキングプアになるのです。
また、一流企業と呼ばれるところに務めたとしても、その職場の人間関係や職務によって病んでしまい、それが原因で職をやめて、病んでしまったという人もいるでしょう。
そこから再就職先が見つからずにワーキングプアになるということもあるのです。
精神的に揺らいでしまっている人への理解も少ない社会ですから、そういった人々がワーキングプアにならずに過ごすというのも大変なのかもしれません。
さらに、頼れる人がいなければ、ワーキングプアへと直結してしまってもおかしくはないですね。
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否定的
自分に対して否定的な人も、上を狙うことができないのでワーキングプアになる可能性があります。
高いところを目指すことができない心境に至ってしまうので、結果的に低いところに行ってワーキングプアになってしまうのです。
自分を認めてあげることができなければ、どんどんと落ち込んで行ってしまうばかりです。
働く気力がないわけではないので、ただのニートになるわけではなく、ワーキングプアになってしまうのです。
母子家庭
母子家庭に育った人の場合にも、そうしたワーキングプアになる可能性が高くあります。
育ててくれた母親が良い人なら良いですが、貧困家庭に育って、そのまま自分も貧困を受け継いでしまうということがあるのです。
貧困から抜け出して自立しようとして失敗してしまったというパターンです。
まして、母親が毒親だった場合には、その傾向が高くなってしまうのではないでしょうか。
もちろん、全ての母親がそうであるとは限りませんが、その可能性が高くあるということは確かでしょう。
母親がマトモであるのか、母親の経済力がどれくらいのあるのかということに掛かっているのではないでしょうか。
苦労人
主に苦労人の人はワーキングプアになってしまう確率が高いでしょう。
いろいろな事情があって、ワーキングプアになるしか生きていく道がなかったという人もいるのではないでしょうか。
例えば、親との折り合いが悪かった人や毒親を持っている人などは、人生に苦労しているでしょうし自分の学歴を高めて良いところを目指すよりも、先に自分一人で生活していくことを目指して職に就くので、そこからワーキングプアになってしまうのです。
このほかにも、苦労人と呼ばれる人には色々な人がいるでしょう。
自分を犠牲にして家族に尽くしてきたという人もいるかもしれません。
こうした人々の場合にも、良い職業に就くだけの履歴を持っていないので、なかなか良い職に就くことができません。
️高学歴ワーキングプアと呼ばれる人たち
かつて高学歴は、高収入には必要な要素の一つでしたし、高学歴であれば高収入の職業に付けるということが分かっていました。
そのために学歴社会ができた面もありますよね。
ですが、学歴社会が消えていないのに対して、「高学歴=高収入」の構図は消えかかってしまっています。
今の時代は高学歴でもワーキングプアになってしまうのです。
それでは、この高学歴ワーキングプアという、少し特殊なワーキングプアについて見てみることにしましょう。
高学歴ワーキングプアとは
高学歴ワーキングプアとはその名の通り、高学歴であるがゆえにワーキングプアになってしまっている人たちのことです。
就職市場の中では、高学歴であるというのは高ポイントの条件ですよね。
ですが、実は、その瞬間を逃してしまうと、高学歴の人々は、普通の人々よりもずっとワーキングプアになりやすくなってしまうのです。
例えば、夢を追いかけて大学院に行ってしまえば、そこから安定した職業に就くのは難しくなってしまいます。
大学院を出て研究員になることができれば良いですが、それもできなければ、就職先がない無職の状態になります。
新卒よりもずっと年齢が上で、さらには高学歴すぎて中小企業が雇うのに躊躇するような人間になってしまうのです。
アルバイトをするにしても、高学歴な人が来ると、店が嫌がって雇ってくれなくなります。
そのような状態になってしまうと、高学歴ワーキングプアの出来上がりです。
さらには大学時代の奨学金などを抱えていると、職がない、借金があるの二重苦になりますよね。
高学歴ワーキングプアの特徴
それでは、高学歴ワーキングプアにはどのような特徴があるのでしょうか。
高学歴でワーキングプアになってしまう人の特徴について詳しく見てみることにしましょう。
目標がない
高学歴でワーキングプアになってしまう人の特徴の一つ目としては、目標がないということなのではないでしょうか。
目標がなく、これがしたいと思っているわけでもないので、何かを熱心に追いかけることができないのです。
その状態で追いかけてきたものを諦めて就職しようと思っても、どの方向にも中途半端で使いにくい人間になってしまうでしょう。
目標をしっかり持っている人間なら、イバラの道であろうと、そこを極めようとするものですよね。
それを極めようとせずに、辛いと思ったらドロップアウトするのを繰り返しているうちに、いつの間にか高学歴ワーキングプアと呼ばれる人間になってしまったということはあるようです。
向上心がない
高学歴で向上心がないというのは不思議だと感じる方もいるかもしれませんが、これはそう珍しいことではありません。
高学歴な人は、それなりに器用にこなして着たたために、何の苦労もせずにそのまま高学歴になったということもあるのです。
そういった人々は向上心がなく、そのために就職活動に対しても同じような意識でいてしまうのです。
熱心な学生を取りたいと思っている企業にとっては、このような人間はできる限り避けたいものですよね。
向上心がなく、自分がどうしてよいのかも分かっていない人間の場合には、高学歴ワーキングプアになる方が楽かもしれません。
将来のビジョンがない
高学歴ワーキングプアになってしまう人の中には、将来のビジョンがないという人も珍しくありません。
取り敢えず高学歴を手に入れるために頑張ってきたものの、それからどうしてよいのか分からなくなってしまったというパターンですね。
この状態では、将来のビジョンがないまま曖昧に生活しているうちに、いつの間にか旬を過ぎてしまったということが大きいでしょう。
そのままどうしてよいか分からないままに適当に大学院に行き、さらにどうしてよいか分からない状態のままにワーキングプアになってしまうのです。
危機感がない
高学歴ワーキングプアの場合には、高学歴であるがゆえに、「何とかなるだろう」という楽観的な姿勢を持ってしまっている可能性があります。
何とかなるだろうと思っている限りでは、何ともならない社会に生きているのが現代の特徴なのです。
あまりに危機感がなさすぎるので、やばいと思ったときには既に遅く、高学歴ワーキングプアになってしまっているのです。
危機感がないような状態では、なかなか就職活動に精も出ないでしょう。
時すでに遅しをまさに自分の身体で味わったことで、高学歴ワーキングプアになっている人は少なくありません。
なまじ、高学歴であるということが落とし穴になってしまったようなタイプですね。
過保護に育つ
高学歴ワーキングプアの場合には、過保護に育ってきたという特徴があるかもしれません。
取り敢えず、何があっても親が助けてくれるという風に考えてしまうのです。
親の保護の元に今まで暮らしてきたので、そこから抜け出すための方法が分からないというものです。
過保護に育ってしまった人間は扱いにくく、楽観的なために、社会の中で自分の意思や目標が曖昧なままに生きていくことになります。
苦しいことからも逃げ出したいという気持ちが大きいために、大事な局面で抜け出してしまって、高学歴ワーキングプアができてしまうということもあるでしょう。
️ワーキングプアの抜け出し方
ワーキングプアは、一度そうなってしまうと、なかなか抜け出すことができないと言われています。
それは確かに当たり前かもしれません。
そもそもワーキングプアというのは生きていくのが精いっぱいな状態ですから、そこから抜け出すための余分なエネルギーは残されていないのが事実でしょう。
ですが、その状態が長引いてしまうと、さらに辛い状態になってしまうことは間違いありません。
ワーキングプアから抜け出す覚悟ができたのなら、すぐに行動をしてみた方が良いでしょう。
抜け出すための方法のいくつかをご紹介しますので、これらをまず始めてみてください。
自己分析を念入りにする
ワーキングプアから抜け出すためには、転職活動は必須になってしまいますよね。
転職をする際に絶対に必要なのは、自分のことを理解しておくということです。
自分はどのような人間であるのか、自分の強みはどのようなところにあるのかを考えてみましょう。
ワーキングプアで苦しんでいるときには、あまりポジティブにはなれないというのが本当のところでしょう。
ポジティブに自分の良さを見つけることなどできるはずがないと思っているかもしれません。
ですが、自分でも良いと思っていないところを、人に良いと認めさせることなどできるはずがありません。
転職をする上で、自分がどのようなことを強みにできるのか、また逆に、どのようなところが弱みになるのかということは、しっかりと分析しておく必要がありますね。
自己分析は紙に書く方法などがありますから、取り敢えずはそこから始めてみましょう。
目標を立てる
目標を立てるというのも良いかもしれません。
しっかりと目標を立てて生活をすることで、取り敢えず目の前にあるものを消費していく生活からは逃れることができるでしょう。
ワーキングプアの状態の時には、とにかく、目の前の今に必死になってしまっています。
ちょっと先のことなど考えられる状態にないかもしれません。
この状態では、転職活動などできるような余裕もないですよね。
とにかく、余裕がなければ自分の生活は変わりません。
その余裕を作り出すための目標を立ててください。
そして、今のためではなく、未来のために動けるような精神状態を作るのです。
スケジュールを立てる
目標を立てて未来を見据えた後には、スケジュールを立てて具体的な日程を決めましょう。
転職活動をするためには時間も必要ですから、今しなければいけないことを効率よく終わらせる必要があります。
しっかりと自分のスケジュールを把握して、できることとできないことを分けていきましょう。
もちろん、目の前の生活が大切なことには変わりがありませんから、生活を優先しなければいけないところを疎かにしてはいけません。
その上で、自分は、例えば一か月の間にどれくらいのことができるのか、どのようなスケジュールで動くことができるのかということを考えてみましょう。
向上心を持って行動する
ワーキングプアに陥ってしまっている人の場合には、向上心を失ってしまっている可能性が大きいですね。
ワーキングプアの状態に陥っていると、自分の生活を維持するだけで精いっぱいです。
この状態で、上を見ろと言っても、取り敢えずは「今」を見ないと死んでしまうのです。
こんな考えになってしまうと、転職活動への道も開けないでしょう。
まずは向上心を取り戻すことです。
絶対に今の生活より良いものを手に入れようという気持ちにならなければ、転職活動もうまくいきません。
向上心を持つことは、生活が厳しい中では難しいかもしれません。
ですが、「取り敢えずこんな生活よりずっと良い生活をしたい!」という強いモチベーションがあれば、だいぶ、その熱意が色々な物事を変えてくれるのではないでしょうか。
相談窓口や支援団体に相談
ここまでは自分だけでできそうなことを紹介しましたが、そう簡単にワーキングプアを抜け出すことができるのなら、誰も苦しんではいませんよね。
ワーキングプアから抜け出せない理由の一端は、確かに、あまりの疲労に抜け出すためのやる気を出すエネルギーが惜しい状態になってしまっているというところです。
ですが、上述の方法でやる気を出すことができ、ワーキングプアから抜け出すための地盤ができたのなら、次には相談窓口や支援団体に相談してみましょう。
現在のワーキングプアは社会問題となっていますから、色々な相談窓口があります。
支援してくれるような団体もありますので、これらに相談することで自分一人ではつかめなかった抜け出すための糸口を探し出すことができるのではないでしょうか。
ワーキングプアから抜け出すのは自分一人では難しいものです。
自分でできるのは意識改革や転職活動だけでしょう。
それでも、それが必ずしもうまくいくわけではないので、そう言ったときにはほかの人の力を頼ってみるというのも良い方法です。
「自分なんかが」と思っている人は、まずは相談だけでもしてみましょう。
思ったよりも自分が深刻な状態にあり、助けの手を差し伸べてくれる人を頼らなければいけないということに気づくかもしれませんよ。
ワーキングプアは自分だけが悪いのか?
ここまで、ワーキングプアの特徴や抜け出し方などをご紹介してきました。
確かに、ダメな特徴を全てなくしてしまった人は、どんな社会の中でもワーキングプアにならずに生きていくことができるに違いありません。
しっかりとした目標を持って、しっかりとしたスケジュールを立てて、志高く就職活動を行い、自堕落で浪費が多い生活をやめることにすれば、そもそもワーキングプアにならないかもしれません。
ですが、ワーキングプアになってしまうのは、自分の生活や自分の性格だけが原因だと言えるのでしょうか。
これはあまりにも個人の素質に原因をかぶせすぎているように思えて、それはそれで危険ですね。
確かに、一部のワーキングプアの中には、自堕落な生活をしているものもいれば、金銭感覚がないものもいるでしょう。
また、自分の素質が明らかに自分の正社員雇用や、ワーキングプアからの脱出を阻んでいるように思えるかもしれません。
そういった人々がいることは事実ですし、自分の素質が足りないことがワーキングプアになってしまうことの一因になっているのは間違いがないでしょう。
ただし、これは個人に全てを投げかけており、社会的な問題を何も見ていません。
社会問題になっているということは、ワーキングプアで苦しんでいる人がたくさんいるということになりますよね。
一方で、ワーキングプアが問題になる前、多くの人が働きさえすれば豊かに暮らしていくことができた時代に、今、ワーキングプアで苦しんでいる人のような素質を持った人間がいなかったと言ことになるのでしょうか。
それは違いますよね。
どんなに豊かな時代であったとしても、やはり、今のワーキングプア層のような素質を持った人はいたはずなのです。
現代にワーキングプアの人が増えたのは、人が変わってしまったからではなく、社会が変わってしまったからです。
社会の構造に問題があるということを忘れて、全ての原因をひとの素質だけにフォーカスしてしまってはいけません。
何度も言いますが、確かに、そんな社会の変化の中でも成功する人は成功するのです。
必ずしも、個人の素質の関与がゼロだというわけではありません。
社会の変化によってはじき出される弱い人々に、問題がなかったわけではないと思います。
どんな時代でも生き残ることができる人がいるのは事実なのです。
ですが、全ての問題を個人の素質の所為だと思い、全ての責任をそこに負わせてしまうと、タダでもワーキングプアで苦しんでいる人を追い詰めるようなことになってしまうでしょう。
本人はしっかりと自分のダメなところを自覚する必要がありますが、ワーキングプア層を見守っていかなければいけない世代が、必要以上に厳しい目線で彼らを見る必要はありません。
「俺らの時代と比べてダメな奴が増えた」というような発言は間違いです。
自分が自分の人生をどう自覚するか、ワーキングプアを抜け出すため二度変わらなければいけないのか、という問いは、ワーキングプアを抜け出そうと思っている人は常に問い続けなければいけません。
ですが、それを外側から見ている人間が、同じように問うてしまってはいけないのです。
自分がどこの視点からワーキングプアの問題を見ているかによって感想は異なるでしょう。
ワーキングプアの人々を必要以上に追い詰め、精神的な負担まで負わせることがないようにしてください。
️ワーキングプアは深刻化していく
いかがでしたか?
現在、日本が悩んでいるワーキングプアについて色々理解することはできましたでしょうか。
ワーキングプアの問題はとても難しいところがあります。
社会の変容が大きな原因となって、このような社会問題が起きてしまったことには違いありません。
ですが、社会はそう簡単には変わらないことが事実ですよね。
だとすれば、個人の素質ばかり責めるのは間違っているとしても、ワーキングプアの当事者たちは、自分たちが変わって行かなければいけないことを自覚する必要があります。
厳しい言い方にはなりますが、ワーキングプアは深刻化していく問題です。
日本の景気が良くなるような見込みもありませんし、これからもさらにワーキングプアと呼ばれる人々が増えていくでしょう。
その中で勝ち残っていくためには、自分に何が足りないのかということをしっかりと考えてみてください。
社会の所為であるとは言え、社会が変わってくれるのを待っていられるほど、人間の一生は長くありません。
一方で、ワーキングプアの問題を外側から眺めている方は、色々な角度から眺めてみると良いでしょう。
ただ単にワーキングプアの問題を「個人の人生の生き方の失敗」とだけ捉えていると、とても恥ずかしい人間になってしまいます。
その上で、どのように変わって行かなければいけないのか、自分ができることは何なのかを見てみると良いのではないでしょうか。
景気が良いとは言えない中で、いつ自分がワーキングプアになるのかも分からない時代です。
これを機に、色々な角度からワーキングプアについて考えてみるのも悪くはないでしょう。