「十分」と「充分」…この2つの言葉って、日常生活でもよく使いますよね。

「必要なものは十分揃った!」「その気持ちだけで充分だよ!」など、色んなシーンで「じゅうぶん」という言葉を使うことがあると思います。

何気なく使っていますが、どちらの「じゅうぶん」も「満足できる状態になった、不足がなくなった」ということを表していますよね。

しかしこの2つの「じゅうぶん」、使いどころが似ているのであまり意識したことがないでしょうが、漢字が違うんですよね…話しているときは「じゅうぶん」の漢字については深く考えたりしないと思います。

ですがこの漢字の違いに気が付くと「あれ?どう違うんだろう?」どんどん気になってしまうものです。

今回はこの気になる「十分」と「充分」、2つの「じゅうぶん」についてをご紹介していきたいと思います!

十分と充分の違い、説明できる?

「じゅうぶん」という言葉を会話などで使うとき、「今の『じゅうぶん』は『充分』の方を使った」「ここは『十分』だな…」など意識して使っていますか?

きっとそんな人はいないでしょう。

「十分」と「充分」の違いをよく理解して使っている人はそんなにいないでしょう。

この色々似かよっている2つの言葉、アナタはしっかりと人にこの2つの違いを説明することができるでしょうか?
ここでは「十分」と「充分」の違いについてご説明していきたいと思います!

読み方はどちらも同じ

「十分」と「充分」、漢字はちょっと違いますが発音すると2つとも「じゅうぶん」になるのです。

そのため、会話で「じゅうぶん」という言葉を使っても正確に「じゅうぶん」の意味や違いを理解していなくても相手には伝えられますし、伝わります。

意味が近いだけでなく読み方が同じだなんて、「十分」と「充分」の違いが1度気になり出したら使いどころで混乱してしまいますよね。

ニュアンスもだいぶ似ている

「十分」と「充分」、読み方が同じという共通点がありますが、実は意味のニュアンスもとても近いのです。

そのため、文に起こして「じゅうぶん」という言葉を使うときに「十分」と「充分」がごっちゃになってしまう人もたくさんいます。

また、文章を読む人も同じような感覚で読む人が多いので、「十分」と「充分」が間違って使われていても違和感なく受け止めていることがあります。

ニュアンスがかなり近いので、伝えたいことなどはちゃんと伝わっているのですが、せっかくなら正しい方を使いたいですよね。

使い方の違いをチェック!

「十分」と「充分」、違いがよくわからなくていつの間にか間違って逆に使っていたりしますよね。

なかには「間違って使ってても、相手に伝わったんならいいじゃん!」と思う人もいるでしょう。

確かに意味合いとして伝わるのですが、違うものとして2つの「じゅうぶん」が存在している以上は日本人として正しい日本語の文章を使いたいですし、ちゃんと使い分けられると大人としてかっこいいですよね。

ここでは、正しく「じゅうぶん」を使うために、「十分」と「充分」の使い方の違いをチェックしていきましょう!

十分と充分の言葉の解説

このよく似ている(というか、読み方は同じ)「十分」と「充分」、せっかく使いどころがあって分けられているのなら、出来るだけそれぞれの意味や使い方をよく理解して正しく使い分けをしたいと思いますよね。

そんなアナタのために、ここでは「十分」と「充分」の意味や解説をしていきます。

十分と充分の意味

物事が満ち足りて、なんの不足もない様子

決められたノルマや数値的な目的を達成したときや、自身の主観的・精神的に満たされたときに「もう満足だ」と感じる事ってありますよね。

そういうときはまさに「じゅうぶん」という表現が当てはまります。

目標が達成されたり、自分のなかで不足が解消されて、これ以上を望まなくなったら「もう『じゅうぶん』!」と感じますよね。

このように、「じゅうぶん」とは物事が満ち足りて、なんの不足もない満足している様子なのです。

意味はどちらも同じ

「十分」と「充分」、読み方は一緒でも漢字が違うので意味も違うんだろうなと思うかもしれませんが、実はどちらも同じ意味なのです。

数量的なもののときや、感覚的なもののときなどによって使い分けることがベターですが、「満足な状態」という意味では同じなのです。

使う場面によって変わる

同じ意味の2つの「じゅうぶん」ですが、場面や状況によって漢字が変わります。

読み方は同じなので口頭で使っているときは「どっちの『じゅうぶん』?」ということは気にしてはいないでしょうが、「今の場合は、どっちの『じゅうぶん』だろ?」とちょっと意識してみたら頭の体操になりそうですよね。

特に文字にして「じゅんぶん」を使うときは、

十分の解説

「じゅうぶん」の漢字表記の1つである「十分」。

時間を表す「じゅっぷん」とも読めます。

あまり深く考えていなければ、「充分」よりも「十分」を「じゅうぶん」として使う人も多いのではないでしょうか?
ここではそんな「十分」について解説いたします。

十は数量を表している

十分の「十(じゅう)」は、「一、二、三、四…」などの漢数字として馴染みがありますよね。

「十分」という漢字以外でも、「十」の漢数字は日常でもよく使いますよね。

漢数字を使っている「十分」は、数量的に足りているということを示します。

また、一般的に「十」は「全部そろっている」「完全」という意味合いも持っています。

十二分や八分目などの慣用句と同類

「十」以外にも「十二分に足りている」「腹八分目」など、漢数字を使った慣用句はたくさんあります。

その使われ方はどれも同じなのです。

具体的な数値によってその満足度や状態を言い表しているのです。

「十二分」は、十分すぎるという意味があり、「八分目」は十分には少し足らないくらい、ほどほどにという意味でよく使われます。

例えば「十二分」は「災害に備えた準備は、十二分にしたほうがいい」「十二分に実力が発揮できた」などと使われます。

「十分」より強く感じますよね。

そして「八分目」は「食事は腹八分目くらいが体にいい」「コップに八分目ほど水を入れる」などと使われます。

「十分」に満足する1歩手前くらいの控えめな状態が伝わってきます。

漠然としているよりも、数字を出して表現すると気持ちや状況が伝わりやすいですよね。

また、これらの他にも「この勝負は五分五分だ」(優劣がない状態、互角であること)など漢数字を使って状態を表している言葉がありますよね。

数字で物事の状況を表したい日本人にとって、漢数字はホントに使い勝手がいいのです。

充分の意味

先ほどは「十分」についてご説明しました。

漢数字を使うことによって状況に応じた「じゅうぶん」という様子がわかりやすかったですよね。

そしてお次は、もう1つの「じゅんぶん」である「充分」についてが気になるところです。

元々は「じゅうぶん」は「十分」のみでしたが時間を表す「じゅっぷん」と、この満足や満たされることを表す「じゅうぶん」の混同を避けるために昔の人が「充分」を使うようになったとも言われています。

そんな「充分」ですが、便宜上以外には果たしてどのような意味があるのでしょうか?

「充」にはいっぱい・みちるという意味がある

「充分」の「充」は、「ふくよかな人」を漢字として表しています(カタカナの「ム」に似た部分がふっくらとした上半身を表し、その下の部分が人の足を表している)。

たっぷりふっくらとした感じは、まさに充たされている様子を表していますよね。

そしてそういう漢字の由来から「充」には、「いっぱい・みちる」という意味があります。

具体的な数値では表せないけど、当事者が満足することができるだけ(または感じることができる)充たされたことを示します。

充足・充実など

「充」を使った言葉はたくさんあって、「充足」「充実」などもそのうちの1つです。

「充足」は、欠けたものや場所を満たすことを言います。

例えば「人員を充足する」「精神が充足される」など、補うことによって満たされる様子が表されます。

そこに具体的な数値はなく「必要を充たす」という意味があります。

「充実」は、必要なものが足りていて、中身がたっぷりと満ちている様子を言います。

例えば「このお店は、充実した品揃えだ」「今日のデートはとても充実していた」など、主観で自分が満足できる状態であったことを表すときによく使われます。

どちらも「みたす」という「充」の意味が込められているのがよくわかりますよね。

主観的に満たされている

「充分」とは、本人の主観によって決まります。

他の人が客観的に「まだもの足らないのでは?」「数的には少ないのでは?」と感じていても、本人が「もう満たされた」と感じていたら、それはその人にとって「充分」ということになります。

その人の主観や精神面などが個人的な裁量によって「もうじゅうぶんだ」と感じたときにこの「充分」が使われるということになります。

当事者の主観ではかることになる「充分」、客観的に見て誰の目から見ても明らかな「十分」とはちょっと違いますよね。

主観なので人によって「充分」の度合いが違うのも特徴です。

十分と充分の違い

前の章では「十分」と「充分」のそれぞれの意味についてご説明いたしました。

こうやって見ていると似ていることは似ているのですが、微妙に示している意味が違うのがわかりますよね。

ここでは、その意味を踏まえて、「十分」と「充分」の違いについて見ていきたいと思います!

十分=数量的に満ち足りている

「十」という漢数字を使っていることから、数量的に満ち足りていることを表しているのが解ります。

「一か十か(白か黒かなどと同じ意味で、端的な考えであること)」などの言葉があるように、「十」は1つの最大値として使われることが多いです。

その最大値を使って「十分」だと表現されていることから、とても満たされている様子が漢数字によってよくわかりますよね。

充分=感覚的に満ち足りている


前の章でもお伝えしたとおり、「充分」は主観による満足によることを表しています。

「充」という漢字を使っていることから、感覚で満ち足りていることがわかりますよね。

あくまで主観で満足度を表現しているので、個人によってその「充分である」という感覚は違い、わずかで満足して「充分」を表現する人もいれば、たくさんでも「充分ではない」と感じる人もいます。

人によって「満たされている」という感覚が変わるので数字は満足度が測れないというのが充分の特徴なのです。

また、先ほども出てきた「十二分」という表現も、十分すぎる数値を表すものとしてご紹介しましたが、精神的にとても満たされたとしても「充二分に」とは書き表しませんよね。

主観的・精神的な「充分」は数値では表せないので「十二分」に「充」を使うのは適切ではありません。

十分の使い方

数量的(または物質的)、客観的に満ち足りているという意味を持つ「十分」、具体的にはどのように使われることがあるのでしょうか?
ここでは少しだけ例文をご紹介したいと思います!

ケーキは2つで十分だよ

「ケーキは2つで十分だよ」というのは、具体的に数値で満足する量を示していることから「十分」を使います。

ここで「ケーキは2つで『充分』だよ」と「主観を含む『充分』」を使うとちょっと違和感があったりします。

もう少し掘り下げると、「ケーキは2つあれば、十分お腹いっぱいになる」「2人で分けるので、ケーキは2つあれば十分だ」というふうに物質的に満たされているときは「十分」、「ケーキが2つもあるなんて…充分なお心遣いありがとう」「1人でケーキを2つも食べたら、充分満足できます」というふうに精神的な満足であれば「充分」を使うといいでしょう。

今回は前者の物質的に満足している様子のため、「十分」で大丈夫です。

メモは5枚あれば十分だ

「メモは5枚あれば十分だ」というのも同様に数値で満足する量を表しています。

ここで「メモは5枚あれば『充分』だよ」と表現するよりも満足する数値が明確にわかっている今回は「十分」のほうが適していますよね。

主観が絡まず客観的に「5枚あれば」としているので、まさしく「十分」の出番といったところでしょう。

喫煙、飲酒をするには十分な年齢に達する必要がある

喫煙や飲酒をするには決められた年齢(数値)があることから、この場合はの「じゅうぶん」は「十分」を使います。

「喫煙や飲酒は体が出来上がっている20歳(十分な年齢)になってから」というのはとてもわかりやすい「十分」ですよね。

もし、30歳の人の場合であれば「喫煙、飲酒をするには十二分な年齢だ」と、さきほどご説明した「十二分」と表すことができます。