「若者言葉」と言われる、10代〜20代前半の若者たちが日常的に用いるけれども、それ以外の世代の人たちにはわかりにくい言葉があります。

「最近の若者の言うことはよくわからない」「若者と話が通じない」と嘆いている大人の方々も多いですが、その原因は、若者言葉を知らないからかもしれません。

時代の流れとともに言葉は変化しますので、世代が変われば、同じ日本語でも少しづつ意味合いが変化したり、使い方が変わったりするものです。

また、若い人たちは「スラング」のような、自分たちだけに通じる言葉、仲間同士のコミュニケーションを特別にする言葉を好む傾向にあります。

ですから、”若者たちが正しい日本語を話すべきだ”と頭ごなしに決めないで、世代を超えて上手にコミュニケーションをはかり、理解し合うためにも、大人の側も若者言葉を知るように務めることができるでしょう。

ですから、これから若者言葉の一つである「マジ」の使い方や、意味について調べていきたいと思います。

️「マジ」、大人のみなさんわかりますか?

学生さんの会話を聞いていると、「マジうざい」「マジで〜」と連呼していますよね?十代のお子さんがいらっしゃる方や、若者と接することの多い職場の方なら、「マジ」と言う言葉を一日何度となく耳にされることでしょう。

でもこの言葉の正しい使い方をどれほどの大人が正確に把握しているでしょうか?

なんとなくのイメージで、「本気」「本当」など浮かびますが、よくよく聞いていると、その意味では文法的におかしいところで使っていたり、今までの感覚では当てはまらないところでも使っているのではないでしょうか?

これが若者言葉の怖いところで、言葉をどんどん進化させ、大人がわかっていると思っている意味や使い方をあっという間に超えていくのです。

ですから、わかっているつもりにならずに、時々は今の若者はどういう使い方をしているかを見て見ることは役立つでしょう。

最近増えすぎている若者言葉


「マジ」以外にも若者言葉はたくさんあります。

特にSNSの普及によって、ツイッターや2チャンネルで使われていた言葉が、一般的になり、日常生活でも使われるようになったので、SNS世代である若者と、メール世代の大人が使う言葉の差がますます大きくなっています。

例えば、「なう」。

ツイッターの流行と同時に爆発的に普及した言葉ですよね。

英語の「now」から取られていて、直訳すると「今」という意味通り、現在の状況や進行形で行われていることをつぶやくときに使われたことが始まりです。

アイドルの橋本環奈さんが投稿した、”「彼女とデートなう」に使っていいよ”と言うつぶやきと、可愛らしい制服姿の画像が話題となり、SNSの世界を飛び出して、あらゆる場面で用いられるようになりまいた。

さらによく使われている若者言葉として「それな」があります。

「そうだね」「確かにね」の同意を意味する言葉として、若者の間で使われています。

相槌のようにも使えますが、深い共感を表す時にはこの言葉を使うのがより良いそうです。

また他の例ですが、大人の方で「卍」の意味がわかる方はどれくらいいらっしゃるでしょうか?元々は仏教用語で、吉凶の印として用いられていましたが、最近の若い人の間では
1・調子に乗っている。

2・仲間との絆。

3・特に意味はないが”!””。”の代わりに使う。

という三通りの意味で頻繁に使われています。

なぜ卍にそのような意味がついたのかは不明ですが、「あいつマジ卍」と調子に乗っている人をさしたり、「学生の絆卍を見た」と表現したり、「卍卍卍卍」と記号のように使ったりします。

卍で感情を表すなんて、大人には少し抵抗がありますよね。

しかし、めちゃくちゃ使われているので覚えておくと便利でしょう。

このように、新しい言葉や使い方が若者によって作り出され、SNSなどで拡散されることによって爆発的に増えるようになりました。

大人はついていくのが大変!

若者言葉の増えていくスピードと数についていくのも大変ですが、「卍」のように想像もできないような意味の言葉が増えているので、大人はついていくのが本当に大変ですね。

ある番組の調査で、女子高生がよく使うLINEの言葉は?と聞いたところ、「フロリダ」と言う回答になりました。

なんの略語だかわかった大人はかなりのハイレベルだと思います。

フロリダといえば、アメリカの州の一つですが、なんと女子高生達は「お風呂に入るから、会話から離脱する」ことを伝える時に使うそうです。

ハイセンスな略語ですよね。

このように略語、造語、記号など、多くの若者言葉が誕生しては、消えていったり、または定番化して日常的に用いられるようになります。

新しく誕生する全ての若者言葉を把握するのは、忙しい大人には到底無理なことなので、そこはバッサリ諦めて、定番化した言葉だけでも覚えるようにしましょう。

間違った使い方は若者に笑われる!


少しでも若者との溝を埋めようと、一生懸命彼らの言葉を理解し、心を開いてもらうつもりで自分を使って見たのに、爆笑されたことはないですか?

大人の努力を顧みない失礼な話ではありますが、若者にすれば、使い方が間違っていて滑稽でしかなかったり、無理して若ぶっている残念な感じに映るのでしょう。

ですから笑うのも無理もないのかもしれません。

ですから、分かったつもりで若者言葉を使うと、大怪我をしかねないのです。

大人にしてみれば、では一体どうしろとと怒りさえ感じるかもしれませんが、そこは頭をやわらくして学んでいきましょう。

まず自分は若者ではないことをよくよく認識して、変に粋がって若者言葉を使ったり、無理して使うのはやめましょう。

あくまでも大人として、品を失わないように自分は正しい日本語を使用すれば良いのです。

そして、ここぞの掴みの時に大人として彼らの心に響く使い方をすれば良いのです。

そのためにも正しい意味や使い方はぜひマスターしたいものですね。

若い人と話していて、知らない言葉や、聞きなれないフレーズ、外国語のような表現を耳にした時には、分かったふりはせずに、正直にどんな意味で、どういう風に使っているのかを尋ねるようにしましょう。

そのような誠実な関心と、謙虚な心を持つなら、きっと若者言葉を正しく理解し笑われることなく使用することができるでしょう。

マジは若者言葉の代表的な言葉

「ハンパない」「やばい」など、定番化した若者言葉は職場でも耳にするような時代になりましたが、その中でもダントツで使用されているのは「マジ」でしょう。

まさに若者言葉の代表とも言えます。

20代後半〜30代でも当たり前のように使用していますし、60代前後の人でも使っている人も見かけることもあるほど、日本の社会に浸透しています。

ですからもはや若者言葉と片付けて良いのだろうかという疑問がわくほどですが、一般的にはれっきとした若者言葉として分類されています。

きっとこれほど浸透したのは、「マジ」の言葉の歴史や、使い勝手のよさ、意味合いの広さなどが関係していると思われます。

ですからこれから、「マジ」について掘り下げていき、より理解を深めましょう。

️マジの意味

驚くような話を聞いた時に「マジで?」と聞いたり、真剣な話をする時に「マジに」と言ったり、すごく嫌なことを表現したい時に「マジやだ」と言ったり、「マジ」には色々な使い方があります。

これだけ浸透している言葉なので、日本国民の半数はどは同じ感覚でその言葉を捉えることができるとは思いますが、使い方によって多少意味合いが異なる場合があります。

ですからこれから「マジ」がもついくつかの意味を見ていきましょう。

真面目

まず最初の意味は、「マジ」は真面目の略として使われています。

真面目とは辞書によると、「嘘やいい加減なところがなく、真剣であることや、そのさま」「誠実であることや、そのさま」「ユーモアのない」と定義されています。

同意語は「一途」「真正直」「ひたむき」などがあげられています。

私たち日本人の国民性を表す言葉として、真面目という言葉はよく使われますが、確かに小さい頃から「真面目に生きなさい」「真面目に働くことが一番」と刷り込まれてきましたね。

ですから日本ではルールを守ること、嘘をつかないこと、一生懸命働くことは美徳とされています。

若者言葉の「マジ」にはそんな美しい特質の一つである「真面目」が含まれていることを覚えておきましょう。

本気

「本気と書いてマジと読む」というフレーズをお聞きになったことのある方も多いことでしょう。

80年代に、とんねるずの石橋貴明さんがギャクとしてよく使っていたものです。

さらには、このタイトルの漫画もあり、どこかで見聞きされたことがあるのかもしれません。

本気とは、「冗談や遊びなどでない本当の気持ち」「真剣な気持ちや、そのさま」と訳されています。

ですから、どんな困難をも乗り越えて、実現しようとする強い気持ちがあることと、実際にその意志に沿って行動することを表していると言えるでしょう。

真剣

辞書では「一生懸命に物事をするさま」「本気であるさま」と定義されている真剣は、妥協することがない、物事に集中することとも言えるかもしれません。

手抜きすることなく、ベストを尽くすという意味合いでもよく使いますね。

または文字通り、本物の刀という意味もあります。

竹刀や木刀ではない本物ということで、遊びではないというニュアンスを理解するのにも役立ちますね。

「真剣勝負」という言葉もありますが、真剣というのは、型から出ないようにする真面目に比べて、自分が正しいと感じたことにまっすぐに向かう姿勢というような意味合いを感じます。

冗談ではない

そもそも冗談とは、「遊びで言う言葉」「ふざけた内容の話」「戯れることや、そのさま」です。

ですからそれらの反対が冗談ではないということになります。

本気や本心という意味と考えることができるでしょう。

このように「マジ」という言葉には、似ているようで少しづつニュアンスの違う意味が含まれていることがわかりましたね。

️実は江戸時代からあったマジ

10代〜20代前半が使う若者言葉の「マジ」ですが、実はその歴史は古く、なんと江戸時代から使われていたと言われています。

こうなると、何をもって若者言葉と呼ぶのか、ますますわからなくなっていきますが、「マジ」以外の若者言葉でも江戸時代から使われているものがあります。

例えば、「ムカつく」。

「ちょームカつくんですけど・・・」と若者が愚痴っているのを聞いたことありますよね?

昔から、ムカつくというのは、「胃腸がムカつく」というように吐き気や胸焼けをさして使われていましたが、江戸時代に関西で「癇に障る」「腹がたつ」という現在若者たちが使う意味で用いられるようになったそうです。

また、マジに並んで若者言葉の代表格である「ヤバい」も、江戸時代の本に「やばなこと」という表現が使用されていることをご存知でしたか?

江戸時代の射的場で隠れて売春がなされていたため、役人から目をつけられたら危ないという意味で「ヤバい」と言われるようになったというのがその語源のようです。

元々は、泥棒たちの隠語として使われていた言葉だそうです。

さらに「ビビる」平安時代からある言葉だそうです。

戦の時に鎧が触れ合うと、ビンビンという音が起き、これをさして、大軍が動いた時の音を「ビビる音」と呼んだのが起源だそうです。

21世紀の今、平安時代や江戸時代に使われていた言葉を、若者言葉として見ている不思議を感じますね。

江戸時代の芸人の楽屋言葉

では「マジ」の語源を見ていきましょう。

いくつかの説がありますが、真面目の略語として芸人が使っていた楽屋言葉という説が一番有名です。

今でいう業界用語ということです。

マジメのマは、瞬ぐ(まじろぐ)から取られており、メは目を意味していて、緊張しながら聞いている時に、瞬きだけをしながら一生懸命に学ぼうとする姿勢、まじまじとじっと見つめている様子から取られているそうです。

江戸時代の意味でも、真剣、一生懸命という現代と同じような意味合いで用いられていたことがわかりますね。

そこから、時代を超えて、本当、本気などと広がっていったわけですから、言葉は本当に生きていて、使われることによってどんどんと変化することもわかります。

面白いですね。

マジが江戸時代に使われていた証拠としては、1810年頃に行われた歌舞伎のセリフをあげることができます。

鶴屋南北作「できあき八幡祭」という演目で、「ほんに男猫も抱いて見ぬ、マジな心を知りながら・・・」という文言が出てきます。

歌舞伎で使われたということは、一般大衆にとっても馴染みのあった言葉でったということですから、これを証拠としてあげることは道理にかなっているでしょう。

その後、どの程度日常的に使われていたか知ることはできませんが、1980年頃から「マジ」が若者言葉として復活したとされています。