ビジョンという言葉は、すっかり日本語に定着しています。

ビジネスシーンにおいてては頻出しているといってもいいでしょう。

そこで改めてナビゲート経済用語集を見てみると、将来のある時点でどのような発展を遂げていたか、成長していたいかなどの構想や未来像。

またそれを文書で描いたもの。とあります。

ビジョンという言葉は、昨今、繁栄を極めています。

それは何よりも大切なものだから、という認識が高まってきた、と言ってもよさそうに思います。

ビジョンとは

ビジョンとは実際に世の中では、どのように機能しているのでしょうか。

ネット上をあちこちサーフィンしていると、政党間のビジョンの違いは分かりますが、政策の違いがわかりません。

という声がありました。

結局、政治のビジョンはあっても、政策は現実を追従して終わってしまう、というのは日本でも経験済みです。

旧民主党政権でも、自民党政権でも、大して変わりはありませんでした。

実際に政府を切り盛りしているのは財務省であることが、改めてわかっただけのことでした。

日本における政党間ビジョンの差といっても、はっきり言って、憲法9条と自衛隊の位置付けくらいしかありません。

それ以外の目指すべき未来像を、どの党も提示できていません。

日本の政治にはビジョンが乏しいと言わざるを得ません。

ビジョンの意味


ここで突然ですが、話をヒトラーと当時のドイツに飛ばします。

ビジョンを考える上で、非常に参考になるという思いからです。

ナチスが引き起こした侵略戦争とユダヤ人大虐殺のことは、ここでは触れません。

その前の初期段階に絞って考えます。

ヒトラーと国家社会主義ドイツ労働者党(ナチス党)がなぜ政権を取れたのか。

これに関しては、数多くの研究があります。

ナチスは選挙によって第一党になっています。

暴力によって奪取したのではありませんでした。

それに第一党となった原因は明らかです。

それはナチス党以外の政党には、ドイツの将来に対するビジョンがなかったからです。

ナチスは、第一次世界大戦の敗戦ですっかり落ち込んでいるドイツ人に、未来像を提示しました。

それはドイツ人は選ばれた優秀な民族であり、再び世界に冠たるドイツを復活させるという、ひどく一人よがりのものではありました。

しかし他の政党、社会民主党や共産党などの主張には、夢が感じられず、理論先行の貧乏くさいものばかりでした。

おまけにナチス党は、ドイツ人の秩序好きにも強くアピールしました。

整然とした党大会などのパフォーマンスは、ドイツ人の好みをしっかり捕らえていました。

さらに経済政策も非常にしっかりしたものでした。

政権を取った後、世界でもっとも早く大不況から立ち直ったばかりか、労働者の有給休暇、慰安旅行まで制度化したのです。

これは世界初の取組みでした。

ナチス党は当時のドイツで、唯一国民にアピールするビジョンを持っていました。

未来像、理想像

後にドイツ国民は、あまりに安易な選択だったと思い知らされることになります。

しかし当時は、他党におけるビジョンの乏しさこそが、最大の問題だったのではないでしょうか。

それにヒトラー以外の政治家は、みな権威主義的な爺さんばかりで、魅力にも乏しかったのです。

一方のヒトラーは40代と若く、元気一杯でした。

しかも彼は、私利私欲にまみれた政治家ではありませんでした。

あくまで筆者の私見ではありますが、政治におけるビジョンの大切さを、思い知らされるケースだと思います。

また個人の場合でも、理想的な自分の姿を想定することは、大切です。

社長になりたいなどの職業生活内のビジョンを離れ、立場や身分に関わらない自分の姿を見据えて、個人的なビジョンを構築してみてはどうでしょうか。

ビジョンと目標の違いとは


ビジネスにおいては、ビジョンと目標の違いは比較的明確になっています。

目標はビジョンの下部カテゴリーであり、ビジョンを実現するための毎週、毎月、毎年のステップという位置付けです。

そして目標とは、期限と達成度がつねに明らかになっているものです。

企業においては、売上と利益だけでなく、各項目の経費など、さまざまな場面で設定されています。

そしてこれらはいずれも、頑張れば手の届く範囲内にあることが大切です。

ビジョンを作るべき10個の理由

ビジョンを構築するに当たっては、まず自分にとっての理想の状態をイメージしてください。

理想と現実との距離感は、人によって差は大きいと思いますが、それはそれでかまわないでしょう。

まずは設定してみることです。

細かい変更や調整は、後から加えていけばいいのです。

まずはそのビジョンが大きな励みとなること。

それが達成されるだけで、第一歩としてはひとまず成功です。

1.方向性が定まる

ビジョンを確立することの最大のメリットは、将来の方向性が定まることです。

方向性に沿わないものはカットしたり後回しにするなど、ただちに優先順位を付けることができます。

、つまり物事を簡単に整理することが可能になるのです。

その結果、恐ろしいほどの効率アップが達成されるはずです。

その分、仕事や生活に余裕が発生するに違いありません。

浮いた時間を使って、新しい取組みに手を付けることも可能になります。

それが人生の転機になることも十分にあり得ます。

物事を潤滑に進められる

ビジョンという新しい基準に照らして、迅速に物事を判断できます。

いちいち迷ったり、利害関係の調整に苦しまずに済みます。

少なくとも、ああでもない、こうでもないと堂々巡りにおちいることはないでしょう。

エネルギーロスは最小限で済むはずです。

そしてストレスなく物事を進められるようになるでしょう。

何もビジョンのなかったころに比べれば、大変に大きな違いが出てきます。

2.イメージしているからこそ成功する

世にいうイメージトレーニングとは、直近に行われる試合やプレゼンテーションを想定して行うことが多いと思います。

これと同じようにして想像力の発揮を、中長期のスパンにまで広げてみてはどうでしょうか。

直近ではないので、大したプレッシャーはかかりません。

それどころか必ず愉快になってくるポイントがいくつもあるはずです。

それが見つからないようなら、正しいビジョンとは言えません。

修正した方がよいでしょう。

そのためにも、楽しくて夢のあるイメージ作りは大切です。

イメージすることで具体性が出る

プロ野球のピッチャーは、明日先発という前日には、具体的なイメージトレーニングをするそうです。

具体的に相手チームのバッターを一人一人想定し、こう投げてこう打ち取る、とイメージをふくらませていきます。

もちろんその中では、自分が勝ち投手になります。

しかし中には現実的すぎるピッチャーもいるようです。

誰にもヒットを打たれない、というのは非現実的にすぎるとして、想像の中でもちゃんとヒットを打たせるのです。

それが昂じてホームランまで打たれ、ついに負け投手をイメージしてしまう人もいるといいます。

こうなってしまうくらいなら、イメージトレーニングなどしない方がいいということになります。

あまり具体的にイメージし過ぎるのも考えものです。

具体性はある程度まで必要ですが、完璧を求める必要はさらさらありません。

、むしろある程度の幅をもっておいた方がよいでしょう。

3.妥協を許さない

個人のビジョンに関しては、それはまったく自分だけのものです。

社会的責任を問われることはありません。

それだからこそ簡単に妥協しないようにしましょう。

最初からブレていては、安易な設定だったことを認めたことになります。

三日坊主の印象を与えてしまっては、お話になりません。

戦術の変更ならかまいませんが、ビジョンそのものに対する妥協はしないようにしましょう。

本気で取り組む

ビジョンとは、もちろん高い本気度によって構成されたものです。

本気モードがなければ、虚しい言葉の羅列に過ぎません。

ゆっくりでかまいませんから着実に前進させて、あなたの本気度を、周囲に知らしめましょう。

やがて周囲の人たちも、本気になって対応してくれるようになります。

それらはきっとビジョン達成への手助けとなってくれるはずです。

4.追求する力が身に着く

ビジョンを高く掲げていると、エネルギーは自然にそこへ向っていきます。

その中にある課題を解決したくて、じっとしていられなくなるのです。

実際にそれを繰り返すことで、問題を追求し、分析する力が身に付いてきます。

そしてそれを実感するときは、必ず来ると思います。

そのときには、実力が付いた、ステージが上がったと考えてもかまわないでしょう。

思い描くビジョンに向けて具体的に取り組める

ビジョンさえあれば、すぐに具体的な方法を取って、問題に取りかかることができます。

ビジョンを大切に育んできたことで、さまざまな手段がすぐに思い浮かぶようになっているはずです。

ただちに対処できます。

頭の回転も手足の動きも、疑いの余地なく、軽快になっていることでしょう。

5.正しい判断ができる

ビジョンは重要な判断基準となります。

新しい判断するに当たっては、規則、または法律のように扱ってもかまわないでしょう。

それに即した判断ということなら、周囲も納得させることができます。

その時点においては、間違いなく正しい判断だからです。

後にどこで間違えたのか、検証するのも簡単にできるでしょう。

これは後々、必ず役立つことになります。

イメージできているから

ビジョンを大切に抱えていると、いろいろなやってみたいことのイメージが、次から次へと次から次へと湧いてきます。

そのうちのいくつかは、正しい判断のフィルターを通した後で、しっかりと実行ベースに乗せていきましょう。

そのことでさらにビジョンは奥行きを増していきます。

6.明確なゴールを目指せる

ビジョンにはゴールが明示されています。

マラソンや駅伝など長距離競技のイメージでよいでしょう。

つねに達成度という走行距離を意識しながら、着実に歩みを進めていきましょう。

これをチェックしていくことは、とても楽しい過程になるに違いありません。

ビジョンがしっかりしているだけで思い描く通り

ビジョンがしっかりしていれば、それらに賛同するかどうかも、はっきりと意思表示できます。

しっかりしていればいるほど賛同者は増え、思い描く通りにいく可能性は、高くなっていきます。

ビジョンにはスキがないという必要はありません。

多少あやふやなところがあっても、芯さえしっかりしていれば大丈夫です。

いろいろな意見を取り込む余地を残しておくのは、けっして悪いことではありません。

むしろ優れたビジョンの証明とも言えるでしょう。

7.多数をまとめることができる

すぐれたビジョンは、ライバルに打ち勝って最後まで残るに違いありません。

それは支持者を増やしていく過程でもあります。

そうして多数をまとめることにより、さらにビジョンは前進し、力を増すでしょう。

その時点では、もう排他的な一人よがりなものではなくなっています。

客観性を大幅に増してなくてはならないものとなっています。

しっかりとしたビジョンは他人をも動かす

しっかりしたビジョンは人を引き付けます。

たとえば1990年に崩壊したソビエト共産党にはビジョンがありました。

世界を共産主義化するというビジョンです。

今となっては嘘と権力闘争にまみれた、ずっこけた政権だったことがわかっています。

その一方、共産主義ビジョンは多くの人を引き付けたのも事実です。

日本人インテリの中にも影響を受けた人はたくさんいました。

今のロシアにはこの部分が欠落しています。

他国にまで語りかける力がありません。

このように政党はもちろん、会社のような営利団体のトップは、これを語る力がすべてといってもよいほどです。

従来の支持層を守る、従来の顧客を守る、というだけの政策では、ビジョンというには値しません。

一方で完全な夢物語に陥ってしまってもダメです。

客観性を重視して、しっかりした堅固なビジョンを構築しましょう。

これは個人のビジョンにおいてもまったく同じです。

8.掘り下げて物事を考えられる

ビジョンとは、夢ばかりでなく、問題点を解決するという部分をも含みます。

問題点を認識すること、解決に向けての方策を考えること、これらによって、あなたの思索はより深まっていくでしょう。

これまで見えていなかったものまで、見えてくるようになり、物事を掘り下げて考えられるようになります。

ただし、ああでもないこうでもないと、堂々巡りにだけにはならないように気をつけましょう。

そこで思考がストップしてしまうのは、大きなマイナスです。