女子会に参加するために最寄り駅に着いた女性が、会場の確認のため仲間にLINEで場所を問い合わせました。
「今度の女子会のレストランは、駅の南口改札前の〇〇ビルにあるお店だったよね」「そうよ!、そのビルの3階だよ。エレベーターを降りてから右に曲ったところにあるよ!」「了解!」というような会話はよく行われます。
「わかったわ!」という時に元気よく応えることができるので、つい「了解!」と言ってしまいます。
「了解」のひと言で、それまでに言われたことへの返答が全て完了してしまうのです。
余りクドクドと話すのが苦手な若者にとっては、便利な言葉なのです。
小さい時から使うことばなので、大きくなってからもつい使ってしまうようです。
家族や友人の間では何の抵抗もないのですが、かしこまった会話の席上では、何か馴れ馴れしいように感じて、この言葉を使うのは気が引けるのです。
かといっても、目上の人についこの言葉を発してしまうと慌ててしまい、「了解」の後に「いたしました」などと謙譲語を付けてへりくだったことを表すのです。
ついでに解説しますと、「しました」の基本の形は「した」という言葉で、「した」の丁寧語が「しました」であり、謙譲語は「いたしました」なのです。
敬語を調べると分かりますが、会話で使う敬語は、丁寧語と謙譲語が多いようです。
先ほどの「した」という言葉は、例えば会社の同僚に迷惑をかけた時には「ご迷惑をお掛けしました」と丁寧語でお礼を言いますが、これが上司の場合になるともっと丁寧に「ご迷惑をお掛けいたしました」と謙譲語での表現がふさわしいようです。
漢字で「致しました」という表現を使う時は、動詞で何かを行ったという時に使います。
例えば、「私が致します」「ご連絡を致します」などのように「する」ということを丁寧に言う時なのです。
まあ、「しました」という表現はこれぐらいにしておいて、本題の「了解しました」という言葉についてもう少し踏み込んで考えてみたいと思います。
了解とは
そもそも、「了解」と答えるシーンは、無線などの通信で通信内容を受け取ったことを表す言葉なのです。
例えば、山岳地帯で登山者が怪我をして救助の要請があって、その状況確認と遭難者の救助にヘリが向かうことになりました。
ふもとの対策本部からの無線では、遭難者がいる地点は山小屋から2kmの登山道との連絡があって、その方角にヘリで向かいました。
霧も晴れて見通しも良くなり、上空から遭難者を探しました。
遭難者は3名で登山道から外れた沢のところに固まって救助を待っていました。
それを発見したパイロットは、その状況を無線で対策本部に伝えると、本部から「了解!」との返信があったのです。
このように、無線で「了解」と答えたのは、こちらからの報告に対して、その内容については受け取った、確認した、という意味での言葉なのです。
ビジネスのシーンでも、上司から依頼されていた仕事を無事に完了させたときに、「完了しました」と報告すると、上司は「了解した」と答えるのです。
部下の報告に対して上司が確認した旨の返事なのです。
このように、相手の言葉を理解したとか了承したなどの意味で使われる場合が多いのですが、相手のことを思いやって本来なら納得しないのだけれども、ここは理解することにした、という場合もあるのです。
例えば、今日中にこの仕事を完成させろと部下に指示をしたのだけれど、会社の近くで雷雨が激しくなって突然に会社への送電が止まってしまった。
しばらくは補助電源しか使えなくなって作業が止まってしまった。
電力会社に確認したけれど、回復には数時間がかかりそうとの返事だ。
この状況で、部下は上司に「停電のために処理が間に合いません」と報告すると、上司も「そうか、了解した」となるのです。
不可抗力で対処出来ないことに対して、他の方法が無いと判断したので、上司は事情を考慮して納得したのです。
このように、「了解」という言葉は、①意味と内容を理解すること、②事情を思いやって納得すること、了承すること、の二つの意味があります。
「了解しました」は目上の人に使っていい?!
ビジネスの世界では、「了解」という表現は目上の人が目下の人に使う言葉だと認識されています。
つまり、「了解」という言葉は、ビジネスの世界では敬意が含まれていない軽率な言葉だとされています。
上司が部下に対して使うか、仲の良い同僚同士で確認の相図のように使うのです。
「今日は、仕事が終わったらいつもの店に6時に集合だ」と仲間に告げると、短く「了解」と言えば済むのです。
余計な会話も省けるし、簡単に意思表示ができるので時間短縮の効果もあってよく使われます。
では、目上の人に「了解」と言いたい時には、何と言うのでしょうか?
部下が上司に「了解」と同じニュアンスで伝える時には「承知」を使います。
「承知しました」と言うのが一般的です。
「承知」とは、聞き入れること、承諾することで、目下の人が目上の人に対して「承知しました」「承知いたしました」と言うのです。
「かしこまりました」と言ってもかまいません。
目上の人には、「了解しました」は避けて「承知しました」と言うべきです。
慣れないとつい上司や先輩に向かって「了解です」などと発しますが、これからは「承知しました」としてみてはいかがでしょうか?
メールなどでもつい「了解しました」などと返信しますが、大人になったら目上の人には「承知しました」と言葉を選ぶと、「あいつは成長したな」と思われるのです。
1.使わないのが無難
先ほども書きましたが、「了解」という言葉は敬意を含まない言葉だということです。
「わかったという意味で使われるのですが、軽い言葉でもあるのです。
特に、年配の人にとっては威厳が感じられない言葉で、年下の人間からその言葉を使われると、自分が軽くあしらわれていると感じてしまい、印象が悪くなるのです。
「了解」の後に敬意を示す「しました」とか「いたしました」の言葉を付け足すとなんとなく丁寧に言っていることになりますが、そもそも「了解」とは使わない方が無難なのです。
家族の間の会話で、息子が父親から何かを言われたときに「わかった」という意味で親しみを込めて「了解!」と答えるのはアリなのです。
友達同士の会話では、LINEで何かの連絡が来た時にすぐに「了解」という返事を返すこともあります。
この一言で、連絡を受けた内容に異議はなく、内容も全て確認したことを端的に伝えられるのです。
「了解」という返事を受け取った方も、一発で相手の意向を確認することもできるし、時間も短くて済むので効率的でもあることから好まれているようです。
LINEでは、この言葉を登録しているし、おまけにスタンプも用意していると楽しく返事ができるのです。
最近では、中高年のオバサン達もスマホを片手にLINEも活用しています。
このオバサン達も、LINEでの返事は「了解」とすぐに打ち返しているようです。
最近のスマホの普及は、高齢者が主流になっているようですね。
先日などは、80歳くらいのご婦人がバッグからスマホを取り出して何やら操作していました。
遠く離れた子供や孫との通信に利用しているようです。
「今度の連休に帰るからね!」と孫からの連絡に、すぐさま「了解、気をつけて!」などと入力してスタンプを送るようなのです。
しかし、上司から休日に仕事の連絡がLINEに入ってきたときには、「了解しました」と返すよりは「承知しました」と送る方が無難だと思います。
「了解しました」も意味は通じるのですが、体裁を重んじるような人に対しては「承知しました」で返す方が印象は良いと思われます。
いろんな見解があるのですが、うるさ型の人間に対しては「承知しました」に徹底しておけば問題ないのです。
特に年齢が上がっていって会社でも昇格していくと、部長や役員との連絡の機会も増えてくるのですが、こんな時にもそつなく返事ができるように慣れておくべきです。
2.了解は敬語ではない
「了解」は敬語ではないと考えている人は、この言葉は本来上位の権限を持つ人が、許可を与える言葉だということです。
従って、上司などに部下が「了解」と使うことはもっての外ということです。
例外は無線交信の時で、連絡を受けた方がしっかりと内容を聞き取ったという意味で「了解」を使うそうです。
このように、目上の人に「了解」を使うことは失礼なことなのかという疑問を、以前に(2014年)にNHKの「NHKNEWSWEB」で取り上げたそうです。
この記事に対して、「目上には了解でなく承知を使うのは誤用」というブログ記事も登場して注目を集めたのです。
一時は、この内容に関して多くの意見が飛び交ったのですが、まとめると以下のことが明らかになりました。
①「了解」は敬語ではないということ。
②ビジネスマナーを指導している団体から、「了解」は軽い使い方ができるところが災いして、ビジネスマナー研修では「承知」を使うように指導していること。(13年ほど前からこのように指導している)
③「承知」の方は尊敬の意味を有する敬語であることから、上司や先輩には「承知」がより無難であること。
④結論としては、「了解」がダメで「承知」が良いというのは正しいとは言い難い。
⑤そして、最後に「日本語は難しい」で締めくくられていました。
3.了解は尊敬の意味が入っていない
「了解」とは、報告を受けた内容は理解した、分かった、ということであり、そこには尊敬の意味は含まれてはいません。
「承知」は敬語の中でも尊敬語に分類されています。
どちらにとっても同様の意味に使われるのですが、ここ十何年の間に目上には「了解」は使うべきでないとの慣例が広まったようです。
了解しました以外には?
では、「了解しました」という表現以外では、どのように言えばよいのでしょうか?先ほど話題で取り上げた「承知しました」以外にも、「了解しました」「かしこまりました」など、いろいろと表現の仕方があるようです。
それらを解説していきたいと思います。
1.承知しました
一般的なビジネスシーンで、得意先や上司の言葉に対して意思表示を伝える時に使います。
相手の言うことに対して全面的に賛成であること、素直にその意志に応えたいと思った時に言う言葉です。
またこれまでのいきさつや現状について既に事情を知っている時には「承知しております」などと言います。
自分の意志に反することで納得しかねる時には「承知しかねます」「承知できません」などとやんわりと拒否することもあります。
意味
「承知しました」という表現は、相手の言葉に対して「事情などをキチンと理解している、知っている」ということ、さらには「分かっていること、承諾すること」という意味でも使われるのです。
例えば、上司に同伴してあるお得意先を初めて訪問することになったのです。
上司は、その得意先を訪問するにあたり、先方の営業部長がまじめな性格で礼儀にはうるさいことを伝えると、「それは、承知しています」と答えたのです。
部長から注意を受けるまでもなく、その部長のことは先輩から聞いて知っていますと言うことを伝えたのです。
このように、言われたことに対してYES・NOの返答だけでなく、事情などは理解していると言うことを伝える言葉でもあるのです。
「承知しました」は目上の人に用いる尊敬語として分類されています。
つまり、自分よりも目上の人に対して、敬意を払わなければならない相手に対して答える時に使用されます。
敬語の種類
敬語の中の謙譲語に分類されています。
自分がへりくだって相手を立てる時に使う言葉です。
使用例
ビジネスシーンでは、上司の指示や要請に対して、その通りに対応しますと応える時です。
「あすの午後一番に、例のテーマの進捗状況について報告を受けたい。それまでに、現状をA-4の用紙1枚にまとめておくように」という指示が出た時に、「承知しました」と返答します。
「明日静岡の得意先の工場に出張することになっているが、そこはちょっと郊外にあるので時間がかかる。約束の時間に遅れないように気をつけろ」との忠告に対して「承知しています」と事情を知っていることを告げて安心させるときに使います。
「これ以上値下げを要望されても、難しいのですよ」と仕入先の課長から断られても「無理を承知で何とかならないでしょうか?」と食い下がる時にも使います。
そこに課長の上司が出てきて、「あなたの言うことは百も承知だが、今回は難しいのだよ」と会話が続くのです。
この場合は、事情はよく知っているけれどもという意味で使われています。
適切な相手
同じ会社内では上司や上役の人に、社外では取引先や協力会社の目上の人に使います。
自分がへりくだって相手を立てて言うのです。
2.了承しました
「了解しました」と同じように使う言葉として「了承しました」があります。
人によって使う言葉が決まっているようですが、「分かりました」や「理解しました」などと言うことを「了承しました」と伝える人も多くいます。
では、これらの言葉に違いはないのかと言うと、実は微妙に異なっているようです。
意味を知らずに、同じ意味だと思って使っている人もいるので、ここではまず意味の違いを明らかにしておきます。
それは、何か複雑な装置の使い方の説明を受けた時に、説明した人がここまでの操作について分かりましたか?と質問した時に、説明を受けた人が「はい、了解しました」と言う時に使います。
つまり、本来何かを理解した時に「了解しました」と答えるようです。
それに対して、「了承しました」とは理解したということよりも、何か依頼を受けた時にその依頼のことに対して承諾した時に使うのです。
何も頼まれてもいないのに、「了承しました」とは使わないのです。
このように、何かを承諾した時に「了承しました」と言うのです。
それとおもしろいのは、「了承しました」と「了解しました」とは、どちらも目上の人が目下の人に使う言葉のようです。
意味
「了承しました」も「了解しました」も、目下の相手に言う言葉ですが、ニュアンスの違いをもう一度書きます。
それは、会社で何かの問題が発生した時に、部下がいち早く上司に問題発生の一報を告げます。
その時に、「社内で何かの問題が発生して対策を取っている」という部下からの連絡に対して、「問題に対処中であることは承諾した」という意味で「了承した」と言います。
次に、どのような問題が起こってしまったかということを報告した人に対しては、その報告を理解したということを「了解した」と言うのです。
敬語の種類
「了承しました」相手の申し出や事情などを納得して承諾することで、敬語としては「丁寧語」に当たります。
使用例
ビジネスシーンでは、ある事情をくみ取って納得すること、承諾することです。
「了承しました」は、目上の人が目下からの申し出に「それでいいよ」と上から目線で使う言葉なのです。
事例としては、
仕事が忙しい時に、家族が急病で本日休暇を取りたいと部下から朝一で電話連絡がありました。
一人でも多くの人員が必要だったのですが、急病ということであれば仕方がないので、「了承した。
お大事に」と答えたのです。
相手の申し出に納得したことで「了承した」と言うのです。
工場のポンプが急に止まってしまった。
原因は回転軸のベアリングが破損したためで、すぐに交換する必要があったのです。
しかし、たまたま工場には予備のベアリングの在庫がないために、すぐに交換できないのです。
ポンプの故障で工場の稼働が止まってしまったので、急遽対策を取る必要がありました。
いろいろと考えたあげく、隣の工場の同型のポンプのベアリングを外して、こちらのものに付け替えることにしました。
この対策を上司に打診したところ、「了承せざるを得ないなあ」と渋々承諾したのでした。
事情を考慮して納得せざるを得ないという意味です。
適切な相手
部下などの目下の人間に対して使います。
不適切な相手
自分より目上の人、取引先の担当者や目上の人には使いません。
この言葉を使うと、見下したような表現になって、相手は快くは思いません。
得意先の目上の人なら取引は止められてもおかしくありません。
3.かしこまりました
「かしこまりました」とは、「承知しました」よりも丁寧な言葉なのです。
この言葉も、会社では上司などの目上の人やお得意様、お客様に、「わかりました」と言うよりも丁寧に「かしこまりました」と返事するのです。
意味
目上の人からの指示などに対して、理解したと言う時に「承知しました」と表現します。
この言葉を一層丁寧に表現する時には「かしこまりました」と言います。
この「かしこまりました」」とは、目上の人の言葉を謹んで承る時の表現です。
依頼や指示などを承諾する時に使います。
ホテルのレストランに行って、注文を取りに来たウエイターに希望の料理を告げると、「かしこまりました」と丁寧に応えてくれます。
「了解です」とは言いません。
また、お水が欲しいとか冷房を弱めて欲しいなどと要望を出すと、「かしこまりました」と言って対応してくれるのです。
この言葉は、聞いた方もなんだか主賓になったような気分で、気持ちも良くなります。
では、「承知しました」と言う時と「かしこまりました」と言う時の違いは何なのでしょうか?どちらの言葉も、相手の言うことに理解を示す言葉でもあります。
しかし、「承知しました」というのは単に相手の言うことを理解した時なのですが、「かしこまりました」は目上の人の命令を承るという意味でもあるのです。
目上の人が、たとえ道理に外れたことを命じても、その指示には従います、承りますという絶対服従の意志があるのです。
レストランで、お客さんが無理難題を言っても、とりあえずその場では「相手の意見を承る」ということなのです。
しっかりとそのことを実行するかどうかは、責任者が判断しなければなりません。
夏場のレストランの冷房については、お客様から強くしろとか弱めろとか要望が多いそうです。
その時に「かしこまりました」と言われると、とりあえずは対応してくれると感じるので、便利な言葉でもあります。
敬語の種類
「かしこまりました」は敬語の謙譲語に当たります。
使用例
有名なレストランでは、季節メニューを考えて創作します。
料理長は出来栄えをオーナーに評価してもらうのですが、その創作料理を前にしてオーナーは「もっとヘルシーな見栄えにして、味付けもインパクトがない。
改善しなさい」と指示を出すと、料理長は「かしこまりました」と言い急いで厨房に戻りました。
ある代議士が地元で後援会の人達を集めて、感謝の集いを行うことになりました。
当日、会場に入った代議士は、壇上のテーブルに置かれたマイクを握って発声をすると、マイクの調子が良くないのか声が通らないのです。
すぐさま音響の係の責任者を呼びつけて、「このマイクはダメだ。
新しいマイクに交換しろ」と言うと、責任者は「かしこまりました」と答えて交換を始めたのです。
会社に出社した社長さんが、玄関の前の花壇の花が枯れているのを見つけるとすぐに社員を呼びつけて、「もっとしっかり手入れをしろ!」と叱りました。
社員は「かしこまりました」と告げて「すぐに植え替えをいたします」と謝りました。
適切な相手
あくまでも目上の人が対象です。
上司や地位の高い人、取引先の目上の人です。
不適切な相手
玄関の外灯を消し忘れていたのを、通りがかったご近所の人に「外灯がついたままですよ」と教えてもらった時に「かしこまりました」とは答えません。
また、部下から「今日の午後から大雨かも知れません。傘を持って出かけられた方がいいですよ」とアドバイスを受けた時に「かしこまりました」もおかしいです。
つまり、「かしこまりました」は謙譲語なので、目下の人や親しい仲間には言うべきではありません。
【かしこまりましたについては、こちらの記事もチェック!】
ビジネスでの正しい使い方
ビジネスのシーンで、「かしこまりました」と伝えるのはよくあることです。
目上の人や取引先の人などから指示や要望を言われたときに「理解しました」と伝えるのにとても便利な言葉だからです。
相手をしっかりと立てることができるし、細かいことを繰り返して復唱することも必要ないので、ある意味使いやすい言葉なのです。
このように、目上の人にへりくだって言う言葉としては、「承知しました」があります。
「了解しました」はビジネスの場面では目上の人が目下に言う言葉であり、知らない人が多いところでは使わない方が無難です。
それに代わって、「承知しました」と「かしこまりました」を使い分けることを覚えてください。
1.「承知しました」と「かしこまりました」がベスト
「了解しました」は軽い感じの言葉なので、もし取引先の社長さんなどに使ってしまうと印象が悪くなってしまいます。
厳格な社長だと、低いランクの人間だと認識されてしまうこともあります。
分かりましたという時には、「承知しました」とか「かしこまりました」が無難であり、「かしこまりました」の方が謙譲語として認識されているので、ビジネスシーンでは抵抗なく使用されます。
この2つの違いを覚えておこう
「承知しました」も「かしこまりました」も、「理解しました」という意味でよく使われます。
しかし、この二つの言葉は、使用されるシーンでは明確な違いがあるのです。
言われた方としては、言葉の発音では「承知しました」の方が強く感じますし、「「かしこまりました」の方が柔らかい印象を受けます。
それもそのはずで、「私が言っていることを、正確に理解したのか?」と理解度を確認されたときには、「はい、正確に内容を理解してご指示に従いますので安心してください」という気持ちで「承知しました」と言うのです。
すると、指示した方も「そうか、しっかりと聞いてくれたのか」と納得するのです。
ここで会話の受け答えが完了するのです。
それに対して「かしこまりました」という言葉は、目上の人が目下に対して「こうするんだぞ!」という命令を下した時に、「その命令はしっかりと確認しました。」と命令を受けた事実を伝えるのです。
命令する方とされた方の双方の会話が、この言葉で完結するのです。
「かしこまりました」という時には、もちろんその命令を実行することが前提です。
しかし、目上の人を立てて承ったことを告げるのですが、その内容に係わらず命令を受けるというへりくだった言葉なのです。
「承知しました」には相手の指示の内容を承諾したことが含まれていますが、「かしこまりました」にはその点は明確ではないこともあるのです。
そこのところが、若干ニュアンスが異なるのです。
無理難題を平気で言うプライドが高い上司が命令すると、それに口答えすると大変なことになるので、その場では「かしこまりました」と受ければ治まるのです。
プライドが高い人には、そんな使い方もあるようです。
2.承知しました
「承知しました」という言葉は、単に理解しましたというだけでなく、相手の要求や希望などの依頼を受けて、それを承諾した、あるいは引き受けたと言うことなのです。
だから、それを実行しなければ、約束が違うと喧嘩になることもあるのです。
「承知しました」とは、「おまえの言うことは分かったので、その通りに実行するよ」というようなものです。
もっと丁寧に伝えるには、文章では「承知致しました」と書く人も多いようです。
理解して受ける
単に相手の言うことを理解したというだけでなく、言われたことを承諾することであり、それはその通りに実行に移す約束でもあるのです。
言いっぱなしではダメなのです。
お客様との商談が終わって、その内容について改めてお礼のメールを送る時には、「打ち合わせの件、承知しました」となるのです。
打ち合わせの内容を、しっかりと履行しますよと言うことです。
これを「打ち合わせの件、了解しました」と書くと、「内容は確認しました」程度で、約束を履行してくれるかは明言していないことになるのです。
承知には、承諾の意味が強い言葉なのです。
3.かしこまりました
「かしこまりました」とは「承ります」と同じような意味合いで、目上の人からの命令を承ったことなのです。
しっかりと聞きました、と目上の人に告げているのです。
目上の人の命令を承る
社長や上役の命令や指示を受けた時に、丁重に「かしこまりました」と答えるのです。
目下や同僚の指示に使うと、相手は馬鹿にされたように感じるので使ってはいけません。
あくまでも目上の人や地位の高い人、尊敬されている人などに対して使う言葉です。
相手に失礼のない正しい言葉遣いを(まとめ)
大学を卒業して、希望の企業に見事に就職ができたけれども、その後に待ち構えている壁がいろいろとあります。
もちろん、自分の能力を活かして企業で立派に仕事ができるか、仲間や上司とのコミュニケーションが上手く行くか、体力的・精神的に対応できるかなど様々な困難が待ち受けているのです。
それともうひとつ大事なことは、相手に失礼のない正しい言葉遣いができるかということです。
学生の時には、ほとんど敬語を使うことがないため、就活の頃に礼儀作法や言葉遣いを叩き込まれることが多いようです。
しかし、一夜漬けではボロが出てしまいます。
誰でも、言葉の失敗はあるのです。
上司と話があると分かっている時には、あらかじめそのつもりで言葉も選んで話せますが、不意に上司や部長から電話がかかってきた時には心の余裕もないので、つい「了解!」と言ってしまって慌てるのです。
始めのうちは、先輩や上司からの指示が多いので、「承知しました」「かしこまりました」などの言葉は身に付けておくべきマナーと言えます。
社内の人間なら叱られるだけで済みますが、社外の取引先の目上の人となると仕事にも差し支えます。
代表的な敬語はマスターしておくべきです。
そのためにも、先輩たちの言葉遣いをしっかりと見ておいて、真似をすることから始めてもいいでしょう。
ここで紹介した「了解しました」「承知しました」「かしこまりました」の違いを理解して、正しい言葉遣い、適切なビジネスマナーを身に付けてご活躍されることを願います。