ネゴシエーション」という言葉を聞くと、なんだか難しい交渉をすることだと思ってしまいます。

普通の人ではできないような、特別な訓練を受けているとか、特別な能力を持っている人のできる技かなとも思ってしまいます。

昔、誘拐事件や強盗などの難事件が起こった時に、これの解決のために凶悪犯人と交渉する人物「ネゴシエーター」という映画があったことを思い出しました。

この時の映画のポスターには、ネゴシエーター(交渉人)というキャッチコピーがあったことも思い出しました。

凶悪犯と直接交渉する、つまりネゴシエーションする人の事なのです。

このような場面というのは、人の生命や財産が危機にさらされている状況なので、うかつなことをして失敗してしまうようなことになってはいけないのです。

そして、筋書きのない交渉になるので、予期せぬことも次々に起こってしまうことも多いのです。

普通の人の心臓では、緊迫した場面が続くときっとすぐに破裂してしまうかも知れません。

このような、特殊なシーンは別として、わたしたちの暮らしの中でも、ビジネスのシーンでも、ネゴシエーションはよく見られることです。

簡単なシーンでは、友人が通販である商品を発注したのですが、予定の到着時には外出していて受け取れない事情になったのです。

すると、さっそく通販会社に連絡を入れて配達人を紹介してもらい、直接引取りの時間の交渉に入ったのです。

自分の都合と配達人の都合を調整して、どちらにも都合が良い時間を協議したのです。

これも、簡単なネゴシエーションといえます。

届ける商品によっても、生もので冷蔵が必要な場合であると、暑い夏場には簡単には行きません。

必ず、受け取ったらすぐに冷蔵庫に入れる必要があるからです。

どこかの中継点で引き取ると言うようなことでは商品の品質にも影響が出て来るからです。

友達4~5人でどこかで食事会でもすることになれば、その中のネゴシエーションが得意な人が中心となって計画を立てるようです。

みんなのスケジュールを聞いて最善の日と時間を決めて、興味のあるお店とネゴシエーションを始めるのです。

ほとんどのお店はネットでの予約受付になっていますが、ネゴシエーションが得意な人と言うのはそれだけでは済ませません。

必ずお店に連絡を入れて、値引きの話、部屋の確保、特典の確認などと有利な条件を探し出すのです。

高層階のビルなら、夜景がきれいな部屋を無料で確保したリ、値引きできなければ何か別の料理を付けさすとか、とにかく有利な交渉を進めるようです。

このようなネゴシエーションが得意な人が仲間にいると鬼に金棒なのです。

実際のビジネスの場面でも、ネゴシエーションが得意な者が所属していると、いろんな取引や新規の会社との交渉の時にも有利に展開できるようです。

そのような交渉とは、今からでも習得できるものなのでしょうか?

今からでも身に着けられるものなら、ぜひともマスターしておきたいと変な欲を出してしまうのですが、実際のところはどのなのでしょうか。

いろいろと調べてみました。

ネゴシエーションの意味とは?

先ほど、ネゴシエーションとは、交渉や折衝という意味だと書きましたが、本当のところはどのような意味なのでしょうか。

そもそも、ネゴシエーションとはIT用語としても使われます。

それは、コンピューターや周辺機器の間で通信を行う時に、通信速度や誤り訂正をはじめとするプロトコル(手順や約束事のこと)に関する情報をやり取りすることなのです。

お互いの通信機器の調整のことなのです。

コンピュータ関係に留まらずに、わたしたちの生活全般における人間と人間、会社と会社、犯人と警察などの相互間で意見や方向性が異なる場合に、議論をして合意や調整をはかることを指す場合もあります。

人間社会では、いろんな立場の人が多様な利害関係に基づいて自分の意見を押し通そうとす時が多いものです。

そのような場面で、お互いの利益を尊重しながら、ある目的を達成するためにお互いの情報を提供して、すり合わせるということをするのです。

このすり合わせのことをネゴシエーションと称し、「交渉」や「契約や協定を結ぶ際の条件に関する話し合い」という意味に使われるのです。

契約や協定を結ぶ際の条件に関する話し合い

ビジネスシーンにおいては、それぞれの立場の違いによって利害が衝突するものです。

例えば、
①安くて美味しい食品を売りたい営業部と、美味しい食品を作るには良い材料を使う必要があって安くは作れないと主張する製造部の衝突。

②ある商品をまとめて購入したいから値段を下げろと言う仕入業者と、いくらまとめ買いをすると言ってもこの価格以下では会社がつぶれるという販売会社の営業部門との折衝。

③この仕事を今日中に処理してほしいと言う上司と、明日までにしてほしいという部下の折衝。

④規格をわずかに外れた商品を何とか売り込みたい営業マンと仕入会社との折衝。

などなど、そんな事例は山のようにあるのです。

そんな折衝においては、お互いに条件を出し合って話し合いを行い、その内容を契約書に詳細にまとめて契約するのです。

お互いが自分のところの利益だけを強引に主張する時には、ネゴシエーションが不調に終わる時があります。

問題解決の方法が不明瞭であると、お互いに主張するだけでは対立を深めてしまう結果にもなるのです。

交渉


よく何かの問題が発生すると、仲間の中のリーダー的な人物が「俺が、交渉してくる!」とみんなを説得して出かけるシーンがあります。

何かというのはいろいろとありますが、利害に関するもの、不公平に感じること、筋が通っていない時などに当たります。

例えば、飲食店でアルバイトをしているが、その中の一人が病気で1ヶ月間休むことになった。

しかし、飲食店の社長は、朝礼の時に「一人減ったけれどもみんなで頑張ってくれ」と言い残して出て行ってしまったのです。

残ったバイト仲間5人で話をしたが、この人数ではとても1ヶ月は対応できないという結論になりました。

そこで、先ほどのリーダー的な男性が社長のところに出かけて、「社長、2~3日ならいいですが1ヶ月も欠員のままでは身体が持ちませんし、お客様に迷惑が掛かります。至急追加のバイト生を募集してください。みんなの意見です。」と申し入れをしたのです。

この話し合いこそが「交渉」ということなのです。

欠員をどのように対応するかは、単にひとり採用すればよいだけでなく、働き方の中身を見直すことでも対応できる場合もあります。

回答はひとつだけではないのです。

「交渉」とは、相手と自分の方が利益を分かち合える合意に達するための相互コミュニケーションなのです。

「交渉」もビジネスのシーンで顧客とのやり取りだけでなく、社内での上司や部下の関係、部門間での関係、家庭での夫婦間のやり取りなど、様々なシーンで使われるものです。

しかしながら、会社と会社の間で何かの問題に関して交渉をして、一方の会社がもう一方の相手の会社を打ち負かしてしまうことになると、その時は良いのですが長い目で見るとしこりを残してしまうことになってしまいます。

何か別の期待されるビジネスができる時には、仲良くスムーズに仕事ができなくなってしまうのです。

つまり、勝利を目指す交渉では、たとえ勝利しても長期的な人間関係などを考えると、デメリットも大きいのです。

そこで人気なのが、双方がメリットを得ることができる「Win-Win型」の交渉術なのです。

双方の立場ではなくて利害に焦点を合わせた交渉術なのです。

この「Win-Win」の原則に基づき、対立を越える新たな合意を目指す交渉なのです。

折衝

「折衝」という言葉は、「交渉」とよく似ています。

「ちょっとその件は交渉して来るわ」と言って話し合いに行くときがありますが、「ちょっと折衝して来るわ」などはあまり使わないようです。

このように、同じような行為なのですが、「折衝」は「交渉」よりも耳にしない言葉かも知れません。

「折衝」という言葉は、古くは戦国時代の中国で、敵が衝突してくるのを制止したり、敵が突いてくる矛先を折ってしまうことが語源になっているようです。

そう考えると、なんだか戦いの場の肉弾戦を連想してしまいます。

敵と真正面から向き合うという、緊迫した雰囲気にも聞こえるのです。

このように、「折衝」とは敵の攻撃をくじき防ぐことから、利害関係が一致しない相手(敵)と、問題を解決するために駆け引きをすることなのです。

現代では、利害が一致しない相手とでも、相手の立場を思いやり上手く折り合いをつけることを意味しています。

先ほど「交渉」と「折衝」とはよく似ていると書きましたが、意味合いは若干異なっています。

それは、最終の目的が違っているのです。

つまり、「交渉」はあくまで「お互いが納得する」方向で話し合いをしますが、「折衝」では「お互いが納得するために、上手く折り合いをつける」ことを目的としているのです。

「折衝」は、対立する相手がいて、こちらの意見とはまったく噛み合わない状況の時に使うことが多いのです。

あくまで、相手に勝つことを前提としていましたが、勝ってしまっても長期的にはデメリットも多いので、最近では「Win-Win」のソフトな「交渉」の方が好まれているようです。

なお、余談ですが「折衝」という漢字を「接渉」と書く人がいますが注意すべきです。

ネゴシエーションの必要性

「ネゴシエーション」とは、省略して「ネゴ」とも言います。

「交渉」や「折衝」と訳されます。

「ちょっと、ネゴしてくるわ」などと使います。

これは「ちょっと交渉してくるわ」とでも言うようです。

7人で居酒屋に行った時にそのうちの一人が、「個室に入れるように、ちょっとネゴして来るわ」などと言って交渉するのです。

個室があいにく満室であっても、仲の良い友達が気兼ねなくワイワイと話せる場所を確保させたりするのです。

お店にとっては、まとまった数のお客さんに入って欲しいと思っているし、お客の方は仲間と心おきなく騒ぎたいと思っているのです。

こうなると、お互いが満足するように上手く折り合いをつけること、つまり「折衝」することになります。

このように、ネゴシエーションが得意な人は、ネゴシエーションスキルが高いと言えます。

ネゴシエーションスキルを身に付けることで、コミュニケーションを円滑に進めることができるだけではなく、関係者と協力して問題解決に当たることができるのです。

ネゴシエーションを上手く進めることによって、交渉の相手を説得するだけでなく、双方にとって納得する結果に結び付け、お互いの信頼関係も高めることができるというメリットもあるのです。

言い換えると、昔のことわざで「雨降って地固まる」ということなのです。

上手くネゴシエーションを進めることで、さらに以前よりも信頼し合える関係になれることです。

これらのことから、ネゴシエーションが必要とされる条件としては、①お互いに利害の衝突がある時、②問題の解決方法が明確でない時、③お互いがある程度の妥協を容認している時、です。

お互いが勝つことだけを目的としている場合で、妥協できない状況ではネゴシエーションは意味がなくなり、続けることは時間の無駄となります。

双方が折り合いを見つけたいという気持ちがあれば、ネゴシエーションは効果があるのです。

ビジネスマンが身につけておきたいスキルのひとつ


「ネゴシエーション」とは、折り合いを求めるための交渉や折衝のことですが、これを成功させるための技術や手法を「ネゴシエーションスキル」と言います。

日本語では、「交渉力」や「交渉術」などと訳されています。

ビジネスにおいては、利害が対立する相手企業との折衝や、取引先との取引条件をめぐってのネゴシエーションなど、様々なシーンで必要になってきます。

優れたネゴシエーションは、対立を浮き彫りにするのではなく、当事者間の信頼と納得を得ることができるために、ビジネスマンとしてはこのスキルを身につけることが求められているのです。

単に駆け引きのテクニックではない

一般的に、ネゴシエーションというと特別な交渉能力を持っていて、相手に対していかに自分の主張をのませるかという敵対的な駆け引きのイメージが強いものです。

しかし、理想のネゴシエーションとは、議論の勝ち負けだけを競うものではないのです。

相手と競い合うことではなく、交渉相手と共に課題を協力して解決していく建設的な協議なのです。

単に、ずる賢く抜け目のない交渉によって得るものではなく、理論でねじ伏せることでもないのです。

単に駆け引きのテクニックでは無いことを知ることです。

お互いに納得できる条件や結果をいかに効果的に導き出すか

ネゴシエーションの基本となるものは、交渉の方向が、①賢明な合意を得ることが出来そうか、②その解決策は効果的であるか、③当事者間の信頼関係を損なわない物であるか、の3点が重要なのです。

お互いに納得できる条件や結果を、いかに効果的に導き出すかがポイントなのです。