新入社員として企業に入社してから、当面は社会人として、企業人としての心構えを教え込まれます。

学生の時には、専門的なことを一生懸命に学んできたはずですが、社会人としての常識というようなことは、あまり身に付けていないようです。

朝の挨拶の仕方ひとつをとってもいろいろと指導を受けて、改めて社会人になったと認識するのです。

社内の人間同士の場合なら、「何やってんだ!」と目上の人から一喝されれば済みます。

しかし、会社同士の交流では、そうやって叱ってくれることはありません。

「あんな無礼な奴とは取引しない」などと商売に影響が及ぶ時があるので、いろんな場面のマナーや礼儀について教え込まれるのです。

外部との連絡の窓口である営業部や購買部などでは、取引先の会社の名前や担当者の名前を覚えることから始まるのです。

新人がドキドキするのは、電話を取る時です。

「社外から電話がかかってきたら、すぐに取れ!」「3コールまでに取るんだ」などと教えられていても、実際に目の前の電話機に着信があれば、心臓はバクバクと強烈に鼓動するのがわかります。

そして、電話を受けて出た時の口上が長いのです。

「お待たせいたしました。◯◯会社の◯◯課の◯◯です。」と名乗るのですが、慣れないと緊張のあまり舌を噛んでしまったということもあるようです。

相手がベテランの社員であれば余裕で「新人さんかね?頑張ってね!」などとひと言声をかけて励ましてくれますが、相手が性格の悪い人なら「◯◯会社ですか?よく聞こえなかったわ」などとひと言嫌味を言ってから本題に入るようです。

かけて来た方が「◯◯会社ですが」と名乗ると、すかさず「毎度お世話になっております」と挨拶をしてから話を聞くのですが、この一連の口上を覚えてなれるのは、やはり時間がかかるようです。

特に男性の新人は、普段からこんな言葉を話す機会がないので、戸惑ってしまうようです。

すると、わからないことでもわかったふりをしたり、時々とんちんかんな返事をしたりして、お客様に迷惑をかけてしまうことにもなってしまうのです。

そして、そのことを黙っていると、お客様の方から直接自分の上司に電話が入り、迷惑をこうむった旨の苦情が届いてしまいます。

そうなると、上司のところに呼びつけられて「サッサとわたしに報告しろ!」と一喝されてしまいます。

「新人の基本は、ホウレンソウだ!覚えておけ!」となるのです。

報連相」とは、上司や同僚への「報告・連絡・相談」のことだったのです。

こうやって叱られてきた人も多いのではないでしょうか?

報連相とは?

「報連相」とは「報告・連絡・相談」の略号です。

それぞれの頭文字を取って「報連相」と呼んでいます。

ビジネスにおいては必要なことと思われていて、何か仕事が滞ると「オイ、ホウレンソウをしっかりと守れ!」などと叱咤されます。

何かあると「報連相、報連相」と呪文のように呟く人もいるようです。

報連相が実行されていれば、仕事が全てうまく行くとは限りませんが、「おれは何にも聞いていないぞ!」などと報告が遅れていることと仕事の進捗が悪いことを重ねて考える人も多いようです。

何でもかんでも、事細かく報告すればよい物でもなくて、これにこだわってしまうと相談の回数が増えてしまって、仕事のペースが遅くなってしまうこともあるようです。

相談が多くなると自主性が伸びなくなるし、責任感も欠如してしまうという欠点があるようです。

「そんなことぐらい、自分で判断しろ!」と突き放されてしまうことにもなります。

ともかく、ビジネスの世界では「報連相」は基本であって、お互いの意思疎通を図る手段として重宝されているようです。

では、それぞれの意味について考えてみます。

報告

「報告」とは、上司からの指示や命令に対して、部下が途中経過や結果を告げ知らせることです。

報告するのは指示を受けた者で、上司など指示をした相手に報告するのです。

部下から上司に、後輩から先輩へというように、目下の者(部下)から目上の者(上司)に向けて行うようです。

この報告によって、状況を共有することにもなるのです。

例えば、ある食品を全国販売している企業が、ライバル社が思わぬ地域で販売を増やしているという情報を手に入れた。

今からでも遅くはないのですぐに当社も販売をしたいと上司は考えたようです。

さっそく部下を呼び寄せて、「ライバル社があの地域で売上を伸ばしているようだ。

なぜあの地域でよく売れるのか、外に同じような条件の地域があるかをすぐに調査しろ!」と指示を出します。

これに応えていろいろ情報を収集し、確かな情報を整理して上司に「報告」するのです。

連絡

「連絡」とは、得られた情報を必要な人に知らせることを意味します。

「あの件について調べるように指示されているが、その後はどうなったのかな?」不安に思ったところをキッチリと状況を知らせることなのです。

会社の仕事では、関係者全員に状況を知らせて周知させることが重要なのです。

この時に大事なことは、自分の意見を伝えるのではなくて、事実のみをしっかりと伝えるのです。

例えば、あるプロジェクトを行っているメンバーの誰かが怪我で休むことになった時に、全体の進行が遅れないように「◯◯さんが◯◯の怪我で1週間お休みします。

仕事に支障のないように対応してください」などと連絡します.。

事実を全員で共有するのです。

これを受けて、上司からまた新たな指示が出て「報連相」が行われることにもなるようです。

相談

物事を決める時に、自分だけで考えずに他のひとにも意見を求めたり協議をすることです。

簡単な案件なら、自分の判断で行うことができますが、重要な決断をする時などに判断を間違えないようにするためです。

まずは、指示を受けている上司に相談するのです。

自分の独断で決めた時に、間違いを起こして取り返しの付かないことにならないように相談するのです。

例えば、工場の生産ラインのモーターのひとつが故障して止まりました。

これでは予定の納期までに生産ができなくなるようです。

故障の箇所が判明して新しい部品を探しましたが、同じメーカーのものがありません。

他のメーカーのものならあるのですが、それを使って組み立てて、動かしてもよいのかが判断できないのです。

他のメーカのものを使うことによって、新たな故障を誘因するかも知れません。

悩んだのですがすぐに上司に相談すると、「それを使って修理をすぐにやれ!一時的なら問題はない。以前にも経験がある。」と断言してくれたのです。

このように、自分では経験がないようなことを指導してくれることもあるからです。

報連相はなぜ必要なのか?

ある独身男性3人の仲間が、彼女を見つけるために合コンをしようと計画しました。

リーダー格の年長の男性が「女子大生と合コンをしたいのでどこの大学の学生がいいか考えろ!」と残りの男性2人に指示しました。

そして2~3日後に集まって、調査した結果の報告があったのです。

そこでは「◯◯大学がいいなあ」と決まってお互いの意思疎通ができました。

さらには「その大学の女学生はあの店によく集まっている」との情報もあった。

この情報はみんなに共有されたのです。

その次に考えることは、いかにして彼女達と話をつけるかです。

それに困ってある先輩に相談すると、「あそこの店は、我々の大学のOBが経営していて、わたしもそのOBはよく知っているよ」とのことでした。

じゃあ先輩を通してお店のOBにコンタクトを取ろうということになったのです。

こんな遊びでも、報連相は役に立っているのです。

会社のように、多くの人のチームとして活動する時には、それぞれが計画通りに仕事を進めるためにも、キッチリとコミュニケーションを取ることが必要です。

しっかりとコミュニケーションを取るためには、報連相が重要なのです。

組織内の情報共有

大きな組織になればなるほど、仕事を効率的に進めるためには、情報を共有することが大切です。

グローバル化が進んでくると、世界の各地に展開する拠点間のコミュニケーションを円滑に進めるためにも、会社の情報は早く関係者全員に連絡する必要が生まれてきます。

今やネットで社員は繋がっていますので、どこにいても即座に情報を共有できる体制にあるのです。

後は、いかに早く正しい情報を発信するかなのです。

そのためにも、基本の報連相は重要なツールなのです。

会社勤めを経験すると、どこの会社でも効率的に仕事を処理していくには「報連相」が不可欠だと教え込まれます。

定期的な社員研修の席でも、機会があるたびに「報連相」の重要性について講習を受けるようです。

しかし、言い換えると、一般的には「報連相」という形式については認知されていないようです。

上司が口酸っぱく言っていても、形式にこだわってしまって内容のない報告をすることが多いからです。

ありのままの正確な情報を報告するよりも、ちょっと色を付けて自分の考えを織り込んだ内容の報告をすることも多いようです。

時には、いいかげんな推論も含まれていたりするのです。

こうなると、そんな情報を仲間全員に「連絡」することになれば、会社は間違った方向に進んでしまい、取り返しのできない事態に陥ってしまうのです。

「報連相」のポイントは、正しい情報をいかに早く連絡して組織内で共有するかにかかっています。

情報は共有されることによって初めて価値を生み出すのです。

問題の回避と早期発見


小さなころを思い出すと、試験の成績でも100点を取ったら家に帰るなり、親に報告して自慢をするのです。

「100点取ったよ!ご褒美に何か買って?」などと嬉しそうに報告するのです。

ところが、試験で悪い結果をもらった時には、試験があったことを知らせずに秘密にしておくことがありました。

子供の友達が遊びに来て、試験があったことをバラスと、親はそのことを尋ねます。

結局、試験の点数が悪かったことがバレてしまうのです。

このように、自分に都合の悪いことはつい隠してしまったり言い訳を考えてしまったりします。

何かの都合で正確な情報を報告しないことは、大人の世界でも見受けられるものです。

しかし、正確な情報を素直に報告しないことで、会社が不利になってしまうこともあります。

以前に、消費期限が切れた食材を使って食品を販売していた会社が、食中毒事故を起こしてしまい、保険所からの3日間の業務停止命令と報告書の提出を命じられたのです。

担当者が作ってしまってから気が付いたのですが、上司に「報告」せずに「何とかなるだろう」とそのまま放置していたようです。

その結果、世間からはひどい会社だと非難されて売上も大きく落ち込んだそうです。

すぐに上司に「報告」していれば、出荷を停止するなり善後策もすぐに打てたのですが、お客さんが食べてしまって食中毒で入院することになってしまっては、もうどうしようもありません。

こんな問題もすぐに発見できるように、現状を正確に「報告」することが、問題の回避に繋がるのです。

詳細な報告を行っていると、問題の早期発見にも繋がってくるのです。

新しいアイディアの発見

「報連相」は正確な情報を共有することから始まりますが、集めた情報を整理していくうちに新しい考えも浮かんできます。

共有する人達の中には、専門的なことに通じている人やグローバルに活躍している人も多いので、意外な展開になったり新しいアイデアの発見に繋がることもあります。

「相談」のところで新しい発見をすることで、また新たな方向に進んで行くことにもなります。

仕事の効率化に関係したり、新たなビジネスの発見に繋がることもよくあることです。

建設的な意見を出し合ったりして、報連相で仕事がはかどりスムーズに動き出したリ、新しいことを発見する機会もあるようです。

報連相を効果的に行う3個のコツ!

上司から指示されたことを実行して、その結果を上司に報告する。

これはごくあたり前のことなのですが、指示通りに実行できなかったり遅れたりと問題が発生すると報告は遅れてしまいます。

そして、より良い結果を報告したいと考えてしまうと、さらに報告が延び延びになってしまいタイミングを逃してしまうことにもなります。

「報連相」の「報告」の段階でつまずいてしまうと、「連絡」「相談」まで進まないこともあります。

そうしているうちに、続けてまた上司から新しい指示が出たりして、どんどんと追い込まれてしまうのです。

これでは、「報連相」の効果など期待できません。

組織の活動もペースが落ちて目標の達成も危ぶまれるようになります。

そんなことに陥らないように、「報連相」を効果的に行うコツについて考えてみました。

報告はタイミングと方法が大事


何かのミスをした時には、心情的にすぐに報告しづらいものです。

どうしよう、いつ報告しようと悩んでいるうちに問題は表面に現れてしまい、先延ばしすればするほど深刻になっていくのです。

ひとりで悩む時間をすこしでも短くしてリスクを減らし、善後策をすぐに実行できるように現状を「報告」すべきなのです。

部下に指示を出した上司としても、その経過はどうなのかと気にかけているはずです。

上司の方が明らかに経験は豊富で、問題が発生してもその対応力は高いのです。

だから、何か予想外の事態になったり、問題が発生して躊躇した時には、その旨を途中経過としてすぐに「報告」するのです。