ホワイト企業という言葉は、2013年に東洋経済新報社がホワイト企業トップ300ランキングを発表したことにより世間に出ました。

主に就活学生をターゲットとした優良企業の紹介でした。

つまりこれはM&Aのとき敵対的買収者に対し、友好的なそれとして現れるホワイトナイト企業の短縮形ではありません。

最近では東洋経済新報社だけではなく、いろいろなところからランキングが発表されています。

リサーチサイト「ヴォ―カーズ」や「ランスタッドアワード」などです。

またホワイト企業大賞企画委員会という組織があり、これまで3回の大賞を発表しています。

限られた有名企業だけを対象としている、または独自の調査で発掘した企業を紹介するのが主眼など、切り口はさまざまです。

経済産業省も今年から健康経営優良法人認定制度が始まりました。

大規模法人部門(ホワイト500)235法人、中小法人部門95法人が認定されています。

言葉の浸透度合いはブラック企業に比べまだこれからです。

しかし経済産業省の参入もあり、今後ホワイト企業に関する議論はますます盛んとなるに違いありません。

ホワイト企業で働きたいあなたへ

ホワイト企業にランク入りしている優良企業に職を得るにはどうすればよいのでしょうか。

それはまずブラック企業に入らないことです。

ではブラック企業でなければそれはホワイト企業といえるのでしょうか。

ホワイト企業とはどんな会社のことをいうのでしょうか。

単なるイメージにすぎないのでしょうか。

これからゆっくり分析をしていきましょう。

1. ホワイト企業とは?


各種ランキングやホワイト企業大賞を見ると、調査対象の範囲、調査手法も違います。

東洋経済新報社のそれは、高卒、大卒を問わず、新卒社員の3年後の定着率(離職率)を最大の基準の採用しています。

今はこれを欠かせない基準として、その他の要素を付加し、総合的指標となる中途段階のようです

2. 日本のホワイト企業率ってどれくらい?

日本のホワイト企業率ってどれくらいなのでしょうか。

もともと概念自体はっきりしていませんから、これはどの基準を重視するかにより異なります。

ブラック企業以外は全部ホワイトなのか、それとも中間をもうけるかによっても当然違います。

与信管理サービスのリスクモンスターによる2016年1月の600人調査では、あなたは自身の勤務先がブラック企業だと思うか?という質問に対し、24.5%の人がそう思うと答えています。

残り75.5%がホワイトです。

二者択一の場合はこういう結果となるのでしょう。

どちらでもない、という項目を入れると、ホワイトはどうなるのでしょうか。

興味深いところです。

3. ホワイト企業の探し方


ネット上におけるホワイト企業のランキングは増える一方です。

具体的な会社名はたくさん手に入ります。

何を重視したランキングかも理解できます。

調査目的に応じたピックアップは十分できそうです。

ホワイト企業と言われる会社の20個の特徴

これからは、ホワイト企業の備えている、または備えるべき要素について、じっくり見ていくことにしましょう。

1. 平均年収が高い

平均年収は業界により、差ははっきりしています。

金融やマスコミ、広告業などは昔からの高給業種です。

航空会社もそうでしょう。

パイロットは国際標準から見ても破格の厚遇といってもいいようです。

最近はIT関係も高いでしょう。

したがって同じ業界の中における給与水準を調べて判断をすることが必要です。

見かけは高給でもその業界で平均以下ということもあり得ます。

2. 勤続年数の平均が長い

勤続年数の平均の長さは、優良会社かどうかを判断する代表的な指標です。

勤続年数の長い社員が多い会社では、組織図や職制以外にも、会社のもつノウハウを伝えたり、共有したりするルートがあります。

先輩が後輩の面倒を見る、というのもその一つです。

強い会社の隠れたノウハウとなっていることが多いものです。

3. 離職率が非常に低い

離職率の低さが、平均勤続年数の長さを押し上げています。

東洋経済の2015年版ホワイト企業ランキングによると、光学機器のニコンが第一位となっています。

2011年入社の新入社員、男性104人、女性19人が3年後も全員在籍していました。

しかし2017年3月期では90億円の赤字を計上してしまい、1000人規模のリストラが報道されています。

ニコンの一眼レフは中高年のカメラファンにとって、少年時代のあこがれの的でした。

いつまでもトップブランドでいてほしいという願いがあります。

ニコンは社員を甘やかしすぎたのでしょうか?

4. 福利厚生が充実している

そのニコンの福利厚生は充実しています。

フレックスタイム制度や半日単位の有給休暇、同居しない親族までを対象とした介護休暇制度があります。

さらに子育て世代へのフォローも手厚く、育児休業も最長2年まで可能です。

さらに育児休業復職率は100%です。

女性活用にも意を用いています。

5. 休日が多い

休日の多い少ないは業種に大きく左右されます。

転職サイトDUDAの2013年の調査によると、年間休日の多い業種第一位は、自動車・輸送機器メーカーで年間135.2日、少ない業種第一位はコンビニで95.8日となっています。

多い方ではトップ10のうち9業種はメーカーです。

少ない方では年間104日の完全週休2日に満たない業種が3つあります。

コンビニの他に、外食・レストランと芸能・芸術となっています。

メーカーは工場を止めてしまえば、生産に仕事はなくなります。

安定した休日を望む人にはメーカーがおすすめです。

6. ボーナスが多い


ボーナスについてはあまり気にする必要はないでしょう。

年収ベースで考えることが大切です。

大企業は春闘でボーナスの月数まで決めてますが、春闘など関係ないという中小の企業では、年収ベースを重視すべきです。

それに加え、儲かったときに成果配分(特別ボーナス)を出しているかどうかをチェックしましょう。

7. 上司からのパワハラがない

上司からのパワハラは、今やブラック企業の象徴といってもよいでしょう。

勤続年数の長い人が多い、一見するとホワイト企業でも、パワハラ、セクハラはあまり罪に問わず、という体質の企業も存在します。

とくに古い名門企業には注意が必要です。

しかし具体例まで見極めなければ、なかなか実態は見えてきません。

8. 残業が少ない

残業の少ない会社は、効率的な業務の運営ができています。

反対に、取引先を待たせたまま、突然予定外の会議が招集され、結果として自社にも取引先にも残業は発生してしまう。

そのような会社は、取引姿勢を重視したランキングなら、とてもホワイト企業とはいえません。

無駄な仕事を作り出す社員のおかげで、周囲に残業を発生させているのです。

取引先企業からの評判を探ってみましょう。

9. 退職金がしっかり出る

厚生労働省の「就労条件総合調査」によると、退職金制度のある会社は75.5%、ない会社は24.5%(平成25年)です。

従業員1000人以上の大企業では93.3%の会社に退職金があります。

一方99人以下の中小企業では72.0%と、これは予想通りです。

しかしこの調査で注目されるのは、ピークの平成5年には、92.0%の企業が退職金制度あり、と答えていますが、20年かけて徐々に減っていることです。

その理由として挙げられたのは、1)退職金原資の積み立て不足、2)同業他社の水準に合わせた。

3)年功重視から能力、業績重視に改めた。

4)労働者の高年齢化に伴う人件費増に対処。

などです。

1)は論外ですが、3)の方針をとる会社では、能力、実績のある人には多く、しかも現役中により多く配分されることにます。

したがって退職金のあるなしに加え、いつもらうか、ということも重要な視点として取り入れましょう。

10. 各種手当の充実

かつて多くの地方自治体では、メガネ手当、背広手当、マイホームを持っているのに住宅手当、またさまざまな特殊勤務手当を勝手に作って、世の批判を浴びました。

今は大分少なくなったそうです。

したがって手当はたくさんあればいいというものではありません。

どれだけ従業員のライフプランによりそう、有用なものが揃っているかどうかです。

数よりもその質を重視していきましょう。

11. 女性社員への配慮がある

東洋経済新報社のホワイト企業ランキングでニコンに次いで2位につけたJSR(化学メーカー)は、充実した出産・育児支援制度を運用しています。

産前から育休期間には社内LANアクセス専用パソコンを貸与し職場復帰を支援しています。

ベビーシッター補助制度もあるそうです。

できる範囲内で徐々に職場復帰していけるわけです。

相当に先進的な制度です。

12. 女性の役員もいる

残念ながら日本はまだ女性役員もいる、という状況です。

実力で上り詰めた人と、女性の活躍をアピールする目的で抜擢された、能力を伴っていない人とが混在している段階だと思います。

それに意欲の問題もあります。

日本女性は中国人やアメリカ人に比べ、明らかに出世欲は低いと思われます。

もっとも日本人の上昇意欲の低さは男性社員も同じで、これは性別を問わない課題でもあります。

13. 社員間の雰囲気が良く、人間関係が平和

最近テレビでは、新興IT企業を紹介する番組をよく見ます。

それらに共通しているのは社長以下みな若いこと、服装が自由でスーツにネクタイの人などいないこと、オリジナリティに富んだリフレッシュ空間を必ず作っていることなどです。

年功序列などの非公式に迫ってくる制約もなさそうです。

業務に集中できるようにオフィスの設計をしています。

新しい社員間の人間関係が造成されていることでしょう。

こういう会社の勢力が増して行ってほしいものです。

14. 順調に業績を伸ばしている


家具・インテリア小売り大手のニトリは、35期連続増収増益を達成しました。

かつてデフレ銘柄と呼ばれ、安物売りのイメージがつきまとい、お値段以上の価値ははないよね、という印象しかありませんでした。

それが品質を向上させ、商品を入替え、商品開発に女性を大量起用し、都心に出店するなどのしっかりした戦略を持ち、売上をぐんぐん伸ばしていきました。

小売業は労働時間は長く、有給も取りにくいなど人気業種ではありませんが、順調な業績に比重を置くとすれば、ニトリは最高のホワイト企業でしょう。

15. 成果をしっかり評価してくれる

話は飛びますが、鎌倉幕府の創業者、源頼朝は、合戦における戦功の評価にとても気を使ったそうです。

一部の者の進言を鵜呑みするとはなく、徹底的に調べ尽くしました。

そして誰もが納得する論功行賞を行いました。

武将たちは信頼できる上司として頼朝を盛り立てて行きます。

そして天下は彼のモノになりました。

このように部下の正確な評価は、極め付きに重要なことです。

ところがビジネス書を見ても、どうもあまり重視されているいるようには見えません。

不思議なことです。

ホワイト企業を見定める上で、高い優先順位に置いておきましょう。

16. 有給消化がちゃんとできる雰囲気である

これもやはり業種によって差が出ます。

小売業や外食、サービス業は、営業にあたり確保しなければならない最低人員があります。

有給休暇を取得するにあたって、同僚との調整は不可避です。

職場風土のよくないところでは、そもそも言い出すことすら難しい、ということにもなりかねません。

また繁忙期やセールの週なども暗黙の了解として申請しない、ということになっている可能性もあり得ます。

有給を取りやすいのはやはりメーカーということになるのでしょうか。

17. 社員の会社に対する忠誠心が高い

会社の方針がはっきりしていれば、社員による会社批判や愚痴はあまり出ません。

さらにニトリのように増収増益が続けば、会社への信頼はいやが上にも増していきます。

中途で辞める従業員は少な、く業務の継続性と確実性は高まります。

それによって世間の評価も上昇していきます。

そうして従業員全体の忠誠心は自然に高まっていくでしょう。

18. 社員が会社を愛している

これは一方的な片思いになりやすいので注意が必要です。

オレはこんなに頑張っているのに会社は何も答えてくれない、というゆがんだ愛社精神に容易に変化してしまうからです。

こういう状態になると耳を傾けるべき批判を受け入れられなくなります。

入れ込みすぎの社員が多い会社には、よく注意しましょう。

19. 取引会社からの評価も高い

仕入れ先の企業は、売り先企業のことを悪く言うことはありません。

ですから売り先である顧客企業がどう評価しているかがポイントです。

そこにその会社の持つアドバンテージが集約されています。

それには市場的な価値だけではなく、社風の良さも含まれます。

20. 研修や教育制度が充実している

先ほど紹介したニコンでは、会社指定の技能検定合格者に報奨金を出しているそうです。

また指名制のようですが、半年間の語学留学をはじめ、Eラーニングや通信教育などの自主啓発制度も積極的に推進しています。

もちろん社内公募やFA制度も導入済みということです。

これらがしっかり運用されていることはホワイト企業の前提です。

ホワイト企業が多い業種とは

ホワイト企業の多い業種は、東洋経済新報社のリストやこれまでの分析から見ても、経営計画の立てやすいメーカーです。

ここではいろいろな業種にも目をむけてみましょう。

1. 大手商社

大手商社は基本的に宣伝上手です。

経済系メディアにとってはニュースの宝庫であるとともに、大事な広告主でもあります。

ゆめゆめおろそかにはできません。

したがって今流行りの言葉でいえば、大手商社広報部の言うことを"忖度″し、意を汲んで発信します。

一般の商売に関する、例えば資本参加やM&Aなどのニュースでも非難めいた論調は見たことがありません。

働き方や給与に関する発信でも同様です。

先進的な総合商社が新しい取り組みをはじめた。

働き方改革の先頭を切るつもりである。

などといった調子です。

しかしこれに騙されてはなりません。

仕事は非常にハードです。

大手商社では異動の希望は結構聞いてもらえるそうです。

例えば食料部門から繊維部門などへの転属などです。

それはどこへ行こうが結局ハードだからそれくらいは聞いてやろう、ということのようです。

商社の総合職は一人一人がその部門の社長のようなものです。

会社の看板とインフラを利用して、いくらでも大きなプロジェクトを動かすことも可能です。

そのやりがいは比類ありません。

テレビのプロ野球中継を見ていると、神宮球場のバックネットに伊藤忠の広告があります。

「一人の商人、無数の使命。」という文字が読み取れます。

これは商社の本質をよく表している言葉です。

かつて三井グループでは、各グループ会社の平均寿命を調べたことがあるそうです。

すると一番寿命の短かった会社は、三井物産という結果になったそうです。

本当のことかどうかはわかりません。

しかしありがちなことだ、と認識され広く人口に膾炙しています。

大手商社はよい会社ですが、楽な会社ではありません。

また能力のない人はおよびのない会社でもあります。

2. 銀行


銀行は旧大蔵省(財務省)による護送船団方式に守られ、雑な経営をしていました。

いざとなれば国が天下りポストと引き換えに守ってくれるのですから当然です。

効率経営など頭にありませんでした。

バブル崩壊後その付けがでます。

これに金融ビッグバンが加わり、急速に再編が進みます。

ご承知のように都市銀行は、三菱東京UFJ、三井住友、みずほ、に集約され、興銀など長期信用銀行3行は消滅しています。

この間どれだけの行員がリストラされたのか、正確な資料はないようです。

現在はまた地方銀行の再編が進行中です。

したがってバブル崩壊以降の銀行業界は、決して労働者にとってよい業界ではありません。

リストラにの経験を積んだことで生き残っている銀行には、さまざまな人事のノウハウが蓄積されています。

その意味においては、ホワイトな職場になりつつあるということでしょうか。

筆者はみずほ銀行の海外支店の方にお話を聞いたことがあります。

支店長以下4人の日本人行員の最初に入った銀行は、それぞれ興銀、富士銀行、第一勧銀、30代前半の若手のみ現みずほ銀行と4者4様でした。

バランス人事で、気をつかうポイントは多いようです。

本当のすぐれた業界となるにはまだまだ時間がかかりそうです。

3. 大手メーカー

大手メーカーは、国内、海外の各地に工場を持っています。

新幹線の車窓から見えるそれらの国内工場は、花壇や芝生がきれいに整備され、いかにも日本の工場らしい凛とした上質なたたずまいを見せています。

企業城下町とまではいかなくても、地方都市にとっては、こうした大手メーカーの工場は珠玉の存在です。

地元の人にとっては、クルマでさっそうと通勤する憧れの就職先でしょう。

給料も高く休日も多い、こういう会社は地元中小企業にはあまり見出せません。

地方都市では最も恵まれた職場に違いないでしょう。

本社も何も東京にある必要はありません。

メーカーには東京一極集中を是正する先頭に立ってほしいものです。

4. 電力会社

電力会社は地方在住者にとって、最高の職場といっても過言ではありません。

東日本大震災前の東京電力や関西電力などは、それぞれ東京と大阪における最高の会社だったでしょうか。

大都市圏ではすばらしい会社がたくさんあります。

高いランクではあっても最高とはいえなかったでしょう。

しかしこれが北海道電力、九州電力、北陸電力、四国電力などになると、完全に地元で最高の会社の1つです。

地元の秀才は採用のし放題、エリート会社というか地元財界の中心に位置していますす。

忠誠心も高く、勤続年数も長いのは当然です。

筆者はかつて東電広告というグループ会社の人とお目にかかったことがあります。

電柱広告などの営業マンでした。

そのときどうしてそんなことを聞いたのかよく覚えていませんが、「やめる人はいますか?」と聞いてみました。

すると「誰もいません。」と即答でかえってきました。

東電グループにいるという親方日の丸の安心感は他人には図りがたいものなのでしょう。

5. 製薬会社

製薬業界の特徴はほとんど景気の動向に左右されないことです。

売上の90%は医師の処方する医療用医薬品で、ドラッグストアなどで売られる医薬品は10%です。

市場が急に縮小することはあり得ません。

人々の健康や健康寿命に対する関心は高まるばかりです。

したがって製薬会社では新薬開発、宣伝、営業などいずれも自分の業務に専念することができます。

経営判断ミスによる業績不振はもちろんあるでしょう。

しかし影響はその会社だけにとどまり、業界全体に波及しません。

同業他社への転職も可能でしょう。

ライフプランを作りやすい業界と言えそうです。