夫婦関係に亀裂が入り、このまま一緒に暮らし続けるのは難しいという気持ちが高まったとき、別居か離婚か悩む人は多いのではないでしょうか。

その時だけの感情で決定すると後悔しやすいので、冷静に判断したいところです。

判断材料として、別居と離婚双方のメリットとデメリットを把握し、計画を立てましょう。

別れたい!別居するべき?いっそのこと離婚するべき?

「別れたい!」にも色々あって、今一緒にいることがしんどいのか、今後もおそらくずっとしんどいのか、もう顔も見たくないほどの溝があるのか、などの程度の差を一括りにして結論を出すことはできません。

まずは自分の気持ちがどのレベルまで来ているのかを考える必要があります。

その上で、別居か離婚か、メリットとデメリットを比較しながら検討してみましょう。

別居のメリット・デメリットは?

別居のメリットとデメリットを紹介していきますが、その前に「別居」とは何なのかをお伝えしておきます。

単身赴任で一時的に別居していても、それは法的に別居とはいえません。

また、どちらかが自分勝手に出ていったケースも、別居ではなく「悪意の遺棄」といって、夫婦にかかる義務を一方的に放棄したものとみなされます。

蒸発、失踪と言った方がイメージしやすいかもしれませんね。

さて、上記を踏まえて別居とは何かを考えると、理由に住居を別とすることはもちろん、双方同意していることがポイントとなります。

婚姻関係は続行中ですから、夫婦の義務や権利も存在したままです。

なお、特殊なケースとして、一方的な別居でも悪意の遺棄にならないこともあります。

それは正当な理由がある場合です。

暴力や経済的DVを受けている、相手の不貞行為に耐えられないなどが該当しますが、素人判断は危険なので、踏み切るときは弁護士や行政に相談しておきましょう。

メリット

まずは別居のメリットから解説します。

将来的に離婚する気持ちがあるのか無いのかでも違ってきますが、どちらについても項目として設けました。

法律やお金に関わる話も多いので、しっかり把握しておきましょう。

冷静になれる


感情面では冷静になれることが最大のメリットといえます。

離れてみてから相手の大切さが分かったり、自分が怒っていたことが単なる嫉妬だと気付くなど、色々思うところがあるでしょう。

逆に、冷静に考えても相手と一緒にやっていけないから離婚しようと決意が固まることもあります。

とにかくヒートアップしている時に下した決断は後悔しやすいです。

売り言葉に買い言葉にもなりやすいし、今後の計画も何もないまま離婚して生活苦に陥ったりもします。

一度物理的な距離をとることで頭を冷やし、素直な気持ちで話し合えるようになるまで別居するのはアリです。

離婚の原因にできる

離婚は、不貞行為などの決定的な事由がない限り、夫婦双方が合意しないと成立しません。

裁判となると、離婚するに相当する理由が求められます。

そこで役に立つのが別居という事実です。

民法752条には「夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない」と記載されています。

この法律を鑑みると、双方同意のもとに別居していることをもって婚姻関係の破綻が認定される可能性が高いというわけです。

ただし、先述のように“双方同意のもとの別居”が争点になります。

一方が勝手に別居を始めて婚姻関係が破綻していると主張しても、それは認められません。

なお、ある程度別居期間があれば婚姻関係の破綻として認められる、と聞いたことのある人もいるかもしれませんが、その期間に明確な目安はありません。

別居までの過程や生活費の問題などを考慮した上で、裁判所によって認められるまでは不明です。

「長い別居期間=離婚成立」にはならない点に注意しましょう。

離婚時の財産分与

夫婦が離婚した際の財産分与は、結婚後に築かれた財産について50:50になることが基本です。

しかし、別居を経て離婚に至った場合、別居以降に築いた財産については対象外になるケースがあります。

別居期間中の生活費は収入が低い方から高い方へ請求することが可能になっていますが、高い方の人でも離婚に至るまで我慢して同居を続けるより、別居した方がいざ離婚してからの財産分与ではメリットになるかもしれません。

相手へプレッシャーをかけられる

一緒にいると喧嘩にもなりますが、別居すれば相手も冷静になります。

別居期間が長引くことで「今更戻って来られても、関係を修復できるわけがないか」と考えてくれるかもしれません。

ご近所からも「旦那さん(奥さん)見かけませんね」なんて言われ出すと尚更引っ越しもしたくなりますし、親族や友人からも「いい加減離婚しなよ」と言われるでしょう。

財産分与などは諦めないとしても、離婚という決断は周囲からのプレッシャーによって固まっていくはずです。

ストレスが無くなる

ストレスフルになるときは、何か1つの原因によってそうなるのではなく、いくつかの要素が絡み合って表面化することが多いです。

しかし、複合的なストレスに苛まれていると、どれが大きいのかも分からないし、見つけやすい要因に不満を抱いたり、攻撃しがちになります。

その要因の1つが夫婦関係であるならば、とりあえず別居によってそのストレスを外してみましょう。

それで一気にストレス状態から回復したら、夫婦関係の問題が最も大きなストレスだったことがわかりますし、別居してもなおストレスフルであれば、ただ配偶者へ八つ当たりしていたに過ぎないことがわかります。

仕事に集中できる


家に帰っても毎日喧嘩してロクに眠れもせず、朝から機嫌が悪いまま出社して、また帰ったら喧嘩…。

そんな日々を続けているなら、その内仕事も疎かになっていくでしょう。

一度生活リズムを戻して精神的にも肉体的にも回復するために別居期間を設けるのは得策です。

心身共に復活すれば、物事を前向きに考えるための活力も湧いてきます。

そこで初めて冷静な判断ができるようになるので、限界が来て引っ越しの気力すらなくなる前に提案してみましょう。

デメリット

別居のメリットは把握できたと思いますが、デメリットも結構大きいです。

離婚するか別居するかの2択であればどっちもどっちのデメリットですが、別居するか関係修復するかの2択において関わってくるものが多いので気を付けましょう。

費用がかさむ

別居する場合もまだ夫婦関係は続行していますし、別居という決断も双方合意によるのであれば、出ていく方の引っ越し費用は夫婦の貯金を使うことになるでしょう。

そして今までは一家に1つずつあれば良かった家電を購入することになったり、割高なマンスリーマンションなどに入居せねばならず、家にかかるコストのほとんどが二重になります。

扶養控除という点では、離婚よりも別居の方が手取り収入は高いまま維持できるとしても、二重の支払い総額と差し引きすると損をする可能性が高いです。

愛情が薄れる

これは人によりけりで、離れたことで寂しさに気付いて愛情が復活する人もいれば、自由の素晴らしさをこのまま謳歌したくなって愛情が消滅する人、異性としての恋心はもう無いことに気付いたけれど家族としての愛情はある人など色々なパターンがあります。

とはいえ、物理的な距離をとることで冷静になれる一方、愛情も同時に薄れやすい傾向は否めません。

人による以上、一方の愛情は復活したのに一方の愛情は薄れてしまうなんてこともあります。

愛情が復活してしまた方は別居したことを大いに後悔するでしょう。

婚姻費用が少なくなる可能性もある

婚姻費用というのは、結婚式にかかるお金ではなくて、結婚生活を送るための費用のことです。

別居していても婚姻関係が続行している以上、年収が高い方は年収が低い方へ生活費を支払う義務が存在します。

その金額が支払われない場合は請求も可能です。

とはいえ、相手が絶対に払いたくないと言い出すと、調停に持ち込まなければならなくなります。

その調停によって“生活費と認められた金額”の支払いが決定するわけです。

つまり、相手の収入をあてにして、必要以上に優雅な暮らしをできていた場合は、受け取れる婚姻費用が少なくなる可能性があります。

様々な証拠が集まりにくい

なんとなく性格が合わなくなっただけで離婚したい場合には、証拠も何もないですが、相手に非があることを主張したいときは同居中に証拠集めをしておくべきです。

たとえば、専業主婦である妻が全く家事をせず、養育すら放棄していたとしても、証拠がないと立証することは難しくなります。

同居している中で日記を書いたり、帰宅時の家の惨状を数か月間にわたって写真におさめる、家計簿をつけて浪費を暴くなどの証拠集めが必要です。

これは別居してしまうと手に入りません。

不倫の証拠集めも、別居していると相手が自由に出かけても分からず、怪しいと感じるポイントが掴みづらくなります。

探偵を雇う場合、長期間追い続けてもらうのは費用がかかりすぎるため、同居中に感じる「この日は怪しいぞ」という時に尾行してもらう方が良いでしょう。

やり直しがきかない

愛情が薄れる点については既に触れたので、その他の要因によってやり直しがきかなくなるリスクについて紹介します。

たとえば近隣住民に別居が知られてしまっているケース。

長い間離れていて今更戻ってきてもご近所の噂話の格好のネタになります。

それを懸念して引っ越しをしようとしても、別居による二重コストで貯金が減っていたら思うようにはいきません。

次に子供の理解を得られないケース。

どうしても子供は一緒にいた方の親の味方になる傾向があり、出ていった方の親に捨てられたという感情も芽生えやすいです。

そうした亀裂があると、夫婦関係以上に親子関係の修復が困難になります。

そして、相手に好きな人ができてしまうケース。

別居していると婚姻関係は持続しているのに新たな恋に走ってしまうことは少なくありません。

不倫といえば不倫ですが、別居が離婚相当と認められてしまうと不貞行為に問うこともできないでしょう。

逆に離婚請求される可能性もある

自分は復縁したいと思っていても相手から離婚請求される可能性があります。

よくある話では、会社員の夫と専業主婦の妻が別居し始め、それまでは家事に追われて仕事ができなかった妻に自由が生まれたことで働き出し、自分だけでも生計を立てる目処がついたというもの。

そうなると、もう夫の収入をあてにしなくて良い妻に愛情がなければ復縁する理由がありません。

このように、別居によって状況が変化することで相手の気持ちが一気に冷め、離婚請求に動き出すという可能性を覚えておきましょう。

別居は法的な婚姻関係が続いているだけで、気持ちまで拘束する力は持っていません。

子供に寂しい思いをさせる

子供に寂しい思いをさせるというのは別居も離婚も同じですが、子供の混乱を招きやすいのは別居の方かもしれません。

子供もある程度の年齢になると別居と離婚の違いがなんとなく分かっていて、別居なら「また仲直りしてくれるかもしれない」と期待する可能性が高いです。

子供が気を遣って二人の仲を取り持とうとし始めら…想像するだけで寂しいものがあります。

もうほとんど離婚する方向に行っているなら、子供に変な期待はさせずにしっかり話し合って少しずつでも理解してもらうことに努めましょう。

離婚のメリット・デメリットは?

離婚にもメリットとデメリットがもちろんあります。

既に関係が終了しているため、離婚の話をする人は多く、デリケートな時期にある別居よりはよく聞く話なのでイメージしやすいのではないでしょうか。

メリット

離婚のメリットの大きな要因は、法的な拘束が解かれるということにあります。

それによって得られる精神的なメリットはもちろんのこと、場合によっては金銭的なメリットがあるかもしれません。

自由な時間が増える

生活に求める質の問題によりますけど、自由な時間が増えるという声は多いですね。

ただし、子供がいないか、親権を持っていない方の意見ではあります。

よく子供がいても、幼稚園や学校に行かせた後は自由だなんて話がありますが、それは嘘です。

おそらく離婚経験が無い人が想像で言っているのでしょう。

シングルになって家事も育児もやるとなったら自由な時間なんてほとんどありません。

専業主婦をしていた人が働き出して自由と感じるのはせいぜい数年。

養育費が十分でない限り、根を詰めて働かねばならず、かといって残業もできないのでかなりのバイタリティが必要です。

子供がいなければ、あえて説明する必要はありません。

独身時代の自由な時間が戻ってきます。

夜更かししても良いし、職場仲間と飲み明かしても良いし、休日に家事を放ったらかして遊びにでかけてもOK。

趣味も仕事も好きなことができます。

自由になるお金も増える

子供がいない夫婦の離婚に限った話ですが、離婚して自分が働いていれば、独身同様、稼いだお金は全て自由になります。

元配偶者が浪費家や節約家だった場合はなおさら、このメリットが感じられるはずです。

極論を言えば、独身に戻れば貯金ゼロでも誰にも文句を言われないし、自分さえOKなら家賃の安いボロアパートに引っ越すこともできます。

使いたいところにだけお金を使えるというのは、かなり気が楽になるでしょう。