「静謐」、まずこの言葉、なんと読んだらいいのでしょうか。

そしてその意味や使い方を例文であげていきたいと思います。

「静謐」とはどういう言葉?

「静謐」とはどういう意味なのでしょうか?またどういった場面で使われる言葉なのでしょうか?まずは「静謐」についての初歩的な説明から行いましょう。

漢字も難しく使い慣れない「静謐」

「静謐」の「静」の部分ならばたいていの人が読めるし意味もお分かりでしょう。

訓読みで「しずか」であり音読みが「せい」です。

一方の「静謐」の「謐」の方ですが訓読みするとこちらも「しずか」。

音読みは「ひつ」「びつ」となります。

訓読みの解釈だとどちらも「しずか」というところが難解な印象を受けてしまいますね。

文学的、芸術的な物事に使われる

「静謐」は使用場面がかなり限られてくる言葉です。

表現がかなり格式の高い表現の言葉であるため、日常会話ではほとんど使う場面がなく主に文学作品や芸術的な物事を表現するときに使用されるのです。

純文学や格式高い芸術作品などの文献や小説を読んだりしたときにお目にかかるくらい、というところでしょう。

「静謐」の読み方は?

「静謐」の読み方は「せいひつ」と読みます。

どちらも音読みで読む言葉なのです。

これを機会にしてしっかり覚えておきましょう。

「静謐」の意味

それでは「静謐」の意味について解説してまいりましょう。

静かで落ち着いている様子

「静謐」の意味は「静かで落ち着いている」という意味があります。

しかもこの場合の静かさは「厳かさ」と「格式の高さ」を備えた静かさとなります。

立派な高僧が静まり返った「無」の境地の如く場所でじっと瞑想しているような場面を想定させるかのような静かさといえるでしょうか。

波の音や小鳥のさえずり、風の音さえもないようなひっそりとした厳かさを感じさせる落ち着きぶりなのです。

この表現はあまりにも固い表現なので、純文学の小説においてもそうそう使用されるケースはないようですね。

世の中が穏やかに治まる様子

「静謐」のもう一つの意味は「世の中が穏やかに収まる様子」といった意味合いもあります。

こちらの「穏やかさ」は風の音や木々の揺れる音がないという穏やかさではなく世の中が平穏無事に収まっている様子を表現しています。

つまり治安がよく争いごともなく、人々が平和を謳歌している世の中の状態を言い表しています。

なお、「静謐」は世情や場所、情景などに対して用いる言葉です。

ある特定された人物やものに対しては使用しないので尚更、馴染みがなくなるわけなのです。

「静謐」の使い方

それでは今度は「静謐」の使い方についてみていきましょう。

微妙な感情やニュアンスを表現したいとき

「静謐」は微妙な感情やニュアンスを表現したい時に使います。

静かで落ち着いたたたずまいや物腰の落ち着き払った雰囲気を表したい時に使います。

ただ「静謐」は前後の文章や情景などによっては使いにくい言葉でもあります。

「静謐」が使えるほどの微妙な感情やニュアンスを醸し出せる人物であり、周りの情景がそれにマッチしていて初めて使うことができるでしょう。

芸術的な作品などの評価をするとき

「静謐」は芸術的な作品などの評価をするときには使いやすいでしょう。

但し、その芸術的な作品から「静かさ」や「無常さ」「わびしさ」「厳かさ」といったものが感じられる場合のみです。

極採色豊かな作品やにぎやかさ、人混みなどを連想させる作品ではとても静謐な感じとはいえないからです。

静かさや穏やかさを強調したいとき

静かさや穏やかさを強調したいときは「静謐」が使いやすい場面といえるでしょう。

風の音も感じさせないような空間や小鳥のさえずりも聞こえないような幽玄な場所などがこの言葉を使うのに申し分ない情景となります。

情緒的な文学や文章を書きたいとき

情緒的な文学や文章を書きたい時にも「静謐」は使えます。

静謐が少々、固い表現であるため文学性の高い情緒的な作品や文章においては静謐はうってつけの言葉となるでしょう。

勿論、登場人物のたたずまいや物語の背景がもの静かであって格式高い場面であることが「静謐」を使う条件となりますが。

「静謐」を使った例文


それでは次にまいりましょう。

「静謐」を使った例文をご紹介してまいります。

争いが終わり静謐な時代へと変化した

「静謐」は争いごとがなく治安がよく治まっている時代を指していいます。

「争いが終わり静謐な時代へと変化した」はまさしく戦争などが終結して武力衝突のない平和な時代が到来したことを意味します。

戦争や紛争状態はとても治安がいい状態とはいえません。

そのような時代から平和で安穏とした時代が訪れてくれてはじめて「静謐」という格式高い表現が使えるのです。

静謐を湛える田舎へ移住するのが夢だ

この例文の作者は都会暮らしに疲弊し尽くし、ほとほと今の暮らしに見切りをつけたいと熱望しているのでしょう。

わざわざ「静謐」さを湛える田舎暮らしを夢だと思っているほどですから、騒がしい今の暮らしに真剣に見切りをつけたいのでしょう。

田舎というところは、都会に較べればはるかに静かでのんびりしています。

しかし、田舎に「静謐」という言葉を付け加えるほどですから、周囲に人間の気配すらないうっそうとした大自然の中に行きたいようです。

夏になったら田んぼの蛙がうるさく鳴き叫ぶような田舎ではだめなようですね。

都会の喧騒から離れた静謐なレストラン

この例文に登場するレストランは立地的にかなり都会から離れた場所のようです。

周囲にはそのお店以外、これといった建物もなく夜になれば街灯もないくらいにひっそりとしたところなのでしょう。

多くの場合、レストランというものは人が集まりやすい場所にあるものです。

しかしここに登場してくるレストランはそういった都会の喧騒やにぎやかさを一切排除した田舎の中にポツンと建っているようなたたずまいなのでしょう。

静謐な温泉街でゆっくり余暇を楽しむ


温泉は立地条件によってさまざまです。

都会に近い場所にスパ感覚であるものもあれば、車で遠路はるばる行かなければならないようなアクセスの不便なところもあります。

この例文の温泉は、恐らくひっそりとした隠れ家的人気を誇る田舎の温泉なのでしょう。

特に山奥の秘湯と呼ばれるようなところならば「静謐」という言葉がぴったりくるでしょう。

また観光名所ではないさびれた感じの温泉街も「静謐」が似合う場所といえるでしょう。

彼の作品は静謐な筆遣いが特徴だ

この例文に使われる「静謐」は「格式」や「厳かさ」を感じさせる意味となっています。

「静謐」は文学や芸術の領域にも使われる言葉です。

独特の味わいを醸し出す筆遣いが観る人の心に格式高さを感じさせるのでしょう。

彼女の静謐な雰囲気にはどこか惹かれる

彼女の「静謐」さとはつまりもの静かなたたずまいがすこぶる上品で格調高い気品を感じさせる、という意味合いになっています。

内面から滲み出る女性のなんともいえない魅力を、この例文は訴えているのです。

「静謐」の類語

それではここからは「静謐」の類語についてみていきましょう。

静か

「静か」とは言うまでもなく、耳をつんざくような音や人の声も聞きとれないくらいの騒がしい環境とは正反対の状況をいいます。

ただ「静謐」の静かさは通常の「静か」よりも数段、上をゆく静かさです。

しかしながら意味大義でみたならば、どちらも静かな状況を意味しますから「静か」は「静謐」と限りなく近い類語となるのです。

穏やか

「穏やか」という言葉を説明するには「静か」という言葉を用いないと説明になりません。

静かでのどかで安らかな様子が「穏やか」ですからこちらも大義的にみれば「静謐」の類語となります。

「静謐」の静かさの意味には穏やかさも当然ながら含まれてくるということになるのです。

太平

「太平」とは世の中が平和に治まっていて、穏やかな状態になっていることを意味します。

これは「世の中が穏やかに治まっている様子」を意味する「静謐」とまさに瓜二つ。

ドンピシャの類語といえるでしょう。

「静謐」が目指している世の中とは「穏やか」であり「平和」な状態を指していることになります。

「太平」という状態がまさしく「静謐」であり誰もが求めている時代といえるでしょう。

のどやか

「のどやか」とはその場の雰囲気が「静か」であり「穏やか」といった状態になっていることを意味します。

これも「静かさ」を意味する「静謐」の類語として認定していいでしょう。

「のどやか」な状態にには平和的な情緒が漂います。

静かであり周囲になんの危険もない穏やかな状態をいうのです。

坦々たる

「坦々(たんたん)たる」とは「地形や道路などがたいらになっている状態」をいう意味と「変化も何も起こらず時が過ぎ去っているさま」をいい表す意味とを持ちます。

これも大義的にみれば平穏であり全てが静かで無事に万事が過ぎている、という意味合いで「静謐」と類語であるといえるのです。

ただ日常会話的にはそれほど用いない言葉かも分かりません。

しかしながら「静謐」の類語として知識の一環として覚えておくと便利な言葉となるでしょう。

閑寂

「閑寂」とは「ひっそりとしている」「もの静か」「落ち着いている」「趣きがある」といった意味を持ちます。

まさしくこの言葉も「静謐」と類語を形成する言葉の一つなのです。

苔むす京都の古寺は閑寂さがよく似合います。

都会の雑踏を離れ人もいないようなひっそりとした情景が目に浮かびます。

そこにはどこかもの寂しさも漂わせます。

このような光景こそ「閑寂」であり「静謐」を表しているのです。

日本語特有の「わびさび」というものを取り入れた美しい表現だと思います。

閑静

「閑静」という言葉の意味も「もの静か」「落ち着いた」ということになり「静謐」と意味的には同じになります。

「閑静な住宅街」というように「静謐」と較べると使用範囲が広いのが特徴です。

文学・芸術的な「静謐」と日常会話的な「閑静」といったところでしょう。

「閑静」という言葉はニュースや新聞でもよく取り扱われていますので、一度や二度くらいは聞いたことがある言葉ではないでしょうか。

平穏

「平穏」は「変わった事がない」「穏やか」という意味を持ちます。

世の中の治安がよく平和を意味する「静謐」とまさしく類語関係を成す言葉なのです。

「静謐」も争いごとや戦争・暴力といったものには全く使われることのない言葉です。

その点においても「平穏」も全く同じ意味の類語となるのです。

「平穏で無事な暮らし」「平穏な毎日」といった使い方が多い言葉ですね。

平静

「平静」は「世間が穏やか」「静か」「心が落ち着いているさま」という意味を持ちます。

まさに争い事とは正反対の意味であり「世の中が穏やかに治まる」ことを意味する「静謐」の類語となるのです。

そして「平静」も日常的によく使われる言葉です。

その点においては「静謐」とは異なっているでしょう。

「静謐」は日常会話的にはあまりお目にかからないですからね。

安泰

「安泰」とは「無事」「やすらか」「安穏」「平穏」といった意味があります。

いずれも「静謐」の持つ「世の中が穏やかに治まる」という意味と同じ意味であり類語として判断していいでしょう。

「安泰」という言葉は世の中の平和以外にも組織や会社などの安泰、地位の安泰、など幅広い用途に使われます。

その点におきましては「安泰」は一般常識的に広く浸透した言葉だということがいえるでしょう。

「静謐」の使い方をマスターしよう!

今回は「静謐」という言葉について解説と使い方、そして例文をご紹介してまいりました。

「静謐」という言葉は文中に何度も申しましたが、日常生活においてあまりお目にかかることのない言葉です。

今回初めて聞いたという方も多いかもしれませんね。

テレビのニュースや新聞紙上でも取り上げられていることもほとんどありません。

同じ意味で用いられるなら類語でご紹介しました「平穏」「平静」「静か」といった言葉の方が圧倒的に多いでしょう。

それだからこそ「静謐」という言葉をあなたのボキャブラリーに加えて、いざという時に使えるよう使い方をマスターしておくと、あなたを見る目が変わってくるかもしれません。