誰でも年を取ると、老化によって記憶力が落ちてくると言われていました。
忙しかったり疲れたりすると、年のせいで記憶も曖昧になったり、勘違いや思い込みが起こ思っていました。
だから、出かける時に何かに手間取って時間がなくなってしまい、「あれっ?腕時計はどこに置いていたっけ?」「財布と携帯をどこに置いたかな?」と記憶を無くしてバタバタした経験があると、これは年のせいだと思ってしまい、途方にくれる時もあるのです。
こんな時は、何か工夫をして記憶力の低下に備えようと考えるのです。
しかし、ひと昔前は年齢のせいで記憶力が落ちると言われ、それは毎日脳細胞が壊れていくからと覚えたものです。
しかし、最近の研究では、認知症やアルツハイマーなどの病気でない限り、記憶力は若い時とそれほど変わっていないそうです。
むしろ、運動などによって脳細胞が増える可能性があることが分かってきました。
脳学者によると、そもそも脳内の神経細胞は数%しか活用されていないので、多少壊れてもほとんど影響がないのだそうです。
では、記憶力が低下してきたと感じるのはなぜかというと、記憶力そのものに原因があるのではなくて、記憶する時の環境や記憶する方法に問題があるようなのです。
そこで、記憶力を極限までに高める方法について考えてみたいと思います。
️記憶力を高める方法!
日頃の出来事や勉強したことは、脳の中にある「海馬」という組織に貯えられて、寝ている間に整理整頓され、その後大脳皮質に記憶として貯えられます。
このように、新しい記憶は海馬に、古い記憶は大脳皮質ファイルされるんです。
海馬と睡眠は、記憶力を高めるには必要な関係です。
人間は、呼吸が止まって脳に酸素が行き渡らなくなると、脳の中では最初に海馬からダメージを受けるそうです。
また、強いストレスを受けると、海馬が壊れてしまうこともあるのです。
これは、大きな災害に遭ったり、強い恐怖を覚えた時に発症する、心的外傷後ストレス障害(PTSD)という海馬の病気なのです。
この記憶力を司る海馬は、筋肉と同じように運動で脳神経が増えることがわかってきました。
つまり、記憶力も鍛えることができるようです。
このように、記憶力を高める方法について、どのような方法があるのか考えてみましょう。
まず生活習慣の改善から
記憶力を高める方法は、生活習慣の改善でも可能なのです。
生活習慣が乱れてくると、体調管理もうまくいかないし、それによって睡眠不足や運動不足、不規則な食事による栄養バランスの乱れや自律神経の乱れに繋がり、脳の働きを抑制して記憶力が低下する要因となるのです。
日頃の生活習慣を見直してみましょう。
1.部屋は整理整頓する
部屋の中にいろんな物が散乱している状態では、どこに何があるか忘れてしまいます。
置いた時はここに置こうと覚えるのですが、さらにその上に次のものを重ねておくと、もう分からなくなります。
必要なものも不必要なものも、混在している状態です。
おやつの食べ残しやかけらが落ちていると、カビが生えたりゴキブリが集まったりと、不衛生にもなります。
悪臭を放つようになると、もはやゴミ屋敷同然ですね。
そこまでは行かなくても、必要になったものを直ぐに取り出せたり、見つけたりすることが難しくなるものです。
こんな時には、一度部屋の中を整理整頓する必要があります。
整理整頓するとは、不必要なものを捨てて、必要なものを分類して分けて置くことです。
例えば書籍類は会社関係、娯楽関係、専門書関係とかに分類して、それをどこにまとめて置くという風に整頓するのです。
すると、必要になったものは、直ぐに見つかるのです。
脳が記憶する時も同じで、覚える量が多い時は、まずは整理整頓してから覚える方が、スムーズに覚えることができるのです。
すると、脳の中に分類された知識が並んで記憶されるため、思い出しやすくなるのです。
部屋も脳も、一旦整理整頓してから片付ける(記憶する)ことで、記憶力がupするのです。
2.しまうところは同じところを意識
先ほど、急いで出かける時に、持って行くものの置き場所を変えてしまうと、思い出せなくて焦ってしまう話をしました。
経験から話をしますと、たまたまいつもと違うところに置いてしまうと、時間がたつと忘れてしまうことになるのです。
記憶力に自信がある人でも、必ず起こることです。
記憶力に自信がある人ほど、忘れてしまったことに対して落ち込みが激しく、年のせいにしてしまうのです。
しかし、本当の原因は、しまう時に整理整頓をしていないからなのです。
行動が間違っているので、年のせいではありません。
しまうところは、それらを分類しておいて、置くところは同じところに意識して置くのです。
頭で探すものを考えると同時に、手がその置き場に無意識に動くようになるまでの習慣づけが大事です。
何かのために、一旦はいつもと違うところに置いても、直ぐに定位置に置き直す意識も必要です。
この行動を継続していると、常に脳の中も整理されているので、記憶力が衰えることはなくなります。
3.上質な睡眠をとる
人生の三分の一は寝て過ごすと言われています。
若い時は半日寝ても平気ですが、年を取ると長時間寝ることが苦痛になり、4~5時間で充分という人もいます。
仕事によっては、昼夜反対になって深夜の勤務を続けている人もいます。
このように、眠る時間帯や時間は人によって様々なのです。
そんな状況で、上質な睡眠を取ることはできるのでしょうか?
脳と睡眠の関係を考える前に、我々人間が脳を活発に働かせるためには、実は大きなエネルギーが必要なのです。
人間が生きていくための基本のエネルギー(基礎代謝)は、身体全体の20%にも達するのです。
脳は、我々が食べ物で摂取したエネルギーの五分の一を使っているのです。
だから、頭を使うと疲れてエネルギー補給が必要なのです。
この脳が休むことができるのは、我々が寝ている時だけなのです。
ではその睡眠の状態を考えると、脳を休めるノンレム睡眠と、身体を休めるレム睡眠があるのです。
レム睡眠は、傷んだ筋肉の修復や身体の新陳代謝に有効な睡眠ですが、脳を休めて記憶力を改善するためには、ノンレム睡眠を取ることが大事と言われて居ました。
最近研究では、脳が活動している浅い眠りのレム睡眠を邪魔すると、記憶の形成や定着に大きな影響を及ぼすことが分かってきました。
睡眠に入ると、ノンレム睡眠とレム睡眠が1セットとして1時半を要し、これを繰り返すことになります。
7時間半でこのセットが5回繰り返されることになります。
以上のことから分かることは、記憶力を維持するためには、ノンレムとレム睡眠のサイクルを5回繰り返すような睡眠環境を整えることです。
これが良質な睡眠と言えます。
ただし、最適な睡眠時間には個人差がありますので、6時間~7時間半が目安になるようです。
4.たくさんお喋りをして脳を活性化
以前に、介護関係の仕事をしているケア・マネージャさんと話をした時に、興味深いお話しを聞くことがありました。
それは、彼が受け持っている地域でいうと、男性で認知症を発症しやすい人は、不思議と定年後の校長先生が多いそうです。
真面目で自宅で読書とか1人で過ごすのが好きな人(お喋りが少ない人)に多いようだとのことでした。
校長先生の名誉のためにも、必ずしも当たっているとは思えませんが、何かヒントがあるように思えました。
それと、デイサービスに来ている高齢者の中でも、みんなとよくお喋りしている人は、認知症の進行も遅いようだと感じられるのです。
認知症に掛かっているから喋らないのか、喋らないから認知症になりやすいのか、鶏とたまごの関係ですが、何か関連があるようです。
ご近所でも思い出してみると、寒い中でも井戸端会議で延々とお喋りしている人達は、顔色も良くて目がイキイキとして、認知症の傾向は見当たりません。
つまり、記憶力も正常なのでしょう。
このように、脳や心の健康維持のために見直されているのが、お喋りの大切さです。
脳は年をとっても鍛えることができるのです。
それにはお喋りが役に立つのです。
仲の良いご近所の人達や趣味のサークルの仲間、遊び友達と最後に家族との会話が有効なのです。
お喋りをする時には、頭の中の引き出しにファイルされている記憶を、順に並べて取り出して整理して口で話すという作業を、瞬時に行っているのです。
これを繰り返すことで、ファイルも整理整頓されて、壊れる細胞以上に新しい神経細胞もできるからです。
お喋りで、脳が活性化するのです。
5.ストレスは記憶力の大敵!リラックスタイムをとって
記憶力が衰える原因は、いろいろとあるようですが、その一つはストレスの影響と言われています。
絶えず強いストレスを受け続けていると、自律神経のバランスが狂い、体内に「コルチゾール」というホルモンが分泌されるのです。
このホルモンは、脳が必要な栄養素を吸収するのを妨げたり、情報を伝える役目をする神経物質を阻害したリ、さらには脳細胞そのものを破壊する作用を持っているようです。
コルチゾールのホルモンが大量に長期的に分泌されると、海馬を萎縮させるのです。
こう書くと、たいへん怖いホルモンのようですが、ともかく過剰のストレスは健康と頭の働きに良くないことは確かです。
記憶力向上のために脳に刺激を与えよう!
6.新しいことを始める
同じようなことを毎日繰り返すことは、その生活に慣れてくるのでストレスは減ってきます。
しかし、「慣れ」は脳も楽なので、楽な状態を続けることにより脳の働きは衰えて来るのです。
つまり、記憶力も衰えてくるのです。
そこで、記憶力の衰えを防ぐためにできることがあります。
それは、何か新しいことを始めて脳を活性化するのです。
加齢によって脳細胞が減っていくことは避けられませんが、新しいことを始めて脳に新鮮な刺激を与え続けると、脳の神経細胞のネットワークが広がり、記憶力もまだまだ向上させることができるのです。
新しいことを始めると行っても、必ずしも何か難しいことを勉強するということではありません。
新しいことを体験することでも良いのです。
例えば、どこか初めての場所に旅行に行くことでも良いのです。
年をとっても、容易にできることです。
旅行に行く前から、旅行ガイドブックで行先の名所や名物、美味しい郷土料理などを調べて、想像することも脳細胞を刺激します。
次に、どのルートで行くか交通手段を考えたり、乗り換えの場所や時間を考えて、時系列で整理するのも脳を活性化するのです。
そして、実際に現地についてから見る景色や街の風景など、頭の中にインプットされるのです。
これらの新しい体験は、記憶力を活性化させるのです。
7.何事にも好奇心を持つ
脳を活性化させて記憶力を向上させるには、脳に必要な基本の要素があります。
1つは、適度な「運動」ですが、もう1つの要素とは「好奇心」です。
何かに感心を持つと、「見てみたい」「行ってみたい」「やってみたい」などと興味を持つものです。
このような興味・関心のことを「知的好奇心」と言いますが、この強い好奇心によって、心が「ワクワク」「ドキドキ」とときめいて、脳の働きが加速されるのです。
難しく説明すると、好奇心が旺盛な人は、加齢とともに萎縮してしまう「側頭頭頂部」の萎縮が、抑えられることが分かってきたのです。
これは、記憶力の低下が抑えられるということです。
そして、興味のある事をしている時には、「ドーパミン」という脳内物質も多く分泌されます。
これによってやる気が増すのですが、さらに記憶効果もupするようです。
イヤイヤ覚えさせられることはなかなか身につきませんが、好きなことは直ぐに覚えるようなことです。
さらに、ここで覚えたことは、短期的な記憶だけでなく、長期的な記憶になることも分かっているのです。
8.適度な運動をする
2017年2月の朝日新聞デジタル版の情報では、筑波大学と米国カリフォルニア大学の研究チームが、運動と脳機能の関係について、米国の脳科学専門誌に論文を発表しました。
ここでは、ジョギング程度の運動を10分間した直後は、短期的な記憶力が増すという内容でした。
ジョギングなどの有酸素運動が記憶力の改善には効果があるのです。
9.環境を変えてみる
一生懸命に覚えているがなかなか記憶できない、という悩みは誰もが持った経験があるはずです。
試験前に必死に勉強しても頭に入らない、そして焦ってしまい余計に覚えられないという悪循環に陥るのです。
こんな時には、一度環境を変えてみるべきです。
簡単にできることは、場所を変えてみることです。
自宅でも自分の勉強部屋から応接間とかキッチンとか、一度場所を変えて勉強するのです。
景色が変わるしキッチンなら美味しいスパイスの香りで脳が生き返るかも知れません。
それと、近くの図書館やそこの自習室、静かなカフェも良いかも。
同じように学習している人もいるし、カフェならBGMとコーヒーの良い香りで頭が冴えるかも知れません。
帰りには、天気が良ければ近くの公園で、ベンチで覚えた内容を復習したリ声を出して読むこともできます。
記憶力を高める勉強法!
頑張って記憶していても、なかなか覚えられないのは、もしかしたら記憶力を高める勉強方法に間違いがあるのではありませんか?
10.時間を決めて勉強する
覚えるところをサラッと目を通しただけなのに、鮮明に記憶に残っていて、自分でもビックリしたことはありませんか?脳には勉強に適した時間帯があるようです。
つまり、勉強に最適な時間帯と、記憶が脳に定着しやすい時間帯があるのです。
午後10時から午前2時までの間で、この時間帯に眠るのが最適なのです。
この時間帯は、脳内で情報を整理する時間帯で、整理された情報が分類された引き出しにファイルされるのです。
キチンと整理されているので、容易に思い出すことができるのです。
一方、勉強に最適な時間帯は午前4時から午前10時までで、慣れてくると頭がスッキリしていて、集中力も高いのです。
勉強も健康管理も、早寝早起きが理想かも知れません。
ちなみに、お金持ちと言われる人の共通の習慣は、総じて早起きだそうです。
やはり、「早起きは三文の得」で、かつ勉強もできて(記憶力が増して)健康なのです。
11.今日やることを明確にする
整理整頓というキーワードがありますが、記憶力を高めるにはこのキーワードが重要です。
朝起きてから、やる必要のある事柄を集めて、そこから緊急性の高いものを順に並べて、今日できることとやるべきことを明確にします。
このように、今日やることを明確にして計画をたてて行うと、記憶に残りやすいのです。
12.楽しみながら勉強する
ある有名塾では、受験生がハチマキをしながら勉強している姿を見たことがあるでしょう。
試験に打ち勝つことから、ハチマキには「必勝」と書いてあります。
受験は真剣勝負と同じですから、こんな意気込みになるのでしょう。
夜遅くまで熱心に勉強しています。
この光景から、勉強というものは、眉をしかめて苦しみながらするものだと思っている人がほとんどです。
しかし、楽しみながら勉強しても、学習速度は変わらず、場合によっては勉強がはかどることもあるようです。
年齢が小さい子供の場合は、笑いを取り入れた学習の方が、学習効果が顕著であることが分かっています。
日本人は、真面目に学習する方が良いと思いがちですが、科学的には笑顔を取り入れた学習の方が、学ぶ目標を達成しやすいのです。
学生の場合も、ジョークやユーモアを取り入れた講義の方が、学習効果が高いと言われています。
楽しみながら講義を受けと、勉強がはかどることになるのです。
家で勉強する時には、苦手な英語の試験で、80点以上を取ったら何か欲しいものを親からプレゼントしてもらうとか、楽しい目標を設定して勉強するのも良いと思います。
13.声に出しながら覚える
勉強は静かに黙ってやるものだと教えられてきました。
図書館の自習室などでも、声出しやお喋りは禁止になっています。
PCや計算機のキーをたたく音も、うるさいので禁止です。
素化し、英語などの文系の科目では、声出しが重要なのです。
英語や現代文、古文、漢文などは、声に出すことで覚えられるのです。
声に出すと、記憶が脳に定着するのです。
例えば、校歌はみんなで大声で歌うから覚えるのです。
暗唱だけでは覚えられません。
声に出しながら覚えるのです。
14.体を使って覚える
記憶には、脳で覚えるものと、身体で覚えるものの2種類があります。
専門用語では、脳で覚える「陳述的記憶」と、身体で覚える「手続き記憶」の2種類です。
これらの特徴は、難しい漢字を覚えたり計算式を覚えたりするのが「陳述的記憶」で、その記憶は海馬に蓄積されます。
しかし、この記憶は時間がたつと忘れてしまうことがあるのです。
これに対して手続き記憶は、楽器の弾き方や自転車の乗り方などを覚える記憶で、一度覚えるとなかなか忘れることはないのです。
「手続き記憶」は、海馬ではなくて「大脳基底核」と「小脳」というところに記憶されるのです。
前者が身体の筋肉を動かし、後者が筋肉の動きを細かく調整してスムーズに動くようにする役割を持っているのです。
日本に長く住んでいる外国人は、話すスピードが遅くなったことと、ボディーランゲージが少なったと振り返っています。
西欧の外国では、結構身体を動かして話す人が多いようです。
最近の若者はこの傾向が強くなってきましたが、語学などは身体も使って覚えると、学習効果が上がるようです。
15.繰り返しの復習をする
脳に記憶させると、海馬にその情報が蓄積されますが、この情報は消えやすいのです。
先ほどの「記述的記憶」のことです。
もう少し説明しますと、記憶には、「短気記憶」と「長期記憶」に別れ、この「短期記憶」は時間の経過や新しい情報が入ってくると、忘れてしまうのです。
「長期記憶」に保存すれば忘れにくいのですが、どちらに保存するかは海馬が判断するのです。
生死に係わるような重大なモノ以外は、「短気記憶」に保存されます。
では、「長期記憶」に保存させるにはどうするかですが、その一つは繰り返しの復習なのです。
書いたり声に出したりと、何度も復習するのです。
忘れないように繰り返し復習をすることで、記憶を保つのです。
16.覚えたいことは寝る前にもう1度確認
暗記するなら寝る前にするのが効果的と言われています。
寝る前に覚える情報は、日中に記憶した情報よりも新鮮な状態で脳に蓄積されます。
これらの情報は、睡眠中に整理されて記憶として残るのです。
ただし、暗記する情報の量が多すぎると、脳が活発に働いて覚醒してしまうので、逆に眠れなくなることがあります。
また、良質な睡眠を取らないと、うまく記憶として定着しないことにもなります。
このように、覚えたいことは寝る前にもう一度確認することも大切です。
【暗記のコツを知りたい人は、こちらの記事もチェック!】
17.なによりも大切なのは集中力
記憶力を上げるには、集中力が大切です。
頑張って覚えようとしていても、別のことに気を取られてしまうと、集中力がキレてしまって学習効果が上がりません。
記憶だけでなく、仕事にも、恋愛にも、勝負にも(あるいは賭け事にも)、集中力は重要なのです。
何かをキチットやり遂げる気持ちがあるなら、それ以外のことを一時忘れて、そのことに集中するのです。
記憶力が高まる栄養素!
脳は眠っている時にも盛んに活動しています。
日中に覚えたことを整理して記憶するためです。
その大事な脳には、記憶力を高める必要な栄養素があります。
18.脳の主エネルギーはブドウ糖
記憶力や集中力を高めるためにはエネルギーが必要です。
人間は、生きるために必要なエネルギーの20%前後の量を脳が消費してしまうのです。
このエネルギーが不足すると、記憶力や集中力の低下を引き起こすだけでなく、健康にも障害を起こすことになるのです。
脳の唯一のエネルギー源は「ブドウ糖」なのです。
ブドウ糖は、穀類や果実、蜂蜜などに含まれている糖類の一種です。
もちろん、ブドウ糖は人間の身体のエネルギーとしても必要なものです。
血液中に含まれるブドウ糖は、身体の必要な部分に送られますが、血液中に含まれているブドウ糖の約半分は脳によって消費されているのです。
19.魚などに含まれるDHA
マグロやカツオに豊富に含まれているDHA(ドコサヘキサエン酸)は、オメガ-3系の高度不飽和脂肪酸です。
このDHAは、脳を構成する脳細胞の膜に含まれていて、記憶や学習に重要な働きをする海馬というところに多く集まっています。
海馬で情報を蓄積する時に、神経細胞の間を電気信号のような神経伝達物質が放出されるのです。
このアンテナのような働きをする神経細胞が活発に働かないと情報伝達がうまく行かず、記憶力や集中力が衰えるのです。
DHAは、この神経細胞の細胞膜のリン脂質という組織に多く含まれていて、アンテナを張り巡らす働きがあるのです。
そのために、DHAは脳の働きを助けるのです。
20.ナッツなどのレシチン
皆さんは「大豆レシチン」という言葉を聞いたことがあると思います。
大豆に含まれている不飽和脂肪酸のことです。
この大豆レシチンは細胞膜を作る重要な成分で、身体のいろんな部分の細胞膜に働きかけて細胞を生き返らせるために、若返りの栄養素とも呼ばれるものです。
このレシチンは、私たちの身体の組織の中のリン脂質という物質の一種で、卵黄や大豆、酵母やカビ類にも含まれているのです。
レシチンは、「ホスファチジルコリン」とも呼ばれます。
脳や神経細胞
に含まれる重要な成分なのです。
記憶に関しての働きとしては、脳の中の神経細胞間の情報伝達の時に必要な物質である「アセチルコリン」を作る時に役立つのです。
このことは、アセチルコリンを豊富に作り出して、記憶や学習の働きを助けることになるのです。
21.カフェインも効果あり?コーヒー
勉強中に疲れて眠気を覚えた時に、眠気を覚ますのにコーヒーを飲んだりします。
これは、コーヒーに含まれるカフェインが脳を興奮させて眠気を取るためです。
しかし、このカフェインには記憶力を向上させる効果もあることが分かってきました。
記憶の種類には「短気記憶」と「長期記憶」があると説明しましたが、このうち受験生にとって最もありがたい「長期記憶」の方に効果があるようです。
しかも、ある研究によると、この効果は24時間も継続するそうです。
受験勉強の途中にコーヒーをに飲むなら、カフェイン入りが良いかも。
22.オリーブオイルなどのオイル系
オリーブオイルは、オレイン酸を豊富に含む植物オイルですが、このオリーブオイルに含まれている「オレオイルエタノールアミド(OEA)」という成分が、空腹感を抑えて食欲を低下させる働きがあることが分かってきました。
このOEAという成分は、ダイエットに良いと言われて盛んに研究が行われています。
しかし、最近の研究ではOEAは記憶力upにも効果があると分かってきました。
オリーブオイルなどに含まれているOEAは、海馬領域での「短期記憶」から、側頭葉領域での「長期記憶」に変える経路を強化することが分かったのです。
つまり、OEAを含むオリーブオイルは、満腹中枢を刺激して食べ過ぎを防止する働きがあるとともに、記憶を短気記憶から長期記憶に変更させて、記憶力向上に作用することが分かってきたのです。
OEAがある状態で、同じ情報を海馬に送り続ける(反復学習を続ける)ことにより、海馬はその情報を重要な情報と判断するので、長期記憶に貯えられるのです。
つまり、記憶力が向上するのです。
️だんだんと衰えを感じる記憶力
むかしは記憶力も良くて、難しいこともスラスラと頭に入ったけれど、最近は直ぐに忘れてしまうと自信を無くしている人も多いと思います。
およその記憶はあるのだけれども、細かいところになると、はっきりとは思い出せないし、記憶に間違いや勘違いも多くなってきたと自覚する時も多くなります。
記憶力にだんだんと衰えを感じてくるのです。
️記憶力はオトナでも向上できる!
しかし、記憶力は年をとっても向上することができるようです。
例えば、大人になるほど増えるストレスは、記憶力を衰えさせる原因で、さらに睡眠不足や食生活の乱れなどの悪い生活習慣に寄っても引き起こされるのです。
これらのマイナス要因を減らすことで、記憶力の改善もできるようです。
️脳と記憶のメカニズム!
脳の構造は、3つの部分に別れているのです。
「脳幹(のうかん)」、「大脳辺縁系(だいのうへんえんけい)」と「大脳皮質(だいのうひしつ)」の3つです。
この3つの脳は、互いに密接に関連しながら働き、人間らしい感情を持つ動物としての活動を支えているのです。
新しい記憶は脳の海馬にいく
脳の大脳辺縁系の中に、形状としてはタツノオトシゴのような形の「海馬」というものがあります。
記憶を司る司令塔のような存在で、日常生活の出来事や意識して覚えた情報は、新しい情報として海馬の中に保存されて、新しい記憶として短気記憶されるのです。
その後、そのファイルの中で重要と認識されたり強い印象を受けた記憶は、長期記憶の保存先である大脳皮質に移行されてファイルされます。
しかし、海馬はとても繊細で壊れやすいので、記憶がたくさん集まり過ぎたりすると、新しい記憶でも直ぐに忘れてしまうことがあります。
また、極端に強いストレスにさらされてしまうと、海馬が異常をきたして記憶が飛んでしまったり、認知できなくなることもあるのです。
海馬はこんなにデリケートな組織なのですが、新しい記憶はまず海馬に集まるのです。
古い記憶は大脳皮質へ
海馬がある場所は、大脳辺縁系という脳の深いところにあるのですが、記憶できる容量で比較すると大脳全体で脳細胞が約1000億個と言われるのに対して、海馬はその1万分の1の1000万個程と少ないのです。
目や耳、口、鼻、皮膚などからの感覚情報は、いったん大脳皮質を経由して海馬に短気記憶として蓄積された後、一部は大脳皮質に移行されて長期記憶として保存されるのです。
海馬の容量が小さいために、長期保存するかどうかを海馬が判断して、必要なものだけを大脳皮質に移すのです。
このように、古い記憶は大脳皮質に残されるのです。
海馬はストレスに弱い?
海馬は、一時的に保存している情報を、長期記憶として大脳皮質に移行するかどうかの判断をする組織ですが、非常に繊細な組織なのです。
特に、酸欠とストレスに弱いのです。
血液を通して酸素を脳にも供給していますが、酸素が不足すると脳では真っ先に海馬が窒息状態になって壊死するのです。
また、強度のストレスを加えると、精神的な病気(PTSD:心的外傷後ストレス障害)に陥るのです。
これによって海馬の機能が低下してしまいます。
受験勉強などでも、ストレスを溜めすぎると海馬の機能低下を招き記憶力が低下してしまうので、ウオーキングなどの軽い運動や気分転換をしてストレスを発散させる工夫も必要です。
️記憶力の向上を目指そう!
年齢による記憶力の低下傾向は見られます。
しかし、記憶力の低下は年齢によるものだけではないようです。
脳の神経細胞の数は、高年齢になっても若い時と比べてもほとんど変わらないようです。
記憶力の低下の原因は、ここまでに説明してきたように、睡眠不足やストレスの蓄積、運動不足や食生活など生活習慣の乱れによる要因も考えられます。
記憶力の低下は、生活習慣を改善することによって抑えられることを認識して、日頃から努力することがたいせつです。