では、そんなシミュレーションはどのようなシミュレーションなのでしょうか。
最後に、避けたいシミュレーションの状況を2つ紹介していきます。
過去を振り返ってシミュレーションする
誰でも自分の過去で後悔していることはあるでしょう。
そういった時、ついつい「あの時、○○じゃなくて●●を選択していればどうなっただろう」と考えてしまうこともあるでしょう。
あと少しで受験に落ちてしまった時は「あの時、Aと迷ったけどBを選んでおけば今頃浪人生じゃなくて大学生としてキャンパスライフを謳歌していたのに」と考えたり、就職面接の時に「あの時、○○という質問をしておけば第一志望の会社に入れたのに」と考えたりするのは決して珍しいことではありません。
しかし、そのように過去を振り返って「あの時、○○じゃなければ」というシミュレーションをするのは好ましくありません。
どんなに振り返っても過去を変えることはできないので、時間の無駄になってしまうでしょう。
ネガティブな感情に支配される
過去を振り返ったシミュレーションは時間の無駄になるだけではなく、自分がネガティブな感情に支配されてしまう要因になりかねません。
過去を振り返ってシミュレーションするということは後悔している事柄について深く考えることになってしまうので「過去の自分が愚かだった」、「過去の自分が間違っていた」という自分を否定することに繋がってしまうのです。
ネガティブな感情に支配されすぎると「まだ自分は選択を誤ってしまうかもしれない」と疑心暗鬼に陥り、現時点での最善の選択ができなくなってしまう恐れがあります。
慎重になるのは決して悪いことではありませんが、ネガティブな感情に支配されすぎるのは自分の可能性を狭めてしまう恐れがあるので注意が必要です。
シミュレーションはあくまで未来のことを
どんなに過去のことを後悔して考えても、今さらその時点に戻ってやり直すことはできません。
また、自分がどんなにリアルにシミュレーションをしているつもりでも、本当にその選ばなかった選択肢を選んだからといってシミュレーション通りになるかは分かりません。
過去のシミュレーションをすると、ついつい自分にとって都合の良いことばかり考えてしまうでしょう。
そうすると、現状に対する不満が大きくなってしまう恐れがあります。
後悔と現状への不満が膨らむばかりの過去のシミュレーションは、時間の無駄だけではなく自信を喪失するリスクの高い行為です。
過去のことをどんなにシミュレーションしても意味はないので、振り返って改善点を見つけた後は無意味なシミュレーションはしないようにしましょう。
シミュレーションばかりを繰り返す
シミュレーションは過去の出来事に対してではなく、これから起こり得る未来に対して行うべきことです。
しかしながら、たとえ未来の状況をシミュレーションする場合でもシミュレーションばかりを繰り返していては意味がありません。
どんなにリアルなシミュレーションをしているつもりでも、自分に都合の良い状況ばかりをイメージしてしまいがちなので、シミュレーションのリアルさが失われてしまう恐れがあります。
しっかりシミュレーションをすることは大切ですが、同じ状況だけを何度も何度もシミュレーションすることは避けましょう。
たとえばデートのシミュレーションを何度もする場合は、「デートの待ち合わせ場所に行く時のシミュレーション」、「デート中の会話のシミュレーション」のように、ある程度場面を分けてシミュレーションを行うことも大切です。
行動してみることも大切
シミュレーションが重要なのは確かですが、いつまでも頭の中でだけ考えていてはいけません。
機会があったら、実際に行動してみることもシミュレーションと同じくらい大切なことです。
たとえば親しくなりたいと考えている気になる人に話しかける時、シミュレーションだけを繰り返して行動に移さなければいつまで経っても親しくなることはできません。
シミュレーションを繰り返しているうちに、他の人が話しかけてしまい機会を逃してしまうこともあるでしょう。
そうなってから後悔しても、後の祭りですので意味がありません。
そういう状況を避けるためにも、ある程度シミュレーションを行った後は実際に行動に移して結果を見てみましょう。
シミュレーションは数回で効果がある
慎重な性格をしている人は、どんなにシミュレーションを繰り返しても不安が残りなかなか行動に移せないということもあります。
しかし、多くの場合、シミュレーションは数回で効果があるので何度も行う必要はありません。
むしろ、何十回もシミュレーションをしてしまうと都合の良い状況の妄想になってしまい、シミュレーションの効果が失われてしまい兼ねません。
また、シミュレーションをしすぎて緊張感を失ってしまい、結果的にせっかくの本番で変なミスをしてしまうこともあるでしょう。
本番前に緊張しないように行うシミュレーションですが、適度な緊張感は保っておかなければなりません。
本番独自の緊張感を失わないためにも、また都合の良い妄想をしてしまい実際の状況に対応できなくなってしまわないためにも、シミュレーションは数回に留めておくようにしましょう。