というのも、70歳までの就業機会を確保する「70歳就業確保法」が成立して、2021年の4月から施行されるといわれています。
ただ、70歳就業確保法が施行されるからといっても「70歳まで会社にいて、今まで通り正社員として働けるのか」というと、そうではありません。
たとえば、契約社員やパートとして再雇用する場合もあれば、他社への再就職や社会貢献活動に参加するなど、自社で雇用する以外の働き方もあるのです。
そのため「70歳まで会社に残れるんだ!」と考えるよりも「70歳まで働き続けるための、あらゆる環境が登場する」と考えていた方がいいかもしれません。
定年後の平均余命
ここまで、定年に関する基本知識について説明してきました。
一般的に定年は60歳ですが「まだまだ働きたい!」と希望すれば、原則65歳まで働くことができます。
そのため「定年=60歳?それとも65歳?」と曖昧になってしまっている人が多いのかもしれません。
また、今後70歳まで延長される可能性もあるため、覚えておくといいでしょう。
それでは、ここからは「定年後の平均余命」について紹介していきます。
男性の場合
厚生労働省の平成29年の簡易生命表によると、定年を迎えた男性の平均余命は23.7歳となっています。
そのため、老後の期間は平均で23年間あるということです。
ちなみに、総務省の平成25年の家計調査報告によると夫が65歳以上、妻が60歳以上の夫婦のみの世帯の場合、毎月の生活費に約27万円が必要だとされています。
ですから、単純計算でいくと「老後期間の23年×毎月の生活費27万円」で、約7,450万円の生活費がかかる可能性があるでしょう。
女性の場合
こちらも厚生労働省の平成29年の簡易生命表によると、定年を迎えた女性の平均余命は28.9歳となっています。
そのため、老後の期間は平均で28年間あるということです。
先ほども紹介したように、総務省の平成25年の家計調査報告によると夫が65歳以上、妻が60歳以上の夫婦のみの世帯の場合、毎月の生活費に約27万円が必要だとされています。
夫が定年後23年で亡くなったとして、その後、妻のみの生活費を7割としましょう。
そうすると「妻1人になってからの7年×生活費の7割」で、約1,600万円が必要になる可能性があります。
定年後の月間支出額の平均
先ほど「夫が65歳以上、妻が60歳以上の夫婦のみの世帯の場合、毎月の生活費に約27万円が必要」ということをお伝えしましたが、ここでは支出の具体的な項目について紹介していきます。
まず、食費や水道光熱費などの生活費は生活する上では必須だと思います。
また、日用品費、衣服や交通費などもかかってくるでしょう。
そして、定年後は若い頃にはあまり気にしていなかったであろう、医療費や介護費が加わってきます。
さらに「定年後は旅行や趣味など、ゆとりのある生活をしたい」と考えている場合は、毎月の生活費27万円にプラス約15万円ほどを想定しておく必要があるでしょう。
定年後のリスク
ここまで、定年後の平均余命や月間支出額の平均について紹介してきました。
定年後、男性は23.7歳、女性は28.9歳と今後平均寿命が上がるにつれて、平均余命も上がる可能性があります。
また、夫が65歳以上、妻が60歳以上の夫婦のみの世帯の場合、毎月の生活費に約27万円が必要ということもあり、平均余命を考えると老後の生活に向けて計画的にお金をためておく必要があるかもしれませんね。
ただ、これらはあくまでも平均なので、人それぞれ違いが出てくるはずです。
それでは、ここからは「定年後のリスク」について紹介していきます。
収入減
定年後は、やはり収入が減少してしまいます。
そのため、定年後も継続して働き続けるのか、それとも貯金を切り崩しながら生活をしていくのかなどを、事前に考えておくといいかもしれません。
もし、継続して働き続けるとしても、定年前と働き方が異なる場合もあるため、収入減のリスクからはなかなか逃れるのが難しいでしょう。
また、公的年金は一般的に65歳から受け取ることができますが、やはり定年前の現役時代に比べると収入は減ってしまうといえます。
怪我や病気
定年後は、定年前の現役時代に比べて体を動かしたり、頭を使う機会が減ってしまうといわれています。