「肯定」という言葉の意味を知ってますか?
なんて、失礼なことを聞いてしまいましたね。
「肯定」するという言葉なんて、よく聞く言葉ですし、よく使われる言葉だと思います。
それなのに、何故この言葉をわざわざ取り上げて書くのかと言いますと、実際には、使い方がややこしいので、逆の意味に伝わってしまったり、使い方が間違っていることが多いのです。
本当は、「肯定」したかったことを、相手には「否定」されたと思われてしまったりすることがあります。
使い方を1つ間違えてしまうと、人間関係まで壊れてしまうこともあるのです。
そこで、この記事では、「肯定」の正しい意味と使い方を、反対語も交えながら分かり易く説明したいと思います。
️肯定ってどういうこと?
「肯定」とは、その通りであると認めることで、または、積極的に意義を認めること意味します。
従って「肯定的」というのは、その通りであるということを、積極的に同意するさまを言います。
「肯定」するのは簡単なようですが、全てを認めて同意するということは、発言者と同等の責任も負うことにもなり得ます。
「的」を付けることで、全てを認めるのではなく、「肯定寄りの意見」の意見だということに使うことがありますね。
ここからは、「肯定」の意味と正しい使い方を、具体的に説明していきます。
️肯定の意味
前述した通り、「肯定」とは、その通りだと認めて、積極に同意することを言います。
使い方が少々ややこしいので、間違って逆のことを「肯定」してしまうこともありますよね。
この記事では、正しく使えるようになるために、分かり易く説明していきますね。
その通りだと認めること
ある人の意見や意義に対して、その通りだと認めることが「肯定」することですが、「肯定」するというのは、かなり勇気が必要です。
会議などで、「この意見に賛成する人は、手を挙げて下さい。」と言われても、なかなか全てに対して積極的に認めることはできません。
実際には、他の意見もあるけど、ほぼ「肯定的」であるという人の方が多いですよね。
それでも「肯定」するというのは、よっぽど強い意志で同意するということです。
積極的に意義を認めること
前に書いたことから、「肯定」するというのは強い意志をもって同意していることです。
曖昧な気持ちではできませんから、積極的に意義を認めることができる場合に使います。
中途半端な気持ちではなく、その意義に対して、全てを認められるということですよ。
主語と述語の関係が成立すること
「肯定」するとは、ある命題の主語と述語の関係が成り立つことを言います。
例えば、「最近オープンした喫茶店のコーヒーは、苦くて不味いと思う。」と発言した人がいたとします。
自分もその喫茶店に行ってコーヒーを飲んだことがあり、激しく同意するのであれば、それを認める時に「肯定します!」と積極的に同意する時に使います。
主語と述語の関係を承認すること
つまり、前の文の例えでいうと、「~コーヒー」が主語で、「~不味い」が述語ということです。
その主語と述語の関係が正しいと成り立っていると判断した時に、それを承認することを「肯定」すると言います。
命題を真であるとすること
命題というのは、ある意見や発言のことで、それに対して主語と述語の関係が成り立っていた場合、それは真実であると承認する時に「肯定します!」と使います。
前例の文で言うと、「最近オープンした喫茶店のコーヒーは、苦くて不味い。」というのが命題です。
その主語と述語の関係が成り立っていると思った時に、「肯定します!」と使うということです。
️肯定の読み方
では、「肯定」の読み方と語源について説明したいと思います。
肯定=こうてい
「肯定」の読み方は、「こうてい」と読みます。
「肯」という字には、うなずいて認めるという意味があり、「定」というのは、内容が決まっていて変わらないことをいいます。
つまり、「肯」と「定」を合わせて「肯定=こうてい」ということです。
️肯定の類語
次に、「肯定」と同じ意味を持つ類語について書こうと思います。
この類語のそれぞれの意味を知ることで、使い分けが上手にできるようになりますよ。
是認
「是認=ぜにん」とは、人の行為や思想などを、良いと認める時に使います。
例文としては、「あなたの行為を全て是認することはできません。」というように使います。
「肯定」と同じように、結局、認めるのか認めないのか、分かりづらくてややこしいですよね。
この文を簡単に言えば、「全て認めることはできない。」ということです。
自認
「自認=じにん」とは、文字通り自分で認めることをいいます。
もっと詳しく意味を書きますと、ある状態が事実であると、自分自身で確かなことだと認めることです。
使い方としては、「自分が勉強不足なことを自認します。」という時に使います。
同音語で、「自任」という言葉があります。
その使い分けは、「自認」は自分自身の出した結果を認める時などに使い、「自任」は、自分が責任を負う時などに使います。
承認
「承認=しょうにん」とは、その事柄がもっともだと認める時などに使います。
また「承認」には、認めるというだけではなく、許可するという意味も含まれています。
「承認する」ということは、相手の言い分などを認めて許すということです。
「肯定」という言葉よりも、重要性が高いことを認める時に、よく使われている言葉です。
認める
「認める=みとめる」とは、それがあることが確かだと見てとることです。
例えば、試合などで負けた時など、「自分の実力が相手に及ばず、負けを認めざるを得ない。」などという時に使います。
要するに、見たことを目にとめて受け入れるという意味です。
諾なう
「諾う=うべなう」とは、願いや要求を引き受けるという意味です。
もっと強い意味では、「服従する」という意味でも使います。
別の意味では、「謝罪します。」あるいは、「お詫びします。」などの意味でも使われています。
要するに、「諾う」という言葉は、簡単に言えば、「従う」ということですね。
宜なう
「宜う=うべなう」も前に書いた「諾う」と読み方も意味も同じです。
「宜う」でも「諾う」でも、どちらでも使い方は同じなので、お好きな方を選んで下さい。
頷く
「頷く=うなずく」とは、肯定・同意・承諾などの意を表して、首を縦に振ることです。
例えば、ある人の意見を聞いて、もっともだと思った時に、「頷きながら聞いていた。」などというように使います。
自分が発言している時に、「うんうん。」と頷きながら話している人も、よく見かけますよね。
️肯定の反対語
既にご存知だと思いますが、「肯定」の反対語は、「否定」といいます。
この反対語の「否定」という言葉の意味も正しく使えるといいですね。
否定
「否定」とは、「肯定」の反対語ですから、「肯定」とは逆に、ある命題の主語と述語の関係が成り立っていないということですから、それを非として認めないという意味です。
例えば、今話題になっている芸能人や議員の「不倫疑惑」について、「一線を越えたか?」という記者の質問に対して、「一線を越えていません。」と「全否定」しているというように、質問に対し、それを認めないことを「否定」するといいます。
️肯定の使い方
次に、「肯定」の使い方を実際に文を使って書きますね。
「肯定」も「否定」もそうですが、本来は「肯定」するつもりが、「否定」だと間違って受け取られてしまうことがありますから、何度も言いますが、そこがややこしいのです。
例えば、キャッチセールスの商品説明で、「こちら商品は、とても良い物です。」と言われた時。
買う気がないことを伝えるのに、「肯定します。」なんていう言い方はしないと思います。
ただ「結構です。」とだけ答えたとすると、「肯定」なのか「否定」なのか、分かりづらいですよね?
この「結構です。」という言葉の前に、「いいえ」か「はい」を付ければ、「肯定」なのか「否定」なのか分かると思いますよ。
と言うことで、「肯定」という言葉を正しく使えるように、例文をご紹介したいと思います。
自己肯定感が低い
「自己肯定感」とは、自分自身を大切な存在なのだと思えることです。
つまり、「自己肯定感」が低いというのは、自分の存在を大切だと思えないということです。
それは自分に自信がないということですから、「自己肯定感」が低い人は、自分が周りからどう思われているのか気になって、他人の言動に敏感に反応していしまいます。
幼少期の生活環境によって、そのような「自己肯定感」が低い人になってしまうことがあるため、教育上の重要な要素として考えられています。
そして、この例文の中には、「肯定」という言葉を用いていながら、「低い」と否定的な言葉もあるので、意味が分かりづらいですよね。
【自己肯定感が低い人については、こちらの記事もチェック!】
彼の意見を肯定する
これはとても簡単な例文なので、分かり易いと思います。
誰かが意見を出した時に、それを積極的に認めることができるという時に、「意見を肯定します。」ということですよね。
肯定的に受け入れる
前にも書きましたが、「的」を付けることによって、幾分、認める意志が少し消極的になって、全てを積極的に受け入れるワケではなく、反対することはないが、全てではなく、ほぼ「肯定」よりに受け入れるということですね。
肯定とも否定とも取れる発言
これが、先程からくどく書いていることですね。
反対語であるのに、何故か「肯定」しているのか、「否定」しているのか分かりづらい発言があります。
この例文の意味としては、単純に、「肯定」とも「否定」とも、どちらにも取れる発言だということで、こんな使い方をします。
この文章は肯定文だ
英語のテストなどで「肯定文」なのか「否定文」なのかというのは、よくある問題だと思います。
何故、わざわざ文章を「肯定文」だというのかと言えば、やはり、「肯定」なのか「否定」なのか、使い方が分かりづらいということでしょう。
人に何かの教えを説く時には、「否定文」は誤解を招きやすいので、なるべく書かず、できるだけ「肯定文」で書くようにすると良いでしょう。
常に肯定的な考え方をするのが大切だ
「否定的」な考え方をする人は、やる気を失ってしまいます。
何をやっても、自分は上手く行かないのだと、「自己否定」をしてしまうことがあるからです。
要するに、「肯定的」な考え方をする人というのは、常にポジティブである人だということです。
また、人の考えを受け入れることができる人は、自分の存在も大切にできる「自己肯定感」が高い人であるから、常に自信を持って正しい判断ができるような、行動力のある人だということも言えます。
この例文は、そういう大切な教えを説く時に使ってみましょう。
相手を肯定しつつも自分の意見を言う
話し合いをする時に大切なことは、相手の意見を「否定」してばかりでは、意見をまとめることは難しいのです。
ですから、相手の意見も「肯定」しつつ、自分の意見もしっかり言えることが大事です。
この例文は、それが話し合いでは大切なことだという時に使いましょう。
肯定を伴う意味合い
例えば反対意見を言う時であっても、「肯定」を伴う意味も含まれていることもありますよね。
全てを反対するのではなく、それを成功や解決するためには、こういうやり方もできるという提案をする場合、こんな使い方をしてみてはいかがでしょう?
肯定的な言葉を意識しよう
前にも書いた通り、「的」という言葉を付けることによって、「肯定」の意味合いを少し柔らかく広い意味で使えると思います。
誰かに意見をする時に、「否定的」なことばかりぶつけてしまっては、相手も気分が悪くなってしまったりするので、素直に受け取ることができなくなってしまいますからね。
人に意見をいう時は、ストレートに意見をするよりも、他人の意見も考慮して「肯定的」な言葉を使えるように意識しましょうという時に、こんな使い方をしてみて下さい。
️肯定という言葉を理解しておこう
このように、「肯定」という言葉はよく聞く言葉ですが、1つ使い方を間違えてしまうと、真逆の意味になり兼ねないのです。
「肯定」の正しい意味を理解して、相手にも正しく伝えられるように、この記事を活かしていただけたら、光栄だと思います。