要因という言葉は、社会に出れば否が応でも、目にしたり耳にする機会が多くなる言葉です。
一見単純で、誰にでも使いこなせそうな気がしますが、実は要因と原因と理由には使い方の違いがあったり、世の中のほとんどの人が「え?!そうだったの?!」なんて思う使い方のルールが隠されていたのです。
知らないと偉くなった時に恥をかくかもしれません。
「要因」という言葉の正しい言葉をご紹介します。
要因という言葉を解析しよう!
物心ついた時から良く使われる言葉「要因」、多くの人にとってあまり意識しなくても、簡単な言葉というか、特に意味を調べなくても自然と意味が分かっていた言葉なのではないでしょうか?
そんな要因について、あれこれ話をするなんて「今更?」と思うかもしれませんが、細かい使い方を調べていくと、「ははぁ~自分以外の人はこんな風に使っているんだ」と思える、ちょっと面白い言葉だったのです。
気楽に考えられる「要因」という言葉の魅力をご紹介します。
1.物事の要(かなめ)となること
要因の最大の意味は「物事の要となること」です。
この「物事の要」とは正確にどんな意味なのでしょうか?
結果につながったことのメインとなる原因
要因はどんな意味なのかというと、最もシンプルに言えば「結果につながったことのメインとなる原因」であるということです。
物事が上手くいけば、そのメインの原因にもなれるし、物事が失敗すれば、そのメインの原因になってしまいます。
2.原因とはどう違うの?
では、「要因」と「原因」はどのような違いがあるのでしょうか?
結果につながったことの全て
要因は結果につながったこと全てを意味します。
いいことも、悪かったことも、どちらもです。
原因はネガティブな事象が起こった時に使う
それに比べて「原因」は、実はネガティブな事象が起こった時だけに使う言葉なのです。
こうして意識して比較してみなければ、要因は結果につながったことの全てに対して、原因はネガティブな事象が起こった時に使う言葉、だなんてはっきり区別できていませんでしたよね。
きっとここまで細かく区別できていた人はごく少数だけだったのではないでしょうか。
例文は「ダイエットが失敗した原因」
例えば「原因」はどんな風に使うのか、というと、こんな風に使います。
ここ数年糖質ダイエットが流行っているので、「これなら私も痩せられるかも」「糖質の少ないものであればある程度たくさんの量が食べられるから痩せることができるはず」と、いざ糖質ダイエットをスタートしたものの、
どうしても家での食事が糖質offという状況にできず、「2週間の間、1日20g以上の糖質をとりたくないのに、あと1週間で達成できるというのに」、そういう時に限って家族の誰かがケーキを買って来たり、夕飯がピザになったり、「今日はてんやもんだけどいいよね?」なんて言われてしまいます。
家の経済状況を考えると、「糖質制限してる」ということが言い出せずに、いつまでたってもケトン体がでるところまで到達することができません。
でもダイエットが成功しない1番の「原因」はやっぱり自分自身にあるのです。
ケーキを断ったり、ピザの時は体調が悪いから、てんやものの場合は糖質の低いものだけを食べるようにすればいい、アイディアなんていくらでもあるはずなのです。
3.要因と原因を同じ意味で使っている人が多い
世の中には、「言葉」をちゃんと意識しないで適当に使っている人がもの凄くたくさんいます。
私はどちらかというと、言葉をきっちり意識して、あの言葉とあの言葉はニュアンスが少し違う・・・なんてところまで区別してしまう性格です。
でも世の中のほとんどの人はめちゃくちゃな言葉を使ってあたかも理路整然と説明している!という雰囲気を醸し出してくるのです。
要因と原因も、ごっちゃにして使っている人が多い言葉です。
まずいのは、「要因と原因って違いますよね?」と言ったところで「何あげあしとってんの?そんなのどうでもいいでしょ?」という人間です。
「あげあし・・・」いや、そういう問題じゃなくて。
私はいつもこの手の状況にあたると「失望して終わるだけ」ということを知っています。
4.要因はひとつとは限らない
要因はひとつとは限らないのが面白いところなのです。
「主要因」という言葉もある
原因には「主原因」という言葉はありませんが、要因には「主要因」という言葉があります。
例えば、会社のあるプロジェクトが成功した時、「今回このプロジェクトが上手く行った主要因は何か?◯◯君、答えてくれ」なんて風に使います。
要因の中でも更に一番メインになるもの
主要因は、要因の中でも1番成功に導いた理由のことを指します。
例えば、「最初にA君がとても良いスケジュールタスクを作ってくれた。
そのおかげで、急ぐことなくスムーズにプロジェクトを進めることができるようになった。
そして次にB君が改修のすくないプログラムを作成、最後はC君が取引先に饒舌に説明をし終えたおかげで、このプロジェクトは成功に終わったのだ。」
この場合、主要因になりえるのはA君・B君・C君の誰でもその可能性は持っています。
でもその中でも、「特に貢献した人・理由」を選抜します。
今回主要因と言えるのは「B君の改修の必要ないプログラム」を作ったということにしておきましょう。
6.要因は日常会話では殆ど使わない
要因という言葉は、サラリーマンなら嫌という程目にする言葉だと思います。
デスクの上には書類が山ほどあるのに、また配布された資料には「要因・要因・要因」と硬い言葉が並んではプレッシャーを与えてくるんです。
会議での報告などで良く使う
お偉いさんや上司の上司の上司レベルの人が来る会議や報告会などでは、「要因」という言葉はもう「常連」といっても過言ではないくらい、良く使われる言葉です。
専門的な議論の場などで使う
要因という言葉を普段はどんな言葉に置き換えているのかというと、「あれが成功した理由(要因)はさぁ・・・」「彼女が綺麗になった秘密(要因)はね・・・」「◯◯ちゃんがテストで悪い点とった原因(要因)はね・・・」という感じで、結構シチュエーションによって色んな言葉に置き換えることができるようです。
そしてカジュアルな場面では、やはり「原因」という言葉を頻発、間違った使い方で使ってしまうことが多いのです。
「原因」はネガティブな場合にのみ使えるので、物事が成功した時には使えないのです。
「要因」という言葉が頻発されるのは、どんなシチュエーションなのかというと、専門的な議論の場では、やはり難しい言葉や丁寧な言葉が飛び交うので、そういう時に「要因」という言葉はとてもしっくりとくるのです。
「あの実験が成功した要因は・・・」とか「◯◯先生がノーベル賞を受賞した要因は・・・」なんて具合に、専門的な場面では要因という言葉がとても似あうのです。
ポジティブな内容でも使う
会社で働いていると、毎年要因という言葉をネガティブな場面でも使う言葉と思い込んでいる新人を良く見かけます。
「要因を使えばなんとなく仕事ができそうに見える」と思うからなのか、まだまだ仕事は半人前以下なのに、「そのサーバがおかしくなった要因はですね・・・」なんて言葉を使ってくるのです。
数年後、仕事ができるようになった頃は「要因」の使い方もちゃんとマスター、頼もしい姿にこちらの胸が熱くなるものです。
要因は専門的に分析されることが多い
要因という言葉を使う世界は専門的な分野が多いという特徴があります。
例えば、科捜研という人が死んだ後にその要因を特定する為の機関があったり、ノーベル賞などを受賞するくらい素晴らしい研究をしている機関では、「癌細胞の組織を絶滅させる要因となる細胞は・・・」なんて話が良く飛び交うものです。
こういう専門的な機関で「要因」を使うと、さっきのサラリーマンの新人のように「かっこつけた言葉」というよりも、妙にしっくりくるので驚きです。
要因は記録に残されることが多い
研究機関や捜査機関などで要因が使われる時は、その結果が記録に残されることがほとんどです。
研究の結果であれば、実験が成功した要因は必ず記載しておかなければなりませんし、捜査結果の要因も、どうしてそうなったのか、過程を知る上で重要な情報になるのです。
5.「理由」とも使い分けよう
「要因」と良く混乱するのが「理由」という言葉です。
物事がそうなったわけ
理由はどんな時に使うべき言葉なのかというと、物事がそうなったわけを説明・言う時に使います。
理由には要因のような深い意味がない時もあり、ただのプロセス的なことを説明する時に使います。
例えば、食べるのを我慢できなかった理由で、ダイエットに失敗した。
寒いのに薄着だった理由で、次の日風邪を引いた。
洋服をたくさんもっているのにまた服を買ってしまった理由で、お金がなくなってしまった。
実はどれも「理由」を「要因」に書き換えることができます。
つまり「理由」と「要因」はとても似ている言葉なのです。
違いは「要因」は主要な理由であるということです。
「原因」は結果に対しての何故か
「原因」はネガティブな場合にのみ使う言葉であるということは、先に少し触れていたと思いますが、この「原因」という言葉はもっと詳しく分析すると、どんな風に使うべきなのかというと、
「原因」は結果に対してどうしてそういう結果が出てしまったのか、悪い結果になってしまったのはどうしてなのか?を説明する言葉になるべきなのです。
例えば、どうしてついつい通販で買い物をしてしまうのか、「もう買わないと決めているのに」またサイトを開いて、買うべきじゃなかったものを買ってしまうのか?というと、
原因として考えられるのは、
・そのサイトを開いてしまうことが問題
・必要なもの以外のものを買おうとする考えが問題
・毎月幾らのお金を使ってもいいと決めて、それ以外のものは使わないようにするべきなのに、自分をコントロールできていないのが問題
などなど、色んな問題が挙げられると思います。
でも、その中で、本当の意味での「原因」と言えるのは、「意思が弱い」ということなのです。
これが原因であり、「要因」です。
つまり原因はたくさんあってOKですが、要因は一つでなければならないということです。
「理由」は「人が何かをすることに対して、何故か」
理由は、原因とは違うディレクションで、人の心にアプローチする言葉です。
この「理由」についての言葉も、買い物で例えてみると、
例えば、どうしてついつい通販で買い物をしてしまうのか、「もう買わないと決めているのに」またサイトを開いて、買うべきじゃなかったものを買ってしまうのか?というと、
その理由として考えられるのは、
・テレビを見ていて、おしゃれな芸能人を見るとつい、「私もああいうの着てみたい」と思ってしまう
・街でおしゃれな人を見かけると、「そのアイディアいいな!」と真似したくなってしまう
・新しい服・着たことのアイテムを買うと、気分がUPして幸せな気持ちになる
などなど、「理由」は「原因」と同じで、いくつもの内容を挙げることができるのです。
そして「理由」があるから「原因」が生まれる、そしてその中で、「要因」をピックアップすることができるのです。
プラス・マイナスどちらの文面でも使える
「理由」という言葉の便利なところは、プラスでもマイナスでも、どちらの文面でも使える言葉だという点です。
原因はネガティブな時しか使うことができないので、大事な書面に何をを記載しなければならない時は、とりあえず「原因」を避けて「理由」にしておくという方法があります。
明らかにネガティブなことだと言い切れるなら思い切って「原因」を、でも「ここでネガティブと断定してしまっていいのか?」と迷う時はとりあえず「理由」を使っておきましょう。
1番大切なのは、自分は「要因」「原因」「理由」の正しい使い方を知っているからと言って、他人にはあまり期待をしないことです。
正しい使い方を知っている人は少ないと思うので、正しい使い方をしている人を発見した時に「この人分かってるなぁ」「素敵だな」と思っていればいいんです。
それなら「なんだあんまり役に立たないんだ」なんて思ってしまうかもしれませんが、そうでもありません。
たった一つでも正しい使い方を覚えると、言葉というものを意識するようになり、普段の言葉がすっきりと綺麗になって行く効果があるんです。
自分も知らない内に、「話方が上手くなったな」とか「話ていることも、書いてあることもすごくすっきりしていて、分かりやすい」なんてことを言われるようになるはずです。
正しい言葉を使う人は、それが仕事の成果として現れるのです!