「あの人は有頂天になっている」や「有頂天になりやすい性格だから失敗しないように気をつけなさい」など、誰かの状態を表す時に「有頂天」という言葉はよく使われます。
小説や漫画、ドラマや映画でも出てきますし、数年前には「有頂天家族」という小説が話題になりアニメ化されたので、それをきっかけに「有頂天」という言葉を知ったという人も多いのではないでしょうか。
では、そのよく見かける「有頂天」とはどういう意味や語源を持つ言葉なのでしょうか。
有頂天の意味や使い方、対義語など有頂天に関する基本的な知識を改めて確認してみましょう。
その上で、有頂天になりやすい人の特徴や有頂天になりやすい時、そして有頂天になっている時にありがちな失敗談など、有頂天にまつわる体験談も知り具体的に理解していきましょう。
有頂天とは?
そもそも「有頂天(うちょうてん)」とはどういう言葉なのでしょうか。
具体的に有頂天になっている状況をイメージするよりも、まずは正しく言葉の意味を理解していく必要があります。
ここでは最初の一歩として有頂天という言葉の意味はもちろん、語源や有頂天の対義語、有頂天の具体的な使い方を確認していくようにしましょう。
意味
「有頂天」とは実は仏教用語の一つです。
こちらの仏教用語の意味は語源で詳しく解説するとして、まずは一般的に使われる「有頂天」の意味を確認していきましょう。
「有頂天」とは一般的には「得意の絶頂であること」という意味で使われます。
「大得意」という言葉で置き換えても分かりやすいのではないでしょうか。
嬉しい時の中でも特に嬉しくて、全てが上手くいっているように思えるような状態を経験したことがあるでしょう。
その状態のことを「有頂天」と言います。
ウキウキして浮き足立っている時を想像すると分かりやすいかもしれません。
また、もう一つの意味として「物事に熱中して夢中になること」という意味もあります。
こちらも実は「有頂天」という言葉で表しますが、こちらの場合は「熱狂」や「熱中している」など違う表現で使われる場合もあるのでそれほど覚えておかなくても良いでしょう。
語源
有頂天の語源を理解するためには、仏教用語を少し知らなければなりません。
そもそも仏教用語における有頂天とは「色界(しきかい)の中で最も高い天である色究竟天(しきくきょうてん)」を意味します。
色界とは仏教の「形ある世界」という概念の中でも最も上の世界のことを意味する言葉です。
すなわち、仏教における有頂天とは「認識しやすい世界の中で、最も尊い部分」と解釈することができるでしょう。
この、平たく言うと「とても良い場所」という意味の仏教用語が日常的に使われるようになり「自分のとても良い状態の中でも、取り分け良い状態」すなわち「得意の絶頂である」という意味に変化したと言われています。
仏教用語の場合の「有頂天」は「尊い場所」のような意味を持ちますが、これは語源から徐々に変化していって現在の日常的に使われる「有頂天」という言葉になったと考えても良いでしょう。
対義語
有頂天は嬉しくて嬉しくて喜び、舞い上がるほど良い気持ちになっている状態を意味します。
では、その有頂天という言葉の対義語にはどのような言葉があてられるのでしょうか。
「がっかり」や「苦しい」など色々な言葉がイメージできるかと思いますが、辞書的な意味としては「落胆」という単語が対義語にあたります。
「落胆」は「残念がり気落ちすること」という意味を持つ言葉ですので、有頂天の対義語としてふさわしいことが分かります。
有頂天と落胆はそれぞれ対義語という関係にありますが、もちろんそれ以外にも相応しい言葉があれば状況に応じて使い分けても構いません。
たとえば「彼は好きな子の前で転んで落胆してしまった」という表現よりも、状況の雰囲気的には「転んでがっかりしてしまった」の方が文章として自然になるでしょう。
このように、辞書的な意味だけにこだわるよりも時と場合によっては類義語を使う方が良い場合もあります。
あまり正しい意味にこだわらず、英語を意訳するような気持ちで柔軟に対応していきましょう。
使い方
有頂天という言葉に戻ってみると、小説やアニメなどで見かける機会は多いものの自分から日常会話で使う機会はそれほどない言葉であることに気付くでしょう。
そこで、ここでは実際に「有頂天」という単語を使った例文を少し紹介していきます。
状況をイメージしながら例文を読み、適切な使い方を覚えてみてください。