本来は「役不足」は「役自体が不足している」という意味のため「彼には課長では役不足だ=彼は部長くらいがふさわしい」という意味を持ち、逆に「力不足」は「実力が不足している」として「彼には課長では力不足だ=係長程度にとどめておこう」という意味を持ちます。
しかし、現在では「役不足」を「役者として不足している」と認識し、「役不足」も「僕には課長なんて無理です」のように力不足と同じ意味合いで使っている人も少なくはありません。
今はまだ正しい意味で使っている人も多いですが、もしかしたら今後「舌先三寸」のように正しい意味が忘れられていく可能性もあります。
「御社」と「貴社」
こちらの「御社」と「貴社」に関しては、最近就職活動や転職活動を経験した人であればピンときやすい使い分けかもしれません。
「御社」も「貴社」も同様に相手の会社に対する敬意を表現する言葉ですが、「御社」は口頭で使う言葉であり「貴社」は文面で使う言葉というような違いがあります。
すなわち、電話などで「今度御社にうかがわせていただきたく思っております」と話した後、改めてメールで日程の打ち合わせをする際には「先ほどお話しした貴社にうかがう日程に関してですが」のように「御社」と「貴社」を使い分けていく必要があります。
この「御社」と「貴社」の使い分けに関しては普段からビジネスシーンで使うことも多く、多くの会社が新入社員研修などで教えることから「失笑」と「苦笑」や「青田買い」と「青田買い」よりも間違える人が少なく、正しい意味で使用しないと恥をかいてしまうこともあるので注意しましょう。
「ご教授」と「ご指導」
最後に「ご教授」と「ご指導」についても見ていきましょう。
「ご教授」は学問や技芸を教えてもらう時、相手の知識に対して敬意を払う際に使われる言葉です。
すなわち、教授などに専門的な内容を教えてもらう時には「ご教授ください」と頼むと良いでしょう。
一方、「ご指導」は「教えてもらった事実」に対して敬意をはらう際に使われる言葉です。
つまり、質問の前に「○○についてご教授ください」と依頼をし、終わった後で「ご指導いただきありがとうございました」とお礼を述べるのが正しい使い方です。
なお「ご指導」だけではなく「ご指導ご鞭撻いただき」というように使うこともあるので、こちらも覚えておくと良いでしょう。
さらに「ご教授」と似た言葉に「ご教示」という言葉もあります。
これは「学問や技芸を教えてもらう時」に使うご教授とは違い「知識や方法を教えてもらう時」に使う言葉となります。
つまり「やり方を教えてください」を丁寧に表現する時に「ご教示ください」となるのです。
「ご教授」・「ご指導」と合わせて「ご教示」の使い方も覚えていくと良いでしょう。
おざなりの意味をしっかり理解しよう
「おざなり」や「なおざり」など、意味が分かりづらく似ている表現は少なくありません。
こうした言葉は使うこと自体を避けてしまいがちですが、正しい意味を覚えると表現の幅が広がるので積極的に覚えていく方が良いでしょう。
語源や類語、使い方などと一緒に覚えると覚えやすくなるので、ぜひしっかり理解して使い分けてみてください。