「しかし」という言葉ですが、現在では口語としてはあまり使うことはありません。
現在よく使われるのは文面でのことです。
この「しかし」という言葉ですが、中には間違った使い方をしている方もおられますので、ここで今一度「しかし」の正しい使い方や意味などについて見直していきましょう。
日本語を正しく使えるということは、大人として認めてもらえますし、逆に良い大人が間違った日本語を使っていると失笑を買うことがあります。
気をつけましょう。
️「しかし」の意味って?
「しかし」というのは、接続語と呼ばれる言葉に部類されます。
接続語とは、二つの文章を繋ぐ言葉です。
この接続語は日本語だけでなく英語にも存在します。
「しかし」は、漢字で書くと「然し」とか「併し」という漢字が当てはまります。
「然」という漢字には、先に述べたことを受けてその状態を表すという意味と、そのとおり・そのままという意味があります。
「自然」などはそのような意味ですよね。
一方、「併」と言う言葉には、あわせる・並べるなど、物事を同列に扱うという意味があります。
どちらの意味も、二つのことがらを比べる・並べるなどの意味があるようですね。
しかしという言葉は、しかしながらの略であるという説もあります。
「しかし」は、Aという文章とBという文章があったとして、そのAとBを繋げる言葉です。
AとBの文章の内容は、反する内容であるというのが特徴です。
前の文脈とは逆の結果になることを述べる言葉
先程も述べましたが「しかし」という言葉は、前の文脈を否定して違う結果を述べる際に使う接続語です。
例えば簡単な事例でいうと「この店のパンケーキは美味しかった。
しかし、パンケーキの値段にしては高すぎた」というような感じです。
口語の場合は「しかし」と使うことはあまりありませんから、この場合は「でも」を使います。
「この店のパンケーキ、美味しいのよね。でも高いの」というような感じです。
話題を少し転換するときに使う言葉
ある事柄についての内容の文章を書きすすめていて、ちょっと話題を転換したいときなどにも「しかし」を使います。
文章は、だらだらと同じような内容で書いてしまうと読み手が退屈してしまいますし、特に長文を読んで欲しい時は、起承転結が必ず必要になります。
ですので、Aという内容の文章に対して違う意見の文章を書くことは、読み手には新鮮に映りますし、その後も読み進めてみようという気にさせますので、おススメです。
このような文章と文章を繋ぐ時に「しかし」は大活躍してくれます。
感情を込めて言い始めるときに使う言葉
「しかし」という言葉は、あくまで接続語ですので、しかしの前に何らかの文章があって当然なのですが、たまに話し言葉として出てくる場合で、「しかし」から言葉を始める場合があります。
特に年配の男性の方に多いように思いますが、例えば「しかし、君ね!」というように相手に対して感情を込めて何か話を始める際によく利用されます。
ただし、聞いている方は何に対しての「しかし」なのかわからないので、聞き流してしまうことが多いようです。
最近ではあまり使われない言葉ですね。
逆接の接続詞
「しかし」という言葉は、逆接の接続詞に部類されます。
逆接とは、Aという文章とBという文章があり、AとBの内容が違うものであると予想される場合にも、あえてAとBを結びつけるという意味です。
一般的にはこのような場合に「しかし」が使われます。
例文としては、「雨が降る」という文言と「遠足に行く」という文言があったとします。
通常、雨が降れば遠足は中止です。
ですが、これらをあえて結びつける場合「明日の予報では雨が降るそうです。しかし遠足に行きます」というような具合です。
️しかしの使い方
ではここで、しかしの使い方についてもう少し具体的に例文をみながらチェックしていきましょう。
例文を覚えておけば、応用ができて間違いが少ないですし、大人になればいろいろな文章を書く機会が増えてきます。
とっさの時にでも、正しい日本語、敬語、接続語を使うことができれば信頼されますし、賢いイメージを相手に持ってもらうことができます。
何度も電話した、しかし応答がない
この文章は、一般的な「しかし」の使い方ですね。
「何回も電話する」という言葉と、「応答が無い」という言葉の結果が、相反しているものです。
普通は、何回も電話をすればいつか応答があってもおかしくありません。
ですが、全く応答が無いという事実が用意されているわけですから、何度も電話した、しかし応答が無いと使うわけです。
別の言い方ですと、「何回も電話したが、応答が無い」と簡単にまとめることも可能です。
だがしかし、事実には変わりない
この文章の「しかし」も接続語としての役割ですね。
しかしの前に、「だが」と言う言葉がついています。
この「だが」は、「だけど」とか「しかし」と同じような意味になりますので、2重に重ねることで接続語としてのしかしを際立たせています。
「悪夢のような出来事だ。
だがしかし、事実には変わりない」と言った具合です。
だがという言葉を取ることはできますが、重ねることで、よりいっそう逆接を強化しています。
君は良くやった、しかし後片付けはどうするんだ
これも一般的な文章ですね。
予想される場面としては、例えば何か立派な作品を仕上げたことに対して称賛する一方で、この作品を仕上げるにあたって、めちゃくちゃ散らかしたというような場面でしょうか。
「凄いものを作ったけど、この後片付け一体誰がやるの?」というようなイメージでしょうか。
または、お店のようなお料理を作ってくれたはいいけど、台所がめちゃめちゃだというような場面も思い浮かぶような気がしますね。
しかし、すごい才能だね
この例文は、先程説明させていただきました、感情を込めて言い始めるときに使う言葉の文例です。
この場合、凄い才能だねという言葉の前に特に何か文章が無くても構いません。
「しかし~だね!」というように、相手に対して感情を込めて何かを話し際に用いられる手法です。
しかしどうにも納得いかない
こちらも、この文章の前に何かあってもなくても良いタイプの使用法です。
メインの文章が「~ない」と否定形で終わっているので、前に来る文章がある場合は、肯定的な文章であると予想されます。
「今の話は事実である。しかしどうにも納得いかない」というような使い方をします。
これがもし「今の話は事実ではない。しかしどうにも納得いかない」となってしまうと、文章が成り立ちません。
️しかしの多用は読みづらい!
どんな言葉でもそうですが、同じ言葉を多用すると文章全体のバランスがおかしくなり、稚拙な文章に見えてしまいます。
せっかく内容は素晴らしいのに、同じ言葉の多用をしてしまうと、ごまかしているような文章に見えてしまいますし、信憑性も薄れてしまいます。
とくに、「しかし」のような接続語については多用を避け、文章全体のバランスも気にしながら文章を書いていきましょう。
便利だけど、使いすぎはNG
「しかし」とか「ですが」というような逆接の接続語はとても便利です。
同じテーマについて、違う見解を述べていながら、それを上手に繋ぎ合わせることができるからです。
こうすると、文章の内容も深まったものになりますし、文字数も稼げます。
ただし、便利だからと言って使い過ぎはNGです。
同じ言葉は同じ項目内で2度以上使うのは避けましょう。
「彼女は、彼のことを愛していた。しかし、彼は彼女を愛していなかった。彼女は彼を諦めようとした。しかし諦めることができなかった」と、このように短い文章の中に「しかし」を2回以上入れてしまうと、文章としては成り立ちますが文章としての質は落ちますね。
しかしを言い換えて使おう
では、どうすればいいのでしょうか?しかしのみならず、接続語には多くの類義語が同義語が存在します。
つまり、同じような意味を持つ言葉と言うことです。
同じ意味なのであれば言い方を変えるだけで使用方法は同じですので、とても便利です。
同じ意味でも、言い方を換えて使うだけで、文章のマンネリ化を防ぐことができますし、文章としても深みが増すので、上手に利用しましょう。
️しかしの類語や同義語
では、「しかし」の類義語や同義語には、どんなものがあるのでしょうか?きちんと知っておかないと、間違った使い方をしてしまい、文章としても成り立たなくなります。
しかしと同じような意味を持つ言葉には、どんなものがあるのかみていきましょう。
でも
「でも」という言葉は、「しかし」に変わるもっともメジャーな言葉であるといえます。
ただし、どうしても口語体として使用されるケースが多いため、文章にするとすこしチープなイメージを与えてしまいます。
しかしという言葉が重なる時に、違う言葉を使って言葉の重複を避けるために使用する言葉は「でも」の他にもたくさんあります。
ですので、文章に使う場合は、できるだけ「しかし」の代わりに「でも」を使うのは避けた方が良いでしょう。
だけど
「だけど」も「でも」に続く「しかし」に代わる言葉としてはメジャーなものになります。
こちらも、「でも」と同様に、口語として使用するケースが多いため、文章中に使用するとどうしても稚拙な印象を与えかねません。
「しかし」のように、同義語や類義語が沢山ある場合、その全てが文章として利用するのに適切かどうかというのは別問題ですので、注意して使わなくてはなりません。
けど
「けど」は、「しかし」の同類語ではありますが、これは完全に口語でしか使用しない言葉です。
ご自身が運営するブログやSNSなど、カジュアルな発信の場では別にかまいませんが、正式な文章やコラムなどにはこの言葉は使わない方が良いですね。
言葉を文章として使用する場合は、自分が書いた文章を読みなおしてみて、読み手として不愉快でないかどうかを客観的にチェックする必要があります。
けれども
「しかし」の同義語として、文章で使用してもおかしくないのが「けれども」や「けれど」です。
この言葉は「しかし」の代わりに使ってもおかしくないでしょう。
もちろん「けれども」も何度も文章中に使用するとバランスがおかしくなりますので、避けましょう。
ですが
「ですが」も「しかし」の代わりに使う言葉としては一般的ですね。
特にですます調の文章では大活躍してくれます。
逆に「~である」「~だ」というような文末の文章にはそぐわないので使用は避けましょう。
だが
文体が「~である」「~だ」のような文章である場合に、「しかし」の代わりに使えるのが、この「だが」と言う言葉です。
これも、上記で述べたように文章がですます調である場合は、接続語としては「だが」は適切ではありません。
それなのに
「それなのに」という言葉も、同義語ではありますが、少し使い方が難しいかもしれませんね。
しかしという言葉同様に、Aという文章とBという文章があり、それを繋ぐ言葉です。
また、Aという文章とBの文章の内容は逆の意味を持ちます。
例えば「彼女は彼のことが好きだ」という文章と「彼女は彼にそっけない態度を取ってしまう」という逆の意味の文章があった場合に、「彼女は彼のことが好きだ。
それなのに、彼女は彼に対してそっけない態度を取ってしまう」というように使います。
それでも
「それでも」という言葉は、逆接の接続語とは少しイメージが違うでしょうか。
それでもという言葉は、どちらかというと「なお」とか「さらに」というような言葉と同義語になります。
ただ、この言葉の便利な点は、逆接としても使えないことは無いということです。
例えば「今日はとても調子が悪い」という文章と「走り続ける」という文章があったとします。
通常ですと、「今日はとても調子が悪いので、走り続けるのは無理だ」というような文章になりますが、lこれに「それでも」という言葉を使うことで逆接にできます。
「今日はとても調子が悪い。
それでも、走り続けなくてはならない」といった具合です。
逆接の使い方というよりは、両方の文章が否定の文面である場合の繋ぎ語としての利用です。
ところが
「ところが」は「しかし」同様、逆接の言葉ですよね。
ところがという言葉は、文面でも使用できますし、しかしの代わりに使える便利な言葉です。
使い方は、しかしと同じで構いません。
️しかしを使いこなして、しっかり文章を練ろう
この他にも、たくさんの同義語や類義語があります。
ベースに「しかし」という言葉を使いながら、色々な言葉を自分なりに使ってみて、しっかりした文章を書くように心がけましょう。
使いこなすコツは、とにかくたくさんの文章を読んだり書いたりすることです。