日本語って、同じ読み方でも意味が違う言葉がたくさんありますよね。
もちろん日本語に限らず、世界中の言葉にも「同音異語」は存在しています。
「同音異語」とは文字通り読み方は同じであるけれども意味が違うと言う言葉です。
中でも日常的に使われる言葉で「みる」という言葉があります。
あなたは「みる」と聞くと、どういう漢字・意味を想像しますか?「みる」ということば一つとっても様々な意味があります。
今回はこの「みる」と言う言葉についての色々な意味や、違いをみていきましょう。
️「みる」にはいろんな種類がある!
ひとことで「みる」と言っても、さまざまな種類があります。
読み方は同じなのですが漢字に変換すると意味が違うことがわかると思います。
また、「みる」という言葉は大まかにわけて2種類にわけられます。
ひとつは、目で見るという視覚を意味する言葉で、人間の持っている視覚という能力をつかって実際にあるものを認識する作業。
もうひとつは、目で見るのではなく行動する意味でつかわれる「みる」という言葉。
例えば様子をみるとか、看病するというときに使う言葉です。
️「みる」のいろいろ
「みる」という言葉については、いろいろな意味があることはお話ししました。
この意味の違いをわかるのに、どうすれば一番良いのかは、漢字に置き換えることです。
しかし、実際に文章で書いたりしない場合は、いちいち漢字に置き換えてというのは難しいですよね。
ですので、「みる」という意味の違いについて、漢字だけで判断するのではなく、その言葉の前後や状況で、どのような意味合いの「みる」を使い分けることが大切になってきます。
では、「みる」のいろいろ、みていきましょう。
️見る
これは一番メジャーな使い方をする「見る」です。
「見る」という漢字の中に「目」という漢字が使われていますよね。
ですので、文字通り目を使ってものを見るという意味で使われる言葉です。
他にも、目を使って見る、いわゆる視覚の作用の言葉の「みる」という言葉もあります。
漢字に直すとなんとなくニュアンスがわかりますが、目を使って見るという意味の中にもいくつかにわかれるようです。
視覚の作用
「見る」というのは、人間の視覚作用のことです。
「見る」は、自ら自主的に物を見ることを言います。
見るつもりはなかったが、目に入って来ると言う場合は「見える」と言う言葉を使います。
つまり「見る」と言う言葉は、自分の意思で自分の目を使って物事を観察すると言う意味になります。
景色を見る
よく使われる文例としては、「景色を見る」というのがあります。
日本語の多くはニュアンスで成り立っており、具体的に説明することがなかなか難しいのですが、見ると言う言葉にも、じっと見つめるという意味の見ると、特に意図しないで見る、目に入って来ると言う意味での見ると言う言葉があります。
この景色を見ると言う言葉に関しては、両方のパターンが考えられます。
景色を自分の意思でしっかり見据えるという場合と、なんとなく見る場合で後者は、その景色をわざわざ自分の意思で見るというのではなく、自然に目に入って来るという意味合いがあります。
ぼーっと何かをみる場合は”見る”
先程ご説明したように、自分の意思で見る場合と、自分の意思なく見る、見える場合があり、ぼーっと何かを見る場合は後者の「見える」という言葉に近いのではないでしょうか?人が何かを見るとそれが記憶に残りますが、この場合はぼーっと何かをなんとなく見ているのにすぎませんので、何を見ても記憶に残っていないことが多いです。
調べる
「見る」と言う言葉には、もちろん視覚を使って見るという意味がありますが、それ以上の意味を持つ場合もあります。
例えば、「調べる」という意味での「見る」です。
対象となることを、まずは目で見てそれ以上に何か行動を伴う場合を指します。
機械の調子を見る
調べると言う意味を持つ場合の「見る」と言う言葉については、例えば「機械の調子を見る」というような使い方があります。
使用している機械の調子が悪い時に、機械の中身をただ見るだけでなく、なぜ調子が悪いのか、どこが原因で動かないのかを調べて解決するといった場合に、「見る」と言う言葉を使います。
経験する
「見る」と言う言葉は意外に便利な言葉です。
目で見るだけでなく、経験するという意味でも使います。
ただし、この場合の多くは、悪い方の意味で使われることが多いです。
つまり、「酷い目に遭う」という意味で使われることが圧倒的に多く、「素敵な目を見る」というような使い方はしないからです。
ひどい目を見る
先程少し説明した通り、経験するという意味で「見る」を使う場合は、たいていマイナスのイメージでの言葉になります。
酷い目を見るとか、痛い目を見るというような使い方をします。
素晴らしい目を見たとか、気持ちのよい目を見たというような言い方はしません。
もし、応用でプラスのイメージとしてこの言葉が使えるのかな?と思われた方は注意してくださいね。
判断する
この意味であまり使うことは日常では少ないですが、「判断する」という意味で使うことも稀にあります。
何か選択しなければならないことがおきたとき、自分の意見で自分で判断しなければならないときに、「見る」と言う言葉を使います。
具体的に何かを見るというだけでなく、様子を見るなど人の調子を知る場合にも使います。
温度を見る
例えば、お風呂の温度を見るというような使い方をする場合、温度を実際に目で見た後に、お湯を手で触って適温かどうか判断しますよね。
このように、実際に目で見てさらに何か行動に移す場合の「見る」も「見」という漢字を使います。
温度を見た後に、熱すぎたり冷たすぎたりすると、お風呂に入ることができないので、適温にするためにしなければならないことがあります。
このような場合に「見る」という言葉を使います。
️観る
「みる」と発音する言葉の中で、「見る」の他に「観る」という漢字を使うケースがあります。
この観ると言う言葉ですが、「観」という漢字の意味するところは、単に眺めるとか見つめるというのではなく、「じっくり見る」「観察する」「物事の本質を見極める」という意味合いがある漢字です。
ですので、上記で述べた「見る」よりも、もっと深いところで見るというイメージしていただくと良いでしょう。
では、「観る」にはどういう意味や使い方が考えられるのでしょうか?
注目して眺める
先程も述べたように「観る」という意味は、注目するとかじっくり眺めるという意味があります。
もちろん、それには自分の意思がありますので、ぼーっと眺めるというような場合には「観る」と言う言葉は使いません。
自分が進んで「みたい」という場合に使われることが多く、自然と目に入って来るとか、なんとなく見かけると言う意味ではありません。
集中して見る、目で見た以上の真相や感覚を観る、いわば心の目でも観るというイメージです。
舞台
「観賞」という言葉があります。
この観賞の観と、「観る」の漢字は全く同じです。
つまり、舞台や芝居を観劇する時には「観る」を使います。
「舞台を見る」ではなく「舞台を観る」となります。
ただし、厳密に言うと「舞台を見る」でも別に間違いではありません。
「観る」には自分の意思が反映されると言いましたが、例えばあなたが気が進まない舞台に無理やり誘われて、嫌々舞台を観た場合は「舞台を見た」と言ってもいいかもしれませんね。
映画
映画に関しても同様です。
「映画鑑賞」という言葉があるように、映画を見る場合も「映画を観る」といった使い方をします。
目で見るだけでなく、それを観ながら内容を理解して行くという2つの作業を同時に行う場合に用いられる漢字です。
ただぼーっと見ているだけでは映画の内容は全く頭に入って来ませんよね。
特に好きなスターが出ている映画なんかは、あなたも集中して観るでしょうし、ひと時も漏らさずしっかりと観察しながら観賞するでしょうから、「観る」を使うのが正しいです。
観光
観光は英語で「sightseeing」といいます。
「sight」は視力、「seeing」は見るという意味があります。
直訳すると「視力を使って見る」ということになりますが、これも単に見るだけでなく、どちらかといえば見て回るという意味があります。
ですので「観光地を見て回る」ではなく「観光地を観て回る」というように使うのが正しいでしょう。
お目当ての建物や美術館があれば、その場所に対して自分が自分の意思で行きますよね?ですので、「目当ての建物を観に行く」「美術館を観にいく」といった使い方が正しいと言えますね。
手相
相変わらず、スピリチュアルブームに沸く日本ですが、そこで再度見直されている技術が手相です。
手相については、「手相をみる」という表現をします。
これは、手相にはその人の人生の縮図が描かれているからであるとされているからです。
手相鑑定士は、依頼者の掌をじっくりくまなく観察しますよね?それで「観る」という漢字が当てはまるのです。
見て観察するという意味でもありますね。
観察
上記でも少し述べましたが、観るという言葉は観察するという意味でもあります。
わかりやすい例文で言うと「様子を観る」という使い方がよくあるでしょうか。
植物の様子を観るとか、子供の様子を観るとかですね。
なお、子供の様子を観るについては、その子供が病気である場合は漢字が違ってきますので注意してください。
意識して何かをみる場合は”観る”
「見る」と「観る」の違いは、みる側の意識の違いです。
ぼーっとしている場合や、なんとなく眺めている場合は「見る」を使いますし、自分から進んで集中してみるばあいは、「観る」を使います。
わかりやすく言えば、みえるのが「見る」で、みたくてみるのが「観る」と言う具合です。
️視る
「見る」「観る」の他に「視る」という漢字があります。
「視る」という漢字には、視察するという意味合いが含まれています。
ですので、目で見て、さらに検証するという意味があります。
視るには、少し変わった使い方があります。
「霊視」と言う言葉があるように、普通の人には見えない、いわゆる霊的なものを見れる人は「視える」という漢字を使います。
科学で証明されているわけではありませんが、目に見えない存在を常に人は感じて生きているのです。
ジッとみつめる
視るという漢字は、気を付けてじっくり視るという意味と、考えや扱いを示す意味の両方の意味があります。
注意しながらじっと見つめる場合も「視る」と言いますし、「重大視する」とか「敵視する」というように、人の行動や考えを示す場合もあります。
どちらかといえば、後者の使い方の方が多いかもしれませんね。
事故現場を視る
これは、一般の人が事故現場をみる場合は「見る」と記載するのが正しいでしょう。
もしくは「観る」でしょう。
事故現場を視るという文例に「視る」という漢字を使う場合は、専門家が検証するために現場を視るというイメージで、いわゆる「視察」という概念です。
例えば警察官が事故現場に対して「ぼーっとみる」ことはありえません。
特に犯人が特定できないとか、どちらが悪いかわからないと言う場合は、よく現場を検証して結果を出さなければなりませんので、「視る」となるわけです。
客観的に視る
「観る」と「視る」の違いは、客観的かどうかです。
主観的にみるばあいは「観る」を使います。
先程述べたように、自分の意思が関与してくるからです。
客観的にみるばあいは、自分自身はいってみればそのできごとに関係するわけではありません。
ですので、第3者視点でものごとを捉えるという意味でも「視る」を使います。
️診る
「みる」という漢字には、これらの他に「診る」という漢字があります。
これは漢字を見ればわかるように「診察」という意味があり、目で見るというよりは、自分の知識をつかって観察して答えを出すという意味になります。
体の状態を調べる
診るという言葉は、主に医療従事者が診察や診療の現場において視察する際に「診る」ことを言います。
つまり、身体の状態を調べるということです。
また、親が子に対して「子供の様子を診る」となりますと、調子の悪い子供を親が様子を診るという意味になります。
️”みる”の使い分けをマスターしよう!
「みる」という言葉でも、さまざまな漢字や意味があるのがわかっていただけたかと思います。
口で発する場合はその違いを説明するのには前後の言葉や文章が重要ですが、文字に起こすとその意味や違いは明確です。
社会人としておとなとして、「みる」という日常的によく使う言葉にこそ気を使って、正しい使い分けをマスターしてみましょう!