主人公の女の子は、ある憂鬱な日にある少年から写真を撮られます。
その少年の、心を惹き付ける魅力に引き込まれ、彼に会いに行く日々を送ります。
でも、そんな少年から衝撃の事実を聞かされます。
それは、「僕の記、一日しかもたないんだ」。
信じられないようなことですが、そんな彼との恋が始まります。
主人公の少女は、家庭環境にいろんな悩みを抱えていて、繊細な心の葛藤や傷などを優しく包み込んでくれるようなストーリーだと思います。
いろんな葛藤の中でも、記憶が毎日なくなるとしてもお互いに想い合うそんなピュアで美しい愛の存在は、疲れていろんな事を経験してあきらめなどを覚えてしまった大人がもう一度青春の心がきゅっとなるようなあの温かさと切なさの混じった気持ちを思い出すのにちょうどいいでしょう。
すごく悲しくて、切なくて、でも温かさが残る作品です。
著者である沖田円さんは、泣ける小説で有名な人ですね。
こ青春小説を書かれている事が多く、心があたたまるもの、さらには心から泣けるものが多いです。
この「僕は何度でも、きみに初めての恋をする」では、累計20万部という大ヒットとなりました。
マチネの終わりに
平野啓一郎さんの長編作品が「マチネの終わりに」です。
平野さんは最年少で芥川賞を受賞した方で、いろいろな年代の読者に愛されています。
その作品を読むと、一人の人間としての自分についても深く考えさせられたりします。
「マチネの終わりに」は大人の恋愛小説となっていて、主人公は38歳のギタリストの独身男性です。
そして、40歳の女性との恋やさらに30歳のマネージャーとの関係など、大人の複雑な事情の中で、自分の気持ちと向き合っていく。
その責任を背負う覚悟と、そして一人の人間として誰を愛し、だれと一緒にいたいのか、そのような深い関係性や、人を愛するって何だろうっていう疑問と向き合える小説となっていると思います。
大人とはいえ、自分の気持ちが大きすぎると、悪いとわかっていることも止められなくなる。
自分勝手だとは分かっていても、それでも気持ちは嘘をつけない、自立した大人になってもそのような理性を超えてしまうような感情を抱え、それでも自分として生きていく。
そんな大人の恋愛感情や苦悩などを、それぞれがどのように乗り越えていくのか、青春の恋愛とはちょっと違った雰囲気と複雑さが、しみじみと心に染みていきます。
さらに、この小説では音楽がでてきます。
実際の音楽なので、自分でのその音楽を聴きながら小説を楽しむとなおその世界に浸ることができるのではないでしょうか?
大人になると恋愛が単なる自分たちだけの問題ではなく、いろんな人を巻き込んで人生を大きく左右するようになりますよね。
まっすぐな気持ちと、それに伴ういろいろな過ちや嫉妬などの人間臭いところが魅力の恋愛小説です。
ぼくは明日、昨日のきみとデートする
「ぼく明日」という略称で愛されている作品が「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」です。
著者は七月隆文さん。
舞台は京都で、20歳の二人の男女の30日間の恋愛を描いています。
この作品の漫画版を大谷紀子さんが手掛け、そちらも話題となりました。
それで原作小説は発行部数が100万部を超えています。
主人公は美大生の20歳の男子学生です。
彼がはある時、電車の中で出会う女性に一目ぼれします。
2人の恋愛は順調のように見えますが、彼女にはある秘密が・・・。
あまりにもありえないような時間の流れの中で、2人が気持ちを深めていくのに、どんどん切なくなっていくんです。
そんな愛という美しくて幸せな瞬間ひとつひとつが切なさを伴う、という美しいストーリーです。
この作品も絶対に泣けます。
心が苦しくなりながら、自分が好きな人と恋愛できることや、一緒に思い出を作れることの幸せを実感します。
こちらも映画になり、主演は福士蒼汰さんと小松菜奈さんです。
キャッチフレーズは「たった30日恋するためにぼくたちは出会った」です。