この記事を読んでらっしゃる皆さんは、「いささか」という言葉を聞いて、何か思い浮かぶことがありますか?

これはいきなり余談ですが、私は「いささか」という言葉を聞くと、サザエさんの「いささか先生」を、一番に思い出してしまいます。

これは、古文では良く使われていた言葉ですが、現代文ではあまり使われることがなく、昔の意味合いと現代の意味合いでは、「いささか」違っているようですね。

それでは、この「いささか」という言葉を、どのような時に使うのかということを、これから書いていこうと思います。

️少し昔の言葉である、いささか

現代ではあまり使われていない「いささか」という言葉ですが、芥川龍之介の小説では、「いささか」という言葉がよく使われています。

つまり、「いささか」という言葉は、少し昔に使われていた言葉だったということですね。

そして、「いささか」という言葉は、古文的な意味と現代文的な意味では、少し違う意味になっているようです。

そんな、聞きなれない言葉ですが、果たして、少し昔の言葉を使う意味があるのでしょうか?
古文的な意味での使い方や現代文的な意味での使い方を知ることで、ちょっと賢くなったような気がして、小粋な言葉を使ってみては、いかがでしょうか?

いささかの意味


「いささか」の意味は、「ほんの少し」「わずか」など、数量や程度の少ないさまを言います。

標準より少し少ない時などに、標準より「いささか」少ないと言います。

これから、「いささか」の意味を書いていきますね。

ほんの少し

前にも書きましたが、「いささか」には、「ほんの少し」という意味があります。

「いささかばかりの~」は、「ほんの少しの~」という意味ですね。

わずか

これも書きましたが、「いささか」とは「わずか」という意味です。

「いささかですが~」というのは、「わずかですが~」という意味ですね。

ちょっとばかり

そして「いささか」には、「ちょっとばかり」という意味もあります。

どれも、数量や程度が少ない時に「いささか」という言葉が使えますね。

思っていたより…というニュアンス


「いささか」という言葉は、「思っていたより~だ」というニュアンスでも使われています。

「思っていたより、いささか少なかった。」などのように使います。

また「多く」の形で「いささかに」を、打消しに呼応して用いると、少しもという意味になるので、「いささかに知りたる人もなければ」とは、「少しも知っている人もなければ」ということになります。

漢字で書くと「些か」

「いささか」を漢字で書くと「些か」です。

そして、もう1つ「聊か」という漢字もありますが、どちらも同じ意味です。

些の意味

「些」の意味は、少しばかりという意味です。

「些細なこと」という言葉でよく使われていますが、これは、「少しばかりのこと」「細かいこと」ということを表す時に使いますよね?

️いささかの語源

それでは「いささか」の語源は、どんな由来があったのでしょうか?
ちょっと気になったので、語源を探して調べてみました。

3つの説がある

どうやら、「いささか」の語源を調べたところ、3つの説があるそうです。

それでは、その3つの説のそれぞれの理由を書いていこうと思います。

いとささやかの縮まり

3つの説の中の1つは、「いとささやか」の縮まりだという説です。

この「いと」という言葉は古文などでよく使われていると思いますが、例えば、「いとをかし」なんて言葉を聞いたことがありませんか?

これを訳すと、「とても趣がある」という意味で、「いと」の意味は「とても」という意味で、「をかし」が「趣がある」という意味です。

そして、「ささやか」は漢字にすると、「細やか」ですから、「細やか」の意味は、皆さんご存知かとは思いますが、「細かい」「小さい」「少ない」ですから、「いと」と「ささやか」を合わせると、「とても少ない」という意味になります。

つまり、「いささか」と同じ意味ですよね?

いささやかの縮まり

語源説の2つ目は、「いささやか」が縮まったという説です。

「い」は発語で、言葉の語調を整えるために添えられたものなので、あまり意味はありません。

そして、「ささやか」は、1つ目の語源説の「細やか」と同じ意味です。

つまり、発語の「い」と「細やか」を合わせて、「いささか」となり、意味は「いささか」と同じ、「わずか」「少ない」という意味ということです。

い・ささ+か

語源説の3つ目は、「い」と「ささ」と「か」に分かれていたものを合わせたという説です。

この「い」は、2つ目の説の「い」と同じ発語で、「ささ」は、「わずか」「ちょっと」という意味で、「か」は、形状を整えるために添えられたという説です。

つまり、「ささ」だけ意味を持つということで、「いささか」と同じ意味で、「わずか」ということですよね。

️いささかの類語

「いささか」の類語には、「僅か」「微量」「すずめの涙」「申し訳程度」「若干」など、まだまだこの他にも沢山の類語があります。

こんなに沢山の類語があるのに、わざわざ聞きなれない「いささか」なんて言葉を使う必要があるのかと、思ってしまうかも知れませんね。

ここからは、どんな類語があるのか、ご紹介しますね。

少し

「いささか」の意味は「ほんの少し」という意味があるので、当然、「少し」は「いささか」の類語だということですね。

少量

これも同じく「いささか」には「少ない」という意味があるので、「少量」というのは、「量が少ない」という意味ですから、「いささか」と類語だということですよね。

僅か

「僅か=わずか」とは、「いささか」の意味でも書きましたから、当然、これも「いささか」の類語です。

微量

「いささか」には、数量と程度の少ないさまを表す意味があるので、「微量」という言葉も、「微」には「わずか」という意味があるので、「わずかな量」ということで、これも、「いささか」と類語だということです。

ちょっぴり

「ちょっぴり」という言葉は、分量と程度がわずかだという時に使う言葉なので、これも「いささか」と同じ意味で類語です。

すずめの涙

「すずめの涙」とは、極わずかなものの例えですよね。

すずめはとても小さい鳥ですから、涙も微量しか出ないという例えですから、これも量が少なくてわずかしか出ないということで、「いささか」と類語ということです。

️いささかの使い方

前に書いた類語の数でお分かりだと思いますが、こんなに類語が沢山ある中で、何故、わざわざ古臭い「いささか」なんて言葉を使うのでしょうね?

現代で使われている言葉を使えば良いものを、「いささか」という古文的な言葉を使うのは、使い慣れていないと、なかなか出て来ないと思いますから、ここで「いささか」の使い方をご紹介したいと思います。

いささか買いすぎたようだ

これは、「少し(いささか)買いすぎたようだ」ということですね。

現代的に「少し」というより、「いささか」という言葉を用いることで、少しだけ残念感が救われるような感じがしませんか?

彼の行動にはいささか困った

同じ「いささか」でも、内容によっては、意味合いが多少変わってくるものですね。

「困った」という言葉が後にくることによって、「少し」というより、「もう少し」というイメージに感じられるので、「彼の行動にはちょっと困った」という意味に捉えると、「少し困った」と言うより、「いささか困った」の方が、困っている加減が多少強めに感じられますよね?

今日はいささか食べ過ぎた

ただストレートに、「今日は少し食べ過ぎた」というよりも、「今日はいささか食べ過ぎた」と、「いささか」という言葉を使うと、「少し食べ過ぎた」というより、哀愁というか、かなり落ち込んでいるように感じますよね。

また余談ですが、「~過ぎた」と後に付けることで、本来は標準より「少なめ」のはずの言葉が、標準より「多め」にも感じますね。

「過ぎた」という言葉を付けると、「少ない」から「多い」という反対の意味に思えます。

今日はいささか言い過ぎた

前に書いたように、「少し」という言葉よりも、「いささか」という言葉を使うことによって、反省している様子の度合いが、「少し」よりも「いささか」の方が、深く反省しているように感じます。

これは、「少し」という言葉が持つ意味は少ないけれど、「いささか」には、多くの意味があるので、「いささか」を使うことで、もっと繊細な意味に感じるからではないでしょうか?

そして、またこれも、「~過ぎた」という言葉を付けることで、「いささか」は「少し」ではなく、「ちょっと」という言葉と同じような捉え方が合いますね。

腕っ節にはいささか自信がある

古文的に使う「いささか」と現代文的に使う「いささか」は、少し意味合いが変わってきているようで、現代文的に使う「いささか」は、人が行う行為や物量などが、標準ではない時に使うようです。

また、自分に対して使う時は、かなり自信があることに近い意味で使われているようです。

そういう意味で考えると、「腕っ節にはいささか自信がある」ということは、かなり自信があるということになるので、古文的な「いささか」は「少し」という控え目な意味なのに、現代文的には、「過信」しているように感じてしまいますよね。

️サザエさんのいささか先生は?

文頭にも書きましたが、「いささか」という言葉を聞くと、一番最初に思い浮かぶのが、サザエさんの「いささか先生」さんです。

いったい、「いささか先生」とは何者で、「いささか」という言葉から名付けたのでしょうか?

あまり「いささか」という言葉とは、関係ないかも知れませんが、「いささか気になる人物」なので、探ってみることにしました。

本名は伊佐坂難物

本名はナント、「伊佐坂難物」という頭の固そうなイメージの名前でした。

この伊佐坂家は磯野家の隣に住んでいて、サザエさんの前に連載されていた「似たもの一家」の登場人物です。

「似たもの一家」の連載を終了した3年後に、サザエさんで再登場したそうです。

伊佐坂先生の家族構成は、奥さんの軽さん、長女の浮江さん、長男で浪人生の甚六さんの4人家族で、ハチという名前の犬を飼っています。

そして、奥さんの軽さんは、サザエさんの母親の舟さんと女学校時代の同級生です。

娘の浮江さんは、カツオやカツオの友だちの中島君の憧れの的で、息子の甚六さんはいつも能天気で浪人生の割には遊んでばかりいるイメージです。

実は伊佐坂先生は、あのイメージとは違って、「恋愛小説家」で、伊佐坂先生の編集担当者は、サザエさんのイトコのノリスケさんで、いつも遅筆な伊佐坂先生は、ノリスケさんを困らせています。

難物=扱いにくい人物

「難物」とは、「扱いにくい人物」という意味ですが、サザエさんの伊佐坂先生は、名前とは違って、そんなに扱いにくい人ではないような感じですよね?

もしかすると、本当はサザエさんの作者の長谷川町子先生も、「扱いにくい人物」として描きたかったのかも知れませんね。

いささかの当て字?

果たして、「伊佐坂先生」の名前は、「いささか」の当て字なのでしょうか?
その由来を調べてみたところ、残念なことに、どうも正解は見当たりませんでした。

少し扱いにくい人物…?

「伊佐坂難物」をそのまま訳してしまうと、「いささか」は「少し」という意味で、「難物」は「扱いにくい人物」という意味なので、「少し扱いにくい人物」というキャラ設定だったのでしょうか?

これだけ曲者のような名前を付けたからには、何かしら意味が込められていたと思いますが、その辺りも、これというような有力な手掛かりは見つかりませんでした。

️最近はあまり使われないけれど覚えておこう

このように、「いささか」という言葉は、最近ではあまり使われることはありませんが、「少し」とか「わずか」という言葉よりも、語調のせいか、説得力や重みを感じられるような気がしますよね。

そして、現代文的な使い方をすると、本来の「いささか」という意味とは違って、強調されるイメージがあります。

「少し」よりも強調したい時などに、「いささか」を使ってみては、いかがでしょうか?
サザエさんを見ながら、「そう言えば、伊佐坂先生ってこんな人だったな。」とか、「いささかって、こんな意味だったよな。」って、思い出していただけるだけも、この記事を書いて良かったと思います。