誠意とは、私利・私欲という自分本位な考えのない、正直でそれに対し熱心にあたる心のこと。

英語にあるsincereは、うそ偽りのない誠実なという似たような言葉があります。

また、goodfaithという言葉は誠意、誠実、正直と言った意味になります。

中国語では儒教の古典「礼記・大学」に“正心誠意”から出てくる古い言葉です。

歴史を重ねるうちにいろいろな意味が付加されては消え、その表現する内容は複雑になりました。

今は日本語と同じ意味で口語に使われることは少ないようです。

日本語の「誠意を見せろ」というようなきつい言い回しは、よそにはなさそうです。

日本で独自の発展を遂げた、または日本人が特別大事にしてきた概念と言えるのかも知れません。

️誠意を見せるためにやるべき12個のこと

そのため「誠意」という言葉の扱い方は、極めて日本的なものになっているといってよさそうです。

有効範囲も日本社会に限定的なものとなります。

それがおかしいのではないかという視点ではありませんが、適宜、海外の情勢とも比較しながら、より深く検討していこうと思います。

謝罪をする


多くの外国人にとって謝罪とは、ほとんど降伏に近い感覚です。

そういう事態を避けようとして、自己主張が延々と続きます。

これは彼らにとっては、ごく普通の日常に過ぎません。

日本人にとってはどうしても言い訳としか思えず、聞いているうちに、頭に血が上ることもしばしばです。

すがすがしさやいさぎよさなど、まったく感じられないからです。

一方で日本人には、とりあえず謝っておこうという姿勢が、チラチラ見え隠れしてしまいます。

謝っておけば問題はそこで一旦止まり、大きく拡散しないだろうという期待を込めてのことです。

事実関係がはっきりする前から、一種の妥協をしてしまうのです。

それに中長期にわたる取引関係が続いている場合、日本ではたいてい貸し借りの関係ができています。

そのバランスシートの中に収めておき、大ごとにするのはやめましょう、という暗黙の合意を確認したいのです。

これはあまり好ましいものではありません。

ほとんど個人技になっていて、契約に基づいたものではないからです。

西欧は契約を立てにした交渉が続きます。

中国では損得を基軸とした交渉が、いつまでも続きます。

いずれにしろ自体がはっきりしないまま、情緒的に頭を下げてしまうようなことはありません。

安易な謝罪は、日本だけのローカルルールのようなものに感じられます。

現代の産業社会では国内市場限定の産業の方が少なくなっているはずです。

外国人との接触は増える一方です。

日本人は謝罪をする前に、一度立ち止まって権利関係と責任について、冷静に考えるようにしましょう。

その上で明らかにこちら側に非があると判断した場合には、すかさず行動を起こさなければなりません。

必ず直接会って謝罪する

ビジネスで謝罪をするときは、会って直接謝罪するのが基本です。

会社全体としての謝罪効果を上げるには、上司を巻き込むのが最善の手段です。

もしかすると、引っ張り出されるのを嫌がる上司もいるかも知れません。

しかしそれでは上司としての役目を果たしていることにはなりません。

とくに管理が主体となっている上司は、こういう問題を解決するときのために存在し、前線の担当者たちより高い給料を得ているからです。

こういうときに使えない上司は、創業家一族でもないかぎり、これ以上の出世は見込めません。

遠慮なく引っ張り出しましょう。

これが機能していない会社組織では、とても将来の発展は見込めないでしょう。

相手の目をしっかり見て

この結果は自分のせいだけではないのに、などと雑念が入ると目は泳ぎ、焦点が定まりません。

これでは相手の視線を、しっかり受け止めることができなくなり、誠意を疑われてしまうでしょう。

謝罪は覚悟を決めていない限り、相手を動かせるものではありません。

謝罪はまずアイコンタクトから始まります。

相手の目をしっかり見つめ、離さない気迫が必要です。

言葉選びも考える

謝罪に追い込まれている状況とは、大ピンチに他なりません。

言葉使いに気を付けるのはもちろんですが、一方ではっきり意志を伝えなければなりません。

あるビジネス書で読み、印象深かったケースをご紹介しましょう。

あるドイツ企業の本社へ、取引先の日本企業から、数人の出張者がやってきました。

長時間の話し合いを持ちましたが、ドイツ人たちは、日本人が何をしに来たのか、さっぱりさっぱりわからなかったそうです。

実はこの日本人たちは、契約を更新をしない、つまり断りを申し入れに来たのでした。

しかし言葉を選びすぎて、何を言いたのか、相手には伝わらなかったのです。

きっと日本人同士なら、あえて言葉に出さなくても伝わるというケースなのでしょう。

しかし謝罪においては、はっきり言葉に出さないかぎり、何も伝わりません。

交渉をする

謝罪を受け入れてもらってから、細かい善後策を交渉で決めていく場合と、細かい善後策について交渉し、了承してもらってから、最後に謝罪を受け入れてもらう、という両様の方式が考えられます。

帰納法と演繹法です。

いずれにしても細部にわたって対応策を準備してから、交渉に臨まなければ、うまくいきません。

ここで筆者の経験した、帰納法でも演繹法でもない、中国人との交渉を紹介しましょう。

中国の工場にこちらの仕様で発注した繊維製品を、日本へ輸入する仕事をしていたときのことです。

不良品、納期遅れなどトラブルの絶えることのない業界です。

あるとき柄ちがいという基本的なミスから、約20万ドルとこの業界にとっては、相当に高額のトラブルを抱えこむことになりました。

筆者はクレームを付ける立場で覚悟を決め、浙江省の工場に乗り込みました。

予想通り厳しい交渉となり、灰皿を投げつける寸前、というような状況にまで至ります。

すると相手方の中国人社長の態度がガラリ変わります。

急にソフトな笑顔に変わり、「こちらとしては、責任を認めない。しかし問題は解決しようじゃないか。」と提案してきたのです。

これこそ中国人の真骨頂です。

彼は呼吸を図っていたのです。

理屈だけで深刻な決裂に至るようなことは、絶対にありません。

理屈は棚上げにして現実の解決策を探るのです。

この件も謝罪はなく、それでも何とか解決に持ち込みました。

一人一人が交渉のテクニックを身に付けている印象です。

中国人が手ごわいのはこうした一人一人の備えている資質にあります。

あつかましい大阪のおばさんが13億人、ずらりと顔を並べているようなイメージです。

結局は利害こそすべてとはいえ、彼らの交渉術は参考にすべき点が少なからずあると思います。

代償を払う

トラブルを解決して、これまで通りの取引き関係の継続を望むなら、如何にうまく交渉しようとも、それ相応の代償を払うことは必要です。

結局は商売勘目に見えないものが重要となります。

とはいえどこまで譲歩するか、事前によくシュミレーションをしておきましょう。

これで予期せぬ代償を払うことを予め防ぎます。

贈り物を送る

また中国の話で恐縮ですが、最近起こった生々しい件をご紹介します。

筆者の妻(中国人)の姉から聞いたばかりのホットな話題です。

姉の夫に、複数の結石が見つかりました。

簡単な手術プラス2~3日の入院という治療コースです。

そこで姉は通例に従い、担当医に1000元(約1万7000円)の心付けを手渡したそうです。

中国の病院では現代でも普通に行われているのです。

ところが同室の入院患者は、6000元(約10万円)も手渡していました。

この違いによる差別待遇はひどいものだったといいます。

ナースコールをしても、駆けつけてくるスピードが全然違ったそうです。

姉はひどく憤っていましたが、まさしく力の支配する世界です。

贈り物の威力もこうまで露骨に表れると、かえってさわやかなくらいです。

日本の状況とは大きく違いますが、それでも贈り物はTPOさえ間違わなければ、大きな効果を発揮します。

責任を持って表明する

誠意を表明するにあたっては、表明する側における責任の所在が明確になっていることが大切です。

どの部門でどう失敗したのか、そのときの責任者は誰か。

そしてただちに取りかかる善後策と今後の体制を見直す改善策の2つが必要となります。

そのどちらにおいても、しっかりポイントを整理しておきましょう。

何をしに来たのだ、などと言われないようにしておかなければなりません。

言葉と行動を一致させる

決まった善後策は確実に実行していきましょう。

謝罪に追い込まれたトラブルにおいては、言葉と行動は不一致に終わってしまいました。

理由はいろいろあったとしても、失敗にまた失敗を重ねるわけにはいきません。

言葉は慎重に選びながらも、行動は迅速かつ確実にこなしていきましょう。

嫌がってしぶしぶやっているような印象を与えるのは、得策ではありません。

ていねいな対応

善後策をこなしていく状況とは、もうあとのない状態です。

ていねいに対応しましょう。

相手に、しつこいと言われるくらい、細かく進行状況を報告するくらいでちょうどよいでしょう。

失敗を挽回しようという情熱が伝わることは、誠意の表現にもつながり、必ずプラスに作用します。

相手の言い分をしっかり聞く

誠意は上手くつたわらなければ、意味がありません。

ビジネス的には、ラストチャンスを逃してしまことにもなりかねません。

相手は感情的になっているかも知れませんが、とにかくその言い分をしっかり聞きましょう。

それには電話やメールなどで済ますわけにはいきません。

面会することが第一です。

必要があれば、回数を重ねます。

そうすることにより善後策にも、うまく修正を加えていくことができます。

何かを我慢する

誠意が伝わるまでの間には、もう我慢できないという感情的な瞬間も訪れるでしょう。

それも一度や二度ではないかも知れません。

それでも原因を作った側としては、当面耐え忍ぶしか方法はありません。

大切なことは、我慢した反動が出ないようにすることです。

誠意の押し売りなどにならないように気を付けましょう。

せっかくそれまでに構築した関係が、また悪化してしまいます。

罰を受ける気持ちで

誠意を伝えようとするあまり、卑屈になりすぎてはいけませんが、ときには罰を受けるような謙虚さを見せることも必要です。

ただし政治家の弁明のようにウソ臭くなってはダメです。

どちらにしても浮わついた感じにならないように、気を付けましょう。

うっとうしく思われたらおしまいです。

ビジネスでは、出入り禁止、取引停止にもなりかねません。

自分の損得を考えない

とりあえず損得勘定どころか責任の所在も抜きにして、速攻で対応しなければならない場合もあり得ます。

筆者のかつて属していた繊維業界では、ほとんど日常的にトラブルが起こっていました。

とくにチラシ掲載商品の修理、補修などは、スピード命です。

繊維製品には、数多くの企画、生産、検品、販売、原料供給などの関係者が関わっています。

そしてトラブルの原因は、単一でないことが多いのです。

その場合、責任は分担せねばなりません。

その結論は後回しにして、とにかく時間内に仕上げることを優先します。

そのために終わった後になって、もめることはよくあります。

それは別として、損得を抜きにしてトラブルに立ち向かった実績は、業界全体からの評価を高めます。

そして以後の仕事はやりやすくなり、十分以上取り返すことも可能です。

しかし一方では契約概念を欠いた、前近代的なやり方という面も多分にあります。

日本社会の遅れた一面といってよいでしょう。

その場限りで済まさない

誠意を見せようにも、取って着けたような態度では、相手に心根を見透かされてしまいます。

謝罪の決意も何も伝わりません。

態度も発言もフランク過ぎることのないよう気を付けましょう。

謝罪は一回こっきりで済むとは限らないからです。

つねに誠実な態度で接することを、継続させていかなければなりません。

絶対に逃げたり諦めたりしない

何事につけてもも矢面に立つのをいやがる人がいます。

クレーム対応などで次々に弾の飛んでくるときは、なおさらです。

そういうときは自ら先頭に立って、解決に導きましょう。

それこそ、正しい誠意の表し方と言えます。

まず状況から逃げ出さないことが必要です。

その次に、一度二度くらいの失敗で、諦めたりしないことです。