もう少し細かく掘り下げてみることにします。
1.五感をフル活用する
芸術家の中で最もお洒落な存在といえば、有名なメゾンで働くファッションデザイナーたちですが、中でもイブサンローランはその功績を称えられ、死後数年が過ぎているというのに2017年の今年、パリに「イブサンローラン美術展」がオープンされました。
この美術展は単なる一デザイナーが生きた証を収めた場所というだけではなく、パリで正式に「美術館」として採用されたそうなんです。
どうしてたった1人のファッションデザイナーがこのような功績を遺すまでになったのかというと、
そこにはイブサンローランが生涯掛けて、彼の五感をフル活用させながら作り上げていった、彼の人生そのものが詰め込まれた場所になっていたからなのです。
この「イブサンローラン美術展」には何が展示されているのかというと、まずは彼の歴史的なフルコレクション、精魂込めてデッサンしてきた洋服の数々が、まるでウインドウショッピングをしているかのように展示されています。
別の部屋には、イブサンローランが愛した仕事部屋、デザインを施していた場所をそっくりそのまま再現、ショウだけでは見ることのできない、裏方としてのイブサンローランを見つけることができるのです。
この素晴らしい場所を作成した1人にイブサンローランの相棒であるピエールベルジェがいましたが、彼はこの「イブサンローラン美術展」がオープンする1ヶ月前にこの世を去ることになったのです。
なぜイブサンローランがピエールベルジェという相棒を必要としたのかと考えてみると、私は1つの結論に辿り着きました。
ピエールベルジェは「イブサンローランが五感をフル活用してデザインに没頭」できるように、それ以外の庶務を全て引き受けていたのです。
現代のようなITテクノロジーが蔓延る社会や、ビジネスで勝つことが求められる世界で芸術家が生き生きとその五感をフル活用できるような空間を手に入れるには、ピエールベルジェのような素晴らしい相棒が必要なのかもしれません。
2.普通の人には気付かないものがわかる
ファッションの世界の「芸術家」という概念で、もう少し掘り下げてみると、「センス」というくくりのカテゴリーについては、どうしても、その人の感性がつきまとってしまいます。
最近では親の影響があるのか、小さい子供でもお洒落な子がいる反面、「お洒落」ということを生きている中で一度も考えたことがないという大人もいます。
経済的に苦しくて生きているのが精一杯であればお洒落なんて考える暇がないのは当たり前ですが、日本の一般的な大人であれば、誰でも一度くらいは洋服や靴を選んで買ったことがあるはずです。
思春期を超えて18歳頃になると初めての好きな人が出来て、「その人に好きになてもらう為には、どんな服を着たらいいのか?」なんて悩んだことがある人は大勢いますよね。
女性ならデート前に何度も鏡を見て「これでおかしくないかな?」なんてやり取りをしたことがあるのではないでしょうか?
ファッションのセンスは、何を買っても、何を着てもダサいと思われる人間がいます。
例えば、お笑い芸人・フットボールアワーの後藤輝基さんは、かなりの年収、巷では2億円を超えているなんて噂もあるくらいなのですが、
それだけのお金を持っているにもかかわらず、めちゃくちゃ服装がださいままなのです。
ファッションセンスに関しては、どうしてもその人自身のセンスが関係してしまうようで、
お洒落な服を着こなせる人と、お金を持っているお金持ちは、≒にはなれても、=になることはありません。
ではなぜお洒落な人は、例えその人が貧乏であっても、上手く着こなすことができるのかというと、「普通の人には気付かないものがわかる」センスがあるのです。
例えば、ちょっとぽっちゃりしている人がダイエットに成功すると、腕や足を露出した、ノースリーブやミニスカートを履きたがる傾向があります。
その他にも、体のラインがぴったりしたニットやTシャツ、足の細さが強調されたスキニーパンツを選択する人も多いのです。
しかしイブサンローランやシャネルがパリのファッションショーで器用するような、スタイル抜群のモデルがそういう服ばかりを着るかというとそうではありません。
ファッションショーを見ると、すぐに気が付くと思いますが、スタイル抜群のモデルを器用するファッションショーでは、必ずといっていいほどロングスカートが登場しますし、
彼らの私服にはマキシスカートや、数年前に日本でも流行ったバギーパンツなんかは当たり前のように登場するのです。
つまり人間の骨格やスタイルは、洋服のデザインをそう簡単に超えることはできないということなんです。
特に日本人はイブサンローランやシャネルのランウェイを歩くモデルと比べると、脚は短いですし、体系もイマイチです。
いくらダイエットをしたところで、到底彼女たちのようにはなれません。
そういう日本人が一生懸命に体にフィットした洋服を着ても、なんだかパットしない印象で終わってしまうのです。
しかしボトムスにはマキシスカートを合わせるとか、アシンメトリーのデザインをチョイスするとか、トップスはぴったりさせるけれどボトムスはオーバーサイズでゆったりさせる等の技を取り入れると、ストイックになる程ダイエットをしなくても、それなりの仕上がりに見せることができるのです。
自分の体系の弱い部分を気にし過ぎて、周囲に迷惑を掛ける程ストイックになり、スタイルアップに励むよりも、ファッションセンスとアイディアでカバーする方がよっぽど楽しい人生を歩むことができるのです。
本当にお洒落な人は、既に自分のスタイルは一流でないことに気が付いているはずです。
そしてそんな短所を上手くカバーして、普通の人には気付かないものをチョイスして着こなしているのです。
今飛ぶ鳥を落とす勢いの石原さとみさんも、良くマキシスカートを履いていますよね。
きっと彼女の場合、顔は一流でも、足には自信がないということで、だったら隠して良く見せようと上手いチョイスをしているのだと思います。
3.独特な感性を持っている
このファッションセンスは、芸術家として芸術的になればなる程、独特な感性を発揮するようになっています。