誰かの自尊心を踏みにじれば、相手からはかなり恨まれますし、場合によっては報復を受けることもあるでしょう。
一方で、自分の自尊心を踏みにじられれば、自分の自尊心を傷つけた相手を決して許しはしないでしょう。
鼻を折る
時々、鼻っ柱の高い人物をぎゃふんと言わせることで、「相手の鼻を折ってやった」と、してやったりの顔をする人がいます。
「鼻を折る」とは、「驕る心をくじく」という意味があり、得意がっているものをへこませて、恥をかかせる際に使われることの多い表現です。
例えばある人物が高級車に乗っている写真を周りの人に見せて自慢していたとします。
その際に、高級車のナンバーがレンタカー専用のものだった場合に、賢く思いやりのある人はそれを指摘せずに、黙って「すごいね」と受け流すことでしょう。
しかし、自慢気なその態度が気に入らないと感じた人の場合は、周りに人がいる前でわざと「でもこれってレンタカーだよね。」と大声で指摘します。
自慢していた人は周りから一気に「何だレンタカーを自慢しているのか」という視線を受けて、大いに恥を掻くことでしょう。
この際に、自慢した人物の勢いを削ぎ、恥をかかせた人は「相手の鼻を折った」と内心でほくそ笑んでいることでしょう。
一方で鼻を折られた方は、指摘した人に対し逆恨みの感情を抱くかもしれません。
「顔に泥を塗る」という表現は、さまざまな場合に使われることがありますが、「鼻を折る」という表現は、このように驕っている相手に対して恥をかかせる際に使われることが多いです。
面汚し
「面汚し」とは、「その人の属する社会や仲間の名誉を傷つけること」です。
よくひと昔前のドラマや小説の中で、「里の面汚ししめ!」「一族の面汚しだ」などのセリフが登場することがありますが、これらの面汚しも、そうした意味として使われています。
家族であれ学校であれ、会社であれ、自分たちがそれぞれの属する社会の中では、ある一定の協調性や暗黙のルールなどが存在していることが多いです。
例えば「独身グループに入っているメンバーは、結婚してはいけない」や「野球のスポーツクラブに入っている人が他のスポーツクラブも掛け持ちしてはいけない」など、社会によって独特の暗黙のルールが存在しています。
前者の独身グループの場合、決していつまでも独身でいなくてはならないというわけではありません。
たまたまそれを作った当時は全員が独身だったというだけであり、その中で結婚する人がいればそれは仲間として純粋に喜んであげるべきことでしょう。
しかし、グループすなわちその社会に属していると、何となく暗黙で「このグループにいる間は結婚してはならない」というルールが出来てしまっていることが多いです。
そのため、もしグループの誰かが結婚すれば、それを喜ばしいことではなく、グループを裏切った裏切り者だと考えてしまう人は残念ながらいます。
このように、社会の中にはそれぞれに暗黙のルールがあり、それを破った人に対して「自分たちの面汚しだ」と責めることがあるのです。
「顔に泥を塗る」という表現の場合、複数人や大勢に対して使われることはあまりありません。
一方で「面汚し」とは、その意味からも集団や社会の仲間内に対して使われることが多いです。
恥さらし
「恥さらし」は、「皆にみっともない姿を見せるさま」や「醜態をさらすさま」あるいはそうした行為をする人を指す言葉です。
「この恥さらし!」と誰かに怒ることがあれば、その人が醜態をさらしたことで、自分にもその被害が及んだり、自分まで恥ずかしい思いをしなければならなくなったりした場合が多いです。
「恥さらし」とはそのまま「恥をさらす」という意味です。
私たち日本人は恥を隠し、人様には見せたがらない傾向がありますので、その恥を堂々とさらすことは非常識であり、またみっともないことであると考える人は多いです。
また、「恥さらし」という言葉を使うシチュエーションとして、誰かが恥をさらしたことで自分も恥ずかしい思いをしなければならなくなったということが非常に多いです。
本人だけが恥をかいて済むことであれば、わざわざ「恥さらし」という表現をすることはあまりないでしょう。
そうした部分でも、「顔に泥を塗る」と意味や使い方がよく似ています。
両目をつぶす
「面目」は先ほどもご紹介したように、世間に対する名誉や体面という意味があります。
それをつぶすということは、世間に対する名誉や体面を台無しにするということですので、当人にはかなりの大ダメージを負わせることになります。
もし自分が誰かの面目をつぶしてしまったなら、ただ謝罪すればそれで済むというわけにはいかないでしょう。
人によっては自分が面目をつぶされたことをいつまでも根に持つタイプの人もいますので、誠心誠意謝罪をするとともに、相手の名誉を回復出来るように自分も尽力しなければならないでしょう。
もし悪意を持って相手の面目をつぶしたのなら、相手から恨まれようが「してやったり」と思うことでしょう。
とはいえ、悪意を持って面目をつぶしたのなら、当然自分も同じように面目をつぶされる覚悟は必要です。
コケにする
「コケにする」とは、バカにすることや侮ることという意味があります。