「○○のせいで顔に泥を塗られた」や「親の顔に泥を塗ってしまった」など、自分や相手が原因で、同じく自分や相手に不都合が生じてしまった時に、「顔に泥を塗る」という表現を使うことがあります。
言葉の意味を知っている人にとっては何の違和感もなく当たり前に使えますが、この言葉を知らない人からすれば、「顔に泥を塗ったの!?」と驚いてしまうかもしれません。
社会に出るとそれなりに使ったり聞いたりする機会の多い言葉ですので、「顔に泥を塗る」という言葉の意味や使い方、また自分が誰かの顔に泥を塗ってしまった時の対処法についてきちんと知っておきましょう!
正しい使い方してる?顔に泥を塗るという意味は?
「顔に泥を塗る」という言葉の響きからも、あまり良い意味の言葉ではなさそうだということは、誰にでも想像がつくことでしょう。
この言葉の意味を知らなければ、言葉そのままに受け取ってしまいますので、相手に対してとんでもなく失礼なことをしたり、またはされたりしたのかと驚いてしまうことでしょう。
本当に相手の顔に直接泥を塗ったわけではないにしても、それに等しいほどに大変なことをしてしまった時には、「顔に泥を塗ってしまった」と表現することがあります。
しかし、言葉の正しい意味を知らないと、どんなタイミングでどんなふうに使えば良いのかが分からずに、おかしな使い方をしてしまうかもしれません。
「顔に泥を塗る」という言葉は、社会人であれば誰でも基礎知識として知っている言葉の一つでもありますので、きちんと正しい使い方が出来ていなければ、顔から火が出るほどに恥ずかしい思いをしてしまうかもしれません。
そんな穴があったら入りたい状況を作らなくても済むように、予めこの言葉の意味や使い方について正しく理解しておきましょう。
辞書的な意味
「顔に泥を塗る」とは、恥をかかせるという意味があります。
「面目」は世間に対する名誉や体面、世間から受ける評価などを意味していますので、「面目を失わせる」とは、世間に対する名誉や体面を失わせることになります。
「顔に泥を塗る」という行為は、自分が誰かにしてしまうこともあれば、人から自分がされてしまうこともあります。
例えば自分が紹介した人物が、勤め先の会社でトラブルを起こしてクビになってしまった時には、紹介者である自分はその人物から顔に泥を塗られたことになるでしょう。
一方で、自分の身勝手な心変わりのために、結婚式前日に婚約破棄をしてしまったら、婚約者や互いの両親の顔に泥を塗ってしまうことになるでしょう。
このように、泥は「塗った」「塗られた」という使い方をするのが普通で、また自分から誰かに、もしくは誰かから自分にという場合に使います。
間違っても自分で自分の顔に泥を塗るような真似は誰もしませんので、自分に対して使うことはないでしょう。
「顔に泥を塗る」の類義語
「顔に泥を塗る」という言葉は、簡単に言えば「恥をかかせる」または「恥をかかせられる」ことです。
顔に泥という表現は決して軽々しいものではありませんので、取り返しのつかないことをしてしまった時や、とんでもなく大変なことをしでかした時など、大事の際に用いられることが多いです。
また、それだけ失礼な行為という意味でもありますので、もし顔に泥を塗ったり塗られたりした時には、相手との関係が修復不可能になってしまうこともあります。
「顔に泥を塗る」という言葉は、そうした深刻で大きな出来事の際に使うことが多いため、ほんのちょっとしたことや、ささいなプライドが傷つけられた程度では、表現として使うことはあまりないでしょう。
多少の揉め事であれば、本来の意味のままに「恥をかかされた」「恥をかけさせた」と言うことが多いです。
そんな「顔に泥を塗る」という言葉にはいくつかの類義語があります。
普段使いするものからしないものまでさまざまですので、以下にご紹介していきます。
顔を汚す
「顔を汚す」とは、「面目を失わせる」ことですので、「顔に泥を塗る」とまったく同じ意味を持ちます。
誰かの面目を失わせたのであれば、「顔を汚してしまった」「○○の顔を汚した」などと使い、反対に自分が面目を潰されたのであれば、「顔を汚された」と使います。
「顔に泥を塗る/塗られた」という表現よりは激しさがそこまでありませんので、やんわりと相手に伝える場合に使われることが多いです。
また、「顔に泥を塗る」という表現がかなり大事なのに対し、「顔を汚す」はまだ表現が控えめなので、身近な人や親しい相手に対して使う際には「顔に泥を塗る」よりも、「顔を汚す」と使うことが多いでしょう。
どちらも同じ意味ですので、より大事にしたかったり、相手に事の重大さを伝えたかったりする場合には「顔に泥を塗る」という表現を使いますし、そこまで大事にする必要がない場合には「顔を汚す」という表現を使います。
自尊心を踏みにじる
「自尊心を踏みにじる」または「プライドを踏みにじる」とは、人の誇りを傷つけたり、恥ずかしい思いをさせたりすることを意味します。
自尊心は誰にでもあるもので、自分の人格の中でも核となる重要な部分です。
いわば誇りの部分ですので、そこを踏みにじられたり傷つけられたりすれば、誰だって不快を通り越して我慢がならないでしょう。
例えばある人の最大の誇りが家族に対する愛情だとしたら、それをバカにされたり傷つけられたりすれば、感情の制御が利かないほどに激高するか、その場では穏やかに対応してもずっと根に持ち続けることでしょう。
それほど自尊心を他者によって踏みにじられる行為は、我慢がならないものです。
「顔に泥を塗る」とは、相手の自尊心を大いに傷つける行為ですので、自尊心を踏みにじることと同じような意味を持つでしょう。