隠されていたものの違い
では「露見」と「露呈」はどのように違うのでしょうか?ひとつずつ順序を追って説明してまいります。
「露呈」の場合
「露呈」の場合の隠されたものは、世間に公表されてもさしたる痛手や不利益を被らないものを指します。
ただ、できたらば世間一般には知らしめたくないし表に出ないのならそのままにしておきたい、という意味合いがこもってくるでしょう。
「露見」の場合
一方、「露見」の場合の隠したいものは、完全に世の中から隔離し人の目に触れてはいけないもの全般を指します。
言うならば「秘密」や「機密事項」というものですね。
もしくは悪事を働いた場合の「証拠」とでもいうものを指します。
つまり「露呈」と「露見」の違いは…
つまり「露呈」と「露見」の決定的な違いは隠しておいた中身が犯罪性があるかないか、という事になってくるでしょう。
例えばSNS上に流された飲食業界における厨房内での不適切な映像。
もしくは年金機構のずさんな管理体制。
あるいは2020年になってもまだ火種のくすぶる「桜を見る会」の名簿問題。
これらはいずれも露見してしまったものであり、明らかに「露呈」とはいえません。
いずれも秘密にしておきたかった問題といえますからね。
例文で見る「露呈」の使い方
それではここからは「露呈」についての例文を紹介していき「露呈」という言葉の実際の使われ方についての最終確認を行っていきましょう。
自分の心の内を露呈する
この例文に出てきます「露呈」、これは自分の心の内の中にある、今まで公表しなかった秘めたる思いを周囲の人に堂々と公言したことを表します。
人はなかなか自分の心の中を人前でオープンにすることはありません。
それを自らの意志で公表したところで、別に世の中全体に悪影響を及ぼすことがないものです。
強いて言えば自分自身が恥ずかしい思いをするくらいでしょう。
「露呈」というものはこういったニュアンスがあるのです。
チームの弱みを露呈する
通常、チームというものは自らの弱点を相手に悟られないように行動するものです。
それを自らの失態によって公衆の目にさらしてしまった、という内容の例文となります。
チームというものは勝つために存在します。
よってライバルに知られないように振る舞うのが鉄則です。
それが白日の下にさらされたのですから、見事に秘密が「露呈」した、ということになりますね。
お酒を飲むと本性が露呈する
人の本性というものは普段は分からないものです。
ところがお酒というアルコールが人間の心のたがをゆるめてしまいます。
よって人に知られたくなかった自分の本性を惜しげもなくさらしてしまうことは、よくある光景です。
この例文の場合、世の中の規範に反した行動をとっていない「本性」なのであれば「露呈」を使います。
ところが過去に重大な犯罪を犯し、今も逃走中といった内容の隠し事ならば「露見」の方がふさわしくなってしまうでしょう。
知られざる彼の生活が露呈された
「知られざる彼の生活」の内容が特に世の中の公序良俗に反した内容であるのなら「露見」という言葉で事足りるでしょう。
彼の生活の中身があまりにも世間の常識から離れていたから「露呈」という表現になってしまったといえますね。
取り立てて驚くような内容でなければ、わざわざ「露呈」という言葉は使いませんからね。