つまり相手の様子や状況に関係なく、手心を加えることもなく攻撃の手を休めない、ということになります。
これも勝負の世界の非情さを物語る言葉です。
例えば将棋の一戦。
実力差があったらあっという間に勝負は決してしまうでしょう。
まさに「瞬殺」されるかも分かりません。
相手の良いところを一切、出させることもなく勝負を決めてしまう非常の戦いの手口なのです。
傷口に塩を塗る
「傷口に塩を塗る」とは、悪いことが起こった上に、更に災難や悪いことが重なることをいいます。
つまり、大けがを負っている傷口に大量の塩を塗り込んで、痛みを更に激化させるようなものです。
このような戦法は、明らかに「完膚なきまで」叩く手法といえるでしょう。
ただでさえ弱っている相手に止めを刺すが如くの追い打ちの攻撃。
敵を完全KOに追い込んでしまう戦い方というわけです。
勝負を判定に持ち込む気持ちがさらさらない、という事になります。
「完膚なきまで」を使うときの注意点
ではここで「完膚なきまで」という言葉を使う際の注意点について、説明しておきます。
人に対して軽率に使うのはNG
「完膚なきまで」という言葉は、相手を容赦なくコテンパンに叩く時に使う言葉です。
ということは、明らかに戦闘態勢に入った状況下で使う言葉だということです。
それも使う相手は人です。
よって、軽はずみにでも冗談にでも人に対して使うことは避けた方がいい言葉になります。
友人同士やビジネスの現場においてこの言葉を用いるのは、明らかに場の空気を読んでいない証拠です。
使用してもおかしくない場面やシーンを選んで、使うようにするべき言葉でしょう。
勿論、使用してもいいのはスポーツや格闘場面など娯楽性を含んだ場面で使うようにしたいものです。
被害や痛手を伴わない場合は使えない
「完膚なきまで」という言葉には、被害や痛手といった苦痛を伴う要素が絡んできます。
国家間の紛争や戦争、格闘技戦などの試合など、戦った結果、どちらかに多くのけが人が出たり、病院送りされるくらいの大けがを負わせるような状況になる場合などに用いられる言葉なのです。
よって、そのような状況になっていないケースであるならば、この言葉は使わないことです。
たまにテレビの実況中継で格闘技戦を放送していて、相手選手が判定で負けただけなのに、「完膚なきまでやられました」とアナウンスしていることがありますが、明かにこれは誤りです。
それほど「完膚なきまで」という状況は、悲惨な状況ということを認識しましょう。
「完膚なきまで」を正しく使いこなそう!
今回は「完膚なきまで」という言葉について解説してまいりました。
本文中に何度も申しましたが、「完膚なきまで」という表現は殺伐とした雰囲気とやってはいけない攻撃性を助長する言葉でもあります。
確かに過去の国家間での戦争や紛争は、このような状況が何度も起こりました。
そうしないと今度は自分がそうされてしまう危険性があったからです。
よって、今の時代ではせいぜい、スポーツの世界や議論の場における論戦程度に使用場面を留めるべきでしょう。
もし、世の中全般でこの言葉が当たり前のように使われるようになってしまったら、それはそれで恐ろしい時代になってしまったと、言わざるを得ないでしょう。