つまり相手の言い分や説明をよく聞いたうえで判断しているということです。
その際、取り立てて相手が不利になるような理不尽な裁定は行わないということです。
黙って相手の行為を全て認めてしまう「黙認」とはそのあたりが大きく違うということがおわかりいただけますでしょうか。
スルーする
「スルー」とは、「受け流す」「そのまま通過する」「何もしないで待っている」という意味になります。
意味的には「黙認」とよく似ています。
黙って相手の行為を見逃しているわけですから「黙認」の類語として問題ないでしょう。
ただ、細かくみていくと意味合いは違ってきます。
「黙認」は、対象となる行為・行動に一応の監視が入っているのですが「スルー」は完全にその部分もありません。
つまり「素通り」状態だというわけです。
本来、物事にはチェックする側とそれを受ける側とがあります。
「スルー」はそのチェックする側にその様子が全く見受けられないところに特徴があります。
「黙認」にはまだチェック側の意志が働くかも分からないという緊張感があります。
しかし、スルーにはそれが全くないのです。
日本語の意味は本当に細部にわたるまで広範囲な意味が存在しているということなのです。
見て見ぬふり
「見て見ぬふり」とは、相手の動作や行動・言動などを見ていることは見ているのですが、特にそれらに対して何の判断も指示も下さずに素通りさせている状態をいいます。
例えてみますと駄々っ子に手を焼く両親の様でしょうか。
特に一人っ子となると子供可愛さのあまり子供のわがままやむずかりに叱ったりせず、ただじっと様子をみている風情を思い起こさせます。
「見て見ぬふり」は多くの意味合いにおいて間違いなく「黙認」の類語扱いとなります。
相手に対して明確な意思表示がないですからそのようにとってもらっていいでしょう。
知らん顔をする
「知らん顔をする」。
つまり相手にしていない。
あるいは無視する、といった意味合いになります。
よって広義の意味では「黙認」と類語扱いになるということになります。
ただ、知らん顔は相手の行いや行動に対して無視を決め込んでいるだけで相手のことを認めているわけではありません。
そのあたりは「見て見ぬふり」と同じ解釈が成り立ちます。
知らん顔をするということは、こちらの気分を害された腹いせに行ってしまう行為でもあります。
俗にいう「意地悪」ですね。
よって「黙認」のように黙って相手のことを認めているわけではない、ということを頭に入れておきましょう。
大目に見る
「大目に見る」とは合格基準には達していないがお情けで通過させる、といった意味合いになります。
つまり甘い裁定、ということになるでしょうか。
大目に見る行為は黙認のように、黙って認めているわけではありません。
一応の審査や試験のようなものを行った結果の裁定です。
よって広義の意味で捉えれば「黙認」と類語の扱いをしてもいいでしょうが、狭義の解釈を行えば意味合いは微妙に違ってくるのです。
ただ、最終的に合格基準に達していないのに通過させるのですから「黙認」と意味合いは大きくは違わないでしょう。
「黙認」を正しく使いこなそう!
今回は「黙認」という言葉について解説してまいりました。