「譲歩」の「歩」は「歩む」という言葉です。
「歩く」「歩む」とは、足を交互に動かして前進する、という意味のほかに月日を経る、人生を送る、物事が進行・進展する、出かける、行く、といった意味もあります。
いずれも何かが前を向いて進行しているさまを言い表した言葉となりますね。
「譲歩」の使い方
では「譲歩」の使い方について説明していきましょう。
「譲歩」そのままでは名詞として使用
「譲歩」自体は日常会話では名詞として使います。
「譲歩」のあとに「れ」や「く」など動きを表す言葉は使いません。
よって一般的には「譲歩」一文字で一つの意味を表す単語として使いましょう。
動詞として使うには「譲歩する」など
ただ全く名詞的な活用だけというわけでもありません。
時として動詞的な活用もします。
例えば「譲歩する」といった使い方です。
「する」「しなさい」などを後ろにつけることによって動詞としても使える言葉なのです。
自分が折れるというニュアンスを含む
「譲歩」という言葉のニュアンスには「自分が折れる」といった意味合いが強いでしょう。
単に相手に道を譲るといった単純な解釈にならないケースも結構あるということです。
「自分が折れる」ということは論戦に完璧に敗れた場合、もしくは話が長期化しそうなので事態を収めるために今日のところは自分が引き下がっておく、といった使い方も派生してきます。
そういった場合、少なからずも自分の心に「敗北」というマイナスのイメージを植え付ける可能性もある言葉であるということも理解しておきましょう。
ビジネスシーンでも使われる言葉
「譲歩」という言葉はビジネスシーンにおいても頻繁に使われます。
相手の言い分とこちらの言い分を調整しながら進めていくのがビジネスの基本です。
一方的にどちらかの言い分を聞き入れるような展開はビジネスとは言いにくいでしょう。
円滑なビジネスにまとめるためにはどれだけ利益を確保できるかどうかにかかってきますが、相手との信頼関係の構築なしには良きビジネスは生まれません。
譲るべき点は譲って、お互いの儲けを見出す。
そのためには「譲歩」という手段は欠かせないのです。
「譲歩」はビジネスにおいてなくてはならない駆け引きの一手なのです。
譲歩した相手の前ではあまり使わない
「譲歩」という言葉はそれを行った相手の前では口にしないのが鉄則です。
そこを恩着せがましく「譲歩してやったから」みたいな言い方になってしまうとせっかくまとまりかけていた話も頓挫してしまうでしょう。
「譲歩」という言葉には、相手に卑屈さを感じさせてしまう要素も含まれます。
相手の言い分をやむにやまれず飲まされる展開も往々にしてあるからです。
よって「譲歩」という言葉はできたらあまり口に出さない方が相手のプライドを壊さないで済むかもしれません。
「譲歩」の例文
それでは「譲歩」を用いた例文をみていきましょう。
彼女があの映画が見たいと言うので今回は僕が譲歩した
この例文の「譲歩」の対象は、観たい「映画」です。
主人公である「僕」は彼女と映画の趣味が少し違うようですね。
彼女は主人公の興味のない映画にぞっこんのようです。
主人公はどうせ行くなら違う映画に行きたかったのでしょうが、彼女との関係がこじれるのもよくありません。