日本語には、私たちが日常的に使っているのにも関わらず、あまり意味の知られてない言葉や、具体的に何を指しているのかはっきり認識されていないものがあります。
だいたいの使い方や、ニュアンスは浸透しておいので、その言葉を聞いた方も使った方も共通理解が得られ、誤解が生まれることはないのですが、改めてどんな意味ですか?と聞かれると少し考えてしまう言葉があります。
そんな言葉の一つである「不甲斐ない」という言葉の意味や使い方、また不甲斐ないと言われてしまう人の特徴を考えてみましょう。
不甲斐ないとは?
無力さを感じたときなどに、「不甲斐なく思っております」など言ったり、「不甲斐ない結果」と使ったりします。
では、「不甲斐ない」とはそもそもどう意味でしょうか?
テレビなどで耳にすることもありますし、実生活の中でも自分が使ったり、人からいわれたこともあるかもしれません。
しかし、はっきりと言葉の由来や意味を説明できる人は少ないでしょう。
辞書によりますと、不甲斐ないの意味は、「意気地がない」「情けない」「だらしがない」「弱々しい」となっています。
確かにみなさんのイメージ通りの意味ではないでしょうか?
みなさんこのような意味で使ったり、理解していますよね?
後で、ここにあげられている、それぞれの言葉の意味を考えてみますが、まず、不甲斐ないという言葉を、より細かく区切っていくともっと面白くなります。
最初に「甲斐」という言葉に注目してみましょう。
「やりがい」「年甲斐」「頼りがい」など、この「甲斐」という言葉を使った他の言葉もたくさんあることに気付かれるでしょう。
甲斐には、「価値のあるもの」「効能」という由来があり、「行動の結果として表れるしるし」「努力した結果」という意味があるそうです。
「甲斐性のある男」などという言葉もありますが、この甲斐という言葉の意味を当てはめて考えると、「はつらつ働いて頼もしい男」「努力して結果を刈り取る男」という意味であることも分かります。
ですから、甲斐のもつ良い意味の反対、もしくは甲斐がないということで「不甲斐ない」となったわけです。
意気地が無い
意気地がないとは、「困難や苦しみに耐えて、やり遂げるだけの気力がない」「精神力や生命力が弱い」「勇気がない」という意味になります。
ですから決して褒め言葉ではないですよね。
男性に対しても、女性に対しても使うことができますが、特に男性には、最後まで頑張り通す気合いや、大変な状況でも諦めない心の強さを期待するので、意気地がないと見られると、かなりのマイナスポイントになってしまいます。
やはり、何事も諦めないという強さは、周りも元気づけますし、結果を刈り取るには欠かせない特質でしょう。
情けない
情けないという言葉にも、様々な意味や使い方があります。
まず一つ目は、「思いやりがない」「無情」という意味があります。
「そんな情けもないことをよくできるな」「情け容赦のない仕返し」などという使い方がされています。
二つ目は、「惨め」「見るにしのびない」という意味です。
「ずぶぬれの情けない姿」などと使用されます。
三つ目は、「情けない成績に終わった」「こんなひどいことをした自分が情けない」などと用いる場合の、「嘆かわしい」「同情の余地がない」「残念な」という意味です。
不甲斐ないという意味に含まれるのは、三番目や二番目でしょうか?
自分が努力しないで良い結果が得られなかった時や、性急な判断や思い込みで行動してしまい、誰かを傷つけたり、失敗した時などに「不甲斐なく思う」と言い、これらの様子を表しています。
だらしない
「だらしない」という言葉も、日常生活でよく使う言葉です。
人に対しても、物に対しても、ライフスタイルに関しても使います。
「だらしない服装」「だらしなく寝ている」など、「きちんとしていない」「整っていない」という意味や、「お金にだらしない」「時間にだらしない」というように、「節度がない」「しまりがない」という意味も含まれます。
また、「これくらいで疲れるなんてだらしがないな」などと「根性がない」「体力や気力がない」という意味合いもあります。
ですから、髪型や靴を含め着ているものなどが、よれよれしていたり、汚れていたりする外見からだらしない印象を与えてしまうこともありますし、いつも遅刻していたり、やり始めたことを直ぐにやめてしまうなど生き方でもだない人と判断されてしまいます。
弱々しい
大人の女性に対して弱々しいという時には、非常に女っぽい、繊細、華奢などの、女性らしさの特徴を持っているという、褒め言葉とも取れるような使い方をすることもありますが、「不甲斐ない」ということを言いたい時の「弱々しい」という意味は、「ひ弱」「度胸がない」「力のない」という、心身の弱さを強調した意味合いになります。