一人の合格者も出すことができなかったために、その状態のことを人々は「天荒」と呼びました。
この言葉は中国の言葉では「未開で荒れ放題になってしまった土地」という意味になります。
ところがある年に初めて合格者が出たため、「天荒の状態が破られた」ことから「破天荒」と呼ばれるようになったのが初めてです。
誰もなしえなかったことを初めてすること
破天荒とは、そもそもは「誰もなしえなかったことを初めてすること」という意味があるようです。
誰もできなかったことをするのですから、現在使われている破天荒よりもずっと大変そうだということが分かりますね。
由来から考えても、誰もできなかったことを初めてするということになりますので、決して、大胆振る舞いをするということではありません。
真面目でレールに乗った人生を極めた人であっても、それが誰もできなかったことであれば破天荒と呼ぶことになります。
また、この言葉は完全に物事に対して使われる言葉ですね。
現在の破天荒は人に対して使われることが多い言葉ですが、破天荒の場合には誰もができなかったことをすることを表しているので、人そのものに対してではありません。
そこも現在とは大きく違うところだと言えるのではないでしょうか。
前代未聞な様子
誰もがなしえなかったことを初めてすることを指すので、前代未聞な様子のことも指すようですね。
今までに前例がなかったことをしたということが破天荒の意味です。
確かに、前代未聞のことをするというと、現在使われている破天荒の意味に近いような気もしてきますよね。
前代未聞な様子というのは、基本的には物事に対して使われる言葉です。
変化しつつある破天荒の意味
破天荒の本来の意味を見てみると大体分かるかもしれませんが、現在では破天荒の意味は変わってきています。
破天荒の本来の意味を見たときに、自分の知っている意味とは全く違うという印象だと思った方も多いのではないでしょうか。
実際に、破天荒の意味を間違えて覚えている人は、日本人の6割ほどのようです。
既に半数以上が間違えて覚えてしまっているということは、だんだんと意味が変わってきているということかもしれませんね。
言葉というのは生きているものですから、昔の意味にとらわれていることはありません。
テストで聞かれたときには間違った答えを書く必要はありませんが、今の意味で使っている人を咎める必要はありません。
それでは、現在では破天荒はどのような意味だと思われているのでしょうか。
豪快で大胆な様子
多くの人は、破天荒が「豪快で大胆な様子」という意味だと誤解しています。
豪快で大胆な様子というのは、人に対して使われることが多く、あまり人がしないようなことを恐れることもせずにやっている人のことを「破天荒」と呼びますよね。
それが前代未聞な様子であるかどうかはあまり関係なく、人が避けているようなことをする、自分の主張を大胆にするというイメージがあります。
前例があったとしても、それが誰もができることではないというときに「豪快で大胆な様子」として破天荒と言うのです。
豪快さにエネルギッシュなところがあるイメージもあるでしょう。
確かに「誰もがしないことをする」というところは、破天荒の元の意味が込められているかもしれませんが、「誰もが(実力の面で)できなかったこと」をするのが元の破天荒なら、今の破天荒なら「誰もが(しない方がまともだと分かっているので)できなかったこと」をするのが現在の破天荒ですね。
最近の”破天荒”はこの意味で使われることが多い
最近の破天荒は基本的に「豪快で大胆な様子」です。
元の「誰もがなしえなかったことを初めてすること」「前代未聞な様子」という意味はなくなってしまっている印象がありますね。
元々の破天荒の場合には、それはとても良い方の意味でした。
初めて官吏登用試験に合格することが破天荒だったのですから、それは確かに良いことですよね。
ですが、最近では危険を顧みない無謀な人というイメージもありますので、破天荒が良い意味ばかりで使われるわけではありません。
どちらかというと、無謀すぎて真似したくない、マネできるはずがないという意味も込められていますので、破天荒と言われてしまった場合には褒め言葉ではないことの方が多いでしょう。
️破天荒芸人といえば、この人!
破天荒とはいっても、なかなか破天荒のイメージがわかないということもよくあるのではないでしょうか。