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ブランクとはどういう意味?ケースバ...(続き2)

例えば、野球ですが、怪我の具合によっては2週間~3ヵ月程度、お休みを強要されてしまうことがあり、その間は他の選手がレギュラーの座につくことになります。

ブランクは怪我を直す為に必要なことなので、どうしてもそれを変更することはできません。

しかしその間はずっと別の選手が自分の代わりをしていると思うと、焦る気持ちがないわけがないのです。

例えば、それが今メジャーリーグで活躍するダルビッシュ選手だったとしたら、彼くらいの選手はそういませんから、半年くらいブランクがあったとしても、戻ってくれば居場所がないなんてことはありません。

でも、プロ野球選手になることだけでも難しい世界で、数ヵ月間、怪我の為にレギュラーの座を他の選手に渡す、その間には、ずっとそのチャンスを虎視眈々と狙っていた選手が「今度こそこの座を奪ってやる!」と意気込んでいるのです。

怪我は予定よりも早く治る場合もありますが、少しでも無理して早く復帰してしまえば、治りかけたところがまた再発・・・という最悪の結果になってしまうこともあります。

自分と先生とチームのマネージャーさんと家族と、皆で力を合わせて完全に完治させることが重要なのです。

もしも、焦って復帰して再発になってしまえば、その時はもう取り返しがつかないことがほとんどです。

そうなってしまえば、2軍に落ちて、そのまま戦力外通告となってしまう可能性が高いのです。

一流野球選手になれば、シーズンオフを狙ってわざと手術に踏み込む人もいるんだとか。

まだ怪我とまではいかない状況でも、今後怪我をする可能性が高いとか、なんとなく「このひじはまずい状況だな・・・」と診断されれば、怪我を予防してブランクを多く作らない為に、手術に踏み込むというのです。

手術は成功すれば問題ないのですが、万が一失敗すれば選手生命が断たれることもあります。

それでも怪我の前に手術に踏み込む等の決断をするには、頭だって良くないと、そう簡単には決められるものではないですよね。

私はこのような怪我・ブランク・一流の野球選手という一つ一つの要素を繋げて考えてみれば、そこには「人間性」というキーワードが関係してくるのではないのだろうかと考えています。

というのも、一流野球選手というのは、野球の技術だけではなく、その他の色んな要素を備えてこそ、一流野球選手になれるのだと思うのです。

毎年ドラフト会議が行われて、そこでは命を懸けてプロ野球選手になりたいと思っている人が、そしてその家族が「どうか自分がドラフトで選ばれますように」と祈りながらその瞬間を待っています。

選ぶ側からしても、一人一人のバックグラウンドや、選手・家族が家庭を犠牲にしてまでやってきた過程を考えると、「どうにかしてこの子をドラフトに・・・」と思う気持ちが多少なりともあるはずですが、現実、球団がお金を払ってまで育てたい・獲得したいという人を選ぶとなると、そこはシビアになって、実力だけで選ばれてしまうのがつらいところです。

その中でも怪物へと育って行った名選手なのが、ダルビッシュ有、青木宣親、イチロー、田中将大、前田健太、などですよね。

彼らの名前を聞けば、さほど野球のことを知らない人でも「あ~あ~知ってる」となる程の有名人です。

私の世代で有名なメジャーリーガーといえば、松坂大輔選手でしたが、今日本人のメジャーリーグベースボール選手一覧を検索すれば、松坂大輔選手も、もう過去の人になってしまっています。

それ程厳しい野球という世界で、私が注目したいのが「ダルビッシュ選手」なのです。

彼は先日、マウンドにたった試合で、彼からホームランを打った選手から、目を細めるしぐさをされるという差別的アクションを起こされてしまいました。

ただでさえ、ピリピリしている状況、あの時のダルビッシュ選手は、そのチームに移ってからまだたった3ヵ月しか経っていなかったこともあり、「結果を残したい」「チームに貢献したい」という気持ちは人一倍強かったはずなのです。

そこでホームランを打たれ、挙句の果てにはアジア人に対する差別的アクションを起こされてしまう・・・普通なら精神状態を上手くコントロールすることなんて難しいに決まっている状況ですよね?

でもダルビッシュ選手の心は全くと言っていいほど、動じていなかったのです。

彼は試合後に記者から差別的アクションを起こされてどう思いますか?とインタビューされました。

すると彼は「ノーコメント」するわけでもなく、記者の質問を嫌がるわけでもなく、「このことをきっかけにもっと前に進むことができるはずだ。」「彼(差別的アクションを起こした人)は今回のことでたくさんのことを学ぶだろう」とコメントしました。

すると翌日、チームは突然円陣を組み、「今日の試合の勝利をダルビッシュの為に」と温かい言葉を送ったのです。

ダルビッシュはこのチームの行動のおかげで、また記者からインタビューを受けることになります。

その時、差別的アクションを起こした選手は、既にそのことを深く後悔し、「自分はそういう意味ではなかった」と反省していました。

するとダルビッシュは「彼は今回のことで多くのことを学んだようですね。

彼は私にとって尊敬する選手でしたが、そのことは今後も変わりませんし、これからまた試合で対決するのが楽しみです」とコメントを残すのです。

一流野球選手は時として、野球だけが上手ければいいのかというと、それだけでは乗り切れない場面にぶち当たってしまうことがあります。

日本で一流の野球選手になれば、多くの人が「夢はメジャーリーガー」だと口にしますが、

我々日本人はアジア人という枠の中で差別される対象に入ってしまいます。

日本で普通に暮らしていれば、差別なんて別世界の人がされること、くらいに思うかもしれませんが、一歩海外に出れば、黒人が白人に差別されるよりもっと酷い差別、アジア人差別を受ける可能性が出て来てしまうのです。

また、日本では海外から野球選手がやってくれば、手厚くもてなして、やさしく、あれもこれもと教えてあげる体制を整えますが、海外ではそんなことはお金をもらっている本人が自分でやるべきことと一掃されてしまいます。

海外という土地に馴染むこと、そこの食事に馴染むこと、そしてチームメイトと上手くやること・・・メジャーリーガーになる為にやらなければならないことは、野球が上手くできるという以外にも山ほどあるのです。

それ以外にも、もちろん自分の身体をコントロールすること、風邪を引かない、怪我をしない、試合の日には自分の能力をベストに近い状態に持っていく、などなど、その地位を勝ち取ることも難しいのですが、キープし続けることはさらにその上を行く難しさがあるのです。

このダルビッシュはどんな風に普段ブランクと付き合ってきたのか・・・もしかしたら彼のような人は全く怪我をしてこなかったのか?というと、そうではありません。