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ご足労おかけしますの正しい使い方は...(続き5)

「手数をかける」という言葉をそのまま用いる場合には、それこそ社長が自分の会社の社員に「手数をかけるね」と告げるように、かなり格下の相手に対して用います。

それ以外の場合では、必ず丁寧語にして用いるようにしましょう。

手間を取らせる

「手間を取らせる」という言葉も、「手数をかける」という言葉とほぼ同義語です。

どちらも相手に時間を割いてもらい、面倒事をさせてしまうといった申し訳なさの気持ちから表れている言葉です。

そのため、その言葉だけでは単なる謝罪になってしまいますので、その後に「ありがとうございます」と言葉を続けることで、感謝の気持ちも感じているのだと相手に伝えることができます。

厄介をかける

「厄介をかける」という言葉は、大半が上から下の立場の人へと用いる際に使う言葉です。

または、対等な関係の場合にも用いられることがありますが、あまりビジネスの場で用いられることはないでしょう。

実際に、ビジネスの場において「お手数をお掛けしました」という言葉を頻繁に耳にすることはあっても、「厄介をお掛けしました」という言葉を耳にすることはあまりないでしょう。

そのため、「手数をかける」という言葉に対しての印象はそこまで悪くありませんが、「厄介をかける」という言葉に対しては、本当に面倒事や厄介事をかけるという印象が抱かれやすいため、言葉として嫌煙されやすく使う機会があまりないのかもしれません。

手こずらせる

「手こずらせる」という言葉は、「ご足労をおかけする」という言葉よりも、「お手数をおかけする」という言葉により近い意味を持ちます。

「ご足労」はわざわざ相手に自分のところへ来ていただく際にのみ用いられることが多いですが、「手こずらせる」という言葉は「お手数をおかけする」と同様に、自分のところへ来ていただく以外にも、相手に何かをしていただいた際に用いることが多いです。

よくマンガやドラマなどで、敵役が「手こずらせやがって」とセリフを吐く場面があると思います。

その言葉の意味も、自分たちに手間を取らせたことに対する悪態ですので、「足労」が持つ本来の意味の「行く」「歩く」とは異なる意味合いとして言葉が用いられています。

手を焼かせる

「手を焼かせる」という言葉も、「ご足労」よりは「手間を取らせる」「面倒をかける」「手数をかける」といった言葉に近い意味を持ちます。

むしろ、後者の意味として用いられることの方が多いため、わざわざ相手に自分のところへ来ていただいた際にはあまり「手を焼かせてしまってすみません」と言う人はいないでしょう。

「ご足労」の本来の使い方が足を使って来ていただくことですので、足よりも手を使わせる印象の強い「手を焼かせる」という言葉を同じ場面で用いることはあまりないのでしょう。

お手数をおかけする

「お手数をおかけする」という言葉は、ビジネスの場面でも日常の場面でも頻繁に用いられる言葉です。

その一言だけで感謝の気持ちと申し訳ない気持ちを表すことができますし、また「ご足労」としての意味以外にも用いることができるため、まさに万能の言葉であると言ってもいいでしょう。

皆が当たり前に用いている言葉ですので、言いやすく、また耳に聞きやすい言葉でもあります。

困ったときにはぜひ頼りたい言葉でもあるでしょう。

使い方を改め上手に使っていこう

同じ意味を持っていても、違う言い回しの出来る言葉はたくさんあります。

それが日本語の良いところでもありますが、難しいところでもあるでしょう。

時と場合によって微妙にその場に相応しい言葉が変わってきますので、どんな場面でどんな言葉がふさわしいのかを瞬時に判断するのには、それなりの経験も必要になってきます。

しかし、経験よりもまずは言葉自体を知らなければ使いようがありませんので、同じ「足労」でも他にどんな言い方があるのかを知っておきましょう。

もしこれまで使い方が間違っていたという人は、この機会に言葉の使い方を改めて、上手に使っていきましょう。