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「させていただく」の正しい使い方は...(続き2)

年下が年上の人に話しかける際や、部下が上司に話しかける際など、自分よりも目上の立場の人に話しをする時には謙譲語で話をするのが一般的です。

また、会社で働いていると、取引先の会社の人と話をすることがありますが、その場合にも謙譲語で話をしておくと無難でしょう。

明らかに会社同士で立場が異なる場合には、上の立場にある会社の人が謙譲語で話すことはあまりありませんが、それでも社会人であれば咄嗟に謙譲語で話せることが当たり前とされています。

自分の行為や行動をへりくだって使う

謙譲語は、自分の行為や行動に対してへりくだって使います。

何でもない時には「仕事をする」「電話をする」と表現することも、相手を立てて自分がへりくだる場合には「仕事をさせていただく」「電話をさせていただく」と言葉を言い換えます。

そうすることで相手には、自分がへりくだっているのだということが伝わります。

相手が気難しい年上や、上司である場合には、謙譲語で話すことで同時に相手の立場を上げることになりますので、不快に感じることはまずないでしょう。

とはいえ、二重敬語や丁寧過ぎる回りくどい言い回しをしてしまうと、「もっとハッキリ言え」と叱咤されてしまう可能性もあります。

申し訳ない気持ちが込められている

謙譲語には、相手を立てて自分がへりくだる表現の他に、暗に申し訳ないという気持ちが込められていますので、それを受け取る側が不快に思うことはそうありません。

自分が何か行動する際に、「させていただきます」という言葉は相手に対して「申し訳ないけれどやらせてもらってもいいですか」と言った意味合いを感じさせます。

そのため、言われた相手は「自分を気遣ってもらっている」と感じて、間違っても「えらそうだな」「感じが悪い」と思われることはないでしょう。

とはいえ、相手によってはそのへりくだった言い方を気に入らないと受け取る人もいます。

例えば自分が相手に対してへりくだることのない人で、また相手を自分と同程度の立場に見ている人にとっては、相手が自分に対して謙譲語を使うことで、「わざとらしく距離を取られている」と感じることがあります。

そのような場合には気分を害することがありますが、相手の受け取り方がどうであれ、目上の人や立場が上の人に対して謙譲語を使うこと自体は正しいことです。

相手の許しのもとにあるとき

謙譲語は、相手の許しのもとにあるときに用います。

また、これから相手の許可や許しを求めようとするときにも用います。

例えば上司に仕事の内容を確認して欲しいときには、これから確認してもらえるか許可を取るという意味で、「仕事の内容を確認させていただきたいのですが、ご都合はよろしいでしょうか?」と尋ねます。

また、体調不良で仕事を早退したいときに、上司に早退をしてもいいか確認を取る意味で、「体調が悪いので早退させていただきたいのですが、よろしいでしょうか?」と使うこともあります。

このように、相手の許しを求める場合や、また許しを得た状態で用いる謙譲語です。

相手の好意や恩恵を受けるとき

相手の好意や恩恵を受ける女性
「させていただく」という言葉は、相手の許しを求める、または許しがある状態の際に用いる言葉です。

そしてまた、相手の好意や恩恵を受けるときに用いる言葉でもあります。

例えば先に挙げたように、上司に仕事の内容を確認してもらう際に、予め上司がそれを許可していた場合には、「上司に仕事の確認をしてもらうことに対する感謝の気持ち」から「仕事の内容を確認させていただきます」と言葉を用いることがあります。

また、体調不良で早退する際にも、早退を許可されたことに対する感謝の気持ちから、「早退させていただきます」と謙譲語を用います。

相手に対して好意や恩恵を示す際の「させていただく」という言葉は、「厚かましくて本当に申し訳ないけれど、あなたが許可をしてくださったので有難く〇〇をさせていただきます」という感謝の気持ちが多く含まれています。

それが相手に伝われば、受け取る側も快く許可をしてくれることでしょう。

「させていただく」は許可がないと使えない

「させていただく」という謙譲語は、基本的には相手の許可がなければ使うことができません。

また、これから許可をもらいたいときにも使うことがありますが、その場合にもある程度許可をもらえる見込みがある上で「させていただく」という言葉を用います。

例えば「ご案内させていただきます」や「御社の商品を検討しますので、資料を拝見させていただけますか?」など、相手と自分とがこの後行動に移すことを前提としている場合にも用いられることが多いです。

また、目上の立場の人から何かすすめがあった場合などにも「お言葉に甘えさせていただきます」などと感謝の気持ちを表しながら使うことがあります。

勝手な行動で「させていただく」は失礼

「させていただく」という言葉は、自分が行動することについて相手に許可を取ったり、または許可をもらったりした上で用いる言葉です。

しかし、近年では相手の許可に関係なく、自分が決定した意志を伝えるために「させていただく」という言葉を用いる人が増えています。

例えば「来年度の予算を決定させていただきます」や「会社を辞めさせていただきます」また「この春に無事に卒業させていただきました」など、ことあるごとに「させていただきました」という言葉を用いることがありますが、これらは全て本来の使い方とは間違っています。

「来年度の予算を決定させていただきました」という言葉の場合、言っている本人は自分が決定したことをへりくだった表現をするために「させていただいた」という言葉を使っているのかもしれません。

しかし、自分で決めたことを敢えてそのような表現で他の人に伝えることは、受け取り手によっては慇懃無礼に感じてしまうことがあります。