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「させていただく」の正しい使い方は...(続き4)

本来相手に伝えたい重要な部分が伝わらなくなってしまいますので、そうした点からも言葉を重複させるのは止めましょう。

二重敬語に気をつける

一つの文章の中で、尊敬語と謙譲語を組み合わせて使う分には問題ありませんが、謙譲語同士が重なってしまうと二重敬語になってしまいます。

二重敬語は日本語の使い方としては、間違っていますので、二重敬語にならないように言い回しには気をつけなければなりません。

先に例を挙げたような「先日ご依頼させていただきましたお仕事の件ですが、お見積りをさせていただいてもよろしいでしょうか?」という言葉の場合、「させていただく」という謙譲語が重複してしまっていますので、言葉を正す必要があります。

正しくは、「先日ご依頼しましたお仕事の件ですが、お見積りをさせていただけますでしょうか?」となります。

こちらの方が二重敬語にはなっていませんし、また言葉の響きもスッキリとしているため、相手にも内容が伝わりやすいです。

「拝見させていただきました」など

すでに例としてご紹介しましたが、もっともよく間違われて用いられる二重敬語に、「拝見させていただきました」という言葉があります。

この言葉は、本当にあちこちで頻繁に見かけます。

メールなど、仕事のやり取りでよく見かけるこの言葉を、自分でもうっかり使ってしまっていたという身に覚えのある人はいると思います。

それほど間違えられてしまいやすいのは、「拝見」という言葉と「させていただく」という言葉が、どちらも謙譲語であると知らない人が多いためです。

「させていただく」はいかにもへりくだった言い回しなので、謙譲語であると知っている人も多いでしょう。

しかし、「拝見」という言葉は日常で当たり前に使われ過ぎていて、あらためて謙譲語であると意識していない人も少なくはありません。

そのため、無意識の内に二重敬語を使ってしまっていることが多いのです。

正しくは「拝見しました」

「拝見させていただきました」という言葉が間違っているとすれば、正しい言い回しはなんでしょうか?

正しくは、「拝見しました」です。

シンプル過ぎて、あまり相手に対する気遣いが感じられないと思うかもしれませんが、日本語としてはこの言い回しが最も正確なのです。

会社など、ビジネスの場においては、「拝見いたしました」と言うことの方が多いですが、こちらも本来は二重敬語になりますので、日本語としては間違っています。

しかし、「拝見させていただきました」よりは違和感を覚えさせることはありませんし、また相手が不快に感じることもありません。

相手に対してより丁寧な印象を与えたい場合には、あえて「拝見いたしました」と発言することも少なくはありません。

質問系で使う

「させていただく」という言葉は、本来は相手に対して許しを請う場合に用います。

許しを得たことに対する感謝の言葉として用いることもありますが、基本的には許可を得るために用いる言葉ですので、「させていただく」という言葉を用いるときには、質問系で用いるようにしましょう。

「~させていただけないでしょうか」

「させていただく」を質問系で用いる場合には、「~させていただけないでしょうか」といった言い回しが一般的です。

例えば有名人のサイン会に行ったときに、「握手していただけないでしょうか?」と尋ねて相手の意思を確認することがあります。

また、資料を上司に確認してもらいたい時には、「資料を確認していただけますでしょうか?」とお願いすることがあるでしょう。

このように、相手に対してお願いごとや許可を得たいときに質問系で用いるのが正しい使い方と言えるでしょう。

「させていただく」を言い換える

「させていただく」という言葉は、使い方によっては相手に不快感を与えたり、誤解を与えてしまったりすることがあります。

また、言葉の使い方が間違っていた場合に、それに気付けずにビジネスなど公の場で恥を掻いてしまうことがあるかもしれません。

そのため、もし「させていただく」と似たような意味合いで異なる言い回しの方法があるのなら、そちらを用いた方が無難な場合もあるでしょう。

「させていただく」を他の言い回しにすると、どのような言い方になるのでしょうか?

「~致しました」

「~致しました」という言葉は謙譲語ですので、もし同じ文章内で「拝見」などの謙譲語がある場合には二重敬語になってしまう場合があります。

そのため、「~致しました」という言葉を用いる場合には、同時に謙譲語が混ざらないように注意しましょう。

とはいえ、「致しました」という言葉自体が、こちらがへりくだった言い方になりますので、同じ文章内に謙譲語が混ざる可能性は低くありません。

万一混ざってしまった場合には、日本語としては間違った使い方になってしまいますが、それで相手が不快に感じたり、違和感を抱いたりすることがなければ使える場合もあります。