人から助けを求められたらすぐに手をさしのべられる優しい人は、快く頼み事を引き受けます。
優しくて、思いやりのある人というのは、快く仕事を引き受けることができるのと同様に、言葉づかいや所作に優しさや、相手を思いやる心があり、総じて人から好かれます。
一方で、「仕事で(成功する為に)人に好かれる必要はない」といった意見もあります。
それは、人から好かれる原因の1つに「この人なら怒らない」「何でも引き受けてくれる」といったある種の「甘え」が周りの人達に生じて、その人自体が会社や集団の食い物にされてしまったりするケースもあるからなのですが、そういったケースはもちろん非常に悲しいことですが、ほんの一例です。
逆に生半可にそういう信条を振り回して、社内でのコミュニケーションを疎かにしたり、思いやりに欠ける言動をしてしまう人達のせいで会社や一般のコミュニティが、それらを構成する人達にとって非常に居心地の悪いものにしてしまっているケースの方が多いでしょう。
断れない
これはどちらかと言うと、最終的に「損する人」の特徴っぽく聞こえますが、そうではありません。
頼み事を「断れない」のはその人が「弱い」からではないのです。
優しくて、思いやりがあるからこそ、困っている人の頼み事を断り切れないのです。
そして、もうひとつ良く理解してもらいたいことを次で述べます。
「断れない」のはなぜか
ここでいう「断れない」は「何でもかんでも引き受けてしまう」と言うニュアンスで捉えないでください。
ここで言いたいのは「ある人がある仕事を頼まれて断れなかった理由は、その仕事はその人ならできる仕事であったから」ということです。
つまり、その人に、その頼まれた仕事に対する知識や完遂能力があり、また頼まれ事の為に時間を作る能力もあると自分でもわかっているので、「断れない」のです。
ここで断ってしまったら、相手が可哀想、もしくは本当はできるのに悪意があって断っていると思われそう、そんなことが、心の優しい人の頭をよぎるわけです。
逆に自分の能力も測れず、何でもかんでも仕事を引き受けて「断らない」人は、身の丈以上の仕事を持ちすぎて最終的に失敗するでしょう。
「断れない」人は、つまり「頭がいい人」であり「判断力のあるデキる人」であると言えます。
そういう人は、「(多額の)借金の保証人になってくれ」と頼まれたら、ちゃんと「断る」はずです。
意見を言えない
これもどちらかと言うと「損する人」の特徴っぽく思えます。
が、やはりそうではありません。
ここで言う、「意見を言えない」人とは、意見が無い、もしくは何も考えていないから「意見を言えない」のではなく、意見は何かしら持っているが、相手を思いやって、相手を立てているから「意見を言えない」人なのです。
一方で、意見があるのに「意見を言わない」人は心の弱い人です。
人から頼まれる仕事というのは、あくまで依頼人の仕事であって、頼まれた側の仕事ではありません。
いわば、依頼側の望むカタチで仕上げてあげなくてはなりません。
頼み事を快く引き受ける人は、そういう事を含めて快く引き受けているのです。
ですから、意見を言うのは「頼んだ側」です。
快く引き受ける側は、人の頼みを引き受けたのなら「意見を言えない」に決まっています。
このように、人の仕事、頼み事を引き受けるというのは、大なり小なり面倒臭いものです。
しかし、そこで自分が持つ能力と時間、そして優しさから、瞬時にその仕事が出来るかどうかを判断し、快く引き受けてくれる人は、ある意味「場の空気が読める」「周り(全体)を見渡せる」能力のある人でもあると言えます。
損得で考えない
一番最初の特徴「奉仕の精神が強い」でも説明した通り、頼み事を快く引き受ける人は、その頼まれた仕事をすることによって自分が得するのか、損するのか考えて、引き受けるか断るかを決めてはいません。
会社の為であり、上司や同僚、そして部下の為にそれを引き受けているのです。
綺麗事に聞こえるかもしれませんが、それを言い換えれば、「自分の損得ではなく、仲間の損得を考えている」ということでしょう。
ただし、頼み事を快く引き受ける人は、自分の損得でモノを考えませんが、「その仕事が出来るかどうか」ではちゃんと考えています。
自分に頼まれ事を処理する能力も無いのに何でもかんでも引き受けていては、失敗したり、中途半端な状態で依頼主に返すはめになります。
ですから、頼み事を快く引き受ける人は、依頼人の力になってあげられるかどうかを判断し、その能力も時間も自分には十分あるので断れず、依頼主の望みどおりに仕上げてやろうという優しさから、口は挟まず頼まれた仕事を完遂するわけです。
この流れに一切損得勘定が無いのがわかると思います。
文句を言わない
頼み事を快く引き受ける人は、頼まれ事に限らず、日常の自分自身が受け持つ業務においても文句を言いません。