人によって精神面の強さは異なります。
同じくらいに人間関係で問題があっても、それを我慢できる人と、我慢できない人とがいます。
そしてまた、我慢ができないからといって、挫けてしまう人が悪いというわけではありません。
その人にはその人自身のキャパシティーがあります。
自分が「もう無理だ、辛い」と思ったら、時にはその環境から逃げ出すことも必要なのです。
そうして社内の人間関係に嫌気がさしてしまったことが原因で会社を辞める場合、それを正直に上司に言えないという人は少なくはないでしょう。
下手に正直に理由を書いてしまうと、社内の人間関係の改善策を提案されたり、当事者たちを巻き込んでの大事になったりする可能性があります。
中にはクラスの虐めを先生に密告するかのような心地の悪さを覚える人もいるでしょう。
また、人によっては退職届を提出する上司との折り合いが悪いこともあります。
そうした理由から、人間関係が原因で仕事を辞める場合にも、「一身上の都合」を用いることがあります。
会社の未来が明るいと思えない
社内での人間関係以上に、今の会社に勤め続けても、会社の未来が明るいと思えない場合にも、会社を辞めようと思うことがあるでしょう。
例えば出世欲や向上心の強い人では、会社が大手企業で、頑張れば頑張った分だけ昇給や昇進を認めてくれるようなところであれば、やる気にも火がついて一層仕事を頑張ることができるでしょう。
しかし、そんな野心家の人が勤めている会社の規模が小さく、またどんなに頑張っても給料が変わらず、ろくに昇進も出来ないようなところの場合、働いていてもモチベーションがどんどん下がっていってしまいます。
自分にある程度自信がある人ほど、「もっと上へ行って頑張りたい」という気持ちが強いです。
そのため、今の会社が自分に合わないと感じた時に、それを直接伝えることなく、「一身上の都合」として退職することがあります。
また、自分が働いている会社が不祥事を起こしたり、業績不信でいつ潰れてもおかしくないといったりした場合にも、会社の明るい未来を想像することが出来ずに退職しようとする人はいるでしょう。
一身上の都合の内容を詳しく会社に伝える義務はない
会社によっては、上司や社長に退職願いを出した際に、「理由をきちんと明記するように」と指示されることがあります。
その場合、何故退職に至ったのかを把握しておきたいという理由からであることが多いですが、例え上司にそう言われたからといって、その通りに理由を明記する必要はありません。
何故なら、法律上退職理由を詳細に会社に伝える義務はないからです。
会社によって雇用形態はさまざまですが、大抵はどこも正社員であれば、退職する3ヶ月前には退職届を出すようにと決められています。
しかし、その理由について明記する義務は法律上ありません。
そのため、どんなに会社からしつこく退職理由を聞かれたとしても、「一身上の都合により」とだけ申告すればそれで良いのです。
会社都合で退職する場合にはまた変わってきますが、少なくとも自己都合による退職の場合には、詳細を伝える義務は発生しないのです。
一身上の都合でない場合は?
仕事を辞める場合、大抵は一身上の都合で退職することが多いですが、中には会社都合で退職する場合もあります。
それは例えば、会社からのハラスメントを受けたことで、体力的精神的な苦痛により退職に至った場合や、例えば会社が人件費を削るためにリストラを行った場合など、あくまでもこちらが辞めたくて辞めるわけではなく、辞めさせられることになった場合に、会社の都合により退職するということになります。
その場合は、退職届の書き方も少し変わってきます。
「会社都合」と書く
会社の一方的な都合で退職させられる場合や、会社により心身の被害を受けた場合、また会社が倒産した場合などには、退職届には「一身上の都合により」ではなく、「会社都合により」と記載します。
一身上の都合と会社都合とでは、辞めた後で雇用保険の手続きなどが変わってきます。
会社の都合で退職した場合には、雇用保険の失業給付金の受給開始日や給付期間などが、一身上の都合で退職した場合と比べて条件が良いことが多いです。
そのため、もし会社による都合で退職することになったのなら、会社に文句を言われようが事実として退職届にはきちんと「会社都合」と明記するようにしましょう。
会社を辞めた後の自分の生活を守るためにも、そういった部分はきちんとしておきましょう。
会社都合なのに一身上の都合にされる場合がある
一部の良くない会社では、会社都合で辞めるのにも関わらず、「退職届には一身上の都合でと書くように」と指示するところもあります。
もちろんそんな言葉には従う必要はありませんが、上司や社長が大きな権力を握っていたり、辞めた後にも会社と少なからず関わりがあったりする場合には、泣く泣く一身上の都合でと書くしかないという人もいるでしょう。
もし同じような理由で退職させられる人たちがいるのなら、その人達と連携して労働局などに訴えるという手もあります。
また、こうした万一の事態に備えて、自分が会社からないがしろにされていた場合には、それらの証拠となるものを残しておく必要があります。