転職することにして有給休暇がかなり余った状態ですぐ次の会社で働くことになった。
など、有給休暇を使い切れない局面というのもあるのではないでしょうか。
実は、労働基準法では、使えなかった有給休暇を会社が買い取ることを認めていないのです。
理由としては、年次有給休暇とは社員が仕事から離れて心身を休め、プライベートを充実させることを目的としているので、その権利を会社側がお金で買い取ることは許すべきではないからです。
有給休暇を会社側が強制的に買い取りをして社員に有給休暇を与えないという場合は、6箇月以下の懲役又は30万円以下の罰金となります。
刑事罰扱いなのです。
労働者が退職する場合は、例外として有給休暇買い取りが認められる場合があるのですが、労働者本人が希望する場合に限ります。
「残りの有給休暇の買い取りをするから退職日まで出社してほしい」と、労働者本人は有給休暇を取得したいのに会社が強制してくる場合は違法になるということなのです。
また、労働者本人が希望した場合でも会社が必ず買い上げてくれるとは限りません。
就業規則に買い取りについての取り決めがない場合は、会社が有給休暇の買い取りに応じる義務はないのです。
その他、上でご紹介した法定の10日以上の有給休暇を支給してくれるホワイト企業の場合、その会社が独自に付与している日数については、法律ではなく会社独自のものなので買い取りをしても違法にはなりません。
ただこれも、就業規則や労働協定で「法定を超えて付与された日数分の有給休暇は、会社の判断により買い取る場合がある」のような決まりがあり、会社側と雇用者側とで合意がなされないと買い取りは実現しません。
基本的には就業規則などに買い取りについてまでは取り決めがない企業の方が多いでしょう。
また、買い取り単価は法律では定められていないのでトラブルの元にもなりやすく、会社としては有給休暇の買い取りには応じないことがほとんどです。
取りづらくても権利なので使おう!
せっかくもらった有給休暇。
取りたいけれど取りづらいなと思っているうちに、あっという間に二年が経ってしまうなんてこともあるのではないでしょうか。
あるアンケートでは、働いていて有給休暇をもらっている人の30%以上が「有給休暇を取りづらい」と思っているようです。
職場の雰囲気が休みやすい感じではないので、有給休暇を取りたいと言い出しづらいのだそうです。
有給休暇を取りにくい会社は未熟
年次有給休暇は、労働者の正当な権利です。
繁忙期などはともかくとしても、労働者がひとり休んだくらいで仕事が回らなくなるようでは、本来は会社としておかしいのかもしれません。
ホワイト企業であれば、有給休暇の取得が奨励されており、定期的に取得できていない人には上司から働きかけて、半強制的に有給休暇を取得させるということもあるくらいです。
そもそもホワイト企業なら、上司も同僚も定期的に有給休暇を取得しているので、自分だけが有給休暇を取得するという状況にならないでしょう。
そのため、言い出しづらいから有給休暇を取りづらいという状況も発生しないということですね。
有給休暇の前に、土日祝日に出勤した分の振替休日がたまっていてまったく消化できないという方もいるでしょう。
上司も同僚もみんなが余裕がなく、仕事の進捗がうまくいっていなくて休めないというのは、単にその会社が未熟ということであって、本来はその状況を改善するために会社側が努力すべき問題なのです。
会社側が有給休暇を取りやすいような工夫をしてくれない、と考えているビジネスマンは、75%近いそうです。
ぜひ改善して欲しいものですよね。
嫌な顔をする上司や同僚も未熟
休みを取るというと嫌な顔をする上司。
「あいつだけ休んでずるい」なんていう同僚。
とってもナンセンスですよね。
羨ましいと思うなら、自分も仕事を調整して有給休暇を申請すれば良いだけのこと。
休みを取る余裕がないのは、自分の仕事のやり方が悪いか、上司の部下への仕事の割り振り方が悪いかのどちらかです。
有給休暇を取得する人とはまったく関係がありません。
特に、部下を管理して適正な仕事と休日を与えるという自分の仕事ができないのに、有給休暇申請に嫌な顔をするような上司は問題外です。
社内のタイミングを見計らい配慮して取得しよう
緊急の仕事が発生するかもしれないから休まないという管理職の人が多く、上司が休まないので部下も休みづらく、日々の仕事に追われてばかりというパターンが多く見られるようです。
男性の二人に一人は有給休暇の消化率が0%なのだとか。