そのため、仏教を学ぶ修行僧は、皆食事は精進料理を食べています。
精進料理は粗食であり、食事量も少なく、おかずも限られています。
動物性由来のものは一切摂らないため、精進料理を食べることで穢れを払うという意味もあります。
葬儀の際に精進料理を食べるのも、死の穢れを払う行為だとされています。
現在は葬儀の際の精進料理も、名前だけで実際には肉類が入っていることも少なくはありません。
しかし、仏教の教えが厳格なところや昔からのやり方をそのまま引き継いでいるところでは、精進料理には一切動物性のものは入ってはいないです。
集中して1つのことに努力する
これまでに挙げてきた「精進」の意味は、あくまでも仏教の教えとしてのものばかりでした。
しかし「集中して1つのことに努力する」という意味は、一般的にもよく使われています。
仏教の道を極めるには、その1つにのみ集中して、他のことに関する雑念や煩悩は一切振り払わなければなりません。
そうした集中力を高めて懸命に努力するという部分だけに注目した意味として、「精進」という言葉が用いられることは少なくはありません。
「精進」という言葉は、言葉の響きからも堅苦しく、重々しいイメージを連想させます。
そのため、日常会話の中で使われることはあまりないでしょう。
どちらかと言えば、ビジネスの場や、フォーマルな場といった、やや畏まった場面において用いられることが多いです。
「一生懸命に努力する」という自分の決意の表れを、難しい言葉で表現する際に「精進致します」と使うことがほとんどです。
もちろん「一生懸命に努力致します」という言葉の表現でも間違いではありません。
しかし、フォーマルな場面では、「精進致します」という畏まった言い方の方が、よりその場に相応しい言葉使いだと言えるでしょう。
「精進致します」という言葉は、単に努力するという意味だけでなく、言葉の響きを通してさらに相手にこちらの誠意を伝えることも出来るのです。
「精進」の使い方
「精進」は、ビジネスの場やフォーマルな場で使うことの多い言葉だということはすでにご紹介しました。
では、そのような中でも、どんな場面やどんなタイミングで使うのが望ましいのでしょうか?
せっかく精進の正しい意味を理解しても、その使い方を分かっていなければ、自分では上手く言葉を使ったつもりであっても実際には場違いになってしまったり、恥をかいてしまったりすることがあります。
「上手に言葉を活用出来ているつもり」の話し方ほど危うく、そして恥ずかしいものはありませんので、精進の意味を理解した次は、正しい言葉の使い方についても学んでおきましょう。
「精進」は、一言でいえば「一生懸命に努力する」という意味の言葉です。
そのため、言葉を使うのに特別な制限はなく、自由に用いることが出来ます。
例えば謝罪をする時でも、またお礼を言う時でも、どのような場面でも活用することが可能です。
後は二重敬語になったり、文法がおかしくなったりしないように注意して使うようにしましょう。
また、「精進」は元々丁寧語ですので、タメ口と合わせて使うことはまずありませんし、もし合わせれば違和感を覚えてしまいますので、必ず敬語や丁寧語を話す際に使いましょう。
社内外用の謝罪のメール
これまでにご紹介したように、「精進」は主にビジネスやフォールの場において使うことの多い言葉です。
それを直接言葉にして相手に伝えても良いですし、メールや手紙にして伝えても良いでしょう。
例えば仕事でミスをしてしまい、取引先の会社に迷惑をかけてしまったとします。
もちろんまずは直接会うなり電話をするなりして謝罪をしますが、事が落ち着いてから改めてメールにて謝罪をすることになりました。
このような場合には、「この度は大変なご迷惑をおかけしてしまい、本当に申し訳ございませんでした。今後はこのようなことがないように、日々精進してまいりますので、今後とも何卒よろしくお願い致します。」といった内容の謝罪メールを送ることが多いです。
謝罪で「精進」という言葉を用いる際には、まず相手に迷惑をかけてしまったことを謝罪し、その上で自分の決意を新たにするという意味で「精進致します」という言葉を用いると、相手には「ちゃんと反省しているのだな」と誠意が伝わりやすいでしょう。
また、「精進致します」と伝えたからには、今後は同じミスは絶対に起こさないように細心の注意を払わなければなりません。
きちんと謝罪をし、その上で「精進する」と宣言したにも関わらず、また同じようなミスを繰り返していると、取引先の会社も「口だけか」と呆れてしまいます。
これ以上取引先を失望させないように、迷惑をかけてしまった分も宣言通り精進していかなければなりません。
その決意をしてから「精進致します」という表現をするようにしましょう。
上辺だけの謝罪と決意は、いずれ相手にバレてしまうでしょう。