そのため、「すべからく」を「予想通り」の意味として用いる際には、前後の文章がおかしくならないように注意しなければなりません。
聞くまでもない
「聞くまでもない」とはそのままの意味です。
いちいち耳にするまでもない、自分にとっては必要のないものということです。
それはつまり当たり前のことでもあり、「当然」のことでもあります。
そうした意味合いとして「すべからく」の類語とされています。
例えば「当然子どもは学校に通うべきだ。」という文章の場合、「聞くまでもなく、子どもは学校に通うべきだ。」と表現することが出来ます。
この「聞くまでもない」という言葉は、「当然」と似た意味ですが、言葉の響きは素っ気なかったり、冷たかったりする印象があります。
また、上から目線に感じられてしまうこともあるため、使う相手によっては気分を害してしまう可能性もあります。
「聞くまでもない」という表現をする場合には、使う相手をよく見てからその言葉を使うようにしましょう。
常識的な
「すべからく」の意味である「当然」は、先にもご紹介したようにある時代や場所においての「当然」です。
それを柔らかい言い方で表現したものが「一般的な」ですが、それと同じように柔らかい表現として、「常識的な」という使い方があります。
「常識」というものも、あくまでもその時代や場所、人々によって定められるものであるため、時代や場所が変われば当然常識の内容も変わります。
そのため、例えばひと昔前の「女性は家庭に入るべきだ」とする考え方については、「女性はすべからく家庭に入るべきだ。」という言葉を「女性は常識的に(考えて)家庭に入るべきだ。」と言い換えることが出来ます。
もちろん現代ではこの考え方は変化していますので、そうした変化に合わせて「常識的な」という言葉も使っていくことが出来ます。
健全な
「健全」とは、「良心が正常に働き健康であること」「考え方や行動が偏らずに調和がとれていること」「物事が正常に機能して、しっかりした状態にあること」などの意味があります。
一見「すべからく」とは意味が違うように思えますが、これも突き詰めて見ていくと、「すべからく(当然)」の意味と繋がって考えることが出来ます。
物事が正常に機能していることを当然と考えるのなら、場合によっては「すべからく」ではなく「健全な」という表現の仕方があるでしょう。
是非
「是非」は、「すべからく」の意味である「ぜひとも」とほとんど意味が似ています。
「是非」という言葉には良いことも悪いことも全て含まれており、「正しいことも悪いことも」や「良くも悪くも」といった意味があります。
それをより強めたものが「是が非でも」や「ぜひとも」という言い方になります。
例えば「是非○○して欲しい」という言い方でも気持ちの強さは伝わりますが、「ぜひとも○○して欲しい」と言い換えると、よりその気持ちの強さが増します。
さらには「是非」よりも言葉の響きが丁寧になるため、敬語でも使われることが多いです。
「すべからく」の基本的な使い方
「すべからく」とは、「当然」や「ぜひとも」という意味です。
この言葉を用いる際には、文の後ろに「~べし」や「~べきだ」と付けるのが基本です。
そのため、「すべからく」を使って文章を作る際には、後の言葉にも注意して、自然な言葉になるように文章を考えていきましょう。
例えば「当然のように強者は弱者を守るべきだ。」という文章であれば、「すべからく強者は弱者を守るべきだ。」と表現出来ますし、また例えば「自分よりも立場の弱い相手には当然手を差し伸べるべきだろう。」という文章であれば、「自分よりも立場の弱い相手にはすべからく手を差し伸べるべきだろう。」と言い換えることが出来ます。
使い方がいまいち分からないという場合には、「当然」や「ぜひとも」といった言葉を使う場合に、それを「すべからく」と置き換えてみると良いでしょう。
置き換えをして改めて文章を見直してみて、文章に違和感やおかしな部分がなければそれで正しく「すべからく」を使えているはずです。
慣れない内は自分の使い方が正しいのかどうか不安に思うこともあるでしょう。
その場合は正しい使い方を知っている人に確認をするなり、ネットで確認するなりして、少しずつ使い慣れていきましょう。
「すべからく」の類語などを用いて正しく使おう!
いかがでしたでしょうか?「すべからく」の意味について、これまで間違った認識をしてきたという人は、この機会に正しい意味や使い方を身に付けることが出来たかと思います。
「すべからく」はあまり普段使いをされる言葉ではありません。
そのため、大抵の場合は類語を用いることが多いです。
「すべからく」の正しい意味を理解していれば、類語についても間違った言葉を選択してしまうことはないでしょう。