もし練乳だけを別のコーナーで売っていたなら、わざわざ練乳だけを購入する人はいませんし、また苺を買うからといって練乳コーナーまでいちいちお客が探しに来ることもないでしょう。
苺売り場の直ぐ横に練乳のコーナーを設置したからこそ、「苺+練乳」の考えがお客の頭に浮かんで、結果どちらも購入することになるのです。
このように、関連する複数の事柄を同時に行うことで、本来以上の効果を発揮するのが相乗効果なのです。
別々のものが組み合わさり単体以上の効果を発揮する
相乗効果は、要因となる事柄を増やせば増やしただけ、効果を上げることも出来ます。
例えば先の苺の例の場合、もし苺売り場の側に練乳だけでなく、家で手軽に楽しめるチョコレートフォンデュのコーナーも設置したらどうなるでしょうか?チョコレートフォンデュをするのなら、その機械はもちろん、苺に挿すための串や、フォンデュ用のチョコレートも必要になります。
それらは単体では売上げはそう多くはないかもしれません。
しかし苺売り場にチョコレートフォンデュのセットが一式置いてあった場合には、普段は見向きもしない人がついその気になって、一式まるまる購入してくれるかもしれません。
苺の例だけでなく、スーパーの野菜売り場を見てみると、他にもたくさんの相乗効果を狙ったものが置いてあります。
例えばキャベツの売り場にキャベツ炒めの素が置かれていたら、買い物に来た人が「今夜はキャベツ炒めでいいか」と考えて、キャベツとキャベツ炒めの素のどちらも購入してくれる可能性があります。
キャベツにせよキャベツ炒めの素にせよ、本来はどちらもそれを購入するという目的がなければ買われることはありません。
しかし、一緒に置いておくことでお客の料理の選択肢を増やし、購入させる可能性をグンと引き上げます。
相乗効果とは、このように別々のものが組み合わさることで単体以上の効果を発揮します。
単純な足し算ではなく付加価値がつく
「1+1=2」は単純な足し算です。
しかし相乗効果の場合、「1+1=3」を生み出すことが出来ます。
先の例の苺では、本来は「苺+練乳」で2つのものを購入してもらうことが可能です。
しかしそこにチョコレートフォンデュの選択肢を付け加えたなら、「苺+練乳」の答えは4つに変わります。
この4つというのは、「苺」「練乳」「チョコレートフォンデュの機械」「チョコレート」のことです。
本来の単純な足し算の答えではなく、付加価値のついた答えを出すことが出来るのが相乗効果のメリットなのです。
️シナジー効果の例
シナジー効果を実践している、ある企業の例を挙げます。
「セブン&アイ・ホールディングス」は、セブンイレブンやイトーヨーカドーなど、私たちが日頃よく利用している店舗を全国で展開しています。
この企業は自社の展開する、集客率の高いコンビニやスーパーに、セブン銀行という独自の銀行を設置しています。
ATM手数料に特化した銀行業務を中心にしており、このセブン銀行の設置により財務基盤の安定化を実現しています。
本来はコンビニやスーパーとして店を経営する形だけだったものが、さらに銀行のサービスも増やすことで、シナジー効果により売上げや業績をさらに伸ばすことが出来ています。
複数企業による事業展開
最近では、シナジー効果を狙って複数企業による事業展開を行っている会社が多いです。
例えばある会社が元々情報通信サービスの事業を行っているとします。
その会社が本来の事業に加えて、ゴルフのサービスを提供している会社と手を組み、新たにゴルフ場における情報通信サービスの事業を展開するとします。
そうすると、情報通信サービスの会社は本来の収益にさらに新たな事業の収益を足すことができ、収益を拡大させることが出来ます。
この例では2社のみですが、今やもっと多くの複数企業による事業展開も行われています。
どんなに優れた事業を行っている会社でも、他の会社と一切関わったり、手を組んだりしなければやれることは限られています。
狭い箱の中だけで1つの事業を行っているといつまで経っても収益の拡大を実現させることは出来ません。
そこであらゆる企業と手を組み、新たに事業を展開していくことにより、狭い箱から飛び出しあちこちに根を広げていき、結果的に収益を上げることが可能になります。
もちろん根を広げすぎると反対に経営が悪化してしまうこともありますので、さまざまな事業を展開していこうと思ったら、事前のリサーチや事業内容の都度改善などは必須です。
️シナジー効果の種類
シナジー効果が相乗効果であるということは、すでに理解出来たと思います。
このシナジー効果には、実はいくつかの種類があります。
これからご紹介していくいくつかの種類は、いずれもビジネスにおけるシナジー効果です。