その言葉の堅苦しい印象からあまり使われることがないため、プライベートや日常会話では、「ひいては」ではなくその類語が代わりに用いられることが多いです。
「ひいては」の意味をきちんと理解出来ていると、日常会話で類語をすんなりと使うことが出来るでしょう。
「ひいては」にはどのような類語があるのでしょうか?
以下にご紹介していきます。
それにより
原因と結果の因果関係を結ぶ言葉の一つに、「それにより」があります。
「それ」とは、文章で言えば前の部分を示します。
例えば前の部分が「産業はここ数十年で発展した」となっていれば、「それ」とは産業の発展のことを指しています。
また、「より」は元々「因る・由る」という言葉で、何かの出来事に起因するといった意味があります。
そのため、「それにより」という言葉は、先の例で言うと「産業はここ数十年で発展したことにより」という文章になります。
これに結果である「経済効果が上がった」という文がつくと、「産業はここ数十年で発展した。
それにより経済効果が上がった」という文章が出来上がります。
このように、「それにより」という言葉も「ひいては」と同様に、原因と結果の因果関係を表わしますので、場面によって「ひいては」でなく「それにより」を用いることが出来ます。
とはいえ「それにより」も聞く人によっては少々堅苦しい印象になることもありますので、大勢の前で何かを発表する際や、目上の人に対してなど、丁寧な言葉使いをする場面で用いることが多いでしょう。
そのため
「そのため」は、「ひいては」の類語の中でも恐らく最も頻繁に使う機会がある言葉でしょう。
「~があったため」「~のために」といった言葉も「そのため」の一言でまとめることが出来ます。
また、「そのため」の使い方として、前の文章をいったん「。
(句点)」で区切り、その後で文章を続ける際に「そのため~」から始めるのが一般的です。
例えば「今朝は雨が降っていたから傘をさして出勤したが、夜には止んでいたのでうっかり傘を持ち帰り忘れてしまった。」という文章の場合、このままでも良いですが一つの文章が長くなってしまいます。
そこで、「そのため」を用いて文章を二つに分けると、「今朝は雨が降っていたから傘をさして出勤したが、夜には止んでいた。そのため傘を持ち帰り忘れてしまった。」と文章にメリハリが出来て、より読みやすくなります。
これは文章として読むだけでなく、口に出す言葉としても同じことが言えます。
同じ文章でも、一つの文を長々と書いたり話したりすると、伝えたいことが相手に上手く伝わらなくなったり、起承転結が曖昧になって話がまとまりづらくなってしまったりします。
そこで文や話を短く区切って、合間に「そのため」とつけることで、話し手や書き手が何を伝えたいのかが明確化されます。
それゆえ
「それゆえ」という言葉も、「ひいては」と同じような意味を持っています。
「それゆえ」とは、前の出来事を受けて次に話を運ぶ接続詞のことです。
前の結果から次の事象等を導くため、原因と結果の因果関係を表わす「ひいては」と似た使い方をします。
例えば「会社で人間関係に悩み、精神疾患を患ってしまった。それゆえ、会社を退職することに決めた。」
また「昨日は部屋を十分に過湿して、さらにマスクをつけてのど飴も舐めた。それゆえ、今日は喉の調子が絶好調だ。」など、ある出来事があり、その結果を示す際には「それゆえ」という言葉を用います。
「ひいては」ほどかしこまった言い方ではないものの、「それゆえ」という言葉も日常会話で用いるにしては少々堅苦しい印象を受けるため、あまり普段使いはされません。
あなた自身、日常会話の中で「それゆえ○○だった」という言い方はしませんよね?
この言い方は、メールや手紙、小説など文章として表す際に用いられることが多く、口に出されることはそう多くはありません。
「それゆえ」の「ゆえ」は、漢字で書くと「故」となります。
「故」は原因や理由を示す語であり、「だから」や「そこで」といった意味があります。
そのため、「それゆえ」という言葉も、前の出来事や原因を受けて結果を表わす際に用います。
さらに
「さらに」という言葉も、場合によっては「ひいては」と同じような使い方をします。
「さらに」は、「程度がより増したり段階がより高まったりするさま」「これまでの行為に加えて繰り返し行うさま」「(下に打ち消しの言葉を伴い)少しも・全然」「あらためて・こと新しく」「すっかり・まったく」などのたくさんの意味があります。
細かい意味として見ると「ひいては」と違う部分が多いですが、前の出来事や原因を受けて、結果となる事象を説明する際には用いられることがあります。