しかし一方で、「結果的に」の場合は、例え原因となるものが悪かったとしても、結果は良いものであることがあります。
例えば「試験の結果が最悪だったので、お小遣いが減らされてしまった。けれど親戚のおじさんから偶然お小遣いをもらうことが出来たので、結果的にお小遣いが増えた。」のように、必ずしも原因に比例した結果になるわけではないのです。
その点「その結果」では、「その」が原因を示しているため、必ず結果も原因に比例したものになります。
それどころか
「それどころか」とは、「そんなことで済むどころか」という意味があります。
「ひいては」と少し違った意味合いに思えますが、原因と結果の因果関係には変わりありません。
「さらに」や「それにとどまらず」に近い意味の言葉と言えるでしょう。
「それどころか」は、結果が原因以上の出来事になっている時によく使われます。
例えば「必要がなければ家族と口もきかず、それどころか顔を合わせることすらしない」
「彼は決して精神的に強いわけではない。それどころか、弱すぎて直ぐにストレスで胃が痛くなってしまうほどだ。」
「周囲には友人も家族もいない。それどころか、人一人いないありさまだ。」
など、前に起きたこと以上のことが今起こっている時に使われる言葉です。
厳密な意味や使い方としては、「ひいては」とは別物に思えるかもしれません。
しかし、場合や使い方によっては、「ひいては」の代わりとして使うことも可能です。
~のみならず
「~のみならず」は、「さらに」や「それどころか」「それにとどまらず」などと近しい意味の言葉です。
「のみならず」は、副助詞の「のみ」に断定の助動詞である「なり」、さらに打消しの助動詞である「ず」が組み合わさった言葉です。
要するに、「~ばかりでなく」「~だけでなく」といった意味があります。
また、一度文を句読点で句切った後で、接続助詞に用いて「そればかりではなく・その上に」といった形で用いることもあります。
そのため、「さらに」や「それどころか」と同様に、原因となる出来事以上のことが、結果的には起きていることを示しています。
これを文で例えると、「生活費が足りず、電気のみならずガスまで止まってしまった。」
「彼女は英語のみならず、中国語と韓国語まで話すことが出来る。」
「日本のアニメは国内のみならず、世界中に広まっている。」などがあります。
すなわち
「すなわち」は、「言い換えれば」「とりもなおさず」「つまり」「即座に・直ぐに」などの意味があります。
私たちは「つまり」の意味で「すなわち」という言葉を使う機会がとくに多いでしょう。
前の文章に対して、それをさらに別の言い方をしたり、分かりやすくまとめたり、強調したりする場合によく用いられます。
例えば「イルカは母乳で子どもを育てます。すなわち、海洋哺乳類なのです。」
「この子は私の妹の娘、すなわち姪にあたります。」
「あそこに見えるのは富士山です。すなわち、日本一の高さの山なのです。」
など、前の文章に対して、それを分かりやすく説明したり、まとめたりする時に多く用いられます。
また、「すなわち」は文章で使われることが多いですが、場面によっては言葉にして用いることも少なくはありません。
例えば会社のプレゼンや、複数人の前で何かを話す際などに、相手に話を分かりやすく伝えようとして使うことがあります。
よくある「ひいては」の間違い
「ひいては」は、きちんと正しい意味を理解していれば、誤用することはありません。
しかし、何となくのニュアンスだけで使っている人や、理解しているつもりの人では、うっかり誤用してしまっているかもしれません。
とくに「ひいては」と響きが似ている言葉は、より混同されたり、誤用されたりするおそれがあります。
そこで、うっかりの間違いをしないためにも、「ひいては」によく似ている言葉に焦点を当てて、その違いについてご説明していきます。
「しいては」との混同
「しいては」という言葉を聞いたことがありますか?少なくとも、ある程度教養を積み、社会に出た人であれば一度は耳にしたことがあるでしょう。