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善処とはどういう意味?正しい用法と...(続き3)

「善処」の使い方

「善処」の意味が分かったところで、次は使い方についてご説明していきます。

先にも少し挙げましたが、善処は良い意味として使われることもあれば、曖昧で不明確な使われ方をすることもあります。

そのため、善処は場面や相手によって上手く使い分けなければ誤解を生んでしまうこともあるため、注意が必要です。

言葉の意味自体は一緒なのに、使い方によって別の意味に変化するというのは少々ややこしいですが、何度か使っていれば自然と使い慣れていくことが出来るようになるでしょう。

また、善処という言葉自体は敬語ではないため、上司に対しても部下に対しても、また同等の立場の人に対しても問題なく使うことが出来ます。

もし目上の相手に使う場合にはそこに丁寧な言葉を付け加えれば良いでしょう。

肯定的な使い方

「善処」は肯定的な意味として使われることが多いです。

例えばビジネスシーンにおいて、上司や取引先の会社から何か求められた時に、それに対して「一生懸命に尽力します」という意味で「善処します」や「善処致します」などと返事をすることがあります。

ビジネスシーンで善処を使う場合には、ある程度それが見込める場合や可能な場合に使うのが一般的です。

そうでなく、もし否定的な意味として「善処します」という言葉を使ってしまうと、相手は「やってくれるのだな」と期待をしてしまいます。

相手が期待しているのに応えることが出来なければ、相手を失望させたり、こちらに対する信頼を失くしてしまったりしますので、相手の希望に沿うことが出来ないのに「善処します」という言葉を用いるのは止めた方が賢明でしょう。

時々「日本人の使う断り用語」として「また今度」や「善処します」などが挙げられますが、もし相手からは否定的な意味として用いられたとしても、自分が使う際には肯定的な意味として用いた方が良いでしょう。

否定的な使い方

「善処」は否定的な使い方をすることもあります。

例えばあまり親しくない人や、関わりの薄い会社の人から何か頼まれごとをされた際に、「善処します」と返すことがあります。

この場合の善処は、実際に行動に移すつもりはないけれども、とりあえずの社交辞令の返事として使われています。

また、否定的な意味で善処という言葉を用いる場合、多くはその内容について具体的な計画が立っていなかったり、日程が未定だったりします。

例えば「いつか仕事を一緒にしましょう」や「今度食事でも」など、お互いに社交辞令として誘いをかけていることも少なくはありません。

もし相手は乗り気だったとしても、こちらがまったくその気がない場合は適当に返事をして、そのまま関係が遠のいていくこともあります。

日本人は相手に対する気持ちや本心はどうであれ、それを隠して表面上は愛想よく接することが多いです。

社交辞令としての善処もそれと同様で、実際にその通りに行動する気はなくても、とりあえずの返事として善処を使うことがあります。

しかし、否定的な意味としての善処は使える場面や相手が限られています。

とくにビジネスシーンで否定的な意味で善処を用いると、後でトラブルを招く原因にもなりますので、否定的な意味として使う際には十分な注意が必要でしょう。

商談時での使い方

「善処」は、ビジネスの商談時などによく用いられています。

例えばある会社が取引先の会社に対して、いつも発注している数よりも多めに商品の発注をしたとします。

それ自体は問題なく了承しますが、発注数を増やした分も値引きをして欲しいと取引先の会社から頼まれたとします。

それに対し、頼まれた側は値引きが可能かどうかを頭で考えた上で、それが見込める可能性が高そうな場合には「善処します」と答えます。

この答えを受けた側は、「恐らくは値引きが可能になるだろう」と思います。

そしてその通りに値引きがされれば、お互いに満足の行く結果になるでしょう。

一方で、もし値引きが見込めない場合に「善処します」と答えてしまうと、相手は誤解してしまい、結果として値引きが出来ないトラブルが発生してしまいます。

そうなると取引先との関係が悪くなってしまう恐れがありますので、商談時に相手の希望に沿えない可能性が高い場合には、「それは少々難しいお話ですね・・」などと、素直に答えた方が賢明でしょう。

上司や目上の人に使う場合

「善処」は、上司や目上の人に対しても使うことがあります。

自分よりも目上の人に対して使う場合には、「善処致します」「善処します」などと丁寧な言いまわしをするのが普通です。

また、基本的には目上の人に対して善処することを求めることはしません。

善処とは状況に合わせた適切な処置をすることですので、それを目上の立場の人に求めることは失礼にあたります。

目上の立場ではなく、例えば取引先の会社が相手の場合には、「ご善処して頂けますよう、よろしくお願い申し上げます。」などと丁寧に善処をお願いすることはあります。