皆さんは『ホワイトカラー』という言葉を聞いたことがありますか?
聞いたことはあっても、実際どんなものか知らない人は意外と多いものです。
文字だけ見てみると“白色”という意味にも取れますが、実は仕事に関係する言葉なんですよ。
この記事では、ホワイトカラーとはどういうものか紹介していきます。
ホワイトカラーと呼ばれる人たちの職業
ホワイトカラーというのは、職業をある条件でカテゴリ分けしたものを指す言葉です。
とある括りの職業をまとめてホワイトカラーと総称するのですが、どんな職業を指すのか想像してみてください。
今回は、ホワイトカラーという職業について、詳しく紹介していきたいと思います。
ホワイトカラーの意味
ホワイトカラーのカラーは、色の“color”を示すものではなく、襟を示す“collar”のこと。
すなわち、ホワイトカラーとは『白襟』を指す言葉です。
白襟が象徴するものは、シャツやスーツを着て働く職業です。
このほか、ネクタイをつけたり、背広を着たりして働く職業を総称して、ホワイトカラーと呼びます。
シャツやスーツを着る仕事と言えば、基本的に内勤のオフィスワーク全般をイメージするでしょう。
頭脳労働となるホワイトカラーは一般的に事務職などオフィスワークを中心にいくつかのジャンルに分類されますが、絶対これと言った括りはなく、その定義は国や組織の考え方によって異なります。
ホワイトカラーという言葉が用いられるのは、会社内で働き方や業務について議論するようなシーンが多いので、あまり聞き馴染みがない人も多いでしょう。
中には、ホワイトカラーをホワイトな職業だと勘違いしていることも。
ブルーカラーとの違い
ホワイトカラーの対象となる存在として、ブルーカラーというものがあります。
ブルーカラー(bluecollar)は、主にパワーワークやパワフルワークと呼ばれている肉体労働の職業を指す言葉です。
野外で働く作業員を思い浮かべると、青い襟付きのツナギや作業着を着ているイメージがあるでしょう。
企業によって違いはありますが、作業員の制服に青色が多かったことがブルーカラーの由来です。
工事や建設現場で働く土木建築作業員、工業系、製造系など、体を動かす仕事やものづくりに関わる職業を総称して使われています。
ホワイトカラーと呼ばれる人の仕事
では、ホワイトカラーと呼ばれる職業とはどんな仕事なのか、具体的に紹介していきたいと思います。
管理系職業
“管理系”の職業は主にホワイトカラーに分類させれます。
会社の役員や上層部に属され、いわゆる管理職といわれる職業をはじめ、国や市区町村に属する公務員等の職業もそのうちの一つです。
会社役員
会社の役員として働く人たちは。
基本的にスーツでの勤務になるでしょう。
企業を取り締まる大切なポジションに立つため、身なりはきちんと整えておかなくてはいけません。
それに、いつ何時に取引先とやりとりがあっても応じられるよう、スーツであることは必須でしょう。
また権威ある立場の人は基本的に肉体労働ではなく、取引関係や対人関係など主に頭を使った頭脳労働がメインになるため、作業着でいることは少ないものです。
会社の顔としていつ誰に会うことになっても恥ずかしくない格好でいることは、ともに働く社員たちの見本でもあります。
現場管理職
会社勤めだけならず、現場系の建築業や工業系の職種においても管理職など上の立場の人は、襟付きのシャツを着用していることが多いでしょう。
現場系の仕事というと、シャツよりも作業着を着用しているイメージが強いですが、指示を出したり、現場を仕切る立場の管理職となると装いも変化します。
こちらも会社役員と同様に、取引先への訪問対応などが発生した際に備えたものです。
現場内でも、一目で役職が分かるため、その人のポジションを示すものでもあります。
仕事内容は、主に現場の進捗管理や人員配置など指揮官としての管理業務なります。
とはいえ、こうした現場仕事はスーツでは動きにくく、汚れてしまうことも多いので、シャツの上に会社指定のウィンドブレーカーなどを着ている人が多いですね。
店長・支配人
ホワイトカラーとは程遠いように思える販売や飲食の現場でも、ポジションによっては、ホワイトカラーと呼べる職種があります。
それは、店長や支配人といった管理職です。
どの企業においても、プレイヤーとして働く人たちの上に立つ管理職の人たちは、現場とは一線を画す存在として、制服ではなく白襟シャツやスーツを着て働いていることが多いと言えます。
公務員
役所や税務署など、国や地方自治体が運営する機関に勤めている公務員もホワイトカラーと呼ばれている職種です。
公務員と言っても、警察や行政関係など職種の幅は非常に広いですが、制服である場合も基本的に襟付きシャツは必須のところが多いでしょう。
公務員はホワイトカラーの中でも安定感があり、枠がそこまで狭くないため、志望者が多い職種です。
公務員というと、堅実な職業のイメージが強いでしょう。
技術系職業
技術系の職業は、職種にもよりますがホワイトカラーに分類されます。
現場で働く職人系は除きますが、頭脳を使う仕事やクリエイティブなスキルを用いる技術職は
基本的に室内勤務でオフィスワークのような働き方になるため、作業着ではなく白シャツを着用している割合が多いですよね。
具体的な技術系の職業は下記のようなものがあります。
研究職
公立の研究機関や検査機関に勤める研究職はホワイトカラーと呼べるでしょう。
研究職と聞くと、襟付きシャツの上に白衣等を着て仕事に没頭している様子が想像できるのではないでしょうか。
博物館や美術館に勤めている学芸員のような職業も、研究員として採用されます。
これらの研究職は、自治体によって扱いが異なり、公務員として雇用しているところもあります。
システムエンジニア
情報システムの構築やIT分野で活躍しているシステムエンジニアは、基本オフィス内においてPCと向き合って働く仕事なので、スーツでの勤務になることがほとんど。
システム開発に携わるシステムエンジニアは、クライアントとの接点も多く、要望のヒアリングや経過報告などを行なうこともあるため対人業務もあります。
スーツならば、いつ取引先に行くとなっても問題ないですよね。
プログラマー
システムエンジニアと同じ畑で働くプログラマーもホワイトカラーです。
こちらはシステムエンジニアよりも、さらにコツコツとした地道な作業がメインになります。
スーツやオフィスカジュアルで、内勤となることが主でしょう。
設計士
CADや専用のソフトを用いて図面を作る設計士の仕事も、ホワイトカラーに属します。
建築会社の勤めになりますが、現場職でない限りスーツ着用の職場が多いはず。
仕事内容もパソコンでの作業がメインになるため、見せかけは事務職とあまり変わりありません。
専門系職業
技術系とはまた少し異なる専門職も、ホワイトカラーに分類される職業が多めです。
専門系の職業は、国家資格など特別な免許を用いるものや、一定の専門分野に特化したスキルを保有している人が就く仕事。
専門知識はもちろん、高度な技術を求められる仕事もあります。
医師
病院や医療機関で働く医師は、まず白衣という印象が先行してきますが、これもまたホワイトカラーです。
施術時や診察時は白衣の下にYシャツを着用していますし、出勤時は多くの割合でスーツです。
病院によっては、カットソーなどラフな装いの上に白衣を着ている場合もありますが、動きやすさを重視した結果や担当分野の違いであり、学会や会議に出席する際は絶対的な確率でスーツ着用となっています。
基本的に外科や麻酔科といった手術に関わる仕事が多い部門の医師は、あまりワイシャツとネクタイは着用しません。
裁判官
各地の裁判所において活躍する裁判官は、オフィスワークとは系統が異なるように思えますが、これもまたホワイトカラーのひとつです。
裁判を担当し判決や決定事項を言い渡すのが裁判官のメインの業務に思えますが、実際は資料や証拠の確認をはじめ、法に照らし合わせた判断事項の確認など事務的な業務が多数あります。
法廷に出る際は法服と呼ばれる専用の服を身にまといますが、勤務中は基本的に男女ともにスーツになるでしょう。
検察官・弁護士
裁判官がホワイトカラーとなれば、同じ現場で活躍している検察官や弁護士も同様です。
TVドラマ等で取り上げられることの多い職業なので、イメージがわきやすいと思いますが仕事中はスーツ着用が基本です。
裁判官の前で議論しているようなイメージが強いこちらの2職種は、一般の人では深く知り得ない専門的な知識多く習得しています。
それこそ、裁判に挑むとなれば、綿密な下調べが必要になりますし、既存法律や過去の判例といったさまざまな情報を常にインプットしていかなければいけないとても大変な職業です。
ホワイトカラーの中でも、医師と一位二位を争う頭脳が必要になります。
公認会計士
会計の専門家となる公認会計士は企業勤めの職種ですので、スーツでの勤務が基本。
ホワイトカラーの一つです。
会計監査や経理関係のほかコンサルティング業務や税務業務といった仕事を担っています。
企業にとってとても大切なポジションになります。
記者(コピーライター)
記者は働く人は、執筆時はさておき、取材に行く際はスーツなどきちんとした服装で出向くことが多く、ホワイトカラーとして認識されています。
アクティブに足を使って働くイメージも強いので、オフィスワークと言うとどこか違和感がありますね。
コピーライターというと、基本的にオフィスで執筆をメインに行っている職業ですので、ホワイトカラーと言って差し支えないでしょう。
エステティシャン
エステティシャンなど特別な手技などを習得する美容系の仕事は一部、ホワイトカラーと言われているものがあります。
エステティシャンやマッサージ師など、襟付きの制服を着て室内で施術するような職業は、オフィスワークとは少々異なりますが、室内でコツコツと行なう仕事には違いありません。
デザイナー
インテリアデザイナーや服飾デザイナーなど、デザイン関係の職種はホワイトカラーに当てはまります。
手がけるものにもよりますが、デザイン作業は主にオフィスにおいて行うため、パソコンに向き合う時間が長く一見すると事務職的な働き方に見えるでしょう。
事務系職業
一般事務、企画事務、総務、庶務、営業事務など、事務関係の仕事はホワイトカラーの代表格です。
スーツ着用の事務はオフィスワークは代名詞でもあります。
基本的には、パソコンでの事務処理や社内の備品管理・電話応対など、ほとんど自分の席についたまま仕事が完結しますね。
体力的にも仕事的にも働きやすいため、常に人気が高い職種です。
私服勤務可の職場も多々ありますが、割合的に白襟スーツの企業が多めでしょう。
カラーの判断基準は難しい
ホワイトカラーと呼ばれる判断基準はとても曖昧で、線引きが難しいため企業や人の考え方によって分類される異なります。
ホワイトでもブルーでもない、販売や営業のような仕事は、グレーカラーと呼ばれることも。
2つのカラーの中間的なポジションを示しているのでしょう。
今回は、その中でもホワイトカラーに分類されるか曖昧なラインの職種をいくつか紹介します。
保育士
保育士など、教育等の現場に関わっている職員はホワイトカラー寄りの職業です。
保育士はあまりオフィスワークのようにYシャツを着て働いているイメージはなく、エプロンや動きやすいスラックスを着用している印象でしょう。
しかし完全なる現業職とも言えず、ホワイトカラーとそうでない仕事の中間的な部分に位置しているといえます。
仕事内容は、保育児童の見守りやサポートのように体を使うものもあれば、事務的な業務もあります。
このように、いろいろな面を持つ職業はなかなか分類が難しいのが実態です。
教師
教師は公務員のうちの一つですが、スーツを着ているイメージがあるかと言うと、私服姿の印象が強いと思います。
スーツを着ている人もいますが、担当する教科や行事によって異なるでしょう。
教師の仕事は教育現場における様々な業務画含まれるため、オフィスワーク的な事務もありますが、基本は指導のために教鞭をふるっているので立ち仕事のイメージも強いでしょう。
色々な面を持つことから、ホワイトカラーだという人もいれば、属さないという人もいます。
営業職の職業
営業職は外回りが中心になる場合と、内勤で電話応対やメール対応が中心になる場合で大きく業務内容が異なります。
一般的にイメージされる営業職は、取引先とのコミュニケーションが大切なのでスーツが基本ですよね。
しかしホワイトカラーの特徴である白襟・スーツ勤務ではあるものの、外と中の仕事が両立するものなので、あまりオフィスワークの印象も強くないでしょう。
確かにスーツでの会社勤めでホワイトカラーの特徴はピッタリですが、ホワイトカラーと言うにはアクティブな職種ですね。
サービス業
サービス関係の仕事は、室内での働く職種も多く、ホワイトカラーに近い環境で働くものも多くあります。
しかし、業務内容を見ると作業系の内容であることも多く、一概にホワイトカラーと言えない場合もあるのです。
家政婦
家政婦は、生活空間を整えたり家事全般を行なう仕事なので室内作業が主です。
白襟の制服を着て働いている姿が想像できるでしょう。
オフィスワークのように座ってパソコンと向き合うような仕事ではなく、体を使って働く仕事なのでホワイトカラーというかどうかは曖昧です。
美容師
散髪やカラーリングといった髪のケアを生業とする美容師は室内で働く仕事ではあるものの、ホワイトカラーというかは微妙なラインです。
人と接する仕事なので身なりを整えて、いつでもスマートな見た目を保ってはいますがスーツや白襟シャツが絶対という業種でもないでしょう。
しかし、働き方としてはホワイトカラーよりなので、ホワイトカラーとする人もいます。
ホワイトカラーの職業が急増中!
ホワイトカラーの職業は、時代の変化に伴い増加しています。
ネット関係の発展により、あらゆるサービスが普及したことをうけ、それに対応するオフィスワーク増えているのです。
働き手としてと体力勝負になるブルーカラーよりも、ホワイトカラーの職業を求める人は多く、需要と供給はうまく叶っていると言えるでしょう。
給料も高め
オフィスワーク全般の仕事は、頭脳労働となるため、一定の学力やスキルを求める職場が多いところが特徴です。
ブルーカラーのように、肉体労働の仕事より学歴や経験を重視する場所が多いでしょう。
こうした背景から、技術が求められるホワイトカラーの仕事は給料の高めの設定になっています。
特に専門性の高い知識が求められるものは、とても良い給与が貰える職業です。
まとめ
ホワイトカラーについて、詳しくお分かりいただけましたでしょうか。
ホワイトカラーは頭脳労働を得意とする人や、室内で働きたい人にとって向いている仕事だと言えます。
ホワイトカラーは、安定性があり働きやすい職種です。
しかし、その一方これからは、益々ネットワークやテクノロジーの技術が高まっていくので、データ化や自動化が進み、頭脳労働はパソコンが担う時代になっていく可能性も示唆されています。
そんな中で、人にしかできない仕事を見つけ出し、どのように自分の付加価値を証明して行くかは今後のホワイトカラー業界の課題となるでしょう。