「はっきりこうだと説明出来ないが、その雰囲気や印象などからそう感じるさま」という意味があり、「なんとなく」という言い方をすることも多いです。
「どことなく」も「なんとなく」も、例えば自分が見た風景や出来事、人などに対しては気軽に使うことが出来ますが、大事な話をしているような場面や、誰かに具体的な意見を求められた時などにその言い方をすると、トラブルが起こってしまう可能性があります。
例えば議論である2つのテーマに対して、どちらが良いかその理由も添えて発表して欲しいという流れになった時に、「自分はAの方が良いと思います。理由はなんとなく(どことなく)です。」と言おうものなら、周りの人たちにはいい加減だと思われてしまうでしょう。
ぱっと見の印象で、本心からなんとなくAの方が良いと感じたとしても、具体的な意見を求められた時には適当な理由でも良いので何かしら明確な理由を口に出す必要があります。
もしくは、「なんとなく」「どことなく」という言い方ではなく、「第六感でピンと来ました」のように、まだ聞こえの良い言い方をした方が良いでしょう。
「そこはかとなく」もそれと同じことが言えますが、「なんとなく」の方が聞こえは悪くなってしまうため、「どことなく」「なんとなく」は使う場面に注意しましょう。
ぼんやりした
姿形などがよく見えないさまや、物事が曖昧であるさまを表現する際には、「ぼんやりした」「ぼんやりしている」などと使うことがあります。
「そこはかとなく」に近い意味の言葉の中でも、とくに頻繁に用いられている言葉でもあるでしょう。
また、「そこはかとなく」とは異なる意味としても、「ぼんやり」という言葉は日常的に頻繁に使われています。
例えば「あの人は今日ぼんやりしているね」という使い方をする場合、ぼんやりの意味は「何もせず活気がないさま」となります。
また、呆気に取られているさまや、気の利かないさまなどを意味する言葉でもあり、そうしたさまざまな意味として使われる機会が多いことから、日常会話の中でも「ぼんやりとした」という言葉は耳にしたり口にしたりすることが多いのでしょう。
鮮明でない
「鮮明」とは、「色や形が鮮やかで、はっきりとしているさま」や「立場や態度が明確に表されているさま」という意味があります。
これが「鮮明でない」となると、色や形がはっきりしていなかったり、立場や態度が明確に表されていなかったりするという意味になります。
立場や態度がはっきりとしないという部分は「そこはかとない」の意味と共通するところがありますので、場合によっては「そこはかとない」ではなく、「鮮明でない」と表現することがあります。
不明確な
「不明確」は元々「明確」という言葉から成り立っています。
明確とは、「はっきりしていて疑う点もなく確かなさま」という意味ですので、「不明確」の場合は「はっきりしておらず、確かではないさま」という意味になります。
「不明確」という言葉を使う場面は、例えば会社のデータや数値などが不明だったりはっきりしていなかったりする時に、「データ内容が不明確なため確認作業が必要です」や「数値が不明確なので何とも言えない。」などと使われることが多いです。
一方で、人の気持ちや心情、気配などについて「不明確な」という言葉で表現することはあまりありません。
元々人の心情について触れる際には「明確」という表現をすることが少なく、「はっきりしている・していない」や「明瞭」「分かりやすい・分かりにくい」などの言葉で表現されることの方が多いため、あまり「明確・不明確」という言葉を使う機会がないのでしょう。
とはいえ、使ってはいけないというわけではありませんので、人の心情を表わす際にも用いることは出来ます。
連想される言葉
あなたは「そこはかとなく」という言葉を聞いた時、そこからどんな言葉を連想しますか?言葉の意味をきちんと理解している人であれば、「はっきりしない」や「曖昧な」などの言葉を思い浮かべることでしょう。
それら以外にも、いくつかの言葉を連想することが出来るでしょう。
一般的に「そこはかとなく」から連想されやすい言葉を以下にご紹介していきます。
わずかな
「わずか」は漢字で書くと「僅か」となり、「数量や度合い、価値や程度などがきわめて少ないこと」や「みすぼらしいさま、貧弱なさま」などの意味があります。
これらの意味の中でも、「視覚や聴覚に感じられる程度がごく少ないさま」が、最も「そこはかとなく」の意味として近いため、連想される言葉でもあります。
人は視覚や聴覚、触覚などで物事を感じ取ったり、判断したりします。
とくに視覚と聴覚によって日々多くの情報を得ていますので、それらから感じ取れる程度がごく少なくなってしまったとしたら、普段のようにさまざまな情報を得ることが出来なくなってしまうでしょう。
そうなると景色や心情、あらゆる出来事などに対してはっきりとは分からなくなってしまいますので、まさに「そこはかとなく」しか物事を判断出来なくなってしまいます。
人によってあらゆる物事や出来事、人との距離感や心情などを感じとる能力には差があります。
それが敏感な人は、常に周囲からたくさんの情報を得て、それにより自分で物事を判断しています。
しかしそれが鈍感な人の場合、他の人よりもあらゆることを感じとる能力が低いため、「そこはかとない」状態になる機会が多いことがあります。
安定しない
「安定」とは、「落ち着いていて変動の少ないさま」という意味です。
ですから、「安定しない」という否定形になると、意味も「落ち着いておらず、変動が多いさま」となります。
例えば綱渡りをする人が、きちんと安定しているのならふらつきも少なく、落ち着いて最後まで渡り切ることが出来るでしょう。